「電遊道」~Way of the Gamer~ ジョン・カミナリの楽しいゲームライフ

ジョン・カミナリの楽しいゲームライフ【第26幕】


BORN TO BE GAMER~日本のゲームをこよなく愛するイタリア人ゲーマーを紹介!~

東京から10,000キロ離れたイタリアには、思ってもみなかった和ゲー好きなイタリア人が存在していた!毎回、彼らの自宅に訪問し、宝物を見せてもらいます!そして、インタビューでゲーマーとしての人物像を掘り下げます。ゲームの持つ本来の魅力を再発見しましょう!

【今回のゲーマー】
名前:リッカルド
年齢:41才
職業:アップルストアのエキスパート
好きなジャンル:シューティングゲーム

 今回、日本のシューティングゲームをこよなく愛するローマ在住、リッカルドさんの自宅にお邪魔した。彼の自宅は博物館と呼んでもいいぐらい、あらゆるゲーム機がずらりと並んでいる。特に日本のゲーム機のコレクターとして非常に強い。

 イタリアで行なわれるレトロゲームイベントにオファーが殺到するぐらい、稀少度の高いゲーム機を持っているのだ。「マリオ」や「メトロイド」などのクラシックなアクションゲームも大好きだが、お気に入りジャンルはシューティングゲームだそうだ。早速、リッカルドさんのコレクションを一緒に覗いてみよう!

メガドライブ編。「TATSUJIN」、「THUNDER FORCE IV」、「武者ALESTE」
ファミコンの「GRADIUS」と「メトロイド」。棚から取り出させるのに説得するのが特に難しかった
スーパーファミコン編。「エリア88」、「R-TYPE」、「STARFOX」、「Pop’n ツインビー」。どれも遊び尽くしたという
PCエンジン編。「ALDYNES」と「R-TYPE I」。ビニールに包まれているのが大切に保管している証拠なのだ
NEO GEO CD編。「PULSTAR」、「VIEW POINT」、「AERO FIGHTERS」
グラフィックスはポリゴンの世界へ突入。プレイステーション用の「EINHANDER」、「RAYSTORM」、「RAYCRISIS」
イタリアでも人気を誇るTreasure作品。セガサターン用の「RADIANT SILVERGUN」、そしてドリームキャスト用の「斑鳩」
あらゆるゲームコレクターが持つべきゲームシリーズ「悪魔城ドラキュラ」。PCエンジンSUPER CD ROM用の「悪魔城ドラキュラX」が特に宝物だそうだ
子供の頃遊んでいたGAME & WATCH「OCTOPUS」とMATTELの「SOCCER」。「SPACE CENTURION GUNDAM」という、イタリアではとても珍しいゲームも持っている
【こだわりポイント】
これこそが日本のゲームを愛している証拠なのだ!
寝室の箪笥には服類が入っているはずだが、開けてみると……PC-FXやNEO GEOなど、ゲーム機やゲームソフトがぎっしり詰まっているのではないか!
ゲーム機の箱が必ずビニールで包まれている。リッカルドさんは細心の注意を払っているのだ
BANDAIのPlaydiaを持っているイタリア人はリッカルドさんしかいないのではないだろうか?
リッカルドさんは任天堂のあらゆる携帯ゲーム機を集めているそうだ。限定版も考えると、道はまだ長いね!

ゲーム愛を計る為のインタビュー開始!

Q. テレビゲームとのファーストコンタクトはいつでしたか?

 1978年に友達の家でPhilipsのVideopacで遊んだのがきっかけでした。僕の最初のゲーム機はMattelのIntellivisionでした。まだ昨日のように鮮明に覚えているのは「Soccer」、「Astrosmash」、そして「Burger Time」です。そのゲームは僕にとって社交的な人生の終わりの始まりでした(笑)。スーパーファミコンで発売された「超魔界村」を弟と一緒に遊んだのも素敵な思い出です。復活祭の1週間の休みを「超魔界村」をクリアする為に過ごしました。当時はゲームの進行をセーブできなかったからね。僕の人生の中で最も充実した復活祭でした!

Q. あなたのゲーマー人生の中で最も独特なエピソードを語ってくれますか?

 そうですね……沢山あるんですけど、「マリオ64」が初公開された時の映像を33kのモデムを使って弟や友達と一緒に視聴したのは最高でしたね。次の夏、Nintendo 64が発売された時期に海で夏休みを過ごしていたんですけど、海はどうでもよくなってNintendo 64を購入する為にローマのゲームショップに駆けつけましたね。

 もう1つ素敵なエピソードがあります。MMORPGを遊び始めた時のエピソードです。高いレベルの日本人プレーヤーが、僕のキャラクターを手強いモンスターの群れから救ってくれました。そのゲームは「FINAL FANTASY XI」でした……。

Q. 何があっても離れられないゲームというのはどれですか?

 僕のiPhoneの中にCaveの全てのシューティングゲームが入っています。仕事の帰りにバスの中で弾幕をかわすという体験は外せないと思います。スマートフォンでも遊べる「テトリス」も普遍的な魅力を持っていると思います。いつでもどこでも遊べる最高傑作です。

Q. 日本のゲームは欧米のゲームに対して、どういう付加価値を持っていると思いますか?

 僕は日本のアニメで育ってきました。だから、当然の流れとして、アニメのような雰囲気や特徴を持つ日本のゲームから、とてつもない魅力を感じ取れたと思います。デザインとストーリーはいつも斬新でした。最近のゲームではキャラクターデザインがマンネリ化し、過去に比べて斬新さを失いましたが、欧米の作品と比較すれば、まだまだすごいと思いますよ。

Q. 現在のゲームは過去のゲームに比べて何を失ったと思いますか?

 現在のゲームは技術の進化のおかげで、グラフィックスの面では最も優れたものになっていると思います。しかし、昔はハードの制限が沢山あったからこそ、ゲームデザイナーはゲーム性という要素にもっと集中できたとも思いますね。昨今のゲームはやはりグラフィックスがすごく美麗ですが、奥深さに関しては過去のゲームには劣っているのではないでしょうか。

 パッケージに関してもグローバル化が進んでいますね。スーパーファミコンやメガドライブのゲームのカラフルなパッケージが誰も忘れられないと思います。イタリア人にとってはキュートなイラストや文字がプリントされた日本のパッケージが本当に魅力的でしたね。

 僕もパッケージのイラストを見るだけで、ゲームを遊びたくなっていました。現在のパッケージはみんな同じです。冷たいデザインを持っていると思います。最後に特徴的でよくできたパッケージを持ったゲーム機は、日本版のゲームキューブだったと思います。

Q. 日本のメーカーにどのゲームの続編・リメイクを作って欲しいですか?

 僕は「メトロイド」シリーズの大ファンです。ずっと待ち望んでいるのは、GBAで発売された「メトロイド フュージョン」のようなクラシックなスタイルの新作です。もう1つ、欧米で発売して欲しいゲームがあります。それは「スーパーロボット大戦」シリーズです! どんなゲーム機でもかまいません。全てのゲーム機を持っているからね……(笑)。

Q. 良いシューティングゲームはどういう特徴を持つべきだと思いますか?

 まず、当然、遊んで楽しい気持ちにしてくれるゲームですね。難易度の高い挑戦を提供するべきだと思います。プレーヤーに毎回作戦の変更を促すようなゲーム。Treasureのゲームでは敵の動くパターンが固定されているんですけど、それよりも、毎回パターンが変わるようなシューティングゲームのほうが面白いかなと思いますね。

 見た目ももちろん大切だと思いますが、シューティングゲームですごく重要だと思うのは、音楽です。音楽は絶妙なリズムを与え、ゲームという体験をさらに中毒性の高いものにすると思います。

Q. 2Dと3Dシューティングゲームの違いは何だと思いますか?

 そんなに大きな違いはないと思います。「チョコレートケーキとチーズケーキとでは、どういう違いがありますか」と聞くのと、同じようなことだと思います。違いは味ですが、快感は同じです。その材料が好きな場合はですけど。

 何よりも大切なのはゲーム性です。Caveのクラシックなシューティングゲームで遊ぼうが、ポリゴンでできた「EinHander」で遊ぼうが、大差はないと思います。大事なのは、遊んでいるゲームのエッセンスを変質させないことだと思います。ポリゴンでも、ゲーム性は2Dのまま。その材料さえあれば、どんなシューティングゲームでも楽しめると思いますよ。

Q. 東京の電気街、秋葉原を初めて観光した時、どんな気持ちになりましたか?

 ゲームのメッカ、秋葉原を初めて散策した時に感じたことは、数行で説明できないと思います。秋葉原は世界中のあらゆるゲーマーが夢見る場所です。あらゆるゲーマーの情熱が、文化の1つとして認められる街です。自分のゲーム愛情を誇りに思えるような場所です。

 その街には本当の意味で、ゲームの歴史を知っているゲーマーが集います。「アクトレイザー」という話題を出しても、みんな熱く語り合えるような場所だと思います。だからこそ、世界中のレトロゲーマーは人生に1度、秋葉原を訪れるべきだと確信しています。

Q. 最後に、あなたの最もリスペクトする日本のゲームクリエーターへのメッセージをお願いします!

 僕の感謝の気持ちを宮本茂氏に届けたいです。これまで、独自のビジョンを貫き通して頂いて、本当にありがとうございます。宮本茂氏のアイディアはいつも斬新だと思います。現在、宮本茂氏のゲーム作りが封建的すぎるように思えるかもしれませんが、彼のアイディアはいつも僕たちのゲームに対する愛情を大きくしてくれているので、とても感謝しています!

リッカルドさん、今日は本当にありがとうございました。これからも日本の大好きなシューティングゲームで遊び続けてね!!