山村智美の「ぼくらとゲームの」

連載第12回

「オーバーウォッチ」プレイ中にぎっくり腰になったけど、それでも遊び続けた話

この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。

なったんですよ、ぎっくり腰。

「オーバーウォッチ」は先週火曜日より全世界同時に正式サービスがスタートしたばかりのオンライン専用チーム対戦ゲームなわけですが、

そんな「オーバーウォッチ」をプレイ中、
あれはヴォルスカヤインダストリーでの防衛側で、
ジャンクラットを使い、ランチャーをポンポン撃ちまくって
「あぁ、楽しぃなぁ~……」なんてうっとりしていた、その時、

腰に

びきぃっ!

っというか、

ぐしぃっ!!

っという感触とともに激痛が走って、そこから身動きひとつ取れない状態に。

読者の皆さんの中には、ぎっくり腰になったことがあるっていう人はあんまりいなさそうな感じがしますけど、ゲーマーにとって1番の敵は腰痛であり、大事なのはイスですよ。これはホントに。ゲームメディア関係者なんて仕事でどっぷりデスクワークからの、ゲームプレイでもやっぱり座りっぱなしなもんですから、眼と腰がガチガチのボロボロです。

そんなツケがまわってきたのか、突然ぎっくり腰になって、ちょっと体を動かすだけでも「あいててててててっ!!」なんて大声を出すような有り様に。ですが、

それでもその時の対戦をプレイし続けました。

よもや他のプレーヤーさんも、ぎっくり腰になっている人と一緒に戦っていたとは思いもしないでしょうね。

実際には、身動きできない状態でコントローラーを握ってるのだから、プレイを続行する以外のことはむしろできなかったんですけど。

それ以上に「オーバーウォッチ」が面白い。面白い。

人生初“ぎっくり腰になっても遊び続けたゲーム”「オーバーウォッチ」

僕のなかで、まずゲームは2種類にわけられます。

それは、

“ずっと触っていたくなるゲーム”

“すぐにプレイを休憩したくなるゲーム”

の2つです。

RPGなどでは特に顕著なんですけど、“ずっと触っていたくなるゲーム”はそれこそ延々と、体力の限界が訪れるまでプレイし続けたくなりますが……

“すぐにプレイを休憩したくなるゲーム”の方は、セーブポイントなり、イベントシーン後などの区切りに「今日はもうこれぐらいでいいかな……」と、プレイを終了させたくなってしまいます。

この違いは何なのか?

それはやっぱり“手触りの良さ”だと思うんですよね。

操作していて気持ちいいかどうか。

その良し悪しにはたくさんの要素が絡みます。ゲーム全体のスピード、リズム、テンポ、レスポンスの気持ち良さ、レスポンスとセットのSE(効果音)の気持ち良さ、シーン切り替わりのウェイトタイム、テキストやボイスのあるゲームならその歯切れの良さ、etc、etc……。

おおよそ、ゲームを構成するほとんどのものが絡むわけですが、それらの繋ぎ方にリズムを持っているか、音楽的なものが意識されているか、でかなり変わります。

そのお手本とも言えるのが「ドラゴンクエスト」シリーズ。

5年前に開催された「誕生25周年記念 ドラゴンクエスト展」で展示されていた、初期シリーズ作品の開発資料を見たのですが、そこには手触りの良さに関わってくるような、細かな指定がびっしり。なるほど、これが秘訣だったんだ、と感動したものです。

ポロロロロロ、ポロロロロ、ピッ、ピッ

ってメッセージが流れてボタン操作のレスポンスに音があって。あれ気持ちいいですよね。

ちなみに今年はドラクエ30周年ということで、渋谷ヒカリエにて7月24日~9月11日まで「ドラゴンクエストミュージアム」が開催。前売り券の販売も開始されていますので、要チェックですよ。

で、「オーバーウォッチ」ですけど“ずっと触っていたくなるゲーム”なんですよ。

対戦特化のゲーム性でキャラクターこそ現時点でも多いけど、ゲームモードはそれほど多くはなく。これで手触りが悪かったり、バランスやマップの作りが悪かったりしたら、とてもじゃないけどそんなに長持ちしません。

でも、先週の発売から30時間ぐらいがーっと遊びこみ、まだまだ全然これから。むしろまだ入り口に立ったぐらいの気分で、プレイしない時間が長引くとむくむくと、「オーバーウォッチやりたい……!」という気持ちが湧いてきます。手触りの良さが強烈な中毒性を生んでくれている証。

「オーバーウォッチ」プレーヤーの戦績が確認できるMaster Overwatchより、僕の戦績はこんな感じ。攻めはジャンクラット、守りではシンメトラをメインにしてきましたが、最近はラインハルト、マーシーのタンク&ヒーラー、またはメイ(氷の壁を上手く使えるとかなり楽しい)の使用率が上がってきています

「全てのキャラクターがとんでもなく個性的で、どれも強いし、どれも気持ちいい、でもバランスは取れている」というところがまたすごい。

21キャラクターもいて、こういう対人戦のゲームとなると、どうしたって強キャラ、弱キャラというのが、特にリリースされて間もないゲームだと出てくるものですが。今のところ、それが全然ないんですよ。全員強いし、全員に天敵となる対抗キャラがいる。

自動砲台のタレット設置が特徴のトールビョーンが初心者キラー的な位置づけになっている……というか僕も最初は苦しんだのですが、中間距離でうろちょろ引き撃ちするというへっぴり腰にありがちなプレイをすると、タレットの適正距離にばっちりハマってしまうわけで餌食になります。

射線が開けているなら射程外から撃ち抜き、奥まった場所に設置されているなら、ウィンストンやラインハルトあたりに変えて破壊すればオッケーオッケーです。(タンクキラーなバスティオンとセットでいられるとちょっと厄介になりますが。)

むしろ研究・対策されたトールビョーンはちょっと厳しい状況に陥りがちかも。焦って新しいタレットを設置しようとしたところをキルされようものなら、もはや戦力外とも言える状態。ほどなくして、真っ先に対策バッチリなプレーヤーに目を付けられるという、厳しい時代へと入って行くのではないでしょうか。

トールビョーン以外の「これ厄介だなぁ……」というものにもやりようがしっかりあります。防衛側に篭もられて……という場合は、マップのショートカットを研究するといい感じに。マップも本当に良く考えられています。

こちらは自分でトールビョーンを使っていたときの様子。モルテンコァァァァするも、迫りくるラインハルトのシールドは破れず。タレットはタンクには総じて歯が立ちません。この後ラインハルトの背後からガンガン撃たれてあっけなく破壊されることに
キャラクターごとに全く異なる立ち回りが求められ、それがまた楽しい「オーバーウォッチ」。レアなスキン(コスチューム)が出たのを機にそのキャラを使ってみたら、思いがけずハマってしまうなんてことも

というわけで、カジュアルな入り口から、どっぷり奥深くはまっていくことになる「オーバーウォッチ」。がっつり熱くやりこめるゲームを求めている人には、特にオススメです。

ではでは、今回はこのへんで。また来週。