使って試してみました! ゲームグッズ研究所
連載第339回
PS4のヘッドセットはどれがいいの? 製品のまとめ&お手頃価格帯の3製品を実際に試してみた
(2014/4/16 00:00)
当連載は、ゲームライフに役立つグッズを発掘し、実際に使用してみようという試みをレポートするものである。ネタに困ったときはお休みしてしまうかもしれないので不定期連載である。ちょっとした投資や工夫で、よりよいゲームライフを送っていただけるよう、鋭意努力していく所存である。
今回は改めて、PS4用のステレオヘッドセットを試してみた。PS4に正式対応している製品のまとめと、HORI、マッドキャッツ、サイバーガジェットが発売しているお手頃価格帯の製品を使って試してみた。また、より直接的にマイク性能の違いを感じてもらうため、それぞれのヘッドセットで喋った音声ファイルも掲載しているので、ぜひチェックして頂きたい。
PS4対応ヘッドセットを価格帯別にまとめ
PS4でボイスチャットやマイク音声を含めてのシェア配信を楽しむ場合、まずは本体付属のモノラルヘッドセットを使ってみようということになるのだが、モノラルという製品名のとおりゲームサウンドは片耳だけになってしまうし、マイク音声もよりクリアに伝わるものが欲しくなっていく。
そこで今回はPS4に正式対応しているヘッドセットの中からポピュラーなものを以下にまとめてみた。現在発売されているものでも種類はいろいろあるが、価格帯でわけると「2,000~3,000円クラス」から、「5,000円~7,000円クラス」、「10,000円以上クラス」といったものになる。
メーカー | 製品名 | 価格 |
---|---|---|
【10,000円以上クラス】 | ||
・SCEA | 「PULSE wireless stereo headset Elite Edition」 | 149ドル |
・SCEA | 「Gold Wireless Stereo Headset」 | 99ドル |
・HORI | 「ゲーミングヘッドセット4 オウルギア」 | 10,584円 |
【5,000円~7,000円クラス】 | ||
・マッドキャッツ | 「TRITTON Kunai Universal Headset」 | 6,980円 |
・マッドキャッツ | 「TRITTON Kunai Stereo Headset」 | 4,980円 |
【2,000~3,000円クラス】 | ||
・HORI | 「ステレオヘッドセット4 for PlayStation4」 | 3,218円 |
・HORI | 「スマートヘッドセット4 for PlayStation4」 | 2,138円 |
・マッドキャッツ | 「TRITTON Kama Stereo Headset」 | 2,980円 |
・サイバーガジェット | 「CYBER・マイク付きステレオヘッドホン(PS4用)」 | オープンプライス(2,480円) |
このうち10,000円以上クラスの、「PULSE wireless stereo headset Elite Edition」と「Gold Wireless Stereo Headset」は、SCEA(Sony Computer Entertainment America LLC)が発売している海外のPS4/PS3対応の公式ヘッドセット。バーチャルサラウンド機能を搭載したワイヤレスヘッドセットで、コストパフォーマンスにも優れているのだが、残念ながら国内では未発売のため、現在のところ輸入購入しか購入手段がない。魅力的な製品なので、ぜひ国内でも発売してもらいたいところだ。
また、PS4ではUSB接続タイプのものや、DUALSHOCK 4にステレオミニプラグで接続するタイプのヘッドセットが利用可能で、Windows PC用のものも製品によっては利用できる。ただ、現状ではPS4に接続できても、マイク音量やマイクブーストなどの調整機能がなく、ヘッドセットそのものの性能で使用するほかない。製品によっては音量が小さすぎるところがあり、特にUSB接続タイプのものではそうした傾向が見られる。詳しくは当連載の第334回をご覧頂きたい。
マッドキャッツが販売するTRITTON製ヘッドセット「Kama」はコストパフォーマンス抜群
マッドキャッツが力を入れているTRITTON製のヘッドセット。PS4対応製品では「Kunai(クナイ)」、「Kunai Universal(クナイの他機種対応版)」、「kama(カマ)」が発売されている。今回は最も安価なKamaを試してみた。
DUALSHOCK 4に繋ぐステレオミニプラグタイプのもので、ケーブル長は約1m。ケーブル途中にはコントローラーがあり、マイクミュートのスライドスイッチ、サウンドボリューム調節が行なえる。
頭頂部とイヤーパッドには柔らかなスポンジを仕込んだ合皮レザー素材を使用。ヘッドレールは左右ともに約3cmずつ伸縮できるようになっている。また、イヤーカップが90度回転するので、首から下げた状態でも収まりがいい。マイクは左側から伸びていて、自由に曲げられるフレキシブルアーム。重量は約200gとなっている。
TRITTONのヘッドセットデザインの特徴と言ってもいいが、イヤーカップは横5.5cm、縦7cmの長方形をしている。耳をすっぽりと覆える大きさではないので、イヤーパッドが耳の上に乗る状態になる。実際に装着してみると、側圧、頭頂部ともに圧迫感は少なくて楽な着け心地。長時間のプレイにも耐えられるバランスのいいフィット感だ。ただ、側面は耳の上に乗っている状態なので、メガネをかけている人が長時間着けると、ツル部分が圧迫されていって痛くなるかもしれない。
ゲームプレイやパーティーボイスチャットで、ヘッドフォンとマイクの性能を試してみた。なお、PS4ではステレオ出力でヘッドセットを使用する場合には、周辺機器設定の「ヘッドホンへの出力」を「全ての音声」にしないとステレオにはならないのでご注意を。今回は全ての音声設定で試している。
まずヘッドフォンからのサウンドだが、音が割れず、ノイズ感もないクリアーな音質。ただ、高域やボリュームゲインはそのぶん控えめで、中~低域が太めに聞こえる特徴があった。基本的にくっきりとした音で必要充分ではあるが、少し抜けの悪いくぐもった聞こえ方なところもある。
マイクはボリュームも充分に大きく、音質もクリアー。高域、中域、低域のバランスも良く、自然な聞こえ方をする。価格から考えるとかなりパフォーマンスのいいマイクだ。ただし、無指向のマイクなので、自分の声以外のいわゆる環境音も拾いがち。試したところ、2~3m先の小さな音量で再生した音楽も結構拾っていた。
サウンド、マイク、フィット感ともに全体的にバランスはよく、価格以上のクオリティとなっていた。マイクが無指向タイプであるところや、出力されるサウンドが若干くぐもり気味なところなど、わずかに気になるところはあるのだが、どちらも欲を言えば……というところで、価格以上の満足度は間違いなく得られる。2,000~3,000円クラスのヘッドセットの中でも特にコストパフォーマンスに優れた、オススメの製品だ。
HORIのスタンダードなPS4用ヘッドセットはサウンド、マイクともに厳しい結果に
HORIのPS4用ヘッドセットは、コアゲーマー向け「オウルギア」シリーズの「ゲーミングヘッドセット4 オウルギア」、スタンダードなステレオヘッドセット「ステレオヘッドセット4 for PlayStation4」、安価な片耳タイプの「スマートヘッドセット4 for PlayStation4」の3種類が発売されているが、今回は手を出しやすい3,000円台の「ステレオヘッドセット4 for PlayStation4」を試してみた。
ヘッドフォン型にアームマイクのついたヘッドセットで、接続はDUALSHOCK 4に繋ぐステレオミニプラグ。ケーブル長は約1.2mあり、ケーブル途中にはリモコンコントローラーがあり、マイクミュート、サウンド出力のボリュームコントロールが行なえる。重量は約192g。
ヘッドレールは左右ともに約3cmずつ伸縮可能。イヤーパッドは柔らかなスポンジ素材を仕込んだ合皮レザーだが、薄手の紙のような質感に近い安価なものが使われている。この手のタイプのものはヘッドフォン等にも見られるが、汗や油などを吸って乾くとひび割れ、剥がれてしまう。耐久性は低そうだ。ハウジング部は直径約7cmの円形で、耳をすっぽりと覆うサイズではなく、耳の上に乗るオンイヤータイプ。
マイクは、左側のハウジングから伸びているフレキシブルアームで、ハウジング内に収納する事も可能。約5.5cmまで引き出せるようになっている。
実際にゲームプレイやパーティーボイスチャットで使用し試してみた。まずはフィット感だが、側圧が強めの感触。頭頂部はクッションがないこともあり、頭頂部で支えるよりも側面から挟み込む傾向になっている。メガネをかけている人だと、長時間使用すると痛くなってくるだろう。
耳からの出力サウンドは、音量は充分にあるが、ガサつきや音割れがわずかに感じられる。音にサーッというホワイトノイズが乗るところがあり、パサついた音質。また、音の定位にも少し違和感があり、例えば左から右へと流れていく音の時に、揺らぎを感じた。人によっては音酔いしてしまうかもしれない。音質としては、中域が強めなので太くくっきりとした音にはなっているが、高域、低域ともに控えめ。ヘッドフォン型ということもあってスカスカした音ではないが、前述のガサつき感や定位感の悪さもあって滑らかさには欠ける。
マイクからの音声は、ボリュームゲインはもう1歩足りないという印象で、はっきり大きめの声で喋れば相手に聞こえるというギリギリのところ。音質も、高域でなんとか抜けが良く伝わってはいるものの、中~低域は不足していて、かなりスカスカした声になる。指向性についても無指向タイプなので、環境音も広く拾ってしまう。試したところ、2~3mほど離れた小さい音でもマイクがオンになり相手に伝わることがあった。
出力サウンド、マイクともに残念な結果となった。出力サウンドについては、ガサつき、パサつきがあるものの、価格からすると致し方ないかなと思えるところもあり、ステレオ音声で楽しめるという点では本体付属のモノラルヘッドセットより楽しめる。だが、マイクはかなり厳しく、音量、音質ともに本体付属品のモノラルヘッドセットより劣ってしまっている。
サイバーガジェットのコンパクトなPS4用ステレオヘッドセット
サイバーガジェットは今回試している3製品の中でも安価な「CYBER・マイク付きステレオヘッドホン(PS4用)」を発売している。カラーバリエーションもブラック/ブルー/レッドの3色を用意している。
ヘッドフォン型に、ケーブル途中にあるリモコン部分にマイクが仕込まれているヘッドセット。DUALSHOCK 4に接続して使用するステレオミニプラグタイプだ。ケーブル長は約1.2mあり、途中にはマイクとマイクミュートボタンが搭載されたリモコンコントローラーがある。なお、このマイクミュート機能は押しボタン式で、押している間だけミュートされるという仕組みになっている。
ヘッドレールは左右共に約3.7cmずつ伸縮可能。頭頂部とイヤーパッドに厚手のウレタンかビニールと思われる素材を使って、クッションを付けている。ハウジング部分は直径約7.5cmの円形で、装着時には耳の上に乗せるような状態になる。
マイクは前述の通り、ケーブル途中にあるリモコン部分にあり、ヘッドフォン部分からは約12.5cmほど離れたところにある。装着時には首元あたりに位置することになる。
実際にゲームプレイやパーティーボイスチャットで使用し試してみた。まずフィット感だが、このヘッドセットは全体的にサイズが小さめで、成人男性の研究所員は、ヘッドレールを最大まで伸ばしてもちょっと窮屈に感じられるところがあった。頭が大きめの人だとレールの長さが足りないかもしれない。側圧、頭頂部ともにサイズ的な窮屈さはあるものの、バランスはいい。
出力サウンドは、ボリュームゲインはほど良く、音質もバランスが良い。さすがにズンズンくるような低音の響きはないが、音の太さ、高音の抜けは良い。価格相応と言ってしまえば、それなりではあるが、聴きやすい音質だ。
マイクからの音声は、ボリュームゲインはもう1歩大きく1なって欲しいところがあり、HORIのヘッドセットに近いが、あちらと比べると中域の音が強めに出ているので、相手に太くしっかりと伝わる。ただそのぶん、高音の抜けは悪く、鼻が詰まったような声で伝わっていた。マイクとの物理的な距離もあるので、遠目に聞こえるところもある。なお、マイクはリモコンに内蔵されていることもあり、無指向タイプ。3~4m先の小さな音も拾ってしまう。
かなり小型なステレオヘッドセットで、窮屈さが気になるところ。出力サウンドはそのサイズからするとバランスが良いが、マイクは少々物足りない。やはりHORIのものと同様に、マイク部分は付属のモノラルヘッドセットに負けてしまっている。
今回試した3製品+モノラルヘッドセットを音声ファイルで聞き比べ
マイク性能の違いをより直接的にお伝えするため、マイクで喋った音声ファイルを用意した。1ファイルの中で順番に、マッドキャッツ、HORI、サイバーガジェット、付属のモノラルヘッドセットのマイク音声を収録している。なお、ゲームBGMとのバランスも聞いてもらうべく、PS4タイトル「KNACK」のタイトル画面で試している。
音声ファイルをお聞き頂くと、同価格帯のヘッドセット製品でこれだけの差があるのかと驚かれる人もいるかもしれない。また、PS4本体付属のモノラルヘッドセットはそのサイズの割に性能はよく、音質のバランスもいいという事も感じてもらえると思う。他の製品では、モノラルヘッドセットよりもさらにマッドキャッツの「Kama」は滑らかさとくっきりさがあって良好。一方、HORIとサイバーガジェットの製品はマイク性能の向上を目当てに購入するにはちょっと厳しいといわざるを得ないだろう。