使って試してみました! ゲームグッズ研究所
連載第343回
最高のPS4を目指して! 1TBのSSDに交換!!
待ち時間短縮は積み重なるとかなりのプレイ時間節約に
(2014/6/30 11:00)
当連載は、ゲームライフに役立つグッズを発掘し、実際に使用してみようという試みをレポートするものである。ネタに困ったときはお休みしてしまうかもしれないので不定期連載である。ちょっとした投資や工夫で、よりよいゲームライフを送っていただけるよう、鋭意努力していく所存である。
「プレイステーション 4をもっとパワーアップしたい!」、「もっと快適にゲームがしたい!」それなら、“純正HDDをより高速なものに交換する”というのが、最もダイレクトに効果が得られる方法だろう。より転送速度の速いSSDなどに交換することで読み込み時間が短縮され、同じ時間でもより多くプレイが楽しめるようになる。まさに“プレイ時間をお金で買える”選択肢なのだ。
PS4発売時に交換を考えた人も多いかと思うが、当研究所では動作の安定性などを考慮して様子見をしていた。それから約半年が経過し、システムソフトウェアもバージョンアップしてSSDの動作も安定。いよいよ今回、満を持してSSDへの交換を行なってみた次第だ。
用意したのは、Samsung SSD「840 EVO 1TB」。最も読み込み速度の高速化が見込めるSSDであり、標準HDDの2倍の1TB。容量、スピードともにパワーアップというわけだ。その効果のほどはどうだったのか? お伝えしていこう。
【今週のおしながき】
高速&大容量! 1TBのSSD「SSD 840 EVO 1TB」
Samsung SSD「840 EVO」は、2013年8月より発売されている製品で、それまでのモデルよりもランダム読み書きが高速化された性能向上モデル。発売から時間が経ち、実売価格がこなれ、今回の目標である「スピード、容量ともに標準HDDより高める(もっと言えば、それなりのコストで)」というものにぴったりな選択だったというわけだ。本稿執筆時点での実売価格は約40,000~50,000円といったあたり。
SSD本体を見ると、厚みはわずか7mm、質量も約53gと、軽量・コンパクト。接続インターフェイスはSATA 6Gbpsなので、PS4以外に使用する用途でも充分なスペックを持っている。外装はメタリックシルバーにロゴがあしらわれており、高級感のある仕上がりとなっている。当然ながら、側面のネジ穴は2.5インチHDDと同サイズの同じ位置にあるので、交換がスムーズに行なえる。
詳細なスペックは以下の通り。
【Samsung SSD 840 EVO 1TBスペック】 | |
---|---|
容量 | 1TB |
コントローラー | Samsung MEX |
シーケンシャルリード | 540MB/秒 |
シーケンシャルライト | 520MB/秒 |
ランダムリード(4K QD32) | 9万8000 IOPS |
ランダムライト(4K QD32) | 9万 IOPS |
ランダムリード(4K QD1) | 1万 IOPS |
ランダムライト(4K QD1) | 3万6000 IOPS |
キャッシュ容量 | 1GB |
搭載機能 | AES 256bit暗号化、Garbage Collection、TRIM、S.M.A.R.T |
平均耐久時間 | 150万時間 |
外形寸法 | 69.85×100×6.8mm(幅×奥行×高さ) |
製品保証 | 3年間 |
PS4のHDDをSSDに交換! 作業は簡単で全体を通しても30分もあれば完了
早速、PS4へ換装していく。手順は簡単で、PS4の「セーフティーガイド」が用意されており、その手順通りに行なえば間違いがない。所要時間はこうした作業に慣れている人なら15分もかからないだろう。
PS4の電源を入れると、システムソフトウェアの再インストールを求められる。プレイステーションの公式サイトから再インストール用のシステムソフトウェアがダウンロードできるので、それをPC経由でUSBメモリに転送し、USBメモリをPS4に挿して、後は画面の表示に従って再インストールを進めれば完了だ。こちらも約5分~6分程度で済み、全部で30分もあれば完了するだろう。
なお、再インストールしたシステムソフトウェアのバージョンは1.71。実はテストしている間に1.70から1.71へのアップデートタイミングだったが、SSDに換装した状態でのアップデートも、特に問題なくスムーズに行なえた(6月25日現在、さらに動作の安定性が高められた1.72が配信されている)。
「SSD 840 EVO 1TB」に換装後、本体ストレージ容量をチェックしてみると、システム用等々の予約領域が引かれて、ユーザーが使用できる領域は861GBとなっていた。標準の500GBのHDDでは406GBとなっていたので、順当に増えたというところだ。
861GBも使えれば、容量は十分。ダウンロード版のPS4タイトルが仮に1つあたり20GBだったとして、40タイトル以上入れておける(標準の500GBのHDDでは20タイトルほど)。
各種のゲームプレイで速度を比較! 1時間プレイしての読み込み時間差も検証
SSDに換装できたところで、まずはゲームをプレイしたり、設定を見てみたり、スタンバイや電源オフからの電源オンを繰り返してみたりと、いろいろ動作の様子を確認してみた。特に標準HDDでの動作と違いは見られず、安定したものだった。
変化と言えば、やはり速度の向上が重要だ。まずPS4を起動して操作が可能になるまでの時間を比較してみた。
【PS4起動時の速度比較】 | ||
---|---|---|
標準HDD | 電源オフから「PlayStationへようこそ」表示まで | 25秒 |
SSD 840 EVO 1TB | 電源オフから「PlayStationへようこそ」表示まで | 20秒 |
標準HDD | スタンバイから「PlayStationへようこそ」表示まで | 27秒 |
SSD 840 EVO 1TB | スタンバイから「PlayStationへようこそ」表示まで | 19秒 |
このように、起動しきるまでの待ち時間が短縮された。1回あたりでは秒単位だが、電源を入れるという動作はゲームを遊ぶ時に毎回行なうものなので(一般的にはスタンバイ→復帰が最も多いだろう)長い目で見ると、なかなか侮れない。
続いて、各種ゲームタイトルで標準搭載のHDDと、換装した「SSD 840 EVO 1TB」との、読み込み速度比較を行なってみた。結果は以下の表のとおりだ。
【各タイトルごとの読み込み時間比較】 | |||
---|---|---|---|
タイトル | シチュエーション | HDD(秒) | SSD(秒) |
inFAMOUS Second Son | 起動:PS4メニューから最初のロゴ表示等まで | 11 | 7 |
ロゴ表示後に最新セーブデータが読み込まれゲーム画面が表示されるまで | 30 | 27 | |
WARFRAME | 起動:PS4メニューから最初のロゴ表示等まで | 8 | 6 |
アップデートチェック後のWARFRAMEタイトル表示まで | 80 | 41 | |
KILLZONE SHADOW FALL | 起動:PS4メニューから最初のロゴ表示等まで | 11 | 8 |
タイトルメニューからキャンペーンを再開しゲーム画面が表示されるまで | 48 | 45 | |
マルチプレイメニュー次ゲーム待ち中の「採掘塔」マップ読み込み完了まで | 53 | 44 | |
マルチプレイメニュー次ゲーム待ち中のオンライン「公園」マップ読み込み完了まで | 50 | 33 | |
CALL OF DUTY: GHOSTS | 起動:PS4メニューから最初のロゴ表示等まで | 23 | 15 |
タイトルメニューからキャンペーンを再開しゲーム画面が表示されるまで | 36 | 27 | |
マルチプレイ、ドミネーション「Freight」マップでのゲーム開始まで | 44 | 30 | |
チャイルド オブ ライト | 起動:PS4メニューから最初のロゴ表示等まで | 22 | 11 |
タイトルメニューから「最初から」を選びムービー表示までの読み込み | 21 | 15 | |
NACK | 起動:PS4メニューから最初のロゴ表示等まで | 9 | 8 |
タイトルメニューからコンティニューを選び「チャプター2-4」開始まで | 26 | 20 | |
ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア | ディスクからのインストール | 87 | 83 |
起動:PS4メニューから最初のバージョンチェック表示まで | 12 | 9 | |
キャラクターセレクトからログインしゲーム画面が表示されるまで | 27 | 13 | |
エリア移動 グリダニア新市街から旧市街へ | 8 | 4 | |
FIFA14 | 起動:PS4メニューから最初のロゴ表示等まで | 13 | 10 |
タイトルメニューからチーム決定後に試合開始されるまで | 16 | 9 | |
メタルギア ソリッド V グラウンド・ゼロズ | 起動:PS4メニューから最初のロゴ表示等まで | 32 | 30 |
タイトルメニューからミッション「GROUND ZEROES」開始までの読み込み | 21 | 17 | |
タイトルメニューからミッション「帰還兵排除」開始までの読み込み | 21 | 17 | |
龍が如く 維新! | 起動:PS4メニューから最初のロゴ表示等まで | 19 | 17 |
タイトルメニューから「最初から」を選択しムービーが表示されるまで | 20 | 18 |
タイトルによってかなりバラつきがあるが、大容量なデータをドカンとたくさん読み込んでいるものでは、結構な差が出てきた。
目立つのはなんといっても「WARFRAME」の起動時で、HDDでの80秒からSSDでは41秒と、約半分にまでなっている。「CALL OF DUTY: GHOSTS」キャンペーンプレイ再開時や、「チャイルド オブ ライト」の起動時も22秒から11秒へと、やはり約半分に短縮された。その他のさほど読み込み時間が長くなかったものでも3秒から5秒程度、短縮されている。
こちらについては、効果がわかりやすかった「WARFRAME」と「CALL OF DUTY: GHOSTS」では比較用に動画を用意した。ぜひご覧頂きたい。
ただ、「Killzone: Shadow Fall」と「龍が如く 維新!」のディスクからデータインストールしている時に、HDDより若干長く時間がかかっている。おそらく連続書き込みの量が多い時に一瞬停止する現象があるようだ。「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」のデータインストールではこの現象が見られなかったので、毎回確実とは言えず、時間がかかるにしてもインストールは最初の1回だけなので、それほど気にならないところだろう。
ここまでを見て、「なーんだ、たったの数秒かー」と思ってしまった人もいるかもしれないが、ゲームプレイ中の読み込みというのは1回だけのものではない。当然、プレイするごとに起動時の読み込みがあるし、数時間プレイする中でも何度か行なわれるものだ。そこで今度は「約1時間、標準HDDとSSDとで同じ範囲までプレイしての、累計の読み込み時間の差」を調べてみた。
試してみたタイトルは、「inFAMOUS Second Son」と「龍が如く 維新!」を使用した。なお、演出的な暗転もプレイ中にはたくさんあるので、2秒以上の待ち時間を読み込み時間とみなしてカウントした。ちなみに、どちらもダウンロード版を使用している。結果は以下のとおり。
【約1時間プレイしての読み込み時間差比較】 | |
---|---|
「inFAMOUS Second Son」約1時間のプレイ中に発生した読み込み時間(2秒以上)を計測 | |
HDD | 11+20+4+4+14+4=57秒(6回) |
SSD | 7+17+2+2+10+3=41秒(6回) |
「龍が如く 維新!」約1時間のプレイ中に発生した読み込み時間(2秒以上)を計測 | |
HDD | 19+20+7+7+4+3+3+8+5+3+4+7+2+2+3+3+3+3+2+2+4+3+2+2+3+3+3=130秒(27回) |
SSD | 17+18+7+6+2+2+2+5+4+2+3+3+2+3+2+3+3+3=87秒(18回) |
約1時間のプレイのなかで、元々読み込み時間が短い&少ない「inFAMOUS Second Son」でも、イベントシーンの切り替わりを中心に16秒の差。PS3とのマルチタイトルだということもあって、細かくローディングが行なわれる「龍が如く 維新!」では、41秒の差がついた。2秒以下の読み込みを除外しているので、カウント回数自体も少ない結果になっている。
1時間のプレイではこのような結果となったが、もちろんゲームは1時間だけプレイするものではないわけで、クリアするまで20時間ほどはプレイするだろうか。そうなると、単純計算ではあるが、「inFAMOUS Second Son」では320秒、5分30秒だけ同じ時間内に多くプレイできるし、「龍が如く 維新!」では約14分となっていく。HDDでは同じプレイ時間で14分も待たされるとなると、結構大きな差だ。
なお、「龍が如く 維新!」をプレイ中に感じたことだが、プレイ中の処理や戦闘開始・終了時のわずかな硬直のようなものがSSDの方が少なく、全体的な処理も速く感じられた。具体的な数値に起こしづらいところではあるが、読み込み時間以外にも、バックグラウンドの処理に読み込み速度の違いが効いているような印象を受けた。
そうしたバックグラウンド処理に差が出るという点で、今後注目なのはPS4での発売も決定した「Grand Theft Auto V」(日本での発売は今秋を予定)。PS3版ではディスクとインストールデータの両方から読み込みを行なうことで、マップオブジェクトの処理を高速化していたが、データ読み込みのみになるダウンロード版では、建物などの表示処理が遅くなる現象が見られた。PS4版でどうなるかはまだわからないが、PS4においてもSSDに換装すると結構大きな差が出てきそうなタイトルと予想する。このように将来的に「SSDにして良かった!」と思えるタイトルが他にも登場する可能性は充分にある。
SSDで気になるのは書き込み寿命。年単位で待ち時間短縮を計算するとかなりお得?
さて、SSDというと“書き込み寿命”が気になるところだろう。SSDに使われているNANDフラッシュメモリには、書き込み容量に限界があるという側面がある。PS4だと書き込みは、ゲームデータのインストール、セーブデータの保存、SHAREボタンによる動画などが主になるだろうか。「SSD 840 EVO 1TB」ではどれぐらい使い込むと寿命を迎えるのかを計算してみた。
まず、「SSD 840 EVO 1TB」の書き込み寿命はサムスンの調べによると約640TBとのこと。それに対して、PS4ではバックグラウンドでSHARE動画を一時保存しており、SHARE動画は15分保存すると、約900~1,000MBのファイルになる。1時間プレイすると4GB書き込まれるとして、2.5時間プレイすると約10GBの書き込みが行なわれる、とみていいだろうか。
2.5時間のプレイで10GBの書き込みが行なわれるとして、書き込み寿命の約640TBに到達するまでは、64,000時間=約2,666日=約7.3年だ。毎日欠かさず2時間30分以上プレイするとなると、これはなかなかのヘビーゲーマーっぷりと思え、もう少し控えめなプレイ時間で考えると、10年は持ってくれそう。7年とすると、標準HDDに不具合が出てくるのとどちらが先か考えても、なかなか難しいところだろう。
一方で、7年~10年ほどの期間にわたって読み込み時間を短縮し続けてくれるとなると、けっこうな時間節約だ。起動時間の短縮込みで、1時間あたり40秒の待ち時間を短縮してくれるとして、1日2.5時間プレイするとして100秒=1.6分、1年で608分=約10時間、10年で考えると101時間もの待ち時間を無くしてくれるという結果になっていく(あくまで単純な概算ではあるが)。
容量についても、標準の500GBだとちょっと心許ないが、1TBあればやりくりできそうだ。あくまで概算だが、これまでのゲームハードが約10年で新ハードに切り替わってきたことを考えると、これ1台で1世代乗り越えられる可能性も充分にある。
まさに“プレイ時間をお金で買える”結果に! 時間を重視する人にオススメ
1TBのSSDに換装して、最高のPS4を目指してみたが、いかがだっただろうか。プレイするタイトルによるとはいえ、待ち時間の短縮効果が、長い目で見ていくと、時間をかなりの節約してくれる。冒頭にも書いたとおり“プレイ時間をお金で買える”状態なわけだ。
コストはもちろんそれなりにかかるので、もう少し安価な容量のモデルをとも考えたくなるが、容量と価格のバランスはチェックしておくべき重要なポイントで、500GBでは将来的にやりくりしづらくなるかも? と考えると、やはり1TBは欲しいところ。そのあたりを考慮した上で、このSamsung SSD「840 EVO 1TB」はコストパフォーマンス的にもオススメしたい選択肢だ。
【追記】一部グラフと記述に誤りがありましたので、修正させていただきました。