使って試してみました! ゲームグッズ研究所

連載第374回

L2/R2ボタンを追加できるグリップに“PS Vita 1000番台用”が登場
基本的な使用感をはじめ、前モデルからの変更点などをチェックしてみた

 当連載は、ゲームライフに役立つグッズを発掘し、実際に使用してみようという試みをレポートするものである。ネタに困ったときはお休みしてしまうかもしれないので不定期連載である。ちょっとした投資や工夫で、よりよいゲームライフを送っていただけるよう、鋭意努力していく所存である。

 “PS VitaにL2/R2ボタンを追加できる!”として昨年話題となった上越電子工業のPlayStation Vita用グリップに、「PlayStation Vita(PCH-1000型)専用タイプ」が登場した。昨年発売されたPS Vita 2000用のモデルから、L2/R2ボタンの感触や、本体との固定方式などを改善した製品となっている。使用感を含め変更点なども重点的にチェックしてみた。


あのL2/R2ボタン追加グリップにPS Vita 1000番台用が発売!!

メーカー:上越電子工業
価格:3,980円

L2/R2ボタンを追加できるグリップにPS Vita 1000番台用が登場!!

 基本的なグリップの作り、デザインは、PS Vita 2000用を踏襲している。グリップ全体の素材はポリカーボネート、いわゆるプラスチック素材となっていて、表面にはサラサラとした手触りになるよう梨地加工が施されている。

 最大の特徴であるL2/R2ボタンは、グリップ内部で導電性のゴムと繋がっており、L2/R2ボタンを押し込むと背面タッチに指先の静電気が伝わるようになっている。この仕組みでL2/R2ボタンの操作を実現しているというわけだ。

 L2/R2ボタンはツヤ消しのクロムメッキ塗装が施されており、PS Vita 2000用モデル同様に高級感のある仕上がり。ただ、“押下感には違い”があり、比較すると今回の1000用モデルでは、押下ストロークが浅く、感触も重くなっている。

 この押下感の変化は、良い見方としては操作ミスが出ないような適度な重さを付けたという捉え方になるものの、ストロークの浅さと感触の重さが相まってグイグイ、グニグニと、クリック感が損なわれている感触になったとも言える。この感触は好みがわかれるところだろう。

基本的な作りはPS Vita 2000用を踏襲しているが、前面カバーがヒンジで繋がっているなど、変更されたところもある
最大の特徴である「L2/R2ボタン」。ボタンを押すと指の静電気が伝導性ゴムを伝って、背面タッチパッドを反応させるという仕組みになっている

 もうひとつのPS Vita 2000用モデルとの大きな違いは「本体との固定方式の変化」。PS Vita 2000用モデルでは本体側面にツメをひっかけて固定する作りになっていたのだが、そのツメが少々硬く、本体に傷をつけてしまったり、逆にグリップのツメが破損する可能性を、当連載で指摘することとなった。

 そこで今回の1000用モデルでは、PS Vita本体をグリップのカバーですっぽりと覆って固定するという方式に変更されている。グリップにヒンジ可動式の前面カバーが付いていて、その中にPS Vita本体を収めるというものだ。確かにこの方式なら、前面カバーとグリップを固定するツメがPS Vita本体に触れる事もない。

 前面のカバーには左右のアナログスティック、方向キー、○/△/□/×ボタン、PSボタン、スタート/セレクトボタン、左右のスピーカー穴の箇所が開口されている。

 こうした前面カバータイプの製品は“操作に影響が出がち”という弱点もあるのだが、このグリップの前面カバーは厚みが約1.1mmと薄く、ボタン周りの開口のフチも段差が指に当たらないよう斜めに傾斜を付けてあるなど、そのあたりをしっかり配慮している。

 さすがにPSボタンやスタート/セレクトボタンといった奥まってしまうボタンはカバーの厚みのぶん押しづらくはなってしまうのだが、方向キーや○/△/□/×ボタン、アナログスティックは前面カバーが邪魔になることもなく、快適に操作できた。

固定方式が前面カバーで覆うというものに変更になった。こうした前面カバーのグッズはカバーの厚みが操作の邪魔をしてしまうこともあるのだが、このグリップでは開口を広く、薄くしていて、ほとんど邪魔に感じることはなかった

 このほかの形状的なものだと、グリップはブロック形状の盛り上がりをつけたような作りになっており、あまり外側には伸ばしていない作り。このブロック型のでっぱりを手の平でぐっと握れるようになっており、ホールド感は良好だ。L/2R2ボタン追加のギミックだけでなく、単純なグリップとしても優れた製品と言える。

 なお、グリップカバーを着けたままでも各所のスロットや端子、ボタン類は全て触れるようになっている。また、背面タッチも、L2/R2ボタン追加のギミック用に少し上側が隠れるものの、その他の背面タッチパッドは触れるようになっており、通常の背面タッチ操作も行なえる。

ブロック形状の膨らみを付けているグリップ。手の平でぐっと握れて、大きすぎず、小さすぎずとサイズも丁度良いバランスだ

 実際にゲームプレイを試してみた。基本的にはPS Vita 2000用モデルと同じ感想になってしまうが、やはりL2/R2ボタンが物理的に押せるというのは非常に大きい。PS4用タイトルのリモートプレイや、ゲームアーカイブスなどのタイトルをプレイしているときに、「L2R2ボタンが欲しいな」と感じることは多いが、このグリップを使うとかなり満たされるものがある。

 PS Vita本体との一体感という点でも決して悪くはないのだが、今回の1000用モデルでは前述のように前面カバーがヒンジでついており、そのヒンジが多少気になるところがあった。L/Rボタンのすぐ横にヒンジがあり、左側のヒンジはLボタンと電源スイッチの間に、右側のヒンジは音量の+ボタンとの間にある。そのため、電源スイッチと音量+ボタンを押すときの邪魔になってしまっているし、L/Rボタンに添えている指先がヒンジに当たる時もある。

気になったのは前面カバー搭載によるヒンジの存在。L/Rボタンを操作する指先に当たったり、電源ボタンや音量+ボタンが押しづらくなるなど弊害も出てしまっている

 PS Vita 1000ユーザー待望のL2/R2搭載グリップ発売となり、その効果は2000用モデル同様にかなり大きい。このグリップを加えることで操作周りの不満を大きく解消でき、大げさに言うならば“完成形”に近づくことができる。

 ただ、2000用モデルからの改善を狙っての変更点においては、L2/R2ボタンの押下感、前面カバー方式の固定ともに、少々デメリットも感じてしまった。とはいえそれほど大きな問題点とも言えない程度ではあるが。そのあたりを踏まえつつ、さらに改良したモデルの登場にも、できれば前面タッチによるL3/R3ボタン操作にも対応するような進化を今後も期待していきたい製品だ。

(ゲーム環境向上委員会)