【連載第12回】オンラインゲームの楽しさを再認識しよう!


てっちゃんのぐだぐだオンゲーコラム


正式サービス前の“一時休戦”の戦場で生まれたお祭り
「RF Online」での、数人の思いつきが皆を動かした興奮


 オンラインゲームの様々な面を取り上げていく「てっちゃんのぐだぐだオンゲーコラム」。オンラインゲームでは、クローズドβテストや、オープンβテストから正式サービスまで一旦ゲームが休止することがある。こういうタイミングの場合、プレーヤーは再会を約束して様々な“お祭り”をする。運営側も自らそれを主催したり、支援したりするのが恒例となっている。今回はプレーヤーの提案と行動が、面白い動きとなって現われた「RF Online」(現在の呼称は「RF Online Z」)でのユニークな体験を取り上げたい。

 最初はたった数人のプレーヤーによる突発的なお遊びが、時として連鎖的に参加者を増やし、大きなうねりとなって現われることがある。これは狙って参加できるものではないし、能動的に実施されるメーカー主催のイベントではまず起こりえない。たいていは後でフレンドから聞かされて、その当日一足先にログアウトしたことを悔やむのだ。

 突発イベントは様々な条件が重ならなければ起こらないし、他のプレーヤーが乗ってくれるという“面白さ”と“運”が揃わなければ大きな動きとならない。こうしたイベントに遭遇することは、MMORPGにおいて欠かせない醍醐味のひとつだ。


■ 明日からお休み。戦場のど真ん中、ふとした気まぐれが起こした楽しい「行進」

3つの種族が終わりない戦いを繰り広げるMMORPG

 「RF Online」はかわいらしい外見の「ベラート」、ほっそりとした美しい容姿を持つ「コラ」、そして脳以外の全ての肉体を機械化した「アクレシア」の3種族が争うRvRをテーマとしたMMORPGだ。韓国のCCRというメーカーが開発し、日本では2005年にセガが運営を開始した。

 「RF Online」は現在は「RF Online Z」と名前を変え、ゲームオンで運営が行なわれている。今回の体験は、セガがオープンβテストを実施していた頃の話だ。オープンβテストから、そのまま正式サービスへ移行というタイトルも多いが、「RF Online」ではオープンβテストから正式サービスまでに1週間プレイできない休止期間が設定されていた。このためオープンβテスト最終日は「休戦日」という雰囲気があったのだ。オープンβテスト最終日には強大なボスモンスターが各勢力を襲撃するといったイベントも実施され、大きく盛り上がった。

 「RF Online」では朝の7時、昼15時、夜23時にそれぞれ「聖戦」という大規模戦闘時間が設定されており、この時間に出現する「コントロールユニット」を巡って3つどもえの激しい戦いが展開した。このほかにも、敵陣地へ向かって戦われる小規模戦闘は常に行なわれており、他勢力を叩き、自軍の陣地を拡張するためにプレーヤー達は終わりのない戦いを繰り広げていた。

 オープンβテスト最終日、「RF Online」のコミュニティーから、「記念写真を撮ろう」という声が上がった。各勢力の代表者「族長」も種族チャットで語り合い、1カ所に集まり、いつもは姿を見たら殺し合うしかない他種族と、並んで写真を撮ることになった。しかし、そうしたユーザー間の協定は、わずかなユーザーによってぶちこわしになるもので、集まるやいなやどことなく小競り合いが起き、中々「みんなで落ち着いて写真を撮る」という感じにはならなかった。

 そんな中、僕が所属していたギルドのメンバー達が、「ここにいるみんなとは関係無しに面白いことやろうぜ」と言い出したのだ。「何やるの?」と乗っかってやってみたのが、


イラスト:阿佐ヶ谷帝国

 「行進」であった。敵対勢力にやられても気にしない、ただひたすら列を作って前に進む。そのまま、戦場のど真ん中を突き進んでいった。僕らは機械化種族のアクレシアだったが、いつの間にか敵対勢力のコラやベラートも列に並びはじめた。

 列はドンドン長くなっていった。別に何をするわけでもないのだが、僕は歩きながら視点を回転させ、列を様々な角度で見つめたりした。ギルドチャットでは他の種族も並んで歩くことに対する、突っ込みや笑いなどで盛り上がった。自分たちが思いつきでやったことが、多くの人を動かした興奮でメンバーがいつも以上に饒舌だった。僕自身もモニターの前で時には大笑いしてキャラクターを操作し、チャットをした。列は2列になったり、またくっついたり。結局、深夜まで続き、僕は行進を続けたまま、ギルドメンバーと再会を約束してログアウトした。

 戦争をテーマにしているゲームで、このような状況になったのは、「明日からしばらくゲームが止まる」からだろう。明日からお休みだから、ちょっと面白いことをしよう。そういうプレーヤー達の気持ちに、この行進はぴったりはまっていたんだと思う。

 「行進」というのはオンラインゲームプレーヤーがよくやる他愛のない遊びの1つだが、この「RF Online」のような、戦争が続いている中でどんどん行進し、いつの間にか敵も味方も一緒になって、別に目的も目標もないのに歩けたのはやはり印象深い。僕のオンゲー経験でも珍しく、5年以上たった今でも覚えているエピソードだ。

 オープンβテストから正式サービスに間があるタイトルというのは少なくなったが、クローズドβテスト最終日には運営がイベントをやったりで、お祭り騒ぎになることはいまでもある。1カ所に集まって、再会を約束しながら1人、また1人とログアウトしたり、独得の寂しさと、次に向けての期待感というちょっとセンチメンタルな気分になったりする。ずっと続くというのがオンラインゲームの楽しさだが、時にはこういう「一旦お休み」という雰囲気も悪くないものだと思う。


■  てっちゃんの割とどうでもいい話 「メカ好きの僕の心を強く揺さぶった“変形”」

砲身と一体化した砲撃形態。移動はできなくなるが、攻撃力が上がる

 「変形メカ」には独得の魅力がある。僕は昔、サラリーマンをしていたときに仕事で「バケット車」に乗ったことがある。バケット車とは、電線や屋根の上で作業するときなどに使う、トラックの荷台部分がクレーンになっている乗り物だ。クレーンの先端には高い場所で作業する為のカゴ(バケット)が付いているのが特徴だ。

 バケット車で高所作業をするときは、車体に取り付けられているジャッキを伸ばし、車輪を浮かせ固定する。車のエンジンは、そのままクレーンを動かす動力となる。トラックが、いくつかのスイッチの操作で「作業台」になるこのプロセスは、かっこよかった。移動と高所作業という2つの機能を併せ持つこの車は、「現実にも、ちゃんと変形メカってあるよな」と感じさせてくれた。

 で、本題の「RF Online」である。全身を機械化したアクレシアはレベル30からキャノンと呼ばれる大砲型兵器と「変形合体」することができる。キャノンと体が一体化し、移動はできないが強力な攻撃が行なえる砲撃形態へ変形できるのである。全軍がぶつかりあう「聖戦」で、アクレシアは砲撃形態へ変形しコラやベラートを迎え撃つのだ。

 アクレシアは僕のような「ロボ好き」の人の心を揺さぶる魅力がある。特に僕は、この攻撃力を最大限に発揮するための、移動力を犠牲にして砲撃形態へと変形するというシチュエーションにしびれ、レベル30まで一生懸命キャラクターを育てた。この砲撃形態への変形と、仲間と共に隊列を組み、敵に対して一斉射撃を行なう感覚は、とても楽しかった。



~今回ぐだってしまったオンラインゲーム~

「RF Online」

イベントで呼びだされたホーリーストーンキーパー。見上げるほどに巨大な敵だ

 「RF Online」は2005年10月より月額課金での正式サービスが行なわれていたが、2007年2月に一旦終了。2007年4月よりゲームオンで「RF online Z」とタイトルをリニューアルし、データを引き継ぎ運営が再開された。

 本作では頭が大きくて足の短い、かわいらしい外見の人間型の種族「ベラート」、とがった耳とほっそりとした美しい容姿を持つ「コラ」、そして脳以外の全ての肉体を機械化した「アクレシア」の3種族が争うRvRをテーマとしている。特にアレクシアは、ロボットアニメに出てきそうな外見がユニークだ。

 本作のRvRの目的は、全てのマップの中心である「クレッグ鉱山」を奪い合うことだ。クレッグ鉱山には巨大なモンスター「ホーリーストーンキーパー」がいて、各種族が持っているコントロールチップを2つ集めると、このモンスターをコントロールし、クレッグ鉱山での安全な採掘が可能になり、強いアイテムを作ることができるのだ。

 コントロールチップを奪い合う戦いは、現実の時間の午前6時、午後2時、午後10時に、「聖戦」という形でスタートする。この時間は各種族のコントロールユニットがアクティブになり、破壊することでコントロールユニットを奪える。コントロールユニットを巡って、三つどもえの戦いが日夜繰り広げられているのである。


【スクリーンショット】
左はコラ、中央はベラートだ。右は3種族が戦場の中をただひたすら行進した瞬間

こちらは最新の「RF Online Z」からのスクリーンショット。プレーヤー達の装備は非常に派手に、かっこよくなっている。上段が聖戦、下段がイベント時のものだ

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(2011年 3月 9日)

[Reported by 勝田哲也]