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【連載第43回】 あの、おもちゃを徹底レポート




玩具売り場で異彩を放つ2アイテムをレポート!
セガトイズ「芸手」+バンダイ「ピチピチゴンザレス」

芸手(ゲーテ) ピチピチゴンザレス
発売 セガトイズ 発売 バンダイ
価格 1,980円 価格 1,000円
電源 単3電池×2 (別売り) 電源 単3乾電池×3(付属)
発売日 発売中 発売日 発売中


妙に気になるあの2アイテムをレポート

 現在、玩具ショップ店頭のロボットトイ売り場で、ひときわ異彩を放っているアイテムがある。セガトイズの「芸手」とバンダイの「ピチピチゴンザレス」だ。どれくらいの異彩なのかは後述するとして、この2アイテム……どうやら売り上げも快調らしい。
 筆者としては、異彩さゆえに興味をひかれ異彩さゆえに手を出しづらくモンモンとした日々を送っていたところ、担当の船津デスクも同じ思いを抱いていたことが判明! ならば、これは一挙に2アイテムを遊んでその秘密をすべて明かしてしまおう! というのが、今回のレポートだ。そうか、こんなトイだったのか~。

不気味な姿で名曲を奏でる「芸手」

 最初はセガトイズの「芸手」からいってみよう。この「芸手」、まずは何よりパッケージのインパクトがデカイ。真っ白な片手の写真に、豪華というか毒々しいというか、とにかく存在感たっぷりの「芸手」のロゴが輝いているのだ。「珍感覚パフォーマー」というキャッチフレーズが怪しさを倍増させている。
 この片手が高度なテクニックを駆使して、メロディを奏でるという。なるほど、「芸のある手」ということで「芸手」というネーミングなのか。古谷三敏の往年のコミック「手っちゃん」からインスパイアされたアイテムと見たがどうだろう。
 箱から取り出して筆者の右手と重ねてみるとほぼ同サイズ。思わずギョッとさせられたのは、そのディテール。骨格はおろか手の甲に走る血管までもが実にリアルに再現されていて、妙な気色悪さがある。6歳になる我が娘は普段はトイに目がないのに、「芸手」をひと目見るや「血管がきもちわるい~」と叫んで逃げ去ってしまったほど。無理もない、大人だって引くほどの不気味さだもん。

「芸手」のパッケージ。売り場で見かけると、その激しさに目を奪われる 手の甲に浮かんだ骨格と血管。血管の伸び具合、枝分かれ具合がリアル


 音に反応して演奏をするというので、手をパチンと叩く。すると、「バタッガタッバタッガタッバタッガタッ」と、ちょっとうろたえるほどの騒音が鳴り始めた。親指を除く4本の指がそこにあたかもピアノがあるかのように、猛烈な勢いでテーブルを叩いているのだ。こりゃかなわん、と付属のスタンドで芸手を支え、指がテーブルを叩かないようにして観察してみることにする。
 1曲の演奏が終わりあらためて音を感知すると次の曲が演奏されるという仕組み。レパートリーは「幻想即興曲」、「小犬のワルツ」、「ねこふんじゃった」など全6曲。

 気味の悪い片手が指を激しく動かし、「別れの曲」といった美しいメロディを奏でている様子は、ただただ「シュール」。1曲弾き終わるたびに、親指をクイックイッと動かし自分で拍手する様は少し笑える。
 「芸手」の正体を少しでも知るべく、公式サイトをのぞいてみたら「『あわおどり』が好きということは、徳島出身?」とか「性格はお祭り好きだけどさみしがりや」という2点が判明。だからなんなんだっ!
 仕事場の机の上に置き、何日も一緒に過ごしてきたが、初めて見たときにくらった「何者なんだコイツ!」というインパクトはまるで色あせない。ホント、何者なの?
付属のスタンドを使い、演奏中のイメージ。親指の使い方が笑いを誘う 爪は意外とキレイ。ちなみに手のひらには、手相もちゃんとあります


【「芸手」ムービー】
WMVムービー

激しく動き回る「ピチピチゴンザレス」

 見た目のインパクトという点では、バンダイの「ピチピチゴンザレス」も負けてはいない。魚とも両生類ともつかない「ピチピチゴンザレス」の外見もさることながら、パッケージがなお強烈。「ピチピチゴンザレス」がスーパーの鮮魚トレイに盛られているのだ。しかもご丁寧に、パセリとツマと醤油付き(プリントだけど)。「ピチピチゴンザレス」を喰えというのか! オェ~、想像するだけでも胸が悪くなる。
 見た目の印象は、ヘンな両生類。ちょこんとした尻尾がまさにそう。だけど角度を変えると、フナムシのようでもある。設定によると、宇宙昆虫なのだという。

「ピチピチゴンザレス」のパッケージ。これを食え、というんですね? スケルトンボディのカラーバリエーションは、レッドを含め6種類ある


 腹の底にある電源スイッチをオンにして、テーブルを上に置くと、目をビカッと光らせ、「アッオウ!」とメロディを口ずさみながら、一気にテーブルから飛び落ちた。なんなんだ? あわてて、テーブルの上に戻し、今度は落ちないように手を添えてみたら……ますます大変! 手のひらにブチ当たったかと思うと、急に角度を変えて別の方向に走り出す。落としてはいかんと手を添えると、また別の方に逃げる始末。おそろしく活きがいいヤツだ!
 手ごろな箱を見つけ、今度はその中で走らせてみることにする。すると、走るわ、走るわ。壁に頭をブツけると、クルリと進行方向を変え、また別の方向に走り出す。壁にぶつかるたびに体が振動しその妙に繊細な動作が、まるで本当に生きているかのような雰囲気をかもし出す。不気味!
 そんな様子を見ていたら、この「角度を変える動作」がどのうようなギミックで実行されているか気になりだした。公式サイトをチェックを調べてみると、秘密がわかった。壁や手のひらなどに進行方向を阻まれ車輪が回転できなくなると、回転式ギアボックスが回り、方向をランダムに変えるという仕組みだった。何でもこの仕掛け、「ミステリーアクション」と呼ばれ、戦後まもなくからある伝統的な技術なのだという。なるほど。
 その後、何度もピチピチゴンザレスを遊んでいるけれど、あいも変わらず制御不可能。当たり前か。コミュニケーションに重きを置いたロボットトイの中で、このつれなさがちょっぴり刺激的だ。

走行時には目が点滅し、ひとを小馬鹿にしたような鼻歌を歌う 回転する前輪の内部には、ミステリーアクションが組み込まれている 並んで記念撮影。不思議とマッチングして、楽しげなに感じるのは気のせい?

【「ピチピチゴンザレス」ムービー】
WMVムービー

21世紀の「ビックリオモチャ」

 「芸手」と「ピチピチゴンザレス」をひと言でいうなら、「ビックリオモチャ」だ。人をワッと驚かせる面白さは、観光地で売られている「ハブの卵」(と書かれた包み紙を開くと、ゴム仕掛けで、すごい音が鳴るという玩具)に近い。ジョークグッスとして友達に贈るには、最適のアイテムだろう。
 そうそう、まもなくクリスマスパーティや忘年会のシーズンの到来だ。ビンゴ大会の景品にこっそり加えておくと、ウケること間違いなしですよ。どうですか、幹事さん?

(C)SEGATOYS2001
(C)BANDAI 2001

□セガトイズのホームページ
http://www.segatoys.co.jp/
□「芸手」のホームページ
http://www.segatoys.co.jp/gete/index.html
□バンダイのページ
http://www.bandai.co.jp/
□プレスリリース
http://www.bandai.co.jp/press/press_P00148.html
□商品説明
http://www.bandai.co.jp/products/items/item0000001318.html


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(2001年11月15日)

[Reported by 元宮秀介 (ワンナップ)]


ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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