コーラス大柳の「ためにならないインディゲームレポート」

【新連載!】コーラス大柳の「ためにならないインディゲームレポート」

最高のモバイルゲーム機iPad Proに最適化されたモバイルゲームを大紹介する

 こんにちは。コーラス・ワールドワイドの大柳と申します。

コーラスの代表作「The Room」

 最初に自己紹介しますと、コーラスは社長の金親と私の2名だけの小さい会社です。金親はカナダに、私は東京でそれぞれ活動して、主に欧州のモバイルおよびインディゲームを日本をはじめとするアジア圏向けにローカライズ、配信を行なっています。自前で開発はおこなっていませんので、インディ専門のパブリッシャー(出版社)という国内では珍しい存在と言っても差し支えないかもしれません。

 GAME Watch読者の皆さんは、プレイステーション 4のようなコンソールゲーム機やPCなどでゲームを楽しむコアなゲームファンが多いかと思いますが、私たちはiPhoneやAndroid機のようなモバイル機も立派なゲーム機だと考えており、日本のメーカー各社さんがあまり手を出さない、正確に言うと、“出したいけど売上などを考えると手が出せないゲーム”でラインナップを組んでいます。

 日本ではモバイルゲームは、いわゆる「ソーシャルゲーム」の流れをくむゲームデザインやマネタイズの手法が主要なタイトルにおいて定着したためか、いまだにコアゲームファンからはなかなか「ゲーム機」として見てもらえていない状況があります。

 しかし、App StoreやGoogle Playを見ると、世界中のスタジオが様々な「ゲーム」を毎月毎週リリースしているのです。私たちがコーラスを立ち上げたのは、そのような皆さんの知らないゲームを日本語環境で提供したいというのが大きな目的の1つになっています。

 モバイル機は毎年倍以上の勢いでスペックが良くなり、ゲーム機やPCよりも遙かに速い進化を遂げています。「モバイルゲームなんてボタンポチポチ押してるだけでしょ?」なんて見識は遙か昔のこと。FPS、RTS、アクションにレース、シミュレーション……おおよそPCやゲーム機にあるジャンルはほとんど網羅されており、世界的なメジャーメーカーから少人数のインディースタジオまで、世界中のクリエイターが日々チャレンジをしている激アツプラットフォームがモバイルなのです!(いまさらですが)

 本日から始まった連載では、国内外の様々なモバイルゲームやプラットフォームを問わないインディゲームに脚光をあて、個人的に購入したガジェットなどを使った小ネタなどもご紹介できればと考えています。タイトルは「ためにならない」とか脱力気味になっていますが、要するに気になったものを好き勝手に書くだけなので、脱線しやすいタイトルにしてみました。気長にお付き合いをいただければ幸いです。

皆さんはiPad Proが最高のモバイルゲーム機だって知ってましたか?

iPad Proで快適ゲームプレイ

 記念すべき1回目は、私が最近購入したお気に入りのガジェットをご紹介。Appleから昨年11月に発売されたiPad Proは、ゲーム機としても最高のパフォーマンスを持つデバイスです。12.9インチのスクリーンとA9Xプロセッサ、4GBのメモリ、そして4つのスピーカーはゲームファンにとっても魅力的に映ります。

 値段はハッキリ言って高価ですが、App StoreにあるiPadのために作られた無数のAppが最高の環境で利用できるという点は見逃せません。特にゲームの部分に関して言うと、iPad ProはiOSにおける最上位機なのですから、Windowsタブレット(と比較するのは本来間違っているかもしれませんが)のようにスペック面で妥協しなくて良いのは嬉しいところです。

 もっとも、iPad Proの恩恵を受けられるゲームは現時点ではまだ限られています。最適化されたゲームの傾向は国産よりも海外産、無料よりも有料。つまりコアゲーマー御用達のゲームらしいゲームを楽しむために最適のデバイスです。「パズドラ」や「モンスト」など、どちらかというとスマートフォンでのプレイ(=片手で持ってプレイする)を想定してつくられたゲームには不向きです。当然ながらiPadに対応していないゲームも。

 iPad Proに最適なゲームをまとめると

・大画面でプレイすると楽しい
・テキストなど情報量が多い
・4つあるスピーカーをフルに発揮できるサウンド

 この3つが重要な要素です。これらを満たすゲームは国内だと「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ(デレステ)」のような音ゲーしか、すぐに浮かび上がってこないのが残念なところです。

 今のところ、圧倒的に強いのは海外ゲームということになります。メジャーなメーカーやインディスタジオを問わず、続々とiPad Proに対応したゲームがリリース・アップデート対応されています。

 iPad Proでプレイするゲームは、iPhoneやiPad mini / Airでプレイすると物足りなさを感じるものがうってつけです。モバイルでもしっかりどっぷりゲームをしたい、そんな人であればきっと大金をはたいて買っても結果的にお買い得だったと思えること間違いありません。私が数々のApple製品を買って得た唯一無二の真理を言っておくと「1番いいやつを買うと幸せになれる」です。参考までに私が実際にプレイして大きな満足感を得られたオススメの海外ゲームを参考までにご紹介しましょう。

Radiation Island (Atypical Games)

 一言でいうと、3Dクラフト系サバイバルゲームです。直近に発売されたiPhoneやiPad mini / Airでも良く動くのですが、クラフトが重要な要素になっているゲームは画面が大きいと格段にプレイしやすいです。なかなか細部まで作り込まれており、iOS機でも本格的なゲームをプレイしたいと考えている人にはピッタリです。

【Radiation Island(Atypical Games)】

This War of Mine (11bit studios s.a.)

 ユーゴスラビアの内戦を市民側の生活側から描いたポーランド産のサバイバルゲームです。Steamでは1年以上前からリリース済みで高い評価を得ています。廃墟の建物に仲間といっしょに居住環境をつくり、守っていくゲームなのですが、プレイを通して戦時下という極限状態での暮らしを色々な意味で体験させてくれるゲームです。iPad Pro大スクリーンの恩恵でテキストが読みやすく、またキャラクターに命令も出しやすいため、相性バッチリのゲームといえます。

【This War of Mine (11bit studios s.a.)】

Craft the World (Dekovir, Inc.)

 こちらもPC版がリリース済み。このゲームは平たく言うとドワーフ版「テラリア」です。つまりプレイ内容もほぼ同じですが、定期的に敵が攻めてくるところが面白いポイントです。ビジュアルもキレイでつくりも丁寧です。また、「テラリア」と異なりキャラクターを自分で動かす必要はなく指示を出していくスタイルなので、タッチパネルを使ったデバイス向きのゲームとも言えます。

【Craft the World (Dekovir, Inc.)】

Implosion - Never Lose Hope (Rayark International Limited)

 台湾インディゲームスタジオの雄、Rayarkの最新アクションゲームがこの「Implosion」です。もともとコンソールゲーム機向けにつくられていたらしく、ゲーム内容もそのままゲーム機で通用するクオリティです。クォータービュー視点のアクションゲームを思いっきり楽しみたいのであれば、このゲームで決まりです。

【Implosion - Never Lose Hope (Rayark International Limited)】

Warhammer 40,000: Freeblade (Pixel Toys)

 海外では根強い人気のある「Warhammer」シリーズですが、このゲームはいくつかあるモバイル用Warhammerゲームの中でも最高のアクションです。プレイヤーはインペリアルナイトとしてフリーブレイドと呼ばれるメカを駆って敵対勢力の兵士や兵器を倒しまくります。現時点でiOS最高峰のビジュアルを誇るゲームです。大迫力の戦闘を体験すると、iPad Proを買ってよかった!と思うこと間違いなし。

【Warhammer 40,000: Freeblade (Pixel Toys)】

「マインクラフト Pocket Edition」
「HORIPAD ULTIMATEワイヤレス」

 このほか、モバイル用MOBAゲーム「ベイングローリー」や本格的なサードパーソンシューター「アフターパルス」、すっかり定番になった「マインクラフトPE」など、iPad Proユーザーなら必携の素晴らしいタイトルが山ほどあるのですが、それらは別の機会に紹介するとして、ゲームファンならばぜひとも一緒に持っておきたいアイテムとして、ゲームコントローラの同時購入を強くオススメします。

 え? それじゃあ携帯性が損なわれるって? 私は旅先の機内でコントローラーを使って「マインクラフトPE」をプレイしていましたし、かさばるようなら一緒に持ち歩かなければいいのです。TPOってやつです。(多分)。

 MFiという規格に対応したコントローラを1つもっておけば、対応ゲームであればゲーム機と同じ操作環境を得ることができます。当たり前のことではありますが、モバイルゲームに対する見方が変わります。また、最新のApple TV(第4世代)にも使い回すことができるので、身の回りのデバイスをApple製で固めている人には便利です。

 ちなみに私はHORI製の「HORIPAD ULTIMATEワイヤレス」という商品を購入して愛用しています。ライトニングケーブルで充電ができるため携帯にも便利です。先日旅行した際には、冗談抜きで飛行機内でiPad Proと組み合わせて「マインクラフトPE」をプレイしていました。プレイ感はもちろんPS4やXbox Oneでプレイする場合と変わりません。

 モバイルゲームはアイテム課金だけが楽しい訳ではありません。PCやゲーム機に負けないほど様々なゲームがApp StoreやGoogle Playには眠っていますし、日々増え続けています。本連載では、そんな素晴らしいタイトルの存在に気づいてもらえる一助になれば幸いです。という訳で、また次回お会いしましょう。

(大柳竜児)