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【連載第26回】あの、おもちゃを徹底レポート



 毎週、電子系のおもちゃを中心にオススメのおもちゃをご紹介しています。「このおもちゃ、気になるけど面白いかなぁ」といったものを徹底的に遊び倒し、その面白さをお伝えしていきます。取り上げて欲しいおもちゃなどがありましたらドシドシと編集部までメールを送って下さい (編集部)


アートとe-Toyの融合!?
明和電機プロデュース「BITMAN」

BITMAN
発売 株式会社キューブ
価格 5,800円
電源 単4電池2本使用(同梱)
発売日 発売中

これは一体なんなの?

 これはトイか、あるいはアートなのか。

 一見しても正体はわからない。だからこそ触ってみたくなる。今回は、そんな刺激的なアイテム「BITMAN」を紹介してみたい。

 先にタネ明かしをしてしまうと、これはかの明和電機がプロデュースしたアイテムだ。念のために説明してみると、明和電機とは、2人組みのアートユニットのこと (現在ではa兄が定年退職し、一人で活動中) 。ミュージシャンとしてライブを行なったり、あるときは現代美術家として製品(作品)を開発したりと既成の枠に止まらない活動を続けている。魚の骨を模した携帯ストラップ「魚(ナ)コードストラップ」などは話題を呼んだので、ご存知の方も多いだろう。今回の「BITMAN」は発売後しばらくの間は、売れ切れ状態が続いていたほどの人気商品だという。

どんなモノにも似ていない独自のデザイン

 キューブ型のクールなパッケージを空けると、高さ7.5cm×幅7.5cmの真四角のアイテムが入っている。これが「BITMAN」だ。さすが明和電機、と感心させられたのは、姿形が世にあるどんなモノにも似ていないところだ。ゲーム機ではないし、PDAでもないし、時計にしては大きすぎる。いくら考えても内容が想像つかない。実はここで、すでに明和電機が仕掛けたワナにハマっているのだ。これで何が楽しめるのか、知りたくて仕方がないではないか。
BITMANの外見。大きさも微妙だ。アナタはどんなものだと想像しましたか? 背面の様子。スピーカーからは意外にイイ音質で、音楽やSEなどが鳴り響く


ドットで構成されたBITMAN登場!

 「BITMAN」を手に取ってみたら、いきなりその感触に驚いた。見た目の印象から樹脂などの硬い素材をイメージしたのだが、いざ触ってみると、「グニュッ」とした粘着質の触感が伝わってきたのだ。ラバーだ。しかもそのラバーの選択もひと癖あって、力を入れて握ると、BITMAN本体が指にまとわりついてくる印象すらある。うーん、面白い!。

 ラバーのカバーをはずし、付属の単4電池を2個、入れる。本体の真下にチョコンと顔を出したダイヤルを回すと、中央のモニターに、オレンジ色の人のようなものが映し出された。しかもその人の表示も、黎明機のテレビゲームを彷彿とさせる大きなドットで構成されており、モニターではなく、むしろ電光掲示板のよう。なるほど、だからこそ「BIT(=データの最小単位)の人間」というネーミングなのかと合点がいった。

モードの切り替えは、本体の下にあるこのダイヤルで行う。回す感触もいい BITMANの登場だ。シンプルなデザインであるが、感心するほど見事なダンスをみせる


BITMANを華麗に踊らせろ!

 「BITMAN」はどんな風に遊ぶのだろうかと、マニュアルを読み込んでみると、ハハーン、わかりました!
 メインは、「BITMAN」を踊らせることだ。本体をガシャガシャと上下左右に振ると、「ズン、ズン、ズン」とリズムが響き渡り、「BITMAN」がダンスをはじめるのだ。ちなみに、本体の裏に設置されたスピーカーの音色もいい感じだ。ハイファイな音とはいえないが、中低音の抜けがよく、リズムを気持ちよく奏でる。このスピーカーの選定も、実は裏では相当のこだわりがあるのでは、と思うが、はたして真実はいかに?

 話をBITMANのダンスに戻そう。BITMANが踊るダンスは、バリエーションが実に豊か。ブレイクダンスのようなスタイリッシュなダンスを披露したかと思えば、間髪を入れず、腕をヒラヒラさせておどけてみせるコミカルなダンスをくり出す。腕と足、そして体を自在に使い、見事なダンスで楽しませてくれる。大きなドットから、せいぜい大味なダンスを踊るのだろうとタカをくくっていたから、またしても痛快に裏切られた気持ちだ。筆者は約一週間に渡ってBITMANのダンスを見続けているが、まだまだ新たな発見があるほどだ。ここにもアーティスト・明和電機ならではのこだわりが光る。
 本体を振ってBITMANがダンスをはじめたら、さらに振りを激しくしてみる。するとスローなリズムが「ズンズンタッ、ズンズンタッ」とテンポを速める。モニターを見てみると、BITMANのダンスもキレを増し、高度な技を連続で叩き出している。

 次に本体を斜めに傾けてみる。もっと傾けて、さかさまにしてみる。すると、BITMANも本体の回転に合わせて画面の中を歩き、さかさまになった本体の中で、きちんと正しく立っている。まるでコントを見ているようなユニークさだ。
 この本体を斜めにするアクションも、ポイントのひとつなのだ。BITMANが踊っている最中に本体を斜めにすると、リズムが突然チェンジするのだ。

 本体を左右に振ったり斜めにしたりして、さまざまなリズムを奏でていると、楽器を演奏しているような錯覚と興奮がある。こんな面白さが味わえるなんて! これも意外な発見だ。またしても、してやられた感じだ。

BITMANは、ダンスの達人。スピーディでキレのあるダンスで楽しませてくれる


電光掲示板機能もあり!

 他には画面に、メッセージを表示させる機能がある。入力した文字を横スクロールで表示できるのだ。デフォルトでは「Hello World I am Bitman」というメッセージが登録されている。アルファベットと記号の中から最大32文字までを組み合わせ、好きな言葉を表示させられる。メッセージと同時に、モールス信号が発せられる。このモールス信号のボリュームが大きく、BITMANに注目をしないではいられなくなる。さらには時計として時間を表示させることもできる。

メッセージは右から左へと流れる。その様子はまさに電光掲示板を彷彿とさせる


不思議なパワーを秘めている

 BITMANの本体の裏側には、透明のチューブがついている。これを使えば、ペンダントとして首からぶさらげたり、腕に巻いて時計にしたり、はたまたカバンにぶらさげてアクセサリとして楽しめる。常に携帯して友人にBITINのダンスを披露する遊びは簡単にイメージできるが、さらに一歩進めて、メッセージを表示させながら街を歩くというファッションアイテム的な活用も充分にアリだと思う。例えば、BITMANを首からぶらさげ、強烈なモールス信号音と共に、メッセージを表示させながら歩いている若者を見かけたとしたら、インパクトがありそうだ。30歳をとっくに超えた筆者が実行するのはさすがにためらわれるが、ティーンエイジャーの頃にこれに出会っていたら一度はトライしていただろうとは思う。いずれにしろ、BITMANは、街へ持っていきたくなる。いや、持っていると街へ出かけたくなる。そんなパワーを秘めている。

透明のチューブをチェーン代わりにして、トートバックにつけてみた 腕につけて時計として使う。強引か(笑)。だけど、大きさの分だけインパクトはある


 どんなアイテムなのかすらわからなかった遊びはじめと比べると、随分と多くの刺激と発見があった。その体験は、まさにアートと呼べる。だけど遊べる、という点では立派なトイでもある。
 明和電機のプロダクツ。またひとつチェックすべきアイテムが増えました。

□明和電機のホームページ
http://www.maywadenki.com/
□キューブのページ
http://www.cube-works.co.jp/index2.html

(2001年7月19日)

[Reported by 元宮秀介 (ワンナップ)]


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