|
ロボットアーム MR-999 | |
---|---|
発売 | イーケイジャパン |
価格 | 5,500円 |
電源 | 単1電池×4本 |
ムービット・ラボ IF-99 | |
発売 | イーケイジャパン |
価格 | 16,000円 |
電源 | 単3電池×4本 |
動作環境 | 対応OS:Windows 95以上、CPU:Pentium 100MHz、HDD:30MB以上 |
■ まさにロボットらしいロボット!
パッケージ。海外での販売を意識してか、英文による記述が目立つ。商品写真がカッコイイ! |
「MOVIT」(ムービット)シリーズには、ロボットをはじめ、液晶ゲーム機やウソ発見器など、さまざまな電子機器の組み立てキットがラインナップされている。シリーズのコンセプトは「自分の手で作る楽しさ」だ。ロボットキットでは、センサーを使って音に反応するロボットや、4足、6足の自律歩行型ロボットまで発売されている。その中でひときわ目を引くのが、今回の「ROBOT ARM(ロボットアーム)」だ。自在に動き回るのではなく、人間の腕の動きに近い動作を再現できるように設計されている(もちろんそのままの動きはできない)。組み込むモーターは全部で5つ。この5つのモーターで、指の開閉、手首の回転、肘の屈伸、肩の屈伸、そしてベースの回転を行なう。「モノをつかむ」という動作は「歩行」ほどではないにしろ、ロボットの動作の中では難しい部類に入る。その動きを見事に再現した「ROBOT ARM」は、ある意味でロボットの中のロボットなのだ。
缶コーヒーを持たせてみたところ。重量制限は130gまでなので、重量オーバー | 肘と肩の関節は、外側に取り付けられた巨大なクラッチで動作する。迫力満点! |
箱の中には、一面にしかれた台紙の上にパーツがキチンと並べられていた。ひとつひとつのパーツの横には、組み立て時にわかりやすいようにパーツ名もプリントされている。パーツの数が意外に少ないと安心していたら、大間違い! 台紙の下にはさらに多くのパーツが隠されていた。
組み立てはじめて1時間。過去に紹介したキット形式のe-Toyならば、すでに完成して遊びはじめている頃だ。しかしこの「ROBOT ARM」は、手首から肘までのパーツが完成した程度。組み立てが難しいわけではないのだが、関節のひとつひとつを組み立てるごとに、動作チェックと調整を行なうので時間がかかる。ただしこのチェックのおかげで「せっかく組み立てたのに動かない!」ということがない。結局、箱を開けてから完成するまで、トータル約2時間を要した。
箱を開けたところ。実際には、この下にもまだまだパーツが隠されている | 組み立て途中の手首。モーターが入った各パーツは組み上がるごとに電池で動作チェックを行なう |
説明書の通りに組み立てたものの、最後の配線部分に多少の不安が残っていた。いくら各部の動作をチェックしながら組み立てたとはいえ、肝心の配線を間違っていたらアウトなのだ。緊張にバクバクと高鳴る胸の鼓動を感じながら、コントロールボックスのレバーを入れてみる。「シュシュシュウィィィィィーン」。カニのツメような指がしっかりと開いた! 続けて手首の回転と肘の屈伸をテストする。どちらも見事に動作する。ただし、肘の動作が少し緩慢なため、ビスをキツめに閉めてクラッチを調整してみる。今度はキビキビと動いた。気になっていた配線にもミスはなく、無事に動作テストは終了。次は実際にいろいろな方法で遊んでみることにした。
ベースの底側から見た配線。5つのモーターから出ている配線がすべてベースの電池ボックスへと集まる | 各関節には、モーターとともに動作ランプを内蔵。電源が供給されているかどうかのチェック機能も備える |
まずは、ペンを持たせて何か書かせてみることにした。指を開き、ペンを握らせる。指の先には、モノをつかみやすいようにラバーが貼り付けてある。そのため、ペンのような細いモノでもしっかりとホールドできる。肩と肘のモーターを動かし、ゆっくりとペン先を紙につける。そして手首や台座のモーターで、左右に移動。紙にはマジックの軌跡が残り、「かきぞめ」は見事に成功! しかし、手首を前後左右に水平移動させることができないので、文字を書くことはほとんど不可能。うまく書けても直線か、半円程度。う~ん残念!
次は机の上に置いた消しゴムを移動させて、何段まで重ねることができるかにチャレンジ。消しゴムの位置までアームを動かし、指でしっかりとキャッチ。肘と肩を動かして少しずつ上に持ち上げる。続けてベースを回転させ、別の場所へと消しゴムを積み上げていく。結果は4段まで積み上げることに成功! 大した結果ではないのだが、これが実に楽しい! 「ロボットを操る」という醍醐味を、しっかりと味わうことができるのだ。
ペンを持たせて、紙に書いてみたところ。さすがに文字を書くのは至難の業 | 消しゴムを積み上げてみたところ。肘や肩の関節の繊細な操作が要求される |
これで終わりと思ったら大間違い。「ROBOT ARM」は、別売りのプログラムキット「ムービット・ラボ IF-99」を使うことで、パソコン上で動作パターンをプログラムできるのだ。プログラムキットをパソコンにセットアップし、いざプログラミングにチャレンジ!
プログラミングには通常、専用の言語を使う。ただし「かんたんモード」を選べば、プログラムの知識がなくても、すぐにプログラムが組める。「かんたんモード」でのプログラミングは、動かしたいパーツを選択し、「開く」や「右回転」といった動作、その動作の時間を入力していくだけ。今回は、ベースを時計回りに4秒間回転させて肩を3秒間下げ、指を開いてモノをつかむという動作を作ってみた。プログラムの行数にして4~5行の単純なもの。完成したプログラムを実行してみると、ちゃんと入力された命令どおりに動いた! プログラムの知識がない筆者にも、かんたんにプログラムを組めたのだ。腕だけの不格好なロボットが、筆者の目にはAIBOを超えるスーパーロボットに見えてきた……というのは言いすぎか?
パソコンとの接続キット「ムービット・ラボ IF-99」。「ROBOT ARM」以外にも、同社のロボットキット「WAO」シリーズにも対応 | パソコン本体とインターフェースボードは、RS-232Cポートで接続する。パソコンによっては、同梱の変換コネクタを使用する | 「かんたんモード」のプログラミング画面。動作設定をマウスで選んでいくだけで、プログラムを作成できる |
家庭用ロボットといえば、パッケージを開けてすぐに楽しめるのが当然だ。余計な手間がかかるものは、なかなかウケない。だけど「ROBOT ARM」は、自分の手で作り上げるからこそ面白い。電池をセットして無事に動いたときの感動は、何ものにも変えがたいのだ! もしもロボットに興味があるのならば、この「ROBOT ARM」をはじめとする「MOVIT」シリーズにトライしてみてほしい。価格も量販店なら5,000円程度とお手頃。価格以上の面白さがあることを、筆者が保証する!
筆者としては、台座にキャタピラやタイヤなどを設置し、ラジコン化してみたい! 「ROBOT ARM」の唯一ウィークポイントである移動ができるようになれば、もう無敵! トースターからパンを取り出したり、玄関先から新聞を取ってくる給仕ロボットとして活躍させることができる! 自分で組み立てるキットだからこそ、あれこれと改造プランを練るのが面白いのだ!
「ムービット・ラボ」には、「ROBOT ARM」用のセンサーが2個同梱(黒い箱)。手を近づけるとセンサーが反応する | 市販のモーターと電池で動作するため、動作速度は遅いが、十分にロボットを操作する楽しさを味わえる |
□EK JAPANのホームページ
http://www.elekit.co.jp/
(2001年5月31日)
[Reported by 依田智雄 (ワンナップ)]
GAME Watchホームページ |