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【連載第27回】あの、おもちゃを徹底レポート



開発者に訊く「ビットチャージー」開発秘話
と「ビットホビー」構想

ビットチャージー
発売 トミー
価格 2,980円
電源 単3電池×2(45秒の充電で2分走行)
発売日 7月14日発売 (発売中)


 当連載が以前から注目していたトミー「ビットチャージー」がついに発売された。発売後の反響も大きく、すでに品切れ状態のショップも多いという。そこで今回は、「ビットチャージー」の企画を担当された株式会社トミーで企画本部の芳村武郎氏にインタビューを行ない、開発の経緯や今後の展開などをうかがってみた。結論からいえば、「ビットチャージー」はこれからますます面白くなりそうだ。

「ビットチャージー」とは?

 わずか数センチのマシンを操作し、本格的なラジコンが楽しめる画期的なe-Toy。マシン1台と専用コントローラが同梱され、2,980円という低価格を実現。くわしくは当連載の23回目の「超小型サイズの本格的ラジコン、トミー『ビットチャーG』」を参照のこと。

きっかけは携帯電話の普及にあり

--そもそも「ビットチャージー」を開発されたきっかけは何だったのでしょうか?

芳村氏 「ビットチャージー」の心臓部といえる超小型モーター「マイクロビー」の登場がきっかけです。これは元々、携帯電話のバイブレーターのパーツだったのです。とある開発会社からこれを使ったオモチャを作りたいという持ち込みがあり、企画はそこからスタートしました。じつは、携帯電話の普及とそれに伴うパーツの低価格化が「ビットチャージー」の開発の根元にあるのです。

発売が予定されている新車種。成型も7月14日に発売された第一弾よりもさらに良くなっている


発売後に寄せられた反響は?

--この小型モーターが、どのようにして「ビットチャージー」の形にふくらんでいったのですか?

芳村氏 これでラジコンを作るというのも開発会社からの企画だったのですが、とにかくコンパクトになるように、工夫を重ねました。

--コンパクト化はやはり大変でしたか?

芳村氏 それはもう(笑)。一度、商品を手にとってみていただきたいのですが、ボディからシャーシ、基盤などすべてのパーツがギリギリのサイズで設計されています。コンパクトなラジコン、という商品は、他社さんからも発売はされているんです。だけど、ここまでの小さなサイズのものは今までになかった。室内でのプレイを売りにしたラジコンはありましたが、「ビットチャージー」は机の上というわずかなスペースでラジコンが楽しめますからね。それは本当に革新的なことだと思っています。

--2,980円という価格設定も衝撃でした

芳村氏 小さなお子さんでも手の届く2,980円という価格にはこだわりました。大人の衝動買いなら余裕でしょうし。飲み会を1回我慢していただきさえすれば、充分にご購入いただけますから(笑)。

--メインターゲットとして、どの層を想定されているのですか

芳村氏 全年齢、オールターゲットですね。本当はこういう商品を世に送るとき、何歳向け、というふうにターゲットをしぼるべきなのでしょうが、実際にオールターゲットに売れているのです。発売してから約2週間が過ぎ、アンケートハガキが到着しはじめましたが、最も多いのは30代のお父さんですね(笑)。

--いわゆる「大きなお友だち」ですね(笑)

芳村氏 そうですね。ただ最近では小学生のユーザーも増えているので、ひと安心しています。今のラインナップでは、ホンダの「S2000」など、スポーツカーばかりがそろっていますが、ユーザー層をさらに広げるために、ラジコンにあまり興味のない人でも触手をのばしていただけそうな車種を出そうと企画を練っているところです。

「ビットチャージー」と単3電池の比較。そのコンパクトさがおわかりになるだろう 新ラインナップは、本体ボディのディテールがさらにリアル。テールランプに注目!


ひとつにしぼりきれない遊びかた

--ちなみに、どんな車種をお考えなのでしょうか

芳村氏 個人的な趣味ですが、例えばフォルクスワーゲンのニュービートルなど、いいかもしれませんね。ユーザーの方に、次はどんな車種をご希望ですか、とアンケートを取っているのですが、いわゆる人気車種以外は、みなさん、バラバラなんですよね(笑)。

--わかる気がします(笑)。個人的な希望を言うと、ミニカーの「トミカ」のように、ワンマンバスや宅配便などの職業カーが登場するとうれしいですね

芳村氏 私もそういった車は好きですね。それに、実は「ビットチャージー」は、こんな遊びかたができるんです(芳村氏が机の上にいくつものトイを並べ始める)。これは「トミカタウン」といって、トミカ用のジオラマセットなんですね。「すかいらーく」や「立体駐車場」などのショップ、施設が豊富にそろっています。ちょうどビットチャージー」とスケールがいっしょなので、問題なく遊べます。たとえば車庫入れとかも可能です。速いモーターだとほぼ不可能ですが。トミカタウンを集めて街を作って、その中でレースをすると、公道レースが楽しめます(笑)。実際、百貨店などで「ビットチャージー」のデモをするときは、こういうふうにジオラマを作って、その中を自由に運転してみると楽しいですよ、と提案しているんです。

--確かにこれぞ、他のラジコンにはない「ビットチャージー」ならではの面白さですね。「マクドナルド ドライブスルー」でスムースに買い物をしようとか、「セブンイレブン」の店頭に駐車をしよう、とか挑戦すると燃えそうですね

芳村氏 本当はメーカーとしてこういう風に遊びましょうとか、テーマをしぼりこまなきゃいけないとは感じているんですが、アイデア次第でどのようにも楽しめるので、困ってしまっているんです(笑)。

--カスタマイズも盛り上がりそうですね

芳村氏 いろいろと楽しめますよ。例えば、タイヤにガムテープの筒の紙を巻いただけのカスタマイズですが、これだけの工夫でドリフトが楽しめるんですよ。あと個人的には、ラジコンのマニアの方にぜひ腕をふるっていただいて、本体にムギ球を埋め込んで、ライトを光らしていただけるとうれしいですね。

--「ビットチャージー」を、タミヤの「ミニ四駆」のように、速さと走行テクニックを競う、いわゆる競技的遊びとして育てる展開はないのですか?

芳村氏 それはシリーズ作の「ビットレーサー」がありますし、すでに盛り上がっていますからね。ただし、ファンのみなさんからのご要望があれば、そういう方向性も検討していきます。

トミカタウン「セブンイレブン」との組み合わせ。ジオラマに並べると魅力がさらに引き立つ 芳村氏のカスタマイズ例。カードケースに、本体とコントローラーをまとめて収納
【AVIムービー 5.84MB】

現状発売されているタイヤにテープを巻くことでムービーのようにドリフトを楽しむことが可能。ちなみにドリフトタイヤも企画開発中でこのムービーは特別にそのタイヤを使って走行しているところ
【AVIムービー 659KB】

周辺アイテム「デジタルラップカウンター」で、タイムを計測する瞬間


次はロボットか? ヘリコプターか?

--今後の商品展開を教えてください

芳村氏 年内は現在の路線をさらに広げることを目標に、マシンとコントローラのフルセットを2~3種類、発売する予定です。その後はコントローラやマシンの単体販売をするつもりです。そして、いよいよ「ビットホビー構想」の実現を進めるでしょうね。

--「ビットホビー構想」! それをくわしく教えていただけますか

芳村氏 マイクロビーとコントローラがあれば、自動車に限らない商品開発が可能なんですよ。例えばロボットやヘリコプター、船やバイクなどが考えられますよね。実際に実験もはじめています。ヘリコプターのラジコンは昔も今もとても高価な大人のホビーですが、そうした遊びをコンパクトなサイズと低価格で世に送りたい。それが「ビットホビー構想」なんです。オモチャ屋さんに行くと、「ビットホビー」コーナーがあって、本来は手を伸ばしにくいヘリコプターやロボットのラジコンを誰もが買えるようにする。これが理想なんです。


 「ビットチャージー」の将来に、大きな夢をふくらませられる取材だった。今後、戦車を出してほしい。おまけに砲塔からBB弾を発射させてほしいとリクエストしたら、「充分、可能ですよ」と力強いお答えがかえってきた。おおっ、頼もしい限りだ。では、この場を使って、そのとき言えなかったアイデアをお伝えします。筆者が本当に出していただきたいのは、「潜水艦」です! ……ダメかなあ。


□トミーのホームページ
http://www.tomy.co.jp/top.htm
□ビットチャージーのページ
http://www.tomy.co.jp/ir/press/bit_cg.pdf


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(2001年7月26日)

[Reported by 元宮秀介 (ワンナップ)]


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