★ 3DSゲームレビュー★
1人はもちろん2人でもみんなでも楽しめる
人気シリーズ最新作が豊富なボリュームとゲームモードを備えて登場!
「カルドセプト」
ジャンル:
  • ボードゲーム+カードゲーム
発売元:
開発元:
任天堂/
  • 大宮ソフト
プラットフォーム:
  • 3DS
価格:
4,800円
発売日:
2012年6月28日
プレイ人数:
1人(通信プレイ時2~4人)
レーティング:
CERO:B(12才以上対象)

 6月28日、任天堂株式会社から発売されたニンテンドー3DS用カードゲーム+ボードゲーム「カルドセプト」。本作は、1995年にセガサターン向けに発売された「カルドセプト」以来、ファンからの根強い人気を誇る「カルドセプト」シリーズの最新作で、2008年に発売された「カルドセプトDS」以来、久々のリリースとなっている。

 本作では、シリーズ中でもゲームバランスに定評のあるプレイステーション 2版「カルドセプトセカンド エキスパンション」のカード・ルールをベースに、他のシリーズ作品から厳選されたカードや、新しいカード・ルールも追加されており、従来シリーズをプレイしたことがある人でもあらたな気持ちで楽しめるようになっている。

 また、プレイモードやユーザーサポート機能により、シリーズを初めてプレイする人でも遊びやすくなっているのも特長だ。ここからは、これらの追加された内容を中心に、本作の基本的なゲーム性と魅力について紹介していこう。


■ さまざまなキャラクターたちと出会いながら成長していくストーリー
  外伝的なレベルアップステージもありボリュームも十分

登場するキャラクターたちは、どれも個性的な性格をしており、対戦中に彼らが発するセリフも楽しみの1つといえる

 ある日、究極絶対神“カルドラ”は、カード使い“セプター”の中から、全宇宙を手に入れようともくろむ破壊者“ジェミナイ”がソルタリアに現われるとの予知を得る。“ジェミナイ”の野望を阻止するため、“カルドラ”は魔法の杖“ゴリガン”を“ジェミナイ”の野望を阻止すべく送り込んだ……。

 このようなプロローグからゲームのストーリーはスタート。プレーヤーはひょんなことから“ゴリガン”を助けたことから、彼とともにソルタリアの世界を旅することになる。

 ソルタリアの世界では、“ジェミナイ”に絡んだ事件が次々と勃発しており、多数のキャラクターたちとの出会いがプレーヤーを待ち受けている。キャラクターたちと戦い、ときには協力して事件を解決しながらプレーヤーは“ジェミナイ”の野望を阻止する“セプター”として成長していくことになる。

 なお、ストーリーをクリア後には、それぞれのマップでさまざまなハンデつきで対戦が楽しめる「レベルアップステージ」が用意されている。登場キャラクターたちのその後のストーリーや、シリーズではおなじみのキャラクターとの対戦もでき、こちらも含めるとストーリーモードだけでもかなりのボリュームになっている。


杖の形をしたキャラクターが“ゴリガン”。彼は旅の案内人になるとともに、さまざまなサポート機能でプレーヤーを助けてくれるマルセスブルクの王女であるセレナ。最初は敵対した彼女とは、旅を通じてかけがえのない仲間へとなっていくストーリーモードクリア後には、それぞれのステージで新たなストーリーを進めながらハンデつきの相手と戦うレベルアップステージも楽しめる



■ 従来シリーズのカード調整に加えて強力な新カード・新ルールも追加
  対戦環境は新たな気持ちで楽しめる仕上がりへ

上画面の下側には現在の自分のカード、右側には選択中のカードの内容、マップ上にあるマスの下の数字は通行料が表示されている。画面下ではセプターの魔力や領地の情報が確認できる

 続いて基本的なゲーム内容について紹介していこう。ゲームはダイスを振りながらマップ上を周回していくボードゲームと、カード同士が戦うカードゲームの要素が融合した内容となっている。ゲームの目的は、目標となる魔力を貯めて、誰よりも早くゴール地点である城に到達することだ。

 プレーヤーは50枚のカードを組み合わせたブックを用意し、カードを使いながら魔力を増やしていく。魔力を得る手段には、土地にクリーチャーを配置して、そのマスの止まった他のセプターから通行料をもらったり、ボードを周回してボーナスを得たり、スペルで対戦相手から奪うなど、さまざまな方法が用意されている。

 カードの種類は、ダイスを振る前に1回だけ使えるスペルカード、土地に配置するクリーチャーカード、クリーチャー同士の戦いで1つだけ使用できるアイテムカードの3種類。これらのカードを合わせると、480枚以上におよぶカードが用意されており、この中からプレーヤーは50枚を選んで自分のブックを作り上げていく。誰よりも早く目標魔力に到達するため、豊富なカードの中から、マップやルールに合わせてカードを選択してブックを作り上げていくことが、本作の大きな魅力の1つといえる。


ダイスを振る前に1回だけ使用できるスペルカード。ダイス目を操作するものや、クリーチャーを強化するもの、ほかのセプターに作用するものなど、多種多様な効果がある空いている土地の上に移動したら、クリーチャーカードを使用してクリーチャーを召喚しよう。これでこの領地の上にきたほかのセプターから通行料を得られるほかのセプターの領地上でクリーチャーカードを使用すると戦闘が発生!アイテムカードを使用した読み合いや、領地を奪うことで起こる逆転劇もシリーズの魅力の1つだ


 ここからは、これまでのシリーズをプレイしたことがある人向けに、新カードの情報もご紹介する。本作で追加された新たな能力として“雪辱”という能力がある。アイテムやクリーチャーの中には、相手の攻撃を無効化するカードがある。“雪辱”は通常攻撃を無効化された場合に発動する能力で、敵クリーチャーを倒したり、魔力を奪ったりとさまざまな効果が用意されている。これまでのシリーズでは無効化はかなり強力な防御手段だったが、本作では“雪辱”があるため、HPを上げるアイテムカードなど、別の手段を検討する必要があるわけだ。

 ほかには、これまでのシリーズではあまり使われることがなかったスペルカードに、カードを1枚引いてくる能力が追加されるなど、細かいバランス調整が施されているのも見逃せない。あまり日の目を見ることがなかったカードたちも強化されたことにより、ほかのカードとの組み合わせで新たなコンボを生み出す楽しみが生まれているように感じられた。

 また、すべてのカードを集めてみて感じたのは、領地のやりとりを行なうクリーチャーカードを主体に、最適なスペルカードとアイテムカードを組み合わせることが、勝利の近道だということ。もちろん、クリーチャーカードを使用しないブックを作ることも可能だが、本作のチューニングからはクリーチャー同士の戦闘がメインになるようにという意図が個人的には感じられた。チューニングの方向性には賛否両論あると思われるが、クリーチャー同士の戦闘の結果によって生じる逆転劇は「カルドセプト」シリーズの醍醐味の1つなので、個人的には歓迎したいところだ。


雪辱が発生すると、問答無用で相手クリーチャーを破壊できるイクストル。このクリーチャーに攻められたら、無効化の能力を使わずに守る必要がある自分の持つ領地が4つ以下の場合には、戦闘で倒されても復活するウロボロスも注目クリーチャーの1つ。ただし、スペルによるダメージなど、戦闘以外の守りに弱いため注意しなければならない右側のクリーチャーは領地のレベルが3以上だと無効化の能力が発生する、アプサラス。鉄壁の防御といえるが、雪辱の能力を持ったクリーチャーやアイテムには要注意



■ 初心者向けにわかりやすいゲームシステムを追加
  カードを集める方法も複数用意

上画面左側に表示されているのがカードアドバイス。ドローポーズがかかっている間は、ボタンを押すまでじっくりとカードの内容を確認可能だ

 地味だが、これまでのシリーズにはない改善点として、はじめての人でもどうプレイしていけばいいかわかる機能が豊富に追加されている点も見逃せない。ここからはこれらのユーザーサポート機能についてもひと通り紹介していこう。

 まず紹介するのは、ゲームが始まって最初に目にすることになるゴリガンチュートリアル。ゲームの目的から進め方までをイラストとともに1つずつ教えてくれるので、「カルドセプト」がどういうゲームか知らない人でも、遊びながら理解していけるようになっている。

 次に、おすすめの行動を表示してくれるアドバイスカーソル。クリーチャーの能力やアイテムを考慮しておすすめの行動の上にカーソルが表示されるようになっている。どのカードを使えばいいかわからない人もアドバイスカーソルに従えば、とりあえずプレイしていくことができる機能だ。

 そのほかにも、カードの効果や特徴、代表的な使いかたを表示してくれるカードアドバイスと、対CPU戦でボタンを押すまでカードの効果を表示してくれるドローポーズも用意。ボタンを押すまでの間、自分のペースでじっくりとカードの内容を理解することができる。

 また、カードの入手方法には、対戦した後に手に入れることができる基本的なものに加えて、ストーリーに登場するキャラクターとトレードができるマーケットも用意。マーケットでは3枚のカードと引き替えに違う2枚のカードを入手できるので、余ったカードを中心にトレードしていくといい。これにより、対戦をする十分な時間がないときでも、新たなカードを手に入れて、ブックのカードを考えることが可能なわけだ。



■ 充実のローカル対戦では友達と一緒に協力戦が楽しめる
  ダウンロードプレイで友達を誘ってみるのもおすすめ

 1人で楽しめるストーリーモードのほかに、本作では友達と2人で楽しめる協力戦というモードも新たに用意。

 協力戦では、友達と同盟を組んだ状態で協力しながら、ストーリーモードにも登場したキャラクターたちと対戦していくことになる。これまでのシリーズにも同盟戦はあったが、本作では同盟相手の召喚したクリーチャーも自分のクリーチャーのように扱うことが可能となり、クリーチャーの移動や交換などの領地コマンドも自由に行なえるようになった。そのため、これまでの同盟戦よりもバリエーションに富んだ協力プレイが可能となっている。そのほかにも、相手にダイス操作のスペルをかけて高レベルの敵領地を避けたりと、スペルをからめることで、1人でプレイするときとは飛躍的に違った遊び方が楽しめる。

 自分はもちろん、相手のカードの内容から最善の一手を考える多くの可能性が生じる余地があり、1人でゴールを目指すよりもまた一味違う楽しみがある。一緒にプレイする相手と相談しながら、同盟に最適のブック構成を考えてみるのも面白い。

 また、本作にはダウンロードプレイの機能も用意されており、ニンテンドー3DSの本体は持っているがソフトを持っていないという友達を誘うことができる。ダウンロードプレイでは、はじめて本作をプレイする人向けに、簡単なチュートリアルと易しめの専用シナリオが用意されているので、本作がどんなゲームかを知らない人でも楽しめるようになっている。

 協力戦をやってみたいけれども、本作を持っている友達がいないという場合は、まずは気軽に楽しめるダウンロードプレイに友達を誘ってみてはいかがだろうか。今だと「新セプター応援カードセット」プレゼントキャンペーン(9月28日まで)が行なわれており、友達を誘って一緒に応募するとゲーム内のカードをイメージしたカードセットが貰えるそうだ。友達が気に入ってソフトを購入してくれたら、カードセットを貰って、一緒に協力戦を楽しむといいだろう。


協力戦では、ストーリーモードと同様に専用のストーリーが用意されている。友達と相談・協力しながら、クリアを目指していこう



■ 対戦結果が集計されるランキングはもちろん
  ネットワーク対戦のモードも豊富に用意

フレンド対戦ではボイスチャットによるコミュニケーションをとることも可能。インターネット越しに遠くの友達とワイワイ対戦を楽しむこともできる

 インターネット越しに世界中のプレーヤーと対戦を楽しめる、ネットワーク専用の対戦モードも用意。

 インターネット上の不特定多数のプレーヤーと戦う“だれでも対戦”では、対戦した結果に合わせてアリーナポイントが蓄積されるようになっており、対戦をはじめたばかりのプレーヤーが集まる“ビギナー”、いくつかのマップの中からランダムで選ばれる“ノーマル”、一定期間のポイントが集計されて公式ホームページで結果を見ることができる“ランキング”、特定のカードからのランダムに組み合わされる“おまかせブック”や同盟などの特別な条件で対戦ができる“スペシャル”と、豊富なルールを用意。そのときの気分や目的に合わせて、さまざまなルールで楽しめるようになっている。

 ネットワーク対戦での不特定多数との対戦では、知っているカードでも思いもよらない使い方をしてくるプレーヤーがいたり、ほかのプレーヤーとの相互作用で信じられないような結果を生み出したりと、驚きの連続が楽しめる。ほかのプレーヤーと競い合いながら、うまくゴールを決めたときは格別の喜びを味わえるので、対戦プレイに不慣れな人も、まずは気楽にビギナーモードから対戦プレイを楽しんでみてはいかがだろうか。

 また、フレンドコードを交換したプレーヤー同士で楽しめる、フレンド対戦も用意。だれでも対戦ではアイコンチャットによるコミュニケーションしかとることができないが、フレンド対戦ではボイスチャットで直接声をかけることも可能となっている。直接会って遊ぶことができない人や、遠隔地にいる友達とワイワイと楽しみたい人にとっては嬉しい要素といえるはずだ。

 そのほかにも、インターネットに接続すると、1日に1枚カードが取得できる“ソルティスの落としもの”や、マップやカード、ブックの定期的な配信など、ネットワークならではのコンテンツも多数用意されているので、ネットワークにつながる環境にある人はぜひ1度はネットワークに接続してほしい。



■ 大満足のボリュームに加えてユーザーサポート機能も充実し
  シリーズをプレイしたことがないはじめての方にもおすすめの1本

マップ画面のほか、クリーチャー同士の戦闘エフェクトも3D表示に対応し、ド迫力の戦闘が楽しめるのも本作ならでは

 本作の内容と魅力について紹介してきたがいかがだろうか。筆者がストーリーモードをクリアするまでにかかった時間は15時間程度だった。レベルアップステージを含めるとストーリーモードだけでも30時間以上楽しめるボリュームとなっている。このほかにも協力戦やネットワーク対戦なども含めると、プレーヤー次第ではいつまでも楽しめる内容だ。

 本作をプレイして1番に思ったことは、アドバイスカーソルやドローポーズなどが採用されたことにより初心者でも遊びやすく、ダウンロードプレイがあるのでシリーズをプレイしたことがない人にも理解しやすくなっているということ。初心者でも楽しみながら上達していける内容になっているので、興味を持ってくれた読者の方は、安心して手にとってほしい。

 このように、本作は豊富なボリュームのストーリーモードや対戦モードを備えるだけではなく、はじめての方でもゲームを理解しやすいユーザーサポート機能、友達と2人で楽しめる協力戦やダウンロードプレイなど、1人はもちろん、2人でも、見知らぬプレーヤーみんなとも楽しめる、親切かつお得な内容に仕上がっている。「カルドセプト」シリーズのファンの方はもちろん、ボードゲームやカードゲームが好きな人、対戦プレイや協力プレイが好きな人にも、自信を持っておすすめできる1本だ。


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(2012年 7月 30日)

[Reported by 菅原哲二 ]