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【連載第44回】 あの、おもちゃを徹底レポート




競走馬育成シミュレーションとe-Toyが合体
トミー「ポケットホース」

「ポケットホース」
発売 トミー
価格 2,480円
電源 単4アルカリ電池
発売日 発売中


 馬券を買ったことはないけれど、筆者は競馬には憧れのようなものを抱いていて、競走馬育成シミュレーションゲームを楽しんでいる。競走馬にかける夢というか情熱というか、いわゆる「ロマン」な感じに惹かれるのだ。そんなわけでトミーの「ポケットホース」も、期待に胸をトキメかせながら入手した。
 「ポケットホース」はいうなれば競走馬育成シミュレーションゲームとe-Toyの融合だ。育成は背中にある液晶画面と操作ボタンで行ない、レースでは馬を実際に走らせて行なうのだ。おおっ、面白しろそうではないか。遊ぶならライバルがいた方が楽しい!と事務所のスタッフに1体を渡し、共に競って育て上げ、一週間後の朝にレースを開催するというルールを設定。レースの暁にはブッチぎって、アッと言わせてやるぞ! と密かに決意する。

カラーバリエーションは現段階で16種類。写真は黒馬のNo.3と白馬のNo.11 パッケージはブリスターパック仕様。カラーバリエーションを見比べやすい


馬の名前や性格を設定。勝負はすでにはじまっている!

 「ポケットホース」のサイズは、ちょうど手のひらに収まる程度。だから「ポケット」ホースなのかと納得。胸のふたを開け、単4電池1本をセットすれば準備完了だ。
 馬の背中にある液晶画面で設定を行なっていく。現在時刻と馬の名前を登録し、さらには馬の素質タイプを選択。Aタイプは、イギリス生まれのフランス育ち。スタート時のダッシュ力はピカイチ。Bタイプは……と細かな設定があり、ゲームスタート時の走行に影響する。取りあえずは好みで選べばいいだろう。筆者は、アメリカ生まれの日本育ちのCタイプを選択。ゴール前の勝負が強いという。期待してまっせ~。電源を入れたばかりの馬はまだ0歳。これからおよそ1時間半後に2歳にまで成長し、その後は3日に1歳のペースで成長していく。

背中に液晶画面と操作ボタンがある。これらを使って育成を行なう 全体のデザインはデフォルメタイプ。ずんぐりとした体と瞳がカワイイ


デリケートなお馬さんを大切に大切に育てていく

 0歳から2歳になるまでの間は、えさを与え、なでなでしてご機嫌を取るだけ。とはいえ、ここでの育成が馬の性格を形成し、性格が馬の走りに影響するのだから気を抜けない。「まじめな性格」に育ってくれれば問題はないが、「ふまじめな性格」になると、肝心のレース中に眠りこける……なんてハプニングを招いてしまうのだ。
 しっかりと育てるぞとは誓ったものの、手間の多さにビックリ。電話をしていても、トイレに入っていてもおかまいなしに(当たり前か)、馬はサウンドを鳴らして世話を求めてくる。例えば「えさ」を与えるときは、液晶画面に「えさ」アイコンを表示し、3種類のえさの中からひとつを選び、決定ボタンを押す。すると液晶画面の中の「えさ」がみるみるうちになくなり、あとは満足げな馬の顔が表示される。

 育成のポイントは馬が求めているものを予想し、正しい処置を素早く行なうこと。「えさ」がほしいときに、誤って「なでなで」をしてしまうと逆に機嫌を損ねてしまうから油断はできない。無視をしようもんなら、さらに大変。病気になってしまうのだ。
 病気の治療はボタンひとつで行なえるが、完了までに1時間がかかってしまう。時間を無駄にしていたら、ライバルに差をつけられてしまう! と、できうる限り世話をほどこす。ところがある日、仕事のためあまり世話ができない日があったのだが、さすがに病気になっていた。むむ~。内蔵の時計機能によって、馬は夜の9時から翌朝の9時までは眠るので、この時だけは世話から開放される。おそらくはメインターゲットたる子供たちの生活時間に合わせているのだろうけど、それにしても朝9時起床とはずいぶんと遅くない? お馬さんたち。
えさは人参と牧草と角砂糖の3種類。馬によって好き嫌いが異なる 私、ご機嫌をそこねましたの表情。何度これに冷や冷やさせられたことか……


トレーニングはユーザーの記憶力が試されるミニゲーム

 2歳を迎えると、いよいよ本格的な調教とレースが可能になる。「エサ」と「なでなで」に加え、トレーニング後の「シャワー」や、体力増強の「スタミナドリンク」などのコマンドが使用できる。

 気になる「トレーニング」はといえば、意外な内容。「ダート」や「芝」「プール」などでの調教があるかと思いきや、ミニゲームで行なうのだ。しかも、その内容は昔懐かしの「サイモン」をルーツに持つ記録力ゲーム。数字が書かれた3枚のパネルがめくられていく順番を暗記し、その通りに再現する、というもの。はじめは「こんなのかんたん」とタカをくくっていたら、実際は最大10枚ものパネルがめくられる順番を覚えねばならず、悪戦苦闘。しかも、8枚目以降は制限時間が短くなる仕掛けもあり、非常に心臓によろしくない。3回連続で失敗したときは、馬の成長度を示すレベルが何と5から3に急落下し、心底悔やんだものだった。かくして、「トレーニング」を行なう際は全身全霊を傾けて取り組むことにした。「3」「8」「3」「3」とパネルがめくられるたびに声を出して読み上げ、記憶を強化。もはや恥ずかしいなどと言ってられない。こんなふうにトレーニングの成功率を増やし、少しずつ成長させていく。

トレーニングに失敗の図。この直後、レベル落ちという悲劇を招くことに…… シャワーは健康管理の大切な手段。トレーニングやレースのあとは忘れずに


ついにレースを決行。はたして結果は……?

 そんなこんなで「ポケットホース」の育成をくり返す日々が過ぎ、とうとうレースが開催される日がやってきた。
 レース場はありふれたテーブルの上。スタート地点を決め、ゴールにはラインを引く。「ポケットホース」の公式サイトによると、それぞれの馬の両足の間にガイドとなるヒモなどを通すといいと書いてあったので、その通りにする。

 スタートラインに馬を設置し、「短距離」「中距離」「長距離」の3種類のレースの中から、ひとつを選ぶ。液晶画面にラッパが表示されている間に、ライバルと「せーの!」と声を合わせて、シッポボタンを押すとレースがスタート。5秒のカウントの後に馬が走り出す。
 その走りは、思いのほか力強い。小さなボディに関わらず、グングンと前進していく。ドタドタと響く足の音も雰囲気をかもし出す。この勢いのある走りのウラには、努力の積み重ねがあったんだよな~と育成の日々を振り返ると、とたんに自分の馬が愛しく思えてきた。

 肝心のレースは最初こそはこう着状態だったが、走行スピードに微妙な違いが生じてきた。まもなくライバルの馬が完全に停止した。何ごとかと液晶画面をのぞいてみると、「ZZz……」と眠りのアイコンが! 調教をサボって「ふまじめな性格」になっているな! フフフ、勝利は見えたよ! あとは筆者の馬が一気に走り去り、ゴールイン! やりました!

シッポボタンを押すとレース開始。公正なレースを行なうためにタイミング合わせが重要 短いレースの中にも追いつ抜かれつのドラマがある。ときには馬の小休止という珍事も


【「ポケットホース」ムービー】
WMVムービー

引退後はブリードをして新馬を育てられる

ブリード。2体のデータが組み合わされ、新馬の走行パターンが決定される
 馬が6歳になると引退となり、ブリードができる。引退した馬を2体用意して、鼻先にあるブリード端子を合わせると、ブリードが実行される。ブリード後は両親の素質を受け継いだ新馬が誕生し、新たに育成が行なえるようになる。

 育成時は液晶画面とにらみっこをするデジタルな遊びなのに、レースになると馬が足音を立てて走り出すアナログな遊びになる。このギャップが面白い。はじめてのレースでは、誰もがちょっとした感激と興奮を味わえるに違いない。

 いずれにしろ、「ポケットホース」を楽しく遊ぶにはライバルの存在が不可欠。遊ぶなら、まわりにいる馬好きでトイ好きな仲間に声をかけて、できるだけ多くの賛同者を募るようにしよう。筆者も次は多人数でのレースを体験してみたい。

(c)WiZ2001

□トミーのホームページ
http://www.tomy.co.jp/
□「ポケットホース」のホームページ
http://www.tomy.co.jp/pocket_horse/


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(2001年11月15日)

[Reported by 元宮秀介 (ワンナップ)]


ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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