「電遊道」~Way of the Gamer~ ジョン・カミナリの楽しいゲームライフ
ジョン・カミナリの楽しいゲームライフ【第28幕】
BORN TO BE GAMER~日本のゲームをこよなく愛するイタリア人ゲーマーを紹介!~
東京から10,000キロ離れたイタリアには、思ってもみなかった和ゲー好きなイタリア人が存在していた!毎回、彼らの自宅に訪問し、宝物を見せてもらいます!そして、インタビューでゲーマーとしての人物像を掘り下げます。ゲームの持つ本来の魅力を再発見しましょう!
今回は、「メタルギア」シリーズの全てを知り尽くすイタリア人の自宅にお邪魔した。彼の自宅は、「メタルギア」のあらゆるゲームやグッズが展示されている博物館かのように見えた。これまで多くのゲームコレクターに会ってきたが、こんなに1つのゲームシリーズにこだわるイタリア人は初めてだ。早速、ルカの“メタルギアミュージアム”を覗こうではないか!
ゲーム愛を計る為のインタビュー開始!
Q.テレビゲームとのファーストコンタクトはいつでしたか?
子供の頃の話ですが、クラスメイトの家に遊びに行ったら、彼はプレゼントとしてもらったあるファミリーコンピュータを見せてくれました。それは……欧米で伝説になったCommodoreのVic 20でした。あの日、ゲームに一目惚れしました!
それから、Commodoreのあらゆるファミリーコンピュータを収集し始めました。Vic 20、Commodore 64、Commodore 128、16ビットのAmiga 500まで。そして、ある日からローマのゲームセンターに通い始め、そこで初めて日本のアーケードゲームの存在を知りました。全く新しい世界に触れた感じでした!
Q.あなたのゲーマー人生の中で最も独特なエピソードを語ってくれますか?
高校生の頃の暇な時間のほとんどは、ゲームセンターで過ごしていました。SNKの格闘ゲームが特に好きになりました。それで、NEO-GEOを見た瞬間から「これは絶対に買わなきゃ!」と思ったのです。しかし、カートリッジゲームソフトの価格を知ったら、落ち込んじゃいました。「これは高すぎる、無理だろう」と思ったのです。
そこで両親にお願いしてみました。「買って下さい」と。その代わり、恩返しする為にあらゆる仕事をしますよって約束しました。最終的には両親はNEO-GEOを買ってくれたのですが、今でもあの約束を思い出させ、いろんな仕事の手伝いをしてと頼んでくるのですよ(笑)。
Q.何があっても離れられないゲームというのはどれですか?
僕は格闘ゲームも大好きで、その中から1つ選ぶとしたら、紛れもなく「Street Fighter 3 Third Strike」です。よくわからないのですが、遊んでいるとずっと夢中になっていてやめられなくなるんですよね。普通、こういうゲームでは友達との対戦が楽しいじゃないですか? あのゲームだけは1人でもすごく楽しいです。キャラクターのバランスがパーフェクトですし、デザインや音楽も素晴らしい! 1番盛り上がる格闘ゲームです。
Q.日本のゲームは欧米のゲームに対して、どういう付加価値を持っていると思いますか?
日本のゲームでずっと遊んできた僕ですが、まず、キャラクターデザインなど細部へのこだわりだと思います。世界観に関しても、欧米のゲームよりも上品さを感じますね。日本のゲームクリエーターは、ゲームを通じて完璧さに辿り着こうとしているみたいです。それは、アジア圏の文化の1つである「禅」というコンセプトに近いかな?
それに対して、欧米のテレビゲームは技術の面では優れているのですが、ストーリーに関してもキャラクターデザインに関しても乏しいと、僕は思います。見た目は綺麗ですが、遊んでみるとあまり満足感を得られません。もちろん、いくつかの例外もあるのですが、基本的にはそうだと思います。
Q.日本のメーカーが、どんなゲームの続編・リメイクを作って欲しいですか?
難しい質問ですね……とにかくお願いリストは長いです(笑)。まずカプコンが、あの傑作「Street Fighter 3 Third Strike」の続編を作って欲しいですね。もちろん「METAL GEAR SOLID 5」もできるだけ早く遊びたい! まあ、それは開発中ですよね。そして、リメイクとしては、やはり「FINAL FANTASY VII」ですね。何故今まで作らなかったんだろうと、不思議に思いますよね!
Q.現在のゲームは過去のゲームに比べて何を失ったと思いますか?
まず、ゲームが2Dから3Dになってから開発者は、リアルさ、グラフィックスの美麗さといった要素を追求するようになりました。しかし、それは場合によって、派手さを追求するあまりゲーム本来の魅力であるゲーム性を忘れてしまうケースも増えました。現代のゲームは、遊んで楽しむよりも観て楽しむものへと変化してきていると思います。
昔の2Dのゲームでは、「頑張って自分のテクニックを向上させたい」、「プレーヤーとして成長したい」と思わせるような挑戦要素が濃かったですね。それは常識でした。最近のゲームでは「ゲームをクリアできたぞ!」という、本物の満足感、充実感という感覚をあまり得られないかな?
Q.「METAL GEAR SOLID」のどんなところが好きですか?
PSの「METAL GEAR SOLID」を初めて遊んだ時、そのユニークなゲーム性に圧倒されました。ほかのアクションゲームでは敵を殴ったり撃ったりするわけですが、このゲームではなるべく敵を殺さずに、ばれないように敵の基地に侵入していくというのがゲーム性の軸になっているから、本当に斬新で素晴らしいと思いました。天才的な発想だなと強く感じました。
映画に匹敵するかのような濃厚なストーリーやキャラクターもとても魅力的でした。もちろん、技術面でもグラフィックスがいつもスタンダードを上回っていて、映画監督的なカッコいい演出でも盛り上がりましたね。
Q.シリーズの中で特にお気に入りの作品がありますか?
また難しい質問ですね。もちろんすべての作品が好きですが、1つに絞るとしたら「METAL GEAR SOLID 3」ですね。ジャングルの中を、カメレオンのように周囲の色と同化しながら進むというゲーム性がとても気に入りました。そして、ストーリーが過去の出来事を語っていたから、好きなキャラクターのことをより深く知ることができました。
Q.お気に入りのキャラクター、シーン、そして、ボスバトルは?
1番好きなキャラクターはもちろんソリッド・スネークです。2番にリボルバー・オセロットですね。「MGS」で遊んで、こんなに重要なキャラクターになるなんて、思ってもみませんでした。お気に入りシーンは、「MGS4」のソリッド・スネークとリキッド・オセロットの長い殴り合いシーンですね。そして、お気に入りバトルは、「MGS3」の森林でのジ・エンドとの戦いです。本当に忘れられません!
Q.最新の作品は過去の作品に比べて、何を失い、何を得たと思いますか?
最新の作品は、アクションやコマンドが増えるにつれて、操作方法も快適さを少し失い難しすぎるところもあると思います。あと、「MGS2」までの固定カメラが懐かしくなる時もあります。とはいえ、やはりシリーズは進化していくべきなので、最初は少し難しいと感じても、慣れてくるととても充実したゲーム体験になると思います。
Q.最後に、あなたの最もリスペクトする日本のゲームクリエーターへのメッセージをお願いします!
それは紛れもなく小島秀夫氏です。今日まで素晴らしい作品を作って下さったことに対してとても感謝しています。これからも素敵な続編やスピンオフの制作に期待しています。オンライン作品もとても楽しみにしています。最後に、イタリア人として言いたいことがあります。「MGS4」の最後に挿入されたイタリアの作曲家、Ennio Morricone氏の「The Ballad of Nick and Bart」を聴いた時に、感動しました。本当にありがとうございます!
ルカさん、今日は本当にありがとうございました! これからも「METAL GEAR SOLID」シリーズで遊び続けてね!!