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このなんとも格調高い(?)パッケージ。見た目では、あの学研の『科学』のふろくの親戚とは思えないほど |
発売 | 学習研究社 |
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価格 | 3,500円 |
電源 | 単1電池×1本 |
■ 大人のための実験キット!
テレビでもおなじみのエジソン式コップ蓄音機。見た目はチープだが、ちゃんと録音できる |
その『科学』のふろくの流れをくんだ『大人の科学』シリーズ。一体どんな実験が楽しめるのか? そう考えただけで胸が躍る。大人だって実験したいのだ!
■ プラスチックのコップに録音できる!
手に入れたのは、『エジソン式コップ蓄音機』。テレビ番組などで紹介されたこともあるので、ご存知の方も多いと思う。プラスチック製のコップを録音メディアに使ったレコーダーだ。原理は分かっているのだが、いざ自分で試してみようと思うと、材料をそろえたり、パーツを自作するのがなかなか大変。しかし『大人の科学』ならば、ひととおりのパーツがそろったキット状態で、手に入れることができる。もう筆者などは、組み立てを始める前から何を録音しようかと、あれこれと頭の中で想いをめぐらせてしまった。
ほとんどのパーツは木製。約60点のパーツは多いように思えるが、組み立ての難度は高くはない | 木製のパーツはほとんどがハメコミ式。くみあわせていくだけで、半分は完成する |
箱の中には、木製のパーツやワッシャー、ちょうナットなど約60点ほどのパーツが詰めこまれている。箱を開けた瞬間に鼻腔をくすぐったのは、懐かしい香りだった。香りのもとは、木製のパーツだった。まるで図画工作の時間を思い出させるような香りだ。キットはほとんどのパーツが木製で、固定する止め具に金属を使用する。プラスチック製のパーツはわずか4点だ。
説明書を開くと、こちらも懐かしい感じがする。組み立て方の説明図が、すべて手書のイラストなのだ。小学生のころの理科の教科書に描かれていたような、どこか温かみのあるイラスト。最新のプラモデルの組み立て説明書のようにCADやCGを使った図ではなく、微妙にゆがんだ一本一本の手書の線が、なんともいえない味がある。
動力には電動式のモーターを使う。配線はごく単純で、モータと電池ボックス、スイッチをつなぐだけ | 説明書のアップ。図説はすべて手書きによる。どことなく味わい深い |
説明書の順番にしたがって、次々と組み立てていく。木製パーツの組み合わせは、ほとんどミゾとミゾを組み合わせるハメコミ式。カッチリとした組み立てが必要な部分だけ、ワッシャーやナットといった金属パーツで固定する。続けて動力となるモーターとスイッチ、電池ボックスをリード線でつなぐ。リード線をおおうゴムのカバーは、あらかじめ切り込みが入っているので「ヤバイ! 切りすぎた!」ということがなく安心。
組み立ては大詰めをむかえ、心臓部といえる針のセッティングにさしかかった。「よほど精密なパーツなのだろう」と思っていたら、針に使う部品は、縫い針とホック、そして輪ゴムだけ。まるで本当の工作だ。それでもやはり心臓部だけあり、念を入れて慎重に作業を進める。
そして組み立てはじめてから約30分。見事コップ式のレコーダーの完成だ!
ついに完成したレコーダー。うむ、我ながらなかなかいいデキ。果たして録音できるのか? | 録音を行う針のアップ。モーターでプラスチックのコップを回転させ、針がミゾを彫っていく |
録音時には音声をキャッチし、再生時には音を鳴らす紙コップ |
学校を卒業してから、再び科学の実験を行うなんて考えてもみなかった。しかし、『大人の科学』に触れてみると、忘れかけていた実験の面白さを思い出す。もちろん、結果が用意された実験なので失敗することは少ない。それでも、「うまくいくかな?」という緊張感と、成功したときの喜びは格別だ。プラスチックのコップに音が録音できたからといって、何に役に立つということはない。それでも、実験が成功したときの達成感は、日常生活ではなかなか得られない喜びなのだ。
学研のサイトをのぞいてみると、最近の『科学』のふろくでは、「ペーパースピーカー」や「光センサー」なんてものもあるらしい。どれも面白そうだ。
学研には今後も『大人の科学』シリーズを、大人の楽しみとして発売し続けてほしい!
これだけは子どもには譲れないのだ!
他にも「ボルタ式&備長炭 電池実験セット」「マルコーニ式電磁カー」「地球環境分析キット」などがラインナップされている | 一度手にしてみてほしい。大人でも十分に「科学」の面白さが体験できるはずだ |
(2001年5月17日)
[Reported by 依田智雄 (ワンナップ)]
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