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「ワールドクラブ チャンピオンフットボール インターコンチネンタルクラブス 2007-2008」 【SIDE-A】連載第2回 |
欧州および南米のトップチームと所属選手が実名で登場するサッカーゲーム。ジョイスティックなどで選手を直接操作するのではなく、フィールド上に“実在する選手のカード”を配置して、それを動かしたり、戦術ボタンなどで指示を与えながらプレイする。練習と試合を繰り返しながらチーム経験を積み重ねていき、チームを強化してカップ戦での勝利を狙う。試合後には選手カードが1枚排出される。 |
【SIDE-A】連載2回目は、趣味チームで勝利を追及するうえで欠かせない「守備配置の基本」について解説したい。「WCCF」シリーズは、サッカーの知識が皆無に近い人でも遊べるよう、あえてアバウトに作られている部分がある。シリーズを重ねるごとに細かい要素は増えているが、根っこの部分のアバウトさは、良くも悪くも変わらない。
年度ごとに刷新できるというサッカーをモチーフにした狙いどころのよさもあるが、アバウトであるがゆえの“とっつきやすさ”こそ「WCCF」シリーズ長寿の秘訣といえなくもない。ただ、そのアバウトな土台にあぐらをかいてしまうと、当然「プレイの質」がおろそかになる。ましてや、能力を度外視した人選の趣味チームが同じようにあぐらをかいたなら、その崩れやすさはガチ編成チームの比ではない。
我を通せる力を持たないチームは“守備”に重点を置かざるをえず、そうした戦力で本気で勝ちにいくなら、相手の攻撃布陣にきちんと対応しなければならない。守備軽視の攻撃一辺倒チームを志すならともかく、常に格上だらけで何をやっても70:30のジャイアント・キリングになるようなチームで戦っているなら、守備配置の基本は押さえておくべきだろう。
※注 …… 本記事の内容は、あくまでも筆者自身がプレイして感じたことに基づいて記述しているものです。状況やカードなどさまざまな要因により、記事どおりにすべてが機能するわけではないことを、あらかじめお断りしておきます。
■ もっともボールを奪取しやすいエリアを重視する
過去の連載で何度も触れていることだが、本作は試合展開を約5分のダイジェスト形式で表現する。当然、“サッカーらしさ”を表現するためにさまざまなプログラム的味付けがなされているわけだが、そのひとつに“ボールの奪いやすさ”がある。ひらたくいえば、相手陣内ではボールが奪いにくく、自陣側では奪いやすくなるというものだ。
1対1のマッチアップやパスカットなど、基本的には自陣深くになるほどボールは奪取しやすくなる。逆に、どれだけディフェンス能力値が高くても、センターラインより上で相手ボールを奪取するのは難しい。キープレイヤー(KP)戦術、選手カードの配置、選手の資質、パスを交換する選手同士の連係などがそれぞれ影響するものの、基本的には変わらない。センターラインより上で相手の攻撃の芽を摘みにかかる守備も可能だが、配置だけでなく起用する選手の資質が大きく影響するなど、基本から大きく逸脱するため今回は触れないこととする。
ここで「じゃぁ、ディフェンシブなミッドフィルダー(ディフェンシブ・ハーフ:DH)、ディフェンダー(DF)、それぞれなるべく下に配置すればいいのか」といえば、さにあらず。漠然と選手カードを並べても、一定以上の効果は得られない。ペナルティエリア(PA)とバイタルエリア(VA)を8人で固めれば、当然それなりの守備力は見込める。ただし、こうしたやりかたは選手カードの個人能力が頼みの綱で、一定距離からの放り込みで簡単にフィニッシャーへとボールが渡ってしまう。KP戦術のリトリートに頼る人も少なくないようだが、中身はほぼ同様。リトリートが奏効しているのではなく、相手に有利な間合いとタイミングで無策のまま仕掛け続ける側に落ち度がある。
また、VA下~エンドラインまでのピッチは、一定以上の能力を持つアタッカーが本領を発揮する危険なエリアでもある。先ほど「自陣側では奪いやすくなる」と書いたが、ここまで侵食されると有利不利の問題ではなくなるため、このエリアで常態的に守備を行なうことはありえない。ペナルティエリアは文字どおり瀬戸際も同然で、時々そうなることはあっても、いつも“首の皮一枚の守備”では厳しすぎる。
趣味チームがカードパワーによる圧力を少しでも緩和するには、こうした「守備が計算できるエリア」に比重を置いていくしかない。効率面でいえば、それ以外に割く守備リソースは最低限でいい。多人数ドン引き配置やリトリートでPAと周辺をガッチガチに固める前述の守備スタイルとは逆に、キーパー(GK)前に「チーム内でもっとも信頼が置けるDF」をひとり配置。それ以外のDFは、相手の攻撃布陣にあわせて、なるべく高い位置で積極的にプレッシャーをかけていく。
「PA内にひとりじゃ守れないのでは?」と思われそうだが、狭小なエリアにどれだけ人数を割いたところで、瀬戸際でアタッカーを捉えられる機会は1回が関の山。人数をかけたぶんチェックの質が向上するなら話は別だが、あいにく「WCCF」シリーズはそういうふうにはできていない。もっとも信頼できるDFを置くのは、どれだけ理を尽くしても、1試合中に必ず数回は雪崩を打つように力負けする展開が訪れ、うち1~2回は失点もやむなしという事態に陥るからだ(風向きや目論見が外れたときは、当然もっと酷いことになる)。後述する選手カードの配置で効率的に守備を行ない、最後の砦まで到達されたなら、あとは門番のDFにすべてを託すのみ。
本来であればGKを「門番」と表現すべきなのだろうが、今回のバージョンは展開によるアヤ、さらには能力が低いと接触プレイで「ポロリ」を連発するため、GKの飛び出しは以前に比べると信頼性が落ちる。PA内にDFを置く今回のような守備配置のときは「これはもういくしかない!」という場面をのぞき、飛び出しは控えめにしたほうがいいだろう。
上画像左、薄緑色で示したエリアがポイント。力負けしやすい趣味チームは、このエリアでしっかり守備を行なっていくことが重要。ただし杓子定規には考えず、後述するポイントを参考に相手の攻撃布陣をしっかり抑えていく |
■ 柔軟な守備対応に適した「5-3-2」、「5-4-1」
今さらな説明かもしれないが、「WCCF」シリーズにおけるDFの守備動作はゾーンディフェンスが基本となっている。ボールに対して守備を行なうため、ダイジェスト形式と相まって、アタッキングサードを除けばボールという“点”を基準にゲームが展開されていく。
一般に、ゾーンディフェンスの弱点は“各ゾーンの境界線”といわれる。ただし「WCCF」シリーズはそのあたりの表現がアバウト……というか単純な1対1と「抜かれたら、その奥にいるもっとも近い選手がカバーリングに入る」という簡潔な流れで処理される。トップクラスの選手でDFを固めていると、理にかなっていない配置でも「個人能力による力技の連続」でなんとかなってしまうため、都合のいい成功体験だけを漠然と積み重ねてプレイしている人は、ぼんやりとした状態で確信を得られないまま、というのが実情ではないだろうか。パチンコや競馬同様、いまだにオカルト攻略を平然と口にする人が後を絶たないのは、多分そういうことなんだろな、とも思う。
話が若干それたが、ゾーンディフェンスがゲームの基本である以上“境界線”から生じる破綻を減らしたいなら、画面右上のレーダーを見てDHやDFを相手アタッカーの上に重ねるといった手法が有効になる。ただし、ボールを中心にフォーメーション全体が動く以上、重ねた場所はあくまでも“基本ポジション”でしかない。よって今回のケースでは、守備の際は戦術、プレスボタンをすべてOFFにしておくのが鉄則。つけっぱなしにしておくと、そのぶんズレが生じてしまい選手カードを重ねる守備配置の効果が半減する。相手がウィンガー(WG)を配しているときは、特に注意が必要だ。
一部トーナメントをのぞき1試合ごとに対戦相手が変化することから、趣味チームにオススメなのが「5-3-2」または「5-4-1」。4~5トップなど異質な攻撃布陣はともかく、1~3トップといった大半のチームに、その場で無理なく対応できる。ただし、趣味チームの人選は前述のように1対1で力負けするケースが多い。よって、GK目前のPA内にCBをひとり配置する形は、2トップなどに対応する場合をのぞき基本的に変えないほうがいいだろう。
各DFの守備能力がそれなりに高ければ、最前線のアタッカーにDFを重ねるだけでもそれなりに効果がある。とはいえ、SIDE-Aは趣味チームを想定しているため、それだけでは当然大きな不安が残る。より効果を高めるためには、相手のビルドアップを制限するための中盤配置が重要になってくる。具体的には、アタッカーだけでなく中盤底など相手ミッドフィルダーにもこちらのミッドフィルダーを重ねていく。唯一違うのは、直接的なボール奪取はさほど期待していない、ということ。後述するが、場合によっては“あえて重ねない”こともある。センターハーフ(CH)が3人など、相手中盤の人数が比較的少ないときは、全員に重ねても構わない。
相手MFにこちらのMFを重ねるのは、先に述べたとおりボール奪取が主目的ではない。自陣から遠くなるほどボール奪取の確率は低くなるため、ここでは「ボールを持ったまま左右にかわさせる」のがポイント。センターライン付近もしくはそれより上の相手MFは、こちらのマークをかわすとき直線的に動くことは滅多にない。ほぼ左右、どちらか一方に身をかわしてからボールをはたく。大きくずれるとフリーに近い状態でパスを出されてしまうことがあるが、相手MFをマークすることで、左右に少し押しやるといった「最小限」の動きでなかば強制的にボールを展開させることが、とても重要になってくる。直後“もっともボールを奪取しやすいエリア”で正面からしっかり捉えられるよう選手を配置するが、これには大きくわけて“2通り”のアプローチがある。
1つは、アタッカーをマークした選手にそのままカットさせる方法。人数配分的に余裕がないときはこの手法をとらざるをえないが、状況によっては抜かれた際のカバーリングの機会が減るため、強くおすすめはしない。もう1つは、マーク対象を持たないフリーの選手をパスルート上に配置する方法だ。カウンターなどの放り込みを多用してくる相手には、攻撃人数を減らしてでもカットに専念させられる守秘要員を確保したいくらいだ。
ここから先は、CPUチームをサンプルにした守備配置の実例をご紹介する。これが正解という意味ではなく「こういう攻撃布陣に対して、こう配置するとこうなるのか」といった、おおまかな仕組みを理解するうえで参考にしていただければ幸いだ。
「バイエルン・ミュンヘン」 | |
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必ずしもテンプレート的なアプローチは必要ないという一例。上画像・右は「オーロラ・バイキングス」の例と同じ意図を持った配置。下画像・左は片方のCBにあえて重ねず、中盤底からのビルドアップにも若干の制限を加えて守備効率の向上を狙う。下画像・右はCB2枚の前にフォアリベロを置く形。どれがいいかは好みと展開次第 |
【3-5-2】 | |
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「コインブラ・フリウリ」 | |
中盤を厚くした2TOPは、どこからでもFWにポンと放り込まれがちなので特に厄介。こうした形には、素直にCBを2枚重ねたほうがいいケースもある。似たような形から、対人戦で相手がDHを減らして3-1-4-2などノーガードに近い殴り合いに出てきた場合は、3-6-1などでオフェンシブMFを重点的に抑えにいかないと大変なことになる |
【4-5-1】 | |
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「ASローマ」 | |
FWが低いポジションをとるフォーメーションは、こちらが意図するゾーンに厚みを持たせた守備配置が可能になるため、形としては対応しやすい部類に入る。中盤底、右側にふたりを前後に張付かせているのは、トッティとマンシーニを同時に抑えるための第一歩 |
■ 攻撃と守備は表裏一体
勘のいい人はもうおわかりかと思うが、今回の守備配置の基本は「攻撃」を考えるヒントにもなっている。裏の裏は表ということで、逆の視点から攻撃を構築していくのは非常に有効なアプローチだ。
繰り返しになるが、ここで紹介したのはあくまでも基本的な考え方のひとつ。単なる模倣はくれぐれも避けていただきたい。大切なのは、諸般の成り立ちについて基本から考えぬくこと。仕組みを理解せず、うわべだけをなぞったところで何の意味もない。
3~4点差がついたとたん天地がひっくり返ったように動きが変わるなど、随所でアバウトさを炸裂させる「WCCF」シリーズだけに色々と惑わされることも多いが、それでも事実と推論を冷静にすりあわせ、確かなものを少しずつ積み重ねてプレイングの糧としていただきたい。
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□「WORLD CLUB Champion Football」のページ
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(2009年 4月 24日)