ゲーミングノートPCレビュー

NEXTGEAR-NOTE i1100PA1-SP

ハイエンドをコンパクトに。ゲーマーへの配慮も見えるデザイン

ハイエンドをコンパクトに。ゲーマーへの配慮も見えるデザイン

モニターを閉じたところ。ブラックで統一されたシンプルなデザイン

 続いては本体の使用感についてお伝えする。今回搭載されたOSはWindows 8 64bit。カスタマイズでWindows 8 Pro 64bitには変更できるが、Windows 7以前のOSは選べない。

 Windows 8を搭載していることもあり、起動はかなり高速だ。電源オフ(レジュームではない)から起動で、アカウントの画面が表示されるまで約13秒。SSD Raid 0の効果もあるだろうが、それにしても早い。おそらくBIOS周りでも十分にチューニングされている。

【起動ムービー】
ある程度ソフトを入れた後の状態で撮影したが、それでも起動はかなり早いままだ

 液晶モニターは17.3インチのノングレアパネルを採用。最近のゲーミングPCは、発色の鮮やかなグレアパネルよりも、外光反射を低減するノングレアパネルを選ぶ傾向にあり、本製品もその流れに乗っている。とはいえ発色は十分によく、視野角もかなり斜めから覗き込んでも気にならない程度。パネルの詳細は不明だが、他のパーツに負けない高品質なものを選んでいるようだ。

液晶はノングレアパネルを採用。発色がよく、視野角も十分に確保されている

 キーボードはスタンダードな薄型のもので、キーストロークは浅め。打鍵感は硬くはないが、しっかりしたクリック感がある。キー配置は標準的で、Fnキーは右側に配置されている。またキーボードにはバックライトが仕込まれており、光り方や色を専用ソフトでカスタマイズできる。

 リストレスト部分はしっとりした感触のマット加工が施されている。滑り止めと同時に、手汗の不快感も低減する効果がある。

キーボードはスタンダードな配列になっている
リストレスト部はマット加工でしっとりした手触り。指紋センサーも搭載

 ファンは本体後部に左右2つ付いている。側面にはファンはなく、通常の利用環境ならユーザーが熱風を感じることはない。放熱性の面では、キートップの中央上部に少し温かさを感じる。ホームポジションやW/A/S/Dキーに伝わる熱はほとんどないので、特別に気になるほどではない。リストレスト部もほぼ温度変化は感じられない。

 騒音については、ベンチマークなど負荷の大きい時には、右奥のファンがかなり高速に回る。やや甲高い音がするが、他のゲーミングノートPCに比べれば標準的な範囲で、SLIだからと言って特別うるさいということはない。サウンドの出力が見た目によらずかなり大きめなので、ゲーム中はさほど気になることはないはずだ。低負荷時にはファンの回転がほぼ止まり、無音とは言わないまでも気にならない程度には静かになる。

 ACアダプターがかなり大きめ。出力19.5V、16.9Aなので、最大約330Wとなる。出力から考えれば、まだコンパクトに収まった方だと思う。ACアダプター自体にはファンなど稼働パーツはないため騒音は発しない。

本体背面には左右にファンがある。高負荷時には右側のファン(写真では左側)がかなり高回転になる
ACアダプターは330Wの大出力。サイズは大きいが音は出さない

 筆者の気に入ったのは、各種拡張端子の配置。左側面の手前側にヘッドフォンやマイクの端子、奥にLAN端子がある。右側面は手前側が光学ドライブで、奥にUSB 3.0端子が2つある。ヘッドセットを付けるなら端子は手前に欲しいし、マウスを繋ぐのにUSB端子が手前にあると邪魔になる。ゲーマーに向けてきちんと考慮したデザインになっているのが嬉しい。

本体左側にはヘッドフォン端子などとLAN端子、カードリーダーがある
本体右側には光学ドライブとUSB 3.0、eSATA、Thunderboltがある

 閉じた時に見える天板はソフトな塗装になっており、リストレスト部ほどではないがしっとりした手触り。持ち運び時の滑り止めの効果もあるが、どちらかというと細かい傷が付かないようにする狙いの加工だろう。色は全面的にブラックで統一されている。

 外見はゲーミングノートという感じではなく、天板にG-Tuneのロゴがある程度で、あまりハイエンドゲーミングノートPCだという自己主張はない。キーボードバックライトはあるが、それ以外に光り物はなく、堅実なデザインとなっている。

 サイズは419×293×39.3~49.7mm(幅×奥行×高さ)で、本体重量は約4.4㎏。ノートPCとしてはかなり重めではあるが、SLI搭載のハイエンドクラスとしてはかなり軽量な部類だ。手に持ってみると、本体サイズ相応の重みはあるが、厚みはそれほどでもないので持ちやすく、この程度の大きさなら持ち運んでもいいかなという印象がある。

 ハイエンドノートPCは、持ち運びをしない前提の大きさ・重さになってしまったり、排熱処理がうまくいっていなかったりするものが多々ある。その中で本製品は、スペックでの妥協をすることなく、“ノートPC”と呼べる範囲の比較的コンパクトなサイズに詰め込んでいる。現実的に持ち運べる最強のノートPCが欲しいなら、たとえ高価でも魅力的な製品となるだろう。

前面はインジケーターランプのみ
底面にはサブウーファーを搭載する。サウンドはかなり大ボリュームで出せる

(石田賀津男)