【連載第91回】韓国最新オンラインゲームレポート

Ntreev Soft、「パワーレンジャーオンライン」制作報告会を開催
あの「スーパー戦隊シリーズ」がオンラインゲームに。変身ヒーローになってこの世界を守るのだ!


8月11日よりオープンβテスト開始

2011年正式サービス開始予定



 韓国Ntreev Softは10月28日、ソウル市内に位置するウェスタン朝鮮ホテルにおいて、「パワーレンジャーオンライン」制作報告会を開催した。

 「パワーレンジャーオンライン」は、日本の「スーパー戦隊シリーズ」を海外向けにリメイクした「パワーレンジャー」のIPを使用したオンラインゲームだ。韓国でのサービススケジュールは11月3日から9日に第1次CBTを実施し、2012年の第1四半期に第2次CBT、2012年の上半期にOBTと正式サービスをそれぞれ予定している。ビジネスモデルはアイテム課金制で、日本も含めて海外でのサービスに関しては未定となっている。

 本作は数あるシリーズの中でも「パワーレンジャー・マジックフォース」(邦題:「魔法戦隊マジレンジャー」、英題:「パワーレンジャー・ミスティックフォース」)を使用。戦隊モノならではの変身システムや合体技、メカなどが特徴の横スクロールのMORPGだ。韓国の子供たちの間には2006年から「パワーレンジャー」のブームが巻き起こっており、本作に対する期待も大きい。早速、本作の模様を紹介したい。


【『パワーレンジャーオンライン』のプロモーションムービー】



■ 韓国では初の正式放送となった「魔法戦隊マジレンジャー」をベースにオンラインゲーム化

「パワーレンジャーオンライン」のロゴ
韓国では初めての戦隊モノ「超新星フラッシュマン」。筆者もVHSで「超新星フラッシュマン」を見てきた世代の1人だ。この世代に「フラッシュマン」という名前を知らない人はいないほど

 まず、日本では馴染みがないであろう「パワーレンジャー」と、「スーパー戦隊シリーズ」の韓国の状況から説明して置きたい。

 「パワーレンジャー」は、東映の「スーパー戦隊シリーズ」を海外向けにリメイクした作品。各シリーズごと細かい設定異なっており、韓国では「パワーレンジャー」の名前で知られている。

 韓国で「パワーレンジャー」シリーズが始めて登場したのは、1989年に「超新星フラッシュマン」がVHSで発売されてからだ。当時の子供たちの間で大旋風を巻き起こし、それ以降のシリーズもいくつか発売されたが、すべてVHS版で、テレビで放送されることはなく、戦隊モノのブームは1990年代に終わっていた。

 しかし、2006年にDAEWON MEDIAを通じて、「パワーレンジャー・マジックフォース」(邦題:「魔法戦隊マジレンジャー」、英題:「パワーレンジャー・ミスティックフォース」)が正式に放送をスタート。これをキッカケに韓国の子供たちに再び戦隊モノのブームが巻き起こり、毎年、新しいシリーズが放送されるようになった。今の韓国の子供たちには、「パワーレンジャー」は圧倒的な人気を誇るIPの1つで、「パワーレンジャー・マジックフォース」は韓国でミュージカル版が制作されたこともあるほどだ。

 今回発表された「パワーレンジャーオンライン」は、「パワーレンジャー・マジックフォース」をベースにした作品となる。Ntreev Soft、IronNos、DAEWON MEDIA、そして日本の東映の4社が参加する大型プロジェクトだ。東映がIPを提供し、DAEWON MEDIAが監修、Ntreev Softがパブリッシング、IronNosが開発を担当している。また、本プロジェクトにはDAEWON MEDIAとNtreev Softが共同出資しているという。

 開発を担当しているIronNosのCEOパク・チャンギュ氏によると、「パワーレンジャー・マジックフォース」をベースにした理由ついては、韓国で正式サービスされた初のシリーズという象徴的な意味もあるけど、魔法をモチーフにした「パワーレンジャー・マジックフォース」はクラス分けや、スキルなどが、ハッキリしていて、オンラインゲームに最適化されたシリーズだからだという。さらに、2006年当時、放送を見てきた子供たちは今はオンラインゲームを遊び始める10~13歳の年齢になっており、それをターゲットにする狙いもあるという。


【韓国での「パワーレンジャー」】
2006年の「魔法戦隊マジレンジャー」から、轟轟戦隊ボウケンジャー、獣拳戦隊ゲキレンジャー、炎神戦隊ゴーオンジャー、百獣戦隊ガオレンジャーの順に放送され、現在は「天装戦隊ゴセイジャー」が放送中。特に「獣拳戦隊ゲキレンジャー」は放送、グッズ共に異例的なヒットだったという




■ 戦隊モノならではの変身や、合体技システムが導入された横スクロールMORPG

ゲームを紹介したのはIronNosのCEOパク・チャンギュ氏

 本作の説明は、デモプレイをしながら行なわれた。本作は横スクロールタイプのMORPG。最初は本部基地からスタートする。ここはいわゆるマッチングロビーの役目を果たしており、原作の登場人物でもある“天空聖者”からクエストを貰ったり、パーティーメンバーを募集したり、アイテムの購入などができる。

 本部基地のゲートを通じて実際の戦闘が楽しめるステージへ移動することができる。ステージはシナリオごとACTとしてわけられており、各ACTは7つのステージで構成されている。第1次CBTの時点では2つのACTが実装されるという。また、各ステージは4つの難易度を選択して、プレイすることができる。難易度が難しいほど、アイテムなどの報酬が良くなる。

 ゲームの操作は基本的にキーボードをメインにし、キャラクターはカーソルキーを使って8方向に移動したり、キーボードに割り当てたショートカットキーを使って攻撃することができる。全体的に軽快でスピーディな操作感で、適当にキーを連打をするだけでも遊べるようになっているという。

 本作の最大の特徴といえるのは“戦隊モノらしさ”だ。ステージの最初の段階では普通の人間の姿からスタートし、一定の時間が過ぎると変身キーを押すことで変身シーンが流れ、マジレンジャーになる。普通の人間の姿では通常攻撃のみ可能だったが、変身することで各スキルを使用できるようになるシステムだ。

 各レンジャーは色によってスキルや特徴が異なる。レッドレンジャー(マジレッド)の場合、マジスティックソードを武器として使用し、マジパンチといった原作のスキルのほかに、オンラインゲーム版オリジナルのスキルも登場するという。イエローレンジャー(マジイエロー)は、マジスティックボウガンを使って範囲攻撃をまき散らすキャラクターだった。なお、ピンクレンジャー(マジピンク)は変身術で敵を混乱させることを得意としているという。

 デモプレイの最後にはステージのボスモンスターとして、原作でも登場する「冥府伍長ハイゾビル」が登場した。地面からウォームを一時的に召喚して攻撃してくるボスモンスターだった。ウォームが召喚されるところには、地面にマークが浮かび上がり、事前に回避することができるなど、攻略法もちゃんと用意されている。

 ボスモンスターのHPをゼロにすると、ボスモンスターは魔法で蘇る。この瞬間、レンジャーたちは力を合わせて合体技となる協力魔法を使用してボスモンスターを倒すという設定だ。協力魔法が発動するとプレーヤーたちはスペースキーを連打して、ボスモンスターからより多くの報酬を貰うことができる。また、一番連打が上手かったプレーヤーはランダムに追加アイテムをゲットできる。

 デモプレイを見る限りでは、誰でも簡単に遊べるカジュアルな横スクロールゲームになっており、戦隊モノが好きなユーザーなら1度プレイしてみたくなるゲームだった。


【本部基地とステージの選択】
ロビーや街とステージに分かれたオーソドックスなMORPGのシステムになっている。また、原作の搭乗キャラクターである「天空聖者」がクエストNPCとして登場する

【変身シーン】
ステージの戦闘中に通常の人間の姿から各レンジャーへ変身できる。変身の条件は現段階では特になく、いつでも変身できるという

【戦闘シーン】
戦闘はスピーディーな展開。変身後は様々なスキルが発動され、激しい戦闘が繰り返された

【ボス戦】
ボスモンスターも原作に登場する敵たちが登場する。各ボスモンスターはそれぞれ攻撃パターンが用意されていて、弱点を的確に狙わなければ倒すことができない

【協力魔法】
協力魔法は2人以上の時に発動されるという。本作のターゲットは小中学生で、難しい操作は必要としないゲームだ




■ 今後は「メガゾード」や、他のシリーズの参戦も!?

本作で登場するオリジナルの装備。オンラインゲームの特徴上、原作に登場する以外にも様々な装備品が必要となるが、「パワーレンジャーオンライン」では東映の許可を得て、オリジナルの装備を多数盛り込むことができたという

 また、本発表会のプレゼンテーションでは、今後のコンテンツ実装予定について説明が行なわれた。

 まず、韓国で11月3日から9日の日程で実施される第1次CBTでは、レッドレンジャーとイエローレンジャー、ピンクレンジャーの3つのキャラクターのみ実装し、2つのACTと14個のステージが登場する。さらに、2012年の上半期に予定されているOBTではグリーンレンジャーが実装され、正式サービスではブルーレンジャーが実装される予定だ。また、オンラインゲーム版ならではのオリジナル防具なども大量に盛り込み、“原作より格好いい”パワーレンジャーを楽しめるという。

 正式サービス開始以降のアップデートでは、「パワーレンジャー・マジックフォース」で主人公たちが搭乗するメカニックロボット「メガゾード」が登場する予定。原作では5人が操作する「メガゾード」だが、オンラインゲーム版でどういう風に操作するかについては、まだ検討段階だという。さらに、「メガゾード」が実装した後は、「パワーレンジャ・マジックフォース」以外の他のシリーズからの参戦も計画されているそうだ。

 日本を含む海外サービスに関しては未定で、韓国のサービス状況によるという。マーケティング的には「パワーレンジャー」の韓国ライセンスを持つDAEWON MEDIAが、自社が持つアニメ専門のケーブルチャンネルや、「パワーレンジャー」関連のイベントを通じた大々的なマーケティング展開で、「パワーレンジャーオンライン」を全面サポートするという。DAEWON MEDIAは韓国における最大のアニメ、コミックス、玩具の流通会社であり、韓国の子供たちの間では、「パワーレンジャー」の人気は圧倒的なこともあり、本作に対する期待は高い。今後の展開を注目したいところだ。


【今後の実装予定】
グリーンレンジャとピンクレンジャー(左)、「メガゾード」(中)、他のシリーズの参戦(右)。将来的には「パワーレンジャー」シリーズが全部登場するだろうか?

【スクリーンショット】
各レンジャーのスキルは、原作に登場するもののほか、ゲームにしか登場しないオリジナルスキルも多数追加されている


(c) TOEI COMPANY, LTD.
(c) DAEWON MEDIA / NTREEV SOFT / IRONNOS

(2011年 11月 7日)

[Reported by DongSoo“Luie”Han]