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【連載第18回】あの、おもちゃを徹底レポート



 毎週、電子系のおもちゃを中心にオススメのおもちゃをご紹介しています。「このおもちゃ、気になるけど面白いかなぁ」といったものを徹底的に遊び倒し、その面白さをお伝えしていきます。取り上げて欲しいおもちゃなどがありましたらドシドシと編集部までメールを送って下さい (編集部)


第18回:ノスタルジーだけで終わらない!
学研 科学と学習PRESENTS
『大人の科学』エジソン式コップ蓄音機

このなんとも格調高い(?)パッケージ。見た目では、あの学研の『科学』のふろくの親戚とは思えないほど
発売 学習研究社
価格 3,500円
電源 単1電池×1本

大人のための実験キット!

テレビでもおなじみのエジソン式コップ蓄音機。見た目はチープだが、ちゃんと録音できる
 『大人の科学』と聞いて、エッチなオモチャを想像をしてしまったアナタは、ちょっと気が早い!(実は筆者もそう勘違いしてしまった)『大人の科学』は、あの学研の『科学』のふろくを、大人向けにアレンジした科学実験キットなのだ。
 学研の『科学』『学習』といえば、子どものころ毎月楽しみだったという方も多いハズ。とくに『科学』は、毎号趣向を凝らしたふろくが付いていて、大好評だった。「風向風力計」「カメラ」「ラジオ」そして「カブトエビ飼育セット」なんていうものもあった。

 その『科学』のふろくの流れをくんだ『大人の科学』シリーズ。一体どんな実験が楽しめるのか? そう考えただけで胸が躍る。大人だって実験したいのだ!

プラスチックのコップに録音できる!

 手に入れたのは、『エジソン式コップ蓄音機』。テレビ番組などで紹介されたこともあるので、ご存知の方も多いと思う。プラスチック製のコップを録音メディアに使ったレコーダーだ。原理は分かっているのだが、いざ自分で試してみようと思うと、材料をそろえたり、パーツを自作するのがなかなか大変。しかし『大人の科学』ならば、ひととおりのパーツがそろったキット状態で、手に入れることができる。もう筆者などは、組み立てを始める前から何を録音しようかと、あれこれと頭の中で想いをめぐらせてしまった。

ほとんどのパーツは木製。約60点のパーツは多いように思えるが、組み立ての難度は高くはない 木製のパーツはほとんどがハメコミ式。くみあわせていくだけで、半分は完成する


懐かしい工作の香り!

 箱の中には、木製のパーツやワッシャー、ちょうナットなど約60点ほどのパーツが詰めこまれている。箱を開けた瞬間に鼻腔をくすぐったのは、懐かしい香りだった。香りのもとは、木製のパーツだった。まるで図画工作の時間を思い出させるような香りだ。キットはほとんどのパーツが木製で、固定する止め具に金属を使用する。プラスチック製のパーツはわずか4点だ。
 説明書を開くと、こちらも懐かしい感じがする。組み立て方の説明図が、すべて手書のイラストなのだ。小学生のころの理科の教科書に描かれていたような、どこか温かみのあるイラスト。最新のプラモデルの組み立て説明書のようにCADやCGを使った図ではなく、微妙にゆがんだ一本一本の手書の線が、なんともいえない味がある。

動力には電動式のモーターを使う。配線はごく単純で、モータと電池ボックス、スイッチをつなぐだけ 説明書のアップ。図説はすべて手書きによる。どことなく味わい深い


組み立て時間は30分!

 説明書の順番にしたがって、次々と組み立てていく。木製パーツの組み合わせは、ほとんどミゾとミゾを組み合わせるハメコミ式。カッチリとした組み立てが必要な部分だけ、ワッシャーやナットといった金属パーツで固定する。続けて動力となるモーターとスイッチ、電池ボックスをリード線でつなぐ。リード線をおおうゴムのカバーは、あらかじめ切り込みが入っているので「ヤバイ! 切りすぎた!」ということがなく安心。
 組み立ては大詰めをむかえ、心臓部といえる針のセッティングにさしかかった。「よほど精密なパーツなのだろう」と思っていたら、針に使う部品は、縫い針とホック、そして輪ゴムだけ。まるで本当の工作だ。それでもやはり心臓部だけあり、念を入れて慎重に作業を進める。
 そして組み立てはじめてから約30分。見事コップ式のレコーダーの完成だ!

ついに完成したレコーダー。うむ、我ながらなかなかいいデキ。果たして録音できるのか? 録音を行う針のアップ。モーターでプラスチックのコップを回転させ、針がミゾを彫っていく


レッツ実験! うまく録音できるのか?

録音時には音声をキャッチし、再生時には音を鳴らす紙コップ
 録音は、回転するプラスチックのコップに、針を落とすことで行う。針につけられた紙コップ(マイク兼スピーカー)が音声を受け止める。そして音声を振動で針に伝え、針が振動にあわせてプラスチックのコップにミゾを彫るという仕組みだ。
 いざ録音スタート! 「ゲームウォッチ! ゲームウォッチ! ゲーム……」マイクに向かって大きな声で話しかけてみる。針は快調にプラスチックのコップにミゾを彫っていく。そして針がコップのフチまで到達し、録音が終了。コップを最初の位置にもどして針を落とし、再生をスタート! 「ザーーーッザザーーーーッ!」あれ? よく見てみると、先ほど彫ったミゾの上をなぞるのではなくて、新たなミゾを彫ってしまっていた。気をとりなおして、もう一度チャレンジ。「………ームウォッチ! …ゲーム…ォッチ! ……」なんとか再生できた! そのままの声、というわけにはいかないが、しっかり録音できているのだ。 続けていろいろな言葉を録音してみる。「コンニチワ!」「コンバンワ!」。短い言葉のほうがハッキリと録音できるようだ。本キットには、プラスチックのコップが5個同梱されているのだが、ものの5分で使い切ってしまった。「う~ん物足りない!」筆者は100円ショップでプラスチックのコップを2ダースほど買い込んできた。

※下の赤い文字列をクリックすると録音した音声サンプルを聞くことができます※
(コンニチワ! と3回言っています)
【WAVファイル:154KB】

『大人の科学』は、大人に楽しんでほしい!

 学校を卒業してから、再び科学の実験を行うなんて考えてもみなかった。しかし、『大人の科学』に触れてみると、忘れかけていた実験の面白さを思い出す。もちろん、結果が用意された実験なので失敗することは少ない。それでも、「うまくいくかな?」という緊張感と、成功したときの喜びは格別だ。プラスチックのコップに音が録音できたからといって、何に役に立つということはない。それでも、実験が成功したときの達成感は、日常生活ではなかなか得られない喜びなのだ。
 学研のサイトをのぞいてみると、最近の『科学』のふろくでは、「ペーパースピーカー」や「光センサー」なんてものもあるらしい。どれも面白そうだ。
 学研には今後も『大人の科学』シリーズを、大人の楽しみとして発売し続けてほしい!
 これだけは子どもには譲れないのだ!

他にも「ボルタ式&備長炭 電池実験セット」「マルコーニ式電磁カー」「地球環境分析キット」などがラインナップされている 一度手にしてみてほしい。大人でも十分に「科学」の面白さが体験できるはずだ


□学研のホームページ
http://kids.gakken.co.jp/
□学研 科学と学習「大人の科学」のホームページ
http://kids.gakken.co.jp/kit/otona/

(2001年5月17日)

[Reported by 依田智雄 (ワンナップ)]


ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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