【連載第76回】韓国最新オンラインゲームレポート
韓国NHN、「HANGAME G-STAR PREMIERE 2010」を開催
次世代MMORPG「Tera」を筆頭に「G-Star 2010」に出品タイトルを披露
韓国NHNは11月15日、ソウル市内COEXインターコンチネンタルホテルにおいて「HANGAME G-STAR PREMIERE 2010」を開催した。その名の通り11月18日から21日まで韓国釜山で開催される韓国のゲームショウ「G-Star 2010」に先駆けて、韓国のメディアにNHNの今年のラインナップとその内容を紹介するという内容だった。
発表されたラインナップは、2010年末にオープンβテストを開始予定のMMORPG「Tera」を筆頭に、RTSRPG「Kingdom Under Fire 2」(以下、KuF2)、FPS「Metro Conflict: Presto」(以下、MC:P)、MMORPG「Asta」といずれも大作と呼称するにふさわしいタイトルばかり。特に「KuF2」、「MC:F」、「Asta」は「G-Star 2010」が初お披露目となる。本稿では本発表会で紹介されたタイトルをお伝えしたい。
■ オープンβテストは間近。本発表会では「Tera」の未来図を発表
本発表会ではLCDモニター6つを組み合わせた大画面での施遊台が設けられていた |
美しいグラフィックスが特徴の「Tera」。日本にやってくる日もそう遠くなさそうだ |
「Tera」は“フリーターゲッティング”システムを最大の特徴としたMMORPGだ。このシステムは、戦闘時において敵をターゲットしてから攻撃する従来のシステムから脱却して、ターゲット先を指定せずに自由に攻撃を繰り出すことができるというあたかもアクションゲームのようなバトルシステムとなっている。MMORPGとオンラインFPSをミックスさせたような作品と言える。
「Tera」は現在まで400億ウォン(約30億円)以上の巨額の開発費が投入された文字通りの大作MMORPGで、去年の「G-Star 2009」に続き2年連続で「G-Star」に参加するNHNの主力タイトルとなる。現在韓国では、第3次クローズドβテストまで終了しており、年末までにはオープンβテストを開始する予定だ。
本発表会では「Tera」の新要素と今後について紹介された。「Tera」は美しいグラフィックスで高い注目を浴びていたタイトルだったが、2010年2月に行なわれた第3次クローズドβテストまでユーザーたちの反応が芳しくなかったことから、インターフェイス周りを含めた改善バージョンを今回の「G-star 2010」で大々的に披露するという狙いである。
1番改善されたところはストーリーテリングの手法だという。クエストにカットシーンを挿入し、シナリオやNPCなどを大きく変えたという。そして、キャラクターの成長に関するレベルデザインを改善し、モンスターの配置や経験値テーブルを再構成した。また、大型モンスターとの戦闘中に視野に関する不満が多かったため、視界を広くした。
今後の新要素としてはPvPシステムや、政治システムが盛り込まれるという。政治システムによって選ばれたリーダーは税率やNPCの配置の変更や、地域内でのPKのオンオフを設定する権限が与えられるという。ユーザーがゲーム内の環境を作っていき、ギルドによる大陸間の対立を描くという。本発表会で公開されたトレーラームービーも政治システムをモチーフにした内容となっている。
そして、将来的にはアップデートを通じてサーバー間の対立も考えているという。「Tera」はアクションが目立ったタイトルであり、その戦闘のスケールを広げて行きたいという方針だ。他にもスキルやアイテムの調整、追加がされているという。
なお、本発表会では正式サービスに先駆けてビジネスモデルも発表された。月額課金制で、オープンβテストを開始してから間もなく正式サービスを予定しているという。料金設定はまだ明らかにしていない。
【「Tera」プロモーションムービー(韓国語)】 |
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【Tera】 | ||
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前回よりグラフィックスのディテールもアップしている。同作は日本ではNHN Japanを通じてサービスされる予定だ。NHN Japanからの情報を期待したい |
■ 多数の部隊を率いる新感覚戦争ゲーム「Kingdom Under Fire 2」
コンシューマーゲームのようなメリハリの効いたグラフィックス |
「KuF2」は2000年から、Xboxで発売された「Kingdom Under Fire」シリーズの続編に当たるPCオンラインゲームだ。プレーヤーは部隊を組み合わせて、部隊同士の戦略的な戦いを楽しめる。数千人のキャラクターによる戦争が特徴である。サービススケジュールやビジネスモデルは未定となっている。
今までは一部のスクリーンショットや簡単な情報しか公開されておらず、どういったプレイが楽しめるのか不明な点が多かった。本発表会では実際のプレイが見られることができたので、その模様を紹介したい。
本発表会では戦闘に突入した直後からのゲームプレイシーンを見ることができた。ゲーム画面は3人称視点になっており、プレーヤーは突撃する接近戦部隊、遠距離攻撃ができるレンジャー部隊、そして大型サソリ1匹という3つの部隊を操作できる。部隊はリーダーと数十人のキャラクターで構成されている。幾つかの部隊の組み合わせで敵陣営と戦闘を行なうものだ。
プレーヤーは各部隊の操作を切り替えながら、攻撃や移動といった命令を下すことができる。また、プレーヤーはリーダーキャラクターを直接操作できる。リーダーは様々なスキルを使用でき、接近戦部隊のリーダーは「真・三國無双」シリーズのような派手なアクションプレイができた。接近戦部隊をプレーヤー自身が指揮しながら、時折レンジャー部隊に切り替えて、遠距離攻撃を命令し、さらに大型サソリに切り替えて、盾の役割をするなど、TPSアクションとリアルタイムストラテジーが両方同時に楽しめるような感触だ。
複数のゲーム性をミックスしているため、若干操作が煩雑な印象だが、戦場の状況を把握し適切な命令を下す必要がある戦略性と、リーダーキャラクターによるアクション性が魅力的。数千キャラクターによる戦争を指揮できるのはまさに壮観だ。マルチプレイは最大4対4の8人対戦に対応するという。
【「Kingdom Under Fire 2」プロモーションムービー(韓国語)】 |
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【Kingdom Under Fire 2】 | ||
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動くキャラクターだけだと数千人による戦場を表現している「KuF2」。システムスペックなどが気になるところだ |
■ 派手な火力戦がポイント「Metro Conflict: Presto」
「MC:P」は今年の3月に行なわれた「HANGAME EX 2010」で初公開されたFPSゲームだ。「A.V.A.」を開発したRedduckの次期作である。ゲームエンジンは「Unreal Engine 3.0」を使用し、近未来を舞台にしている。最大16人による8対8のマルチプレイが楽しめる。2011年第1次四半期に第1次クローズドβテストを予定。
「MC:P」のテーマは“派手な火力戦”だ。そのテーマにピッタリな要素はまず、2つの武器を同時に使用できる“デュアルウェポン”システムが挙げられる。「MC:F」では4つの兵科が存在するが、どの兵科でもプレイ中に他のプレーヤーが倒されて落とした武器を広い、同時2つの武器を使用することができる。
そして、重火武器を使用するガンナー(Gunner)という兵科が挙げられる。「MC:P」では敵の銃撃を防ぐことができるシールドも使用できるが、ガンナーはシールドを使用する敵をシールドごと吹き飛ばすことができるという。「MC:P」ではガンナー以外にもライフルを使用するアサルト(Assault)、サブマシンガンを使用するリコーン(Recon)、スナイパーライフルを使用するスナイパー(Sniper)といった兵科が用意されている。
最後には“ストームシステム”が挙げられる。“ストームシステム”は兵科ごと別々に用意された特殊スキルだ。アサルトは動きを早くさせる「アドレナリン」、リコーンは壁の向こうにいる敵の位置を把握できる「スキャニング」、スナイパーは偵察用の無人航空機、ガンナーは攻撃用の無人航空機を使用できるという。
また、「MC:P」はストーリーによるCO-OPプレイも重視しているという。「MC:P」はアメリカを部隊に2つの勢力の戦いを描き、それに関わる様々なミッションをプレイできるという。本発表会で公開されたCO-OPはとある施設に数人で侵入していく内容となっている。
韓国NHNは「G-Star 2010」の公式スポンサーであり、ブースも最大の100コマで出展する。何れの作品も施遊台が設けられて注目度が高い。各タイトルの細かいインプレッションはブースレポートでお伝えしたい。
【「Metro Conflict: Presto」プロモーションムービー(韓国語)】 |
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【Metro Conflict: Presto】 | ||
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射撃した弾の軌跡をビジュアル表現しているのも特徴の1つ。次世代オンラインゲームを標榜している |
【Asta】 | ||
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東洋的なファンタジー世界をモチーフにしたMMORPG。日本の武者の格好をしたキャラクターや、鬼のようなキャラクターなど、日本文化も織り交ぜられている。「G-Star 2010」ではαバージョンがプレイ可能。2011年上半期に第1次クローズドβテスト予定としている |
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□NHNのホームページ(韓国語)
http://www.nhncorp.com/
□「G-Star 2010」のホームページ(韓国語、英語)
http://www.gstar.or.kr/
(2010年 11月 16日)