【連載第26回】オンラインゲームの楽しさを再認識しよう!


てっちゃんのぐだぐだオンゲーコラム


「【ビギナーさんいらっしゃい!】アイテム課金制オンラインゲームの正しい遊び方
もう怖くない“基本プレイ無料”、安全にたっぷり楽しむノウハウをご提供!


 今回のコラムのきっかけは、僕がプレイしているMMORPGで、「5,000円のガチャのセット」が登場したことだった。この時僕の心に猛烈な反発がわき上がった。高い、高すぎる。「良いアイテムが出ると言うけど、さすがに1つ5,000円は高いんじゃないか」。

 MMORPGにおける高額商品は今に始まった話ではない。ゴンゾロッソの「ドルアーガの塔~the Recovery of BABYLIM~」の“ボッタクル商店”はセットで購入すると数万円になる高額商品を“ネタ”として販売している。ケイブの「真・女神転生IMAGINE」でもガチャである「フォーチューンカード」の5,000円のセット販売をしているし、ガンホーも同様に「エミル・クロニクル・オンライン」で期間限定で1回500円の「ECOくじ」の5,000円のセット販売を行なっている。このような高額商品は今後も出てくるだろう。

 日頃から熱心にゲームをプレイしているのに加えて、5,000円もするゲーム内の高額商品を買うなんて、日頃あまりゲームを遊ばない人が見たら特殊な趣味だとしか思わないだろう。しかも“基本プレイ無料”と言っているゲームでである。さらに「ガチャで数万円使った」と言うような極端な情報ばかりクローズアップされてしまっている。このようなことが重なっている現状、オンラインゲームは「基本プレイ無料というのに、実際はすごくお金がかかる」というイメージで捉えられがちだ。極端な例だと、アイテム課金はまるで悪そのもののように扱われることもある。

 しかし、もう10年近くアイテム課金制のゲームを遊んできている筆者から言わせて貰えれば、アイテム課金制そのものは時代にマッチしているし、遊び手の我々が適切な知識を持って望むことで、数百円から数千円程度で十分な楽しみを得ることができる。

 そもそも本当にメーカーがユーザーからお金を搾り取ることだけを考えてビジネスをしていたら、僕らはオンラインゲームをプレイしていない。僕らオンゲーユーザーはきちんと自分なりの計画でお金を使い、思う存分たっぷりコンテンツを楽しんでいる。何も怖がることはないのだ。

 今回はあえてオンラインゲーム初心者に向けて、課金アイテムを分類し、実際かかる金額と使用ケースを考えてみた。きちんと考えてプレイすれば少ないお金でプレイできるし、僕らオンゲーファンは極端にお金を使う人ではなく、共に考え賢くお金を使う“友達”を求めている事がわかってもらえると思う。オンゲーは安全にプレイできると言うことを、是非伝えたい。


■ 実際アイテムはいくらぐらいで、どういう風に使うの? 課金アイテムを6つのカテゴリーに分類

 最初に僕のスタンスを定義しておくと、僕は「基本プレイ無料+アイテム課金」と言うビジネスは肯定している。課金に関しては僕は月2,000~3,000円くらい使っている。コンシューマゲーム1本分よりも安いお金だし、自分に必要なものを吟味して買っているつもりだ。このくらいなら出費しても良いかな、というところでたっぷり遊べている。

 課金アイテムでのプレイスタイルは千差万別だ。万単位でたくさん使う人もいれば、意地でも使わない人もいる。価値観で大きく変わる一方で初心者にはわかりにくい。しかもゲームの公式ページを見ても「実際のゲームプレイでいくら必要なのか」というのは目安は書かれていない。課金アイテムの情報そのものが公式ページに載っておらず、クライアントを起動しなくてはわからないタイトルすらある。

 そこで今回は「消費系」、「ブースト系」、「サービス系」、「アバター/ペット系」、「保険系」、「ガチャ」の6つの分類で実際にどのような場面で使うか、どのくらいお金がかかるか書き出してみた。どこにどのくらいお金をかけるかで、「快適なプレイがどのくらいか」見えてくるだろう。なお値段はざっくりとした目安で、タイトルによってさらに幅があることもある。

・「消費系」

1個10~30円のバラ売りから10個で100~300円
初心者にとっての必要度:高
「Finding Neverland Online」(ベクター)のアイテムモール。値段は1ポイント20円で、消耗系は価格が安めだ

 「消費系」は、ヒットポイントやスタミナ、マジックポイントなどを回復させるポーションを中心とした消費アイテムのカテゴリである。1個数十円のバラ売りから購入可能で、10個セットでも数百円程度など安価に設定されていることが多い。もちろん、回復量が高いなど性能が増すほど高価になる。

 多くのオンゲーでは、課金アイテム以外の回復手段が用意されているため、それほど必要性を感じないかも知れないが、それでも課金の回復アイテムはあるとありがたいアイテムと言える。ゲーム序盤でも、持ってると連続で狩りができるのは爽快だし、ゲーム内資産も節約できる。中級者になりパーティーでの狩りが多くなると仲間に回復してもらうということが多くなるが、時には大ピンチに陥るときがありこの時に「完全回復ポーション」を持っていれば、生還率は大きく変わってくるだろう。

 頼りになるプレーヤーというのは、課金アイテムにも頼らず仲間を支えてくれるが、真っ先に死んでしまうような無謀プレイが好きな僕の場合、万が一を考え、常備しているアイテムだ。1瞬で全回復してくれるアイテムは、やはりありがたい。

 回復以外でも、一瞬で移動する“移動系”アイテムもポピュラーな消費型課金アイテムと言える。仲間と移動できて1回30~100円、10個セットで数百円というタイトルが多い。この移動系はゲーム内でも手に入るタイトルが多いが、課金アイテムの方が機能が充実している。ものぐさな僕は割と買ってしまうアイテムだが、「もったいないから歩こう」というプレーヤーも多い。時間がかかってしまうが、仲間との長距離移動も楽しい。……置いていかれて困ることもあるが。

 なお、最近では少なくなってきたが、回復手段が課金アイテム頼りの設計になっているオンゲーもある。これは課金アイテムを買わなければ回復に膨大な時間が掛かり、課金アイテムを買えば膨大なコストが掛かる。常用すれば万単位の出費は避けられない。特に初心者はこういうゲームはあまり手を出すべきではない。



・「ブースト系」

1個100円前後で、10個セットで1,000円
初心者にとっての必要度:中
「アロッズオンライン」(ゲームオン)の「インセンス」はキャラクターの能力を跳ね上げるアイテムだ

 「ブースト系」は、キャラクターのステータスを一時的にアップさせる課金アイテム。全体を底上げする場合もあれば、筋力や知力などをピンポイントでアップする場合もある。値段的には30分効果が続くもので100円前後で、10個セットで1,000円くらいだろうか。使い方としては、狩りの効率化だが、最も使われるケースは「戦争」だろう。

 それもギルド対ギルドで戦うときのような「負けられない戦い」の時、ブースト系課金アイテムの重要度は高い。RvR、種族間や国家間の大規模戦闘の場合は死亡と復活を繰り返すような戦いが多いため、「景気づけ」でアイテムを購入するプレーヤーも多いし、ギルドマスターは大量購入してメンバーに配るようなケースもある。少しでも活躍したいと願うプレーヤーにとって、ちょっとしたお金で強くなれるブースト系は魅力的なアイテムだ。

 この他「移動速度増加」が人気の高いアイテムだ。フィールドが広い作品の場合は速度増加のアイテムがありがたい。単に足が速くなるものもあれば、乗り物の形で提供されることもある。ゲームが進むと騎乗ペットなどが登場するゲームも多いが、せっかちなプレーヤーには速度増加はありがたいアイテムだろう。まとめてみると強化アイテムは必須ではなく、プレイ時間を縮めたり一時的に景気よくプレイするためのもの、という感じだろう。

 特殊な例としては、ゲームオンの「アロッズオンライン」の1個30円の「インセンス」という課金アイテムがある。このアイテムは使うと1日祝福が受けられ各能力値が大きくアップするので、ソロプレイではクリアが難しいクエストをこのブーストで突破していくということが可能だった。さらに中盤からはPvPが始まるのでインセンスの重要度がかなり高いのだ。

 1日30円は良心的だともおもうが、「結局課金しなくてはキャラクターの能力が制限されているんじゃないか」という批判も多い。それというのもインセンスを使わないと適性レベルのクエストをこなすことすらきついため、ユーザーは皆インセンスの使用を強制されているように感じるのだ。「ブースト系」の楽しさは、購入して使用することでアクションゲームでパワーアップアイテムをとったかのような無敵気分に浸れるところにあるわけだが、インセンスは使用しているのが通常状態に感じてしまう。「課金のメリット」と言うよりも「義務」に感じるバランスだったと思う。ユーザーが気にしたのは、値段ではなくバランスだったと言うことを教えてくれる、課金アイテムのあり方について考えさせられるケースだ。



・「サービス系」

単品で500円程度、セットで1,000円~3,000円
初心者にとっての必要度:高
「エイカ オンライン エクソダス」(ハンビットユビキタスエンターテインメント)の高レベル向けコンテンツ。課金アイテムでブーストすれば、短い時間で参加可能に

 初心者が最初に購入を検討するのがこの「サービス系」だろう。倉庫やカバンの拡張から、経験値アップ、デスペナルティの軽減などその範囲は広い。利用することで遊びやすさが向上するものはすべてこの「サービス系」に含まれる。

 価格は倉庫の拡張のみで500円前後。倉庫拡張に加え、経験値増加、デスペナルティ軽減などがセットになった商品が1,000円~3,000円というところだろうか。セットの内容はゲームによって大きく違い、実質的には月額制といえる「必須」なものから、完全にオプションとして用意されているものもある。筆者は毎月1,000円のサービスを利用している。

 各サービスがバラ売りになっているものもある。1つあたりだいたい数百円程度だが、中には経験値増加が3日で1,000円といった高価なものもある。こういったものは例えば休日に短期集中でやりこみたいという人には魅力的だが、逆にあまりプレイ時間が取れないプレーヤーには無駄になる。また作品によっては「疲労度」というものがあり、長時間、連続プレイしていると効率が極端に落ちる作品もあるので注意が必要だろう。

 この「サービス系」は先述したように、ゲームによっては実質的に必須となっているものも多い。そのあたりの事情を把握するために1番良いのはギルドに入ることだ。プレイしてみたゲームが気に入ったら、その段階でギルドに入り、そこで改めて、どんな課金アイテムを使ってるか聞いてみればいいと思う。特にサービス系を必須なのかどうかは今後のプレイライフに大きく関わってくるからだ。

 また、「サービス系」の中にはゲームライフをやり直すといったサービスもある。たとえば、2,000円~3,000円近くするステータスリセット、スキルリセットというアイテムがそれだ。全く新しいステータス、そして新しいプレイスタイルをもたらすスキルの組み合わせを試してみることで新たなネットライフが待っているかもしれないし、オンラインゲームはアップデートでバランスの変わるため、その度にキャラクターを作り替えていくような猛者もいる。いずれにしても、このリセット系はビギナーにはまったく無用のものだ。キャラ育成を間違えたと感じたら、その場でキャラクターを作り替えた方が早いし、安上がりだ。

 ハンビットユビキタスエンターテインメントの「エイカ オンライン エクソダス(『戦場のエルタ ロード オブ マーシャル』に改称予定)」は経験値がこれまでの8倍になる調整を行なっているが、ここに7日間で1,000円の経験値倍増アイテムを使うと、クエスト経験値が16倍に跳ね上がる。こうしてすごい速度でレベルアップすることで、「戦争」という高レベルキャラクター向けコンテンツに短時間でアクセスできる。戦争をもっと盛んにしようという思い切ったバランス設定だ。



・「アバター/ペット系」

500円~10,000円
初心者にとっての必要度:中
「DIVINA」の課金アバター。こちらは1GASH=1円だ

 アバターはMMORPGでの大きな楽しみである。後述するガチャで販売されることも多いが、ガマニアの「DIVINA」はかわいらしい服を数百円で販売している。「真・女神転生IMAGINE」では武器、防具という形で上着が680円、ズボンが680円、靴が380円という感じで全部揃えると結構な金額になる。しかし、自分なりのファッションを考えてお気に入りの組み合わせを財布と相談しながら試していくと言うのは楽しい行為だ。

 MMORPGの多くはレベル10ならこれ、レベル20ならこれといった形でおきまりの装備がある場合が多い。それで他の人の強さがわかるのだが、やはり自分のキャラクターへの思い入れが深くなってくると、自分だけの衣装にこだわりたくなる。アバター要素が充実しているゲームのプレーヤー達は華やかだ。課金だけでなく、ゲーム内アイテムとの組み合わせも楽しい。色々な装備が手に入る中級者からの楽しみと言えるだろう。この他、レンタル衣装を導入しているタイトルもある。こちらはイベント気分で身にまとうユーザーも多い。

 武器が購入できるタイトルもある。レンタル武器もあって、500~1,000円というところ。初~中級者向けのものが多く、通常の武器のようにカスタマイズできなかったりする。強化したゲーム内武器の方が強いが、課金武器はそこそこ強くレベルアップを目指すプレーヤーを助けてくれる。この武器のお陰で通常の武器をしばらく買わなくて良くなり、ゲーム内マネーが助かるのも大きなメリットだ。

 ペットは、戦闘系から騎乗系、ただ連れ歩くだけのものまで様々だ。値段も様々で500円から、高額になると10,000円のペットもある。「マビノギ」(ネクソン)の場合は強いドラゴンは1,390円だが、中級者以上のユーザーでないとうまく使いこなせない。一方、690円~950円程度の移動ペットが快適にプレイするには必要となる。フィールドが広めなため、最初に移動ペットを買うことになるだろう。早く移動でき空も飛べる「ほうき」が人気が高い。

 ペットを成長させられるゲームの場合、成長効率の良い「餌」が課金アイテムとして販売されている場合もある。モンスターを手なずけ自分だけのペットにして、長い時間をかけて育て上げる、と言うのもMMORPGの大きな楽しさだろう。ただ、育てだしたら、途中で止めるというわけにもいかないので出費がかさむことになる。初心者は慌てて手を出さない方が賢明だ。



・「強化/保険系」

500円~1,200円
初心者にとっての必要度:低
「新生R.O.H.A.N.」の「希少な最上級研磨剤」。1,180円で強化失敗によるアイテム破壊を防ぐ

 プレーヤーによってはガチャ以上にお金をかけるのが「強化」もしくは「精錬」と呼ばれる武器や防具のアップグレードだ。武器と特別なアイテムを組み合わせることで一定の確率で強化が可能というもので、ゲーム内アイテムでも強化は可能だが、課金アイテムの場合もある。値段は低レベルを対象にしたものなら数十円程度だが、高レベルになるほど高価になる。例えばベクターの「Finding Neverland Online」の場合は、強化用のスクロールがレベル50武器までは5個で80円なのだが、レベル60武器になる5個で600円となる。

 そしてこの強化システムは大きなリスクを伴う。強化はプラス効果が高くなるほど成功率が低くなる。失敗すると強化ができないだけでなく、プラス効果が減ってしまったり、最悪の場合はアイテムそのものが消滅してしまう。僕は1度1,500円の課金武器を消失させてしまったことがある。1,500円のアイテムがいきなり無くなってしまうのはかなりショックだった。これがレアアイテムでしかも長い時間をかけて大事に育てたアイテムだったらショックはそれ以上だろう。

 この消失を防ぐための「保護アイテム」がある。これが「保険系」アイテムとなり、多くの場合、課金アイテムとして提供されているわけだ。ジークレストの「トリックスター」では精錬に失敗したアイテムを再利用できる「リペアパウダー」が5個で300円だ。WeMadeの「新生R.O.H.A.N.」では上級の武器を保護する「希少な最上級研磨剤」が1,180円だ。

 高レベルキャラクターの武器はうまく強化すれば“最強”のアイテムとなる。また優秀な強化をしたプレーヤーは全体チャットでサーバー中に喧伝されたりする。実利と、名誉を求めてコアプレーヤー達はお金をつぎ込み、武器を強化するのである。こちらもペットと同様に、ビギナーがいきなり手を出すべきではない。ゲームの仕組み、経済の流れを覚えてからでも遅くはない。



・「ガチャ系」

100円~1,000円
初心者にとっての必要度:低
「SDガンダム カプセルファイター オンライン」(CJインターネットジャパン)のWebガチャは当たり確率も提示されている

 オンラインゲームで最も魅力的で、そして悪名高いのが「ガチャ」だ。1回いくらでくじを引くことで当たり外れ様々なアイテムが獲得できる。このガチャでしか出ない武器や防具、衣装やペットなど“当たり”を求めてプレーヤー達はガチャに挑戦するのである。

 「ガチャ」は言うまでもなくバクチそのものであり、当たりアイテムをすべて獲得していこうと思ったらお金がいくらあっても足りない。「月に○○万円使ってしまった……」という報告のほとんどはこのガチャによるもので、メーカーとしても大きな収益源となることから、課金アイテムでは最も力を入れて開発が行なわれている。

 ガチャは、宝くじと同様に夢を買うもので、実生活に支障が出ない範囲内で予算枠を設定してその範囲内でたしなめば楽しいものだが、「何が何でもこの当たりアイテムをゲットする!」というロジックで望むと、確実に地獄を見る。オンラインゲームにおいて絶対にやってはならない遊び方のひとつだ。

 僕自身は1回100円のガチャで1,500円つぎ込んで望んだ商品が出なくてガッカリしたことがある。その時は何種類かある新しい目玉商品の1つも出なかった。とはいっても、出た賞品全てが無価値というわけではなく、ゲーム内の露店で販売しゲーム内マネーをそこそこ稼いだ。それでもやはり「ガチャってやっぱり出ないものだなあ」と思った。この時から僕はガチャには消極的だし、ビギナーにも勧めない。ただ、数回試しに回してみるのはありだ。ただ、たいていの場合、数回では収まらなくなるので、やはり最低限モノの価値がわかるまで遊びこんでからのほうが良いと思う。

 面白いと思ったのは、CJインターネットジャパンの「SDガンダム カプセルファイター オンライン」だ。この作品では1回280円で「Webガチャ」が回せる。このWebガチャはどんな機体が出てくるか公式ページに提示されており、当たり確率が表示されているのだ。「当たり機体」が13%で出るならと……という大まかな出費の目安と出た場合のメリットのバランスを考えられる。

 現在こういった確率表示をしているガチャはほとんど無い。当たり賞品は大きく表示されているが、それがいくら出せば手に入るのかわからないのだ。また、同じCJインターネットジャパンの「LOST SAGA」では確率は明示されてないため、会社の方針として徹底しているわけではないようだ。

 ガチャが批判を受けるのは、やはりこの当たり確率が不透明なところだろう。いくらつぎ込めば欲しい賞品が手に入るかわからず、ユーザーは盲目的に大量のお金を注ぎ込み、望んだものが手に入らなければメーカーへの不信を大きくする。また、大金を使ったというユーザーの噂が広まり、オンラインゲームそのもののイメージが悪くなる。「いくらお金を取られるかわからない、メーカーが信用できない」とユーザーが声を上げオンラインゲームが悪者のように扱われるのは、まさにここからなのだ。

 ガチャに関しては、日本や韓国などで「規制がもうすぐ入る」という噂が絶えない。僕も今のままではいけないと思う。しかしその前に、もっと安全で、信用できるシステムも提示可能なのではないだろうか。「SDガンダム カプセルファイター オンライン」での確率表示は評価したいと思う。規制が入るまで結局今のビジネスを押し通してる時点で、やはりユーザーから不信の目を向けられるのは避けられないだろう。



 こうして書き出してみると、アイテム課金制のオンラインゲームは、プレイするために必要なお金はそれほど多くないということがわかる。万単位のお金を払っているのは、装備品の強化やガチャなどに注ぎ込んでいる一部のユーザーだけで、プレイする前の人が気にする問題ではない。

 仮にこれから新タイトルをプレイするとしてシミュレーションしてみよう。最初のプレイにはもちろんお金はかからない。ゲームを進めていくことで、その作品ならではの雰囲気や活気、システムが見えてくる。昨今のゲームでは、レベル10ぐらいまでの初期クエストを終えると課金アイテムの一部がお試しとして使えるようになっている。そのアイテムを使うことで、ゲームでどのくらいお金がかかるか見えてくる。

 僕はこの初期クエストをクリアしたくらいで課金アイテムを投入するプレイもありだと思っている。最初に500円~1,000円程度プールしておくことでずいぶんゲームを楽しくプレイできると思う。自由に使える「お小遣い」を設定し、そこでやりくりをしていくのだ。お金を意識するのはイヤだと思うかも知れないが、これも立派なオンゲーの楽しみ方だと思う。

 移動時間増加に100円、もしもの時を考えて回復アイテムに100円。もう100円使って能力値増加アイテムも買ってみる。これだけあれば短時間だが一気にレベルアップが狙える。タイトルによっては課金アイテムで鍵が開く宝箱などもあるが、中身は序盤で気にするには早すぎる。とっておきたいものは、狩りの合間に帰って銀行の倉庫に放り込んでおく。ちょっとした回復アイテムや増加アイテムだけなら1,000円以下で充分1週間以上ゲームが楽しめるし、そのうちにコツをつかめてくると思う。

 そしてさらにゲームをプレイし続けようと考えたら、高額商品にも目を向けたい。経験値増加アイテムは魅力的だ。「レンタル武器」も高価だが、使うとしばらく武器の交換やアップグレードを考えずにすみ、ゲーム内マネーも節約できる。ペットも力の増加を実感できるアイテムだ。ただ、こういった高額商品を買うと1,000円は簡単に超えてしまう。そこまで今のタイトルに入れ込めるか、経験値や、武器、ペットはその踏ん切りをつけることになるアイテムといえるだろう。

 ちゃんとお金を使おうと思うと明確にゲーム内での自分の“将来像”が見えてくる。その感覚はプレーヤーが作品と開発者を認めたからこそ生まれるのだ。その時改めて無味乾燥だったアイテムモールが、プレーヤーの“未来”に繋がる。お金をなにに使うか、あれこれ考えながら、まるで遠足に行く時お菓子を買う子供のようにアイテムモールを眺めることになる。そして……

イラスト:ミズノ マサト

あれもこれも、俺買っちゃうの?

 と楽しくなってくる。おすすめは、色々買いながらも、あえて決めてある予算を使い切らず、余裕を持たしておくことだ。その余裕分で緊急事に必要なアイテムを買うのも良いし、ちょっとだけガチャで冒険するのも楽しい。ガチャは矢っ張り、友達がやるとつい自分もやりたくなるのだ。

 余裕分の消費で僕が好きなのは友達とどこか遊びに行きたい時、ダンジョン用の入場券を数百円で買うことだ。1時間以上かかる難関ダンジョンを数人で楽しめ、うまくいけばレアアイテムがゲットできる。この楽しい時間は充分値段に釣り合うと思う。

 まとめると、やはりタイトルを楽しく遊ぶためには500~1,000円を“お試し価格”としてゲーム内にプールし、通常プレイで不満なところを解消するアイテムを買ってプレイする。そしてゲーム内で暮らすことを決めたら、“未来への投資”として、プレイに弾みをつけるため1,000円前後のアイテムを検討する。こうすることで、ゲームタイトルに自分がしっかりと“根”を張れたことが実感できると思う。

 こう考えていくと、やはり1個のゲーム内アイテムの出費で5,000円は高い。楽しさに釣り合わないと思う。僕は課金アイテムの高級品は、高くても2,000円くらいじゃないかと思う。スーパーで大奮発して焼き肉用国産牛肉買ったり、ファミレスで高級メニューとデザートまで食べちゃったり、そういう日常レベル、“月に1回決心の大奮発”と同じくらいが良いんじゃないだろうか。ゲーム内の高級アイテムは高すぎず、それでも出費にはある程度踏ん切りが必要で、そして手に入れて嬉しい、そのくらいであって欲しいと思う。

 色々考えた僕のプランでも「ファイナルファンタジーXI」や、「大航海時代Online」など1,500円前後の月額課金制のゲームよりお金を多く使うことになる。必要なものを買って揃えるとなると、やはり月額制のものよりもお金はかかる。それでも僕は基本プレイ無料+アイテム課金制のゲームのプレイスタイルが気に入っている。

 基本プレイ無料のゲームの良さは、あまり来なくなった友達が気まぐれで入ってくれることだ。そして月額制の人達から見れば“ズル”かもしれないが、課金アイテムで緊急状態から脱出できたり、ちょっとしたスタートダッシュができる。リアルマネーをゲームにつぎ込むのはコアファンにとっては違和感があるとは思うが、アイテム課金ならではの“ぬるさ”が僕は好きだ。もちろん、どちらを選ぶのもプレーヤーの自由だ。節度を持ってつきあえば、アイテム課金制のゲームでも、楽しく、安全に遊ぶことが可能なのだ。

 また、プレーヤーのスタンスとは別に、特に「基本プレイ無料」を大きくアピールするメーカーの姿勢は昨今問題になりつつある。10月28日、消費庁が「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」を公表した。これは、「基本プレイ無料」を大きく宣伝するメーカーに対し、より正確な無料で遊べる範囲と有料のサービスを明記することを求める検討案で、今のところ強制力はないが今後オンラインゲーム業界で波紋を広げていくのは確実だ。

 また、ガチャというビジネスに対する問題や、1ユーザーがお金をつぎ込みすぎる問題、そしてメーカーのユーザーの高額課金を狙って商品展開など、まだまだこれからどのようになっていくのか見えてこない問題も多い。楽しく、安全に仲間と楽しめるオンラインゲームを求めて、今後も考えていきたいと思う。


■  てっちゃんの割とどうでもいい話 「お年玉で買ったたくさんのペット」

「マビノギ」には多彩な課金ペットがある

 僕らのギルドに中学生の初心者君が入ったときのことだ。初心者君にとってはゲームの全てのものが珍しい。僕らはちょっと得意げに色んなものを彼に見せた。彼が一番興味を持ったのが「ペット」だった。僕たちがプレイしていたゲームではペットは課金アイテムで、僕らはちょっとずつ買い足した結果、多数のペットを持っていた。初心者君は僕らが持つ多数のペットをうらやましがっていた。

 ある日、得意げに初心者君がやってきた。「見てくださいね」と一言、次から次へと色んなペットを出してきた。「どうしたの?」ときくと彼は「お年玉で買っちゃいました!」と答えた。『お年玉でペットか……気持ちはわかるんだけど、ちょっとなあ』と正直思った。ベテランの僕から見れば、彼のペットはまだ使いこなせない、必要以上のもったいない出費に見えた。

 もちろんそこからペットの使い方を学んでいけるし、彼自身は満足してるから、口を出すのはお節介だろう。しかし、僕たちが見せてしまったから、初心者君ははやる気持ちを抑えきれずにお年玉をつぎ込んでしまった。初心者君の気持ちはわかるけど、やっぱりりもったいない。その気持ちもまだわかってもらえないだろうなと、得意げな初心者君を見て、なんとなく「申し訳ない」という気持ちになった。アイテム課金制のゲームはこういうことも起こる。アイテム課金について考えると、いつも思い出してしまうエピソードだ。


「Finding Neverland Online」
(c)2010 X-Legend Entertainment Corp. All Rights Reserved.
(c)2011 Vector Inc. All Rights Reserved.
「アロッズ オンライン」
(c)2010 AstrumNival, LLC. All Rights Reserved. Powered by Mail.Ru
(c)2010 GameOnCo., Ltd.
「エイカ オンライン エクソダス」
(C)2011 HANBITSOFT INC.ALL RIGHTS RESERVED. Published by Hanbit Ubiquitous Entertainment Inc.
「新生R.O.H.A.N」
(c)2009 ROHAN by YNK JAPAN lnc. All Rights Reserved.
(c)2005-2009 ROHAN by YNK GAMES lns. All Rights Reserved.
「SDガンダム カプセルファイター オンライン」
(C)創通・サンライズ (C)創通・サンライズ・毎日放送
Produced by BANDAI KOREA
Developed by SOFTMAX / Published by CJ Internet Japan.
「DIVINA」
(C)2010 Gamania Digital Entertainment Co.,Ltd. All Rights Reserved.
gamania is a registered trademark of Gamania Digital Entertainment Co.,Ltd.
「マビノギ」
Copyright (c) 2003 NEXON Corporation. All Rights Reserved.

(2011年 11月 1日)

[Reported by 勝田哲也]