★ゲーミングPCレビュー★
ツクモ「G-GEAR」に新型筐体がデビュー! 普及モデルのキーワードは“拡張性” 「G-GEAR GA7J-C35/S」 |
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PCショップのツクモが展開するゲーミングPCブランド「G-GEAR」は、この夏、ミドルタワー型の新型筐体を採用してラインナップを一新する。新筐体を採用するモデルは型番「GA5J」、「GA7J」、「GA9J」で始まる全機種だ。価格は6万円台から20万円弱まで、これまでどおり幅広いチョイスが用意されている。
新型筐体(型番:62R3)の特徴は、小型化と拡張性、そしてエアフロー性能の向上だ。従来の「G-GEAR」モデルに用いられていた筐体に比べ、12%のサイズ縮小を達成。その上でフルレングスの大型ビデオカードを搭載できる拡張性と、全面・背面に12cmの大型シャーシファンを搭載できる余裕のデザインを実現している。
本稿では、新筐体を採用する新モデルの中でも、ミドルクラスの普及機と位置づけられる「GA7J-C35/S」をご紹介しよう。ゲーミングPCとしては手頃な価格ながら、筐体が持つ拡張性のおかげで価格以上に長く使えそうなベースモデルに仕上がっている。
■ Core i7-2600とGeForce GTX 560を搭載する普及モデル「GA7J-C34/S3」
12%のサイズ縮小を果たしたという新型筐体 |
ちなみにこちらが旧型筐体 |
前面インターフェイス。旧型に比べてリセットボタンが押しやすくなった |
背面。ビデオカードが2スロットを専有しているが、まだ5スロット分の空きがある |
今回取り上げるモデル「GA7J-C35/S」は、内容的には現行の「GA7J-C34/S3」とほぼ同じスペックを持つミドルクラスのゲーミングPCだ。CPUはSandibridgeのCore i7-2600(定格3.4GHz、最大3.8GHz)、GPUにはNVIDIA GeForce GTX 560と、現在最もコストパフォーマンスの高いコンビを採用して価格は89,980円。
GeForce GTX 560TiではなくGTX 560(Tiがつかないほう)を採用していることもあって価格が抑えられている本モデルだが、電源には定格500Wの80PLUS BRONZE対応製品を採用し、後のパーツ換装や追加を十分に考えた構成となっている。
筆者実測では、本機の消費電力はアイドル時で69W程度、ビジー時では最大295Wだった。電源容量から考えるとまだ200W程度の余力がある。ストレージを追加したり、より強力なCPUやビデオカードに換装するといった拡張は、電源容量をほとんど気にすることなく試みることができそうだ。
また本機に採用されているマザーボード「ASUS P8H67-V」 は、PCI Express 2.0×16スロット、PCI Express 2.0×1スロットに加えてPCIスロットを3つ搭載しており、しっかりとした拡張性が確保されている。内蔵のBIOSではグラフィカルな画面で「省電力」、「標準」、「高パフォーマンス」の3種の設定を切り替えられるほか、細かいオーバークロック設定も可能。自作PCの知識のあるユーザーでもしっかり遊べるマザーボードだ。
その中で本機の構成で弱点となっているのが、標準で1基しか搭載されていないHDDだ。1テラバイトの容量を持つSATA 6Gbps対応HDDとはいえ、メモリスワップが発生するようなヘビーな状況では各種パフォーマンスがどうしても低下してしまう。ゲームを楽しみつつOSも快調動作を目指すのであれば物理的に2基以上のHDDを搭載したいところだ。あるいは追加でSSDを組み込むという手もあるだろう。
その観点で言うと、本モデルは必要最低限のパーツで構成された“ベースモデル”であって、実際には購入時や購入後のアップグレードによって、ユーザーそれぞれの必要に合わせた構成に変えていくことが望ましい。そこで気になるのが拡張性ということになるが、本モデルで採用された新型筐体は、そこを大いに意識したデザインになっている。
【GA7J-C35/S】 | |
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OS | Windows 7 Home Premium 32bit/64bit 選択可 |
CPU | Intel Core i7-2600 (SandyBridge) |
チップセット | Intel H67 Express |
マザーボード | ASUS P8H67-V (ATX) |
メインメモリー | 4GB (DDR3-1333 2GBx2) |
ビデオカード | NVIDIA GeForce GTX 560 (VRAM: 1024MB) |
HDD | 1TB (SATA 6Gbps) |
光学ドライブ | DVDスーパマルチ (DVD±R 2層書き込み対応) |
インターフェイス | 前面パネル:USB2.0×2、e-SATA×1、マイク端子、ヘッドフォン端子 背面パネル:USB3.0×2、USB2.0×4、1000/100Base-T ×1、PS/2端子×1、SPDIF-OUT×1、アナログオーディオ入出力端子×6 |
電源ユニット | Topower製 550W(定格500W) 80PLUS BRONZE対応電源 |
本体サイズ | 筆者実測 186×472×427mm(幅×奥行き×高さ) |
側面。奥行きはそれなりにあって、ロングVGAが装着できるサイズを確保 | ||
ビデオカードからはDVI-D2系統、HDMI×1、DisplayPort×1 | 内蔵GPU用インターフェイスは未使用。背面USBは6系統を確保 | |
BIOS画面。グラフィカルなインターフェイスで、省エネ設定からCPU周りの細かいチューニングまでサポート |
■ 工具なしで増設可能なドライブベイがありがたい、新デザインの筐体
筐体内部。すっきりとまとめられている |
ドライブベイ。工具なしでドライブ着脱が可能 |
さて、今回「G-GEAR」シリーズが一斉採用した筐体は、拡張性と扱いやすさ、エアフローの良さという3点で実用重視の設計が施されている。
筐体サイズは筆者実測で186×472×427mm(幅×奥行き×高さ)となっており、従来型の「G-GEAR」筐体よりも一回りスリムだ。ツクモによれば12%のサイズ縮小を実現したとのこと。側面パネルを開けると、広々とした空間。ケーブル類もすっきりとまとめられており、拡張スロットやドライブベイへのアクセスが容易だ。
背面と前面には12cmの大口径ファン、拡張スロットのブラケットには穴あきタイプを採用してエアフローを確保している。前面ファンにはオプションとしてブルーまたはレッドのLEDケースファンを取り付けることもできる。
特に秀逸なのがドライブベイ周りだ。新型筐体ではすべてのドライブベイがスクリューレス設計(ドライブの固定に工具が不要)となっており、ベイに備え付けられたガイドにドライブをはめこむだけで固定できるようになっている。また、3.5インチシャドウベイのHDDマウンターにはSSDも金具なしで取り付けることができる。シャーシとの接触部にはシリコンワッシャーが装着され、ドライブの振動を低減する工夫も施されている。
標準では5インチベイ、3.5インチシャドウベイがそれぞれ1基づつ使用されているが、5インチベイは+2基、3.5インチベイは+5基の空きがある。マザーボード側のSATAインターフェイスの空きは4つ、未使用のIDEインターフェイスもひとつあるので、最大6基のHDDを追加実装することも可能だ。このあたりの拡張性は実に素晴らしい。
本製品を購入する際は、TSUKUMOサイト上で構成をカスタマイズしてオーダーすることが標準的なシナリオになると思われる。筆者からは1基の小容量HDDまたはSSDを追加することをオススメしたい。2基のHDDをを実装して容量の少ないほうを起動ドライブとして設定しておけば、HDD1基の標準構成よりもかなり快適に動作するマシンになるはずだ。
それでいて、まだドライブベイにはたくさんの空きがあるので、その後の拡張は使いながら必要に応じて考えていけばいい。そういった余裕が持てるのが、拡張性の高いBTOマシンのメリットであり、楽しい部分でもある。
前面、背面に12cm大型ファンを装備 | ビデオカードはZotac製のものが実装されている |
3.5インチベイは5スロットの空きがある | SATAインターフェイスは6系統中4系統が空き |
電源はTopwer製、定格500Wの80BRONZE対応製品 | 拡張スロット周りもそれなりに余裕がある。ATI製GPUであればCrossFire構成も可 |
■ 購入後の拡張を見越して構成を吟味したい
自分なりのカスタマイズを加えるベースモデルとして選びたい1台 |
以上のように、「G-GEAR」新モデルの筐体は拡張性に優れる点がオススメのポイントだ。それだけに、購入時のパフォーマンスを考えるだけでなく、購入後にどういったアップグレードを施していくかという長期的な視点で初期構成を考えてみてほしい。
今回レビューを行なった「GA7J-C35/S」についていうと、ミドルクラスの普及価格帯モデルということもあって、パフォーマンス的には必要十分なレベルを確保している。下にベンチマークの結果を示すが、Codemastersの「DiRT 3」のような最新のDirectX 11タイトルでも、高クオリティ設定で快適に遊べるパフォーマンスを示している。
よりヘビーなゲームをプレイするなら、GPU周りが有力なアップグレードの選択肢にになり得る。例えば本機での「LOST PLANET 2」ベンチマークはフルHD解像度で60fpsを下回るフレームレートとなっているが、ビデオカードをGeForce GTX 560Tiに変更することで15~20%程度のパフォーマンス向上を見込め、DX11機能「LOW」以下であればフルHDで平均60fps以上を確保できる。
また本機は標準のメモリ容量が4GBと、最近のゲーミングモデルPCにしては少なめだ。この点はベンチマークに現れないところだが、実際の使用では、多くのメモリを消費する新しいMMORPGタイトルのプレイ時や、動画や画像の編集といった作業で影響が現れることがある。そこが気になるような用途に用いる場合は、メモリを増設したり、SSDドライブを導入するなどのカスタマイズが効果的だろう。
という形で、自分の用途に合わせてカスタマイズしていくベースモデルとして考えるならば、シンプルな構成の本機「GA7J-C35/S」はスタート地点として最適なチョイスだ。この時期に新しいゲーミングPCの購入を考えているゲーマーの皆さんは、選択肢を見つけるためにTSUKUMOサイトの「G-GEAR」コーナーをチェックしてみていただきたい。
【ベンチマーク】 | |
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3DMark 06 (1280x1024、標準設定) | |
Score | 23751 3DMarks |
3DMark Vantage (1280x720、Performance設定) | |
Score | P17095 3DMarks |
3DMark 11 (1280x720、Performance設定) | |
Score | P3988 3DMarks |
Stone Giant (テッセレーション OFF/MED/HIGH) | |
1920x1080 4xAA | OFF:61fps MED:69fps HIGH:61fps |
DiRT 3 | |
1920x1080 ULTRA HIGH | 53.45 fps |
1920x1080 HIGH | 106.59 fps |
1920x1080 MEDIUM | 115.06 fps |
1920x1080 LOW | 151.24 fps |
1280x720 ULTRA HIGH | 82.59 fps |
1280x720 HIGH | 152.55 fps |
1280x720 MEDIUM | 173.45 fps |
1280x720 LOW | 190.75 fps |
Tom Clancy's H.A.W.X 2 Benchmark | |
1920x1080 テッセレーション ON | 117 fps |
1920x1080 テッセレーション OFF | 169 fps |
1280x720 テッセレーション ON | 172 fps |
1280x720 テッセレーション OFF | 204 fps |
LOST PLANET 2 (DX11機能を除き最高設定) | |
1920x1080 DX11機能 HIGH | TEST A: 40.3fps TEST B: 32.5fps |
1920x1080 DX11機能 LOW | TEST A: 47.7fps TEST B: 57.3fps |
1920x1080 DX11機能 OFF | TEST A: 57.9fps TEST B: 65.6fps |
1280x720 DX11機能 HIGH | TEST A: 58.2fps TEST B: 46.2fps |
1280x720 DX11機能 LOW | TEST A: 72.2fps TEST B: 77.1fps |
1280x720 DX11機能 OFF | TEST A: 101.0fps TEST B: 81.6fps |
FINAL FANTASY OFFICIAL BENCHMARK(ヒューラン男) | |
HIGH全画面 | 3721 |
LOW全画面 | 5884 |
MHFベンチマーク【絆】 | |
1920x1080 | 8951 |
1280x720 | 17487 |
CINEBENCH R11.5 | |
CPU | 6.85PTS |
OpenGL | 55.75fps |
(2011年 8月 4日)