西川善司の3Dゲームファンのためのグラフィックス講座【GDC特別編】
今さら聞けないNGPスペック講座
そのスペックは携帯ゲーム機としての新しい遊びを訴求するためのもの


2月28日〜3月4日開催(現地時間)

会場:サンフランシスコ Moscone Center


■ GDCセッションでも任天堂vsソニー・コンピュータエンタテインメントが展開!?

 GDC会期3日目は、任天堂の岩田聡氏の基調講演で幕を開けた。

 基本的には、北米で発売を控えた「ニンテンドー3DS」にスポットがあてられた話題に終始し、その新機能についての解説や北米専用の新サービスの紹介が行なわれただけであり、Appleの「iPad 2」の発表会がわずか数分の徒歩圏内の場所でほぼ同時間帯にこれ見よがしに行なわれていたことを考えると、パンチは弱かったように思える。

任天堂、岩田聡氏、基調講演会場の様子。「昨年はマリオの25周年だったが、今年はゼルダの25周年だ」ということが告知された

 ただ、セッションの最終盤、岩田氏は「多様化するゲームマーケットの中で、ゲームハードウェアとゲームコンテンツの両方の提供者である任天堂の立場についてどうあるべきか」について語られたが、ずいぶんと含みのある言い方がなされた。このあたりについての詳細は、本誌の基調講演レポートを参照して欲しい。

 ソニーが語ったPlayStation Suite戦略に倣い、任天堂も他社プラットフォームへのコンテンツ提供や、任天堂ハードウェアへのインディペンデント・クリエイターの参入を許容していくのだろうか? 2011年は、前年度以上に業界の動向に注目していく必要がありそうだ。

 さて、GDC会期3日目の今日は、来場者にとっては「つらい踏み絵」を強いられる日でもあった。

 それは、3DS開発秘話に相当する「Development Process of Nintendo 3DS」と、ソニー・コンピュータエンタテインメントのNGPの技術セッション「Next Generation Portable Entertainment System」とが、午後1時30分からのプログラムで競合したのだ。

 筆者にとっても悩ましい決断だったのだが、本稿では、NGPセッションの方をカバーすることとなった。

左側の壁がソニー・コンピュータエンタテインメントのNGPセッションの列、右側の壁が任天堂、3DSセッションの列 どちらのセッションを取るべきか。来場者は究極の選択を迫られた。部屋の大きさは3DSセッションの方が大きかった



■ 有機ELパネルはNGPにとって最も“こだわり”が見える部分

David Coombes氏(SCEA Deveopment Support,Platformm Research Manager)

 セッションでは、まず、NGPの基本スペックが総ざらいされた。

 NGPの画面サイズは5.0インチで、現行PSPは4.3インチ。面積比にして約35%ほどNGPの方が広い。解像度はPSPの480×272ドットに対してNGPは960×544ドットで、4倍解像度となる。フルHDの1,920×1,080ドットの約1/4に相当し、いうなればQHD(クォーターHD)といった感じの呼び名になるだろうか。そして映像パネルは有機ELが採用されている点がNGPの最も注目される特徴となっている。


コンベンショナルな液晶ではなくあえて高くつく有機ELパネルを採用したNGP

画面解像度の比較

 NGPは、結論から言えば、これまでのソニー製ゲーム機の最大性能重視の設計と違い、かなりコスト重視で設計された感がある。現行PSPでは贅沢にもカスタム設計のプロセッサを採用していたし、光学ドライブ(UMD)も同様のカスタム設計(ベース技術はDVD)だったが、NGPのCPUやGPUはいわば“アリモノ”を組み合わせたものであり、コストの掛かる光学ドライブは廃止され、一見コストの掛かっていそうなセンサー類は携帯電話等に広く利用されている汎用MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)パーツであり、大したことはない。

 これに対し、この高解像度ハイドットピッチの有機ELパネルは汎用品ではなく、NGPのために提供されるものとみられている。もちろん「ソニー自社製だから」というエクスキューズは付くわけだが、いずれにせよ、「あえて有機ELを採用する」というだけあって、NGPのこだわりの部分ということができる。

 ちなみに有機ELパネルとは、簡単に言えば各画素が有機物LED(英表記ではOLED)となっている自発光映像パネルだ。黒は画素が完全に消光して黒となるためコントラスト感が良好で、画素の発光・消光応答速度はナノ秒クラスであり、ミリ秒クラスの液晶とは一線を画した動画性能ということができる。

 余談だが、2007年に11インチサイズで20万円でソニーから発売された有機ELテレビ「XEL-1」は、このNGPとほぼ同じ解像度であった。



■ NGPのCPUは対称型マルチコアCPU

NGPのCPUとGPUのスペック

 CPUはARMのCORTEX A9(ARM9)を採用する。

 同クロックについては現状未確定だがクワッド(4)コア仕様になることは確定している。

 ARM9は、分岐予測機構付きのショートパイプライン仕様の32ビットアーキテクチャのCPUだ。クワッドコア版だが、各コアの命令キャッシュ、データキャッシュはコヒーレンシーが維持される。つまり、各コアが並列動作していても、メモリ内容の一貫性に関してプログラム側が面倒を見る必要はないということだ。


NGPのCPUは対称型マルチコアCPU ARM9(クワッドコア)のブロックダイアグラム

メインメモリ容量についての仕様は未確定

 ARM9は浮動小数点ユニット及びSIMDユニットがオプション扱いになるのだが、NGPに採用にあたっては、これらはフル実装される。現行PSPはMIPS R4000系カスタムCPUのシングルコアだったが、NGPではマルチコア、それもクワッドコアになっているのは感慨深い。

 マルチコアCPU搭載ということで、プレイステーション 3と比較されることが多いNGPだが、PS3のCPUであるCELLプロセッサは指揮者となるPPU単一コアと8コア(うち1コアが無効化、うち1コアはシステムが占有、ゲーム向けに6コアが解放されている仕様)の128ビットSIMD型ベクトルRISCプロセッサのSPEからなる非対称型(異種混合型)マルチコアCPUであるため、仕様的にもスペック的にも全く異なるといえる。

 対称型マルチコアCPUという意味では、NGPのCPUは、Xbox 360のCPUに近い。この点はDavid Coombes氏も同じ事を言っていた。ちなみに、NGPでは、4コアのARM9のうち、1コアがシステム(OS)によって占有されているため、ゲーム向けには3コアが解放されることとなる。

 メモリ容量はPSPの32MBに対して大幅に増量されているとアピールされたが、その容量は現時点では非公開となっている。

 なお、セッションでCoombes氏は「PS3の容量に近いイメージ」というヒントをほのめかした。額面通り受け取れば256MBということになる。ただ、「現状のプロトタイプ版開発版NGPでは512MBの容量があるが、現状、その半分がシステムが占有している」という情報も聞こえてきており、その意味で512MB÷2=256MBという値を挙げているのかも知れない。最終的な仕様はまだわからないが、Coombes氏は「近代ゲームを実行するのに困らない容量」と述べていた。



■ NGPのGPUのポテンシャル〜シェーダ世代はPS3のGPUと同世代だがパフォーマンスは程遠いことを認める

プログラマダルシェーダの世代はNGPとPS3とではほぼ同世代

 GPUには、Imagination TechnologiesのPowerVR系「SGX543MP4+」が採用される。このGPUについては、昨年の本連載「西川善司の3Dゲームファンのための次世代PSP-GPU講座」で比較的詳しく解説しているので、詳細はそちらを参照して欲しいが、本稿でも簡単に解説しておこう。

 NGPに採用されるSGX543系GPUは、iPhoneなどに採用される現行PowerVR系GPUのハイエンドモデルに相当するものだ。NGPに搭載されるものはSGX543のクワッド(4)コアモデルになり、レンダリング負荷に応じて駆動されるコア数が1〜4の間で変動する。とはいっても、ゲームを動作させたときにはほとんどのケースで4コアが駆動されるはずだが、2Dアプリケーションなどが動作しているときには動作コアが4コア未満となる事があるかもしれない。

 PowerVR系と言えば、そのレンダリングパイプラインがTBDR(Tile Based Deferred Rendering)アーキテクチャベースなわけだが、このTBDRアルゴリズムについての詳細は、前出の昨年の記事を参照して欲しい。

 ただ、シェーダーアーキテクチャ的にはOpenGL ES 2.0準拠となるため、これはDirectX世代でいうとDirectX 9、プログラマブルシェーダ3.0仕様(SM3.0)世代ということになり、PS3とほぼ同世代ということになる。


NGPは「同世代のシェーダを動かすことはできる」と言うのが正しい
NGPのパフォーマンスはいうまでもないが、PS3に肉迫することはあり得ない

 この部分が取り沙汰されて「NGPはPS3のソフトが動く」という風説に転じてしまったようだが、実際には、「同世代のシェーダを動かすことはできる」と言うのが正しい。

 ビデオメモリ容量は現行のPSPは2MBだが、NGPでは非プログラマブルシェーダー世代の現行PSPとは違ってビデオメモリが多様なバッファやデータ格納目的で利用されるため大幅に増量される。

 フィルレート性能だけで比較すると現行PSPは6億6000万テクセル程度、NGPは少なく見積もって40億テクセル程度で約6倍程度の向上が見積もれるわけだが、実はNGPの画面解像度は現行PSPの4倍に高められてしまっているため、実際にはそれほど余裕はないかもしれない。

 この過剰に高まる「NGPのグラフィックス表現はPS3グラフィックス相当」という俗説に対し、Coombes氏も、「NGPはポータブルデバイスでありパフォーマンスと同じくらいバッテリーライフが重要視される。そのため、NGPのパフォーマンスがPS3と同等になるということはない」と発言していた。

 また、PS3のリソース(3Dモデルやシェーダ)をそのまま持ってきたのでは確実にパフォーマンスが出ないので、NGPに適合するようにスケールダウンする必要があることも指摘された。



■ PSPから進化、改良されたNGPの入力デバイス群

アナログジョイスティックが2本に

 筆者が個人的に、PSPと比べて最も強化されたと思っている点が入力デバイスの部分だ。

 PSPに採用されていたPSファミリー伝統のデジタルパッドと○、×、△、□ボタンはそのまま継承され、アナログスティック部分は従来のスライドパッド方式からリアルスティックに変更された。

 登壇したCoombes氏も「2Dアナログパッドではなく、3Dアナログパッドだ」という点を強調していた。

 前述した有機EL画面は静電容量式のマルチタッチ入力に対応しているが、その入力解像度(精度)はかなり高いものであることが主張された。

 特徴的な背面タッチパッドは、画面を裏からタッチ入力させるユニークなもので、こちらもマルチタッチに対応する。背面タッチパッドの入力エリアは画面サイズに準じているため、表示画面を裏から触る感覚で入力が可能になるようだ。


モーションセンサーを搭載 世にも珍しい両面タッチパッド機能を搭載

 Coombes氏は「背面タッチパッドはタッチしている指が映像を隠さないため、ゲーム操作には最適なタッチ入力手法である」とアピールしていた。

 6軸モーションセンサーは、3軸加速度センサーと3軸ジャイロスコープからなるもので(「SIXAXIS」機能)、PS3の標準コントローラーのDUALSHOCK 3に準じたスペックになっている。

 この他、3軸電子コンパスが内蔵されており、本体をどう傾けていても、地球上での東西南北を知ることができるようになっている。この部分はDUALSHOCK 3にはないNGPの独特なセンシング機能だと言える。

 イメージセンサーとしてカメラが本体の正面背面の双方に取り付けられており、ゲーム利用に配慮して高感度かつ60fps撮影が可能なものになっているという。

カメラデバイスはゲームのために カメラが標準装備となればテクスチャの取り込み(撮影して取得)も可能。ユーザー作成コンテンツの広がりにも期待が掛かる
カメラデバイスを使ったゲームの可能性



■ ゲームカートリッジの容量は2GB、4GBの2種類〜セーブデータ等をゲームカートリッジに保存も可能

ゲームカートリッジは2GBと4GBの2バージョン
PS3ゲームの総容量は大体が9GB程度。NGPは最大で4GBまで。現行PSPは1.8GBが最大
3G+Wi-FiモデルとWiFiオンリーモデルの2モデルバリエーション展開が予定されている

 リテールソフトウェアは、カートリッジ(ゲームカード)で供給され、その容量は2GBと4GBの2種類が存在することがアナウンスされた。

 カートリッジは基本的にはROMカートリッジとなるが、全体容量の5〜10%に書き込み可能な容量を割り当てられる仕様になっている。これはセーブデータを保存したり、あるいは発売後に提供されるアップデートやバグ修正パッチなどを格納する目的で利用される。

 この他、外部リムーバルメディアとして、市販のメモリカードの利用ができることが明言された。SDカードなのか、メモリースティックなのか、メモリーカードの種類は明言されなかったが、ROMカートリッジよりも大容量のものまでがサポートされ、ここにはオンライン購入したゲームや、ダウンロードした映画や音楽などのマルチメディアファイルが格納できるとのことだ。

 通信機能としては無線LAN(Wi-Fi)と3G携帯電話通信網が利用できるとされ、Wi-Fi+3G対応モデルとWiFiオンリーモデルの2バリエーションが計画されている。対応するWi-Fiの種類としてはIEEE 802.11b/g/nが確定しているが、3Gネットワークについての仕様詳細は未定だ。

 位置検出機能としては、GPSが利用できるが、Wi-Fi網を利用した位置検出サービスなども利用できるという。これらの機能はGPS衛星が捉えにくい地下街や屋内などでの位置検出に効力を発揮することになるだろう。なお、GPS機能は3G対応モデルとセットで提供されるとのこと(Wi-FiオンリーモデルにはGPS機能がない)。



■ NGPの開発キットはVisual Studioベース

 今回のセッションでは、開発環境についての情報提供もあった。

 現行PSPの開発キットでは、制御用の外部ボックスに加えてPSPコマンダーの双方の利用が必要だったが、NGPの開発環境は自己完結型のシステムになっている。つまり、開発者用NGPは、単体での開発途中版ソフトの動作確認やテストプレイが行なえるようになっている。前述したようなタッチパネル/タッチパッド、各種センサー類のような多彩な入力デバイスや、GPS、WiFi、3Gなどのサービス群などを組み合わせた実践的なテストが単体で行なえると言うことだ。開発者用NGPはメインメモリ容量などは市販版NGPよりは大きくなるようだが、単体でNGPとして動作できるポテンシャルを持つということだ。

開発者用NGPは単体動作可能 NGP向け開発キットはVisual Studioベース
メジャー級ミドルウェア群は続々NGPへの対応を表明 NGP対応ミドルウェア情報についてはこちら

 また、開発キットはWindowsベースのPCで提供され、しかもカスタム仕様のVisual Studio IDEが利用できる。これまでのLINUXベースの開発環境とは違うWindows PCベースの開発環境となるため、従来のソニープラットフォームと比べ、マルチプラットフォーム向けタイトルの開発が行ないやすくなる。

 なお、CPU、GPU、MEMORYのボトルネックを解析するのに役に立つ、オリジナルのパフォーマンスチューニングツールも合わせて提供されるとのことだ。こうした積極的な仕様情報開示と開発環境の改善の動きもあり、多様なミドルウェアメーカーがNGPサポートを表明している。

 開発環境の整備具合やミドルウェアサポートの充実度が、携帯ゲーム機というよりは、PS3、Xbox 360などの据え置き型向けゲーム機のものに近くなっているため、PS3、Xbox 360向けのタイトルのNGP向けへのマルチプラットフォーム展開は十分に可能だろう。

 ただし、前述したような性能差はどうしてもあるため、PS3やXbox 360向けのビッグタイトル向けのアセット(3Dモデルやシェーダ)を転用しつつも、3Dモデルを簡略化したり、シェーダーを剥がしたり……といったNGP向けのスケールダウン的なチューニングは必要になる。

リソース類はPS3、Xbox 360向けの多くのものが再利用が可能かもしれないが、PS3、Xbox 360向けのソフトの“そのままポーティング”は難しい。スケールダウンは絶対に必要


■ NGP向けの最新デモが公開される〜拡張現実(AR)対応ゲームの登場を示唆

 セッション中には、NGP向けゲームの可能性を提示するためのテクニカルデモが3つほど公開された。

 1つは、背面タッチやSIXAXIS機能を活用した「マーブルマッドネス」的なビー玉転がしアクションゲームだ。

 ビー玉は、NGP本体を動かしたり傾かせることで転がる方向を変え、プレーヤーはあたかも、ゲーム世界に対し物理的に干渉しているような実感を得ることができる。また、正面画面へのタッチではなく、背面タッチによるビー玉への干渉は、指がゲーム画面を遮らないため、直観的である以上に操作しやすいというメリットがある。

背面タッチやSIXAXIS機能を活用した「マーブルマッドネス」的なビー玉転がしアクションゲームのデモ

 もう1つは「アンチャーテッド」のシーンをNGPにポーティングしたテクニカルデモで、こちらはPS3向けのようなビッグタイトル、シリアスタイトルをNGPに持ってきたときの可能性を見せるものになっていた。

 このデモでは、通常は、アナログスティック操作やボタン操作によるPS3的なゲームプレイが体験できるが、画面内の位置指定や格闘戦などの要所要所においてはタッチ操作を可能としていた。

NGP向け「アンチャーテッド」のテクノロジーデモ
NGPにおいても、このような現行PSPライクなプレイももちろん可能だが
古文書を指でこすって謎解き。タッチならではのゲーム性 ジャンプ先をタッチで指定……なんていうプレイスタイルもOK

 アナログスティックやボタンは的確なゲーム内操作をするには最良の選択であり、一方で、タッチ操作は空間的な指定やジェスチャー入力を直観的に行なえる美点がある。

 タッチのみでなく、そしてスティックとボタンだけでもない、遊ばせるゲームごとに適材適所に各インターフェイスをユーザーに使わせていくことがNGPの新しいゲーム体験なのだ。


タッチ操作だけでなくボタンや各種センサー入力を採用した理由

 最後のデモは拡張現実(AR:Augmented Reality)のデモで、NGPのカメラ機能とSIXAXIS機能を活用したものになる。

 一般的なARではQRコード(バーコード)のような人工マーカー(タグ)で位置情報を認識させたり、シーンのジオメトリ情報を把握させたりするが、このデモでは現実世界にあるもの“そのもの”をマーカー(タグ)に利用して位置やジオメトリを把握できるようになっていた。これをソニーは「ナチュラルマーカーテクノロジー」と呼称していたが、実体としてはなんでもタグやマーカーに利用できるのではなく、あらかじめ形状情報とテクスチャをシステム側に辞書登録しておく必要がある。

正面にも背面にもカメラが搭載されているということはNGPでは拡張現実ゲーミングも可能だということ

 デモでは、PS3ソフト「サルゲッチュ」のパッケージ上に踊るピポサルをNGP視界の映像に出現させたり、床に置いた恐竜のイラストポスターから恐竜をNGP視界の映像に出現させたりしていた。

 ピポサルはとても小さいものでピポサル全体がNGPに映し出されるのだが、恐竜は人体の数倍はある巨大なものであるため、NGPを上に持ち上げてNGPを覗き込むと恐竜を下から見上げた恐竜の体の一部が映し出されることになる。そのままNGPを持って移動すれば、巨大な恐竜をその位置から見た視界がNGPに映し出される。

「サルゲッチュ」のパッケージを捉えたNGPの視界。パッケージ位置にピポサルが出現

 これは、現実世界のジオメトリに適合するように構築したバーチャル空間に巨大な恐竜を出現させ、これをNGPで的確に現実世界の情景に合成してNGPに表示することで実現している。さらに具体的に言えば、床上の恐竜のポスターを捉えてから、ユーザーがNGPをどのくらい移動したか、向きを変えたか……などをNGP内蔵のSIXAXISを活用して算出し、この情報から現実世界に対するカメラベクトルを求め、このカメラベクトルで現実世界とマッチングしているバーチャル空間上の恐竜CGをレンダリングしているのだ。

床に置かれた恐竜のポスターをNGP側のカメラで捉えると巨大な恐竜が出現。NGPで捉えた視界には、その巨大な姿が見える
NGPは正面と背面の双方にカメラを搭載。拡張現実ゲーミングがポピュラーなものになるか

 まさに、NGPの機能をフル活用したテクノロジーデモだと言える。

 現行PSPでは、確かにハイスペックなゲームを携帯ゲーム機でプレイさせることをメインテーマにしてきた感があったが、NGPにはむしろ、こうした新しい遊びができるプラットフォームとして育てていきたい思惑を感じる。

NGPは最強の携帯ゲーム機となるか コミュニティ機能についても当然進化する予定のNGP

(2011年 3月 4日)

[Reported by トライゼット西川善司]