【連載第10回】オンラインゲームの楽しさを再認識しよう!


てっちゃんのぐだぐだオンゲーコラム


「Master of Epic」で考えさせられた、上級者と初心者の繋がり
凄い場所を見せてあげたい! 導かれたのは巨人達が待つ場所!?


 オンラインゲームの様々な面を取り上げていく「てっちゃんのぐだぐだオンゲーコラム」。今回は、僕が「Master of Epic」で体験した初心者と上級者の交流を取り上げていきたい。MMORPGの“ベテラン”達にとって、初心者との出会いは楽しい体験の1つだ。初心者を導き、彼等の驚きと喜びを共有することで、改めてゲームの楽しさを再確認できるからだ。

 しかし、想いばかりが空回りして時にはがんばり過ぎちゃうこともある。上級者の「初心者でも楽しめる」と、初心者自身の「楽しい」に隔たりが生まれてしまうこともあるのだ。今回紹介する体験は、僕自身も他のゲームで上級者側で経験したこともあり、読者の皆さんも上級者と初心者それぞれの立場で共感できることではないだろうか。初心者にゲームを楽しんでもらうためにはどう接すればいいのか、これはオンラインゲームプレーヤーの永遠のテーマだと思う。


■ この世界の幅を見せてあげよう! 上級者が提示した危険な大冒険

チュートリアルリニューアル時は、上級者プレーヤーが初心者フィールドで色々指導をしてくれた

 「Master of Epic」(以下、「MoE」)は2005年4月よりサービスを開始しているMMORPGだ。キャラクターはスキル制の成長システムを採用しており、ファンタジー色豊かな、暖かな雰囲気の世界を舞台にしている。プレーヤーは57種類のスキルの中からいくつかを上げていくことで理想的なキャラクター像を目指していく。

 この「MoE」が2010年の7月にチュートリアルをリニューアルした。これまでのチュートリアルは閉鎖空間での詰め込み式だったが、新チュートリアルは他のプレーヤーもいるフィールドで、プレーヤーが望む順番でゲームの基礎を学ぶことができるようになった。

 「MOE」は以前から興味があった。「ウルティマ・オンライン」と同じようにスキル制のゲームで、運営やユーザーが様々なイベントを企画しているということを聞いていたし、暖かさを感じさせる世界観や、神秘的なストーリーも興味があった。この世界をのぞいてみるのに、ちょうどいい機会だと思ったのだ。

 チュートリアルを進めながら、気になっていたのは、広場の真ん中に何人かの人が座っていたことだ。装備から見て、彼等は明らかに上級者であることがわかった。彼等は初心者達に色々なことを教えていた。「やはり『MoE』のコアプレーヤー達もこの機会に、新規プレーヤーと交流を図っているんだな」と感じた僕は、彼等に話しかけて、チュートリアルのわかりにくかったところや、詰まった部分をどんどん聞いてみた。

 質問には丁寧に答えてくれて、的確なアドバイスもしてくれた。泳ぐときのコツ、高いところから飛び降りる「落下スキル」の必要性などの冒険者としての基礎の部分。さらには、スキルのショートカットの登録や、アイテムを使うときにはダブルクリックではなく、USEというアイコンにドラッグするといった、システムの基礎的な部分でも助言もしてもらい、「この人達は初心者とコミュニケーションをするのになれているんだな」というのがよくわかった。

 その後、上級者達の薦めで何人かの初心者と上級者でパーティーを組み、パーティーチャットで色んな事を質問したり、雑談をしていたのだが、初心者の1人が「どこかチュートリアルフィールド以外のところに行ってみたい!」と言ったのだ。僕も上級者達がどんなところに連れて行ってくれるだろうかと思い、期待に胸を膨らませて同行をお願いした。

 上級者達は僕らを1カ所に集め、「じゃあいくよ」というセリフと共に、魔法使いが空間に、巨大なオブジェクトを呼び出した。これは「リコール アルター」という呪文で、オブジェクトの名前は“アルター”と言い、このアルターの近くにいれば、魔法使いが記憶している場所に連れて行ってくれるのだ。魔法使いが巨大な移動用の機械を呼び出す、というビジュアルは新鮮で、感心しながらテレポートした先は……


イラスト:阿佐ヶ谷帝国

「あの怪物の間をすり抜けていくよ!」

 よりよってこんなところなのである。そこには指でつつかれただけで死んでしまうような巨人“ケイブ・ギガース”が、何匹もいるフィールドだったのだ。魔法使いの先輩は「グレイブヤードミスト」という魔法で、巨人の視界を狭めた上で、「彼等の視界に入らなければ大丈夫だ」といって、彼等のすぐそばを通り抜けた。他にも巨大なマンモスが遠くを横切ったり、「このゲームにはこんな敵がいるのか」というゲームの“幅”を見せてもらった。

 巨人の足下をチョロチョロと進む、まるで自分がネズミか何かになったような体験は新鮮だった。それでも、彼等についていったとき、視界外でケイブ・ギガースに絡まれて死んでしまったり、段差がわからず転落死してしまったりした。引率している上級者達は親切にフォローしてくれたが、当人である僕自身が驚くほど初級キャラクターは死にやすく、助けてもらう度に自分の無力を痛感させられた。「こんな事でも死んでしまうのか」というのは、上級者はもちろん、僕自身もキャラクターに対して感じた印象だった。

 それからも何度か巨人達の足下を越え、高台から川の流れる美しい風景を見せてもらった。巨人達のフィールドはゴツゴツした岩場だったが、うってかわって谷間を流れる美しい川は見応えがあった。上級者達は巨人の足下を通り抜けるドキドキ感と、広がる風景の美しさを見せたくて、僕らをここまで連れてきてくれたのだ。しかし、感想としては「ちょっとつらい道のりだったなあ」というのが正直な気持ちだった。

 もちろん彼らは決して意地悪でやっているのではなく、「自分が楽しむゲームを同じように楽しんで欲しい。成長するとこんな冒険ができるんだ」という上級者達の想いはしっかり伝わってきた。ただ、少し極端だったかなあと思う。やはり、ゲームの中で自分のキャラクターが死ぬ、というのは結構へこむ。彼等は手厚いバックアップをしてくれたが、もうすこし初心者の身の丈にあった場所に連れて行って欲しかったな、と思った。

 こう思うのは、僕自身、他のゲームで上級者の立場で、同じような経験をしたことがあるからなのだ。僕は上級者として、初心者をちょっときつめのダンジョンに連れていき、結果として、「僕の力はまだまだなんで、ちょっと1人でプレイします」と言われてしまったことがある。その反省から、現在では、初めての人と遊ぶときは、あえて戦闘要素を少なく、面白い地形や、建造物を見せるなど「観光」を中心に、世界の広さを見せるようにしている。

 もし戦闘する場合は、彼等のレベルのところで、バックアップに徹したり、セカンドキャラで一緒に育成するといったこともしている。初心者が、僕がいなくても自分1人で行けそうな場所を増やし、楽しめることができるように、初心者の「視界」を広げる事を心がけるようになった。

 上級者にとって自分の好きなゲームをいかに好きになってもらうかは、大事なテーマだ。今回出会った上級者達の気持ちは、僕自身とても共感できる。楽しんでもらい、好きになってもらうために、初心者の視点を忘れないということも気をつけなくてはいけないことだと思う。もちろん、人によって様々なアプローチがあるし、受け取り方も様々だ。その偶然の出会いがうまく合ったとき、「新しい仲間」が増える。初心者に自分の好きなゲームで楽しい体験をしてもらいたい、一緒に遊ぶ仲間が増えて欲しいというオンラインゲームプレーヤーの想いは、応援したい。僕自身も、これからも考え、働きかけていきたいと思う。


■  てっちゃんの割とどうでもいい話 「世界の人々が争って求める魔力の源」

城の上に浮かぶノアストーン。ここから降る粉が魔法を生み出す

 「MoE」では魔法を使うのに“ノアパウダー”という粉末を触媒として使う。ノアパウダーには等級があり、初歩の魔法を使うためにはノアダストと呼ばれる純度の低いものを使う。店で普通に売っているが高純度のノアパウダーは高価だ。神秘魔法にはノアダストをノアパウダーに精錬する魔法もあるという。

 このノアパウダーは「ノアストーン」から降り注いでいる。ノアストーンは強大な力をもたらすオブジェクトであり、各国がその支配権を巡って争っている。この石は1億3,000万年前から存在し、この石を持っていたモラ族はこれを手放し、現在までも争いが続けられている。現在この石はビスクという国家が所有しているが、制御するすべはまだ明らかにされていない。イルミナ城の上に、鎖で縛り付けられている姿を見ることができる。

 謎のオブジェクトと、そこから広がる世界観、そしてプレーヤーの「魔法」の根幹をなす存在……。海外のゲームでも設定やストーリーはかなりの考証が重ねられてはいるとは思うが、比較すると「MoE」のこの設定はやはり伝わりやすく感じる。手元の魔法の粉と、城の上に浮かぶ巨大な立方体がリンクし、さらに世界全体へ拡散していくイメージが面白い。この丁寧な設定は、「やはり日本のゲームはいいなあ」と思わせる“ロマン”があるのだ。



〜今回ぐだってしまったオンラインゲーム〜

「Master of Epic」

アバター要素もゲームのセールスポイントの1つ。色々な格好をした人達がいる

 「Master of Epic」は2005年4月よりサービスが開始されたMMORPG。最初はハドソンが自社で月額課金制の運営を行なっていたが、ロッソインデックスに運営が移譲され、基本プレイ無料のアイテム課金のゲームとなった。現在は開発もロッソインデックスが行なっている。暖かな雰囲気と、かわいらしいキャラクターデザイン、深い設定の世界観を持っている。GMイベントが行なわれるだけでなく、プレーヤー達のイベントも活発で、熱心で親切な上級者達が多い点も特徴だろう。

 また、「MoE」には“時代”によって世界ががらりと変わるというユニークな要素がある。10年後に訪れるWar Ageや、3千年後の生物が根絶やしになる破滅の時代Future Age、そして45億年前のChaos Ageなどいくつもの時代の設定がある。War Ageに移動することでプレーヤーは3つの勢力にわかれた大規模PvPができる。Chaos Ageでは強大な敵に最大350人で挑める大規模な戦いが体験でき、Future Ageは5人パーティーでのインスタンスダンジョンが楽しめる。時代によって様々なゲーム性を実現させており、加えて“現代時代”は悲劇へと向かう未来を食い止めようとするのが大きなテーマとなっており、ストーリーとゲーム性が複雑に絡み合う世界は大きな魅力だ。

 ゲームの根幹のシステムは「ウルティマオンライン」タイプのスキル制で、プレーヤーはスキルを組み合わせ自由にキャラクタービルドができる。複数のスキルを取ることで「究極奥義の書」を使った追加能力を獲得したり、専用の装備を使えたりする。ハウジングなど、MMORPGとして求められるゲームシステムも充実している作品である。


【スクリーンショット】
チュートリアルフィールドから出ての冒険。巨人の姿は衝撃だった
様々な装備の冒険者達。グラフィックス的には少しレガシーな雰囲気だが、プレーヤー達がそれぞれ個性を追求しているのがわかる。キャラクターへの思い入れも伝わってくる
時代を超えた危険な冒険。信じられないほどに大きいレイドボスとの対決も

ROSSO INDEX K.K./ HUDSON SOFT

(2011年 2月 8日)

[Reported by 勝田哲也]