【連載第89回】韓国最新オンラインゲームレポート

次世代オンラインFPS「スペシャルフォース2」オープンβテストレポート
韓国では早くもプロリーグがスタート! ダッシュやフラッシュバックなど新機能の使い勝手をチェック


8月11日よりオープンβテスト開始

2011年正式サービス開始予定



 韓国CJグループのエンターテインメント部門CJ E&Mは、8月11日からDragonflyが開発したオンラインFPS「スペシャルフォース2」(以下、SF2)のオープンβテストを開始した。ビジネスモデルは基本プレイ無料のアイテム課金で、年内の正式サービスを予定。日本ではNHN Japanを通じてサービスされる予定で、サービススケジュールに関しては未定。

 「SF2」は、日本でも人気のミリタリーFPS「スペシャルフォース」の続編。前作の開発経験を活かし、βテストの段階から高い完成度を見せつけ、前作をしのぐスピーディなゲーム展開が印象的な作品だ。韓国ではその完成度の高さが好評で、早くも前作「スペシャルフォース」の人気を抜いて「サドンアタック」に続くFPSジャンル第2位につけている。早速、本作の魅力をお伝えしたい。




■ 「2」は前作との繋がりはまったくなし。Unreal Engine 3.0採用の新次元FPS

最初のキャラクター作成時は、Delta Force、GAFE、Spetsnazの中、使用するキャラクタースキンと、M4A1とAKの中、使用する武器を選択する。後にショップを通じて、他のキャラクタースキンや、武器を購入できる

 「スペシャルフォース2」はアメリカとヨーロッパ連合のMAFと中国とロシア連合のAUAというチームに分かれて戦う、「Counter-Strike」を代表とするチームベースのミリタリーFPSだ。最大8対8のマルチプレイをサポートし、ライフルやマシンガンといったメイン武器、ハンドガンをはじめとしたサブ武器、そしてナイフ、手榴弾という都合4つの武器を持って、キーボードの移動操作とマウスの照準操作で対戦する。

 「スペシャルフォース2」は、「スペシャルフォース」の続編という位置づけだが、ストーリーや世界観の繋がりはなく、グラフィックスも完全に1から作り直した完全新規のオンラインFPSだ。ルールこそ同じだが、ルールはもともと「Counter-Strike」の模倣であるため、タイトル以外の関連性はまったくないといっていい。

 対戦はロビータイプのマッチングシステムを通じて行なえる。現在、OBTではチュートリアルとなるミニゲーム1つと、爆弾を爆破することが目的の「爆破モード」、チームデスマッチの「殲滅モード」、目標のオブジェクトを奪うことが目的の「奪取モード」、ヘリを呼び出し戦場から脱出することが目的の「脱出モード」と4つのマルチプレイモードが用意されている。

 マップは各モードごとに2つずつ用意されている。現段階では、CPUとの対戦は用意されていない。基本的なゲームシステムはオーソドックスなミリタリーFPSのままで、「サドンアタック」や「スペシャルフォース」、「Alliance of Valiant Arms」などのゲームをプレイした経験があるユーザーなら、すぐ本格的なプレイができるだろう。

 ゲームエンジンはEpic Gamesの「Unreal Engine 3.0」を採用。だた、グラフィックスに関してはそれほどこだわりはないようで、「これは凄い!」と驚嘆するような表現は少なく、むしろオブジェクトの質感やライティングの表現に不自然さを残している。タッチとしてはややリアル系だが、リアルな表現にこだわりすぎず、暗くて敵が見えなくなったり、迷彩服等でキャラクターがフィールドに埋もれてしまうということはない。

 基本的には、「スペシャルフォース」や「サドンアタック」など、オーソドックスなオンラインFPSゲームのままだが、その上で、本作の最大の魅力と言えるのは完成度の高さだ。「SF2」ならではのゲーム設定や、ゲームモード、ルールといったものは少なく、斬新さは少し欠けた感があるが、ゲームをプレイする上で特にストレスを感じるところがなく、非常に安定感のある良質なFPSという印象だった。

 特に印象が良かったのは、キャラクターの動きと射撃の操作感。動きはスムーズで、前作「スペシャルフォース」のように、ラグのようなモーションは全くない。現行のオンラインFPSの中では、最もスムーズな動きと言える。射撃の場合、武器のバランスが崩れたところが見られたが、全体的に射撃中の反動がかなり抑え目になっていて、初心者にもプレイしやすい印象だった。


【スクリーンショット】
基本的なゲームシステムが同類でも、グラフィックスや、モーション、エフェクトなど、全ての面において、クオリティーは現行のオンラインFPSよりアップグレードした印象だった

【ミニゲーム】
現時点で唯一のシングルプレイで、チュートリアルともなる「ミニゲーム」。現れる標的を撃ち、ハイスコアを目指す内容になっている

【武器のバランス】
武器のバランスについて、詳しく説明すると、普通はM4A1はAKに比べてパワーは弱いが反動は少ないというバランス調整だが、本作の場合、AKの方が反動が非常に少なくパワーも上になっていた




■ ダッシュ、即時攻撃で、スピーディなゲーム展開。初心者に嬉しいフラッシュバック機能

本作はインベントリで装備セットを3つまでセーブできる。次のラウンドで適応されるのは他のFPSゲームと同じだ

 「SF2」は、基本的には他のオンラインFPSと同様のオーソドックスな内容になっているが、幾つか本作ならではのゲームシステムが盛り込まれている。それがダッシュ、照準射撃、即時攻撃、フラッシュバック機能の4つだ。

 まず、ダッシュはSHIFTキーを押している間だけ移動速度が速くなるコマンド。「Alliance of Valiant Arms」でもお馴染みの機能だが、ゲージ分だけダッシュできる「Alliance of Valiant Arms」と違って、「SF2」ではダッシュを無制限に使用できる。

 ダッシュ機能によって、ゲームの進行スピードはかなり速い。爆破モードでは、遠いところでC4が設置されても、すばやくC4の設置場所に到着できたりとか、敵チームとの交戦するチームメイトを助けに行けるとか、激変する戦場の調教に応じて、すばやい動きができた。

 また、本作では武器の切り替えをしなくてもFキーを押すだけでナイフで“即時攻撃”できる。連続攻撃はできないが、リロード中といった場面で、急激に接近した敵をナイフで攻撃できる。ダッシュ機能と共にスピーディなゲーム展開を助ける機能となっていた。

 照準射撃はM4A1やAKなどといったライフルでも、ズームインして射撃できる機能だ。マウスの右クリックで使用できる。この機能については、照準射撃中は連射の反動が通常よりもっと少ないというバランス崩れが見られたが、基本的には遠い敵もライフルで対応しやすい初心者向け機能だ。バランス的には可笑しいが、照準射撃を使用すると反動が少ないという利点で、基本的には照準射撃を利用して連射するのが、本作の基本的なプレイスキルとなっている。

 最後にフラッシュバック機能は、敵に倒された時、自分を倒した相手の視点で、自分が倒される5秒ぐらいの瞬間をリプレイする機能だ。自分がどこから、どういう状況で倒されたかを確認できるので、次のプレイからは同じ場面で気をつけることができる。特に初心者はフラッシュバック機能を通じて、マップの活用法について覚えやすいので、些細な機能だが、プレーヤーを成長させる1つの工夫となっていた。


【照準射撃】
照準射撃は 全てのメイン武器において使えるので、遠い敵を相手する敵に便利だった

【フラッシュバック】
フラッシュバックを通じて、敵の居場所や実力を把握できる。同じ場所と方法で、またやられることはすくなくなった

【クロスボウ】
ナイフの代わりにクロスボウを使用することも可能だ




■ OBT後、FPS分野のベスト3入り。eスポーツ向けに大々的な展開も発表

8月9日に開催された発表会の様子

 「SF2」はオープンβテスト以降、順調な滑り出しを見せている。CJ E&Mの8月22日リリースによると、PCバンのゲームランキングサイト「GameTrics」では、オープンβテスト9日目で、前作「スペシャルフォース」を抜き、FPS分野第2位を記録した。

 8月25日の時点では「スペシャルフォース」の利用率は14.16%でFPS分野第2位、「SF2」の利用率は13.65%でFPS分野第3位を記録している。利用率を見るとその差は僅差だった。全体的に高いクオリティーでユーザーたちの評価は高く、様々なプロモーションが実施された結果だと言われている。

 一方、CJ E&Mは今回のオープンβテストが行なわれる2日前である8月9日、「『スペシャルフォース2』ローンチ 記者懇談会」を開催。この時、「SF2」に関する具体的な発表は行なわれなかったものの、eスポーツ向けの展開を重視していくことが発表された。

 具体的には、まず、8つの「SF2」プロチームが誕生する。詳しくは、9月から10月中に一般ユーザーも含めて、参加希望クランを集めて「スーパーリーグ」というリーグ戦を行ない、32チームに絞る。8つの「SF2」プロチームのスポンサー側は、その32チーム中からドラフト形式で、自分たちがスポンサードするチームを選択するというシステムになっている。

 そして、11月からは8つのプロチームたちで、「スーパープロリーグ」が開催されるという。CBTの段階から早くもプロリーグというわけで、ちゃんとした試合が見れるのかという不安もあるが、前作「スペシャルフォース」のプロ選手たちも高い関心を示していることや、「SF2」そのものの人気の高さを考えると、十分期待できる試合になりそうだ。

 「SF2」はOBTの段階で現行のオンラインFPSより完成度が高く、様々な工夫でFPSとしてのハードルを下げているため、プロゲーマーから、カジュアルなゲームファンまで幅広く楽しめるFPSに仕上がっている。まだ、初期の段階だが、順調な滑り出しを見せて、今後の更なる成長に注目が集まっている。日本では前作「スペシャルフォース」のプロゲーマーが誕生したばかりだが、「SF2」の展開でどのように影響されていくかも気になるところ。NHN Japanからの「SF2」情報も含めて、今後の展開に期待したい。


【プロリーグ】
「スーパーリーグ」のスケジュール。9月24日から10月22日まで32チームを絞って、11月からは「スーパープロリーグ」が開催される予定だ


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(2011年 8月 29日)

[Reported by DongSoo“Luie”Han]