「Icy Tower」はスウェーデンのMuskedunder Interactiveが開発し、ポリゴンマジックがmixiアプリとしてサービスを行なっているソーシャル・アクションゲーム。mixiアカウントを持っている人なら誰でも無料で遊ぶことができる。海外ではWindows版、iPhone版、Facebook版がすでにサービス中で、世界中に多くのファンがいる。日本語版は6月16日からβ版のサービスが始まっており、新しい塔やアバターが次々に実装されている。
ゲームのルールは非常にシンプル。キャラクターを左右に操作しながらジャンプして、塔を登っていくだけだ。足場は一定時間で崩れてしまうので、スピーディーに登っていかなければならず、シンプルな画面からは想像もできないほどの緊張感がある。ほんのワンミスが死を招くので「くそー!」とつい熱くなってしまう。そこが人気の秘密だろう。
このレビューでは、mixiアプリ版「Icy Tower」をプレイした感想や、コンテンツの紹介をしていきたい。
■ 果てしなく続くジャンプ。その緊張感がたまらない
ステージ選択画面。左下にカギのマークがあるものは、まだアンロックしていない塔。最初に遊べるのは中央にあるブルーの「クラシックタワー」のみ |
ゲームを開始した時に出てくるジャーナルで、新規要素がひと目でわかる |
プレイするのに必要なのは、Webブラウザとmixiのアカウントのみ。ゲームのモードは1人用と、マイミクとの対戦モードの2種類がある。モードの次はステージを選ぶ。といっても最初に遊べるのは1番簡単な「クラシックタワー」のみ。他のタワーで遊ぶには、コインを現金で購入するか、ドリコムが提供しているポイントサイト「poncan」で、各種サービスの会員登録をするなどして獲得したコインでアンロックする必要がある。
このコインはキャラクターをカスタマイズするアバターアイテムを購入するためにも必要になる。ちなみに1日12コインが無料で獲得できるが、新しいタワーの価格は2,000コインぐらいするため、貯めたコインで新しいタワーを手に入れるというのはあまり現実的ではない。定期的に50コインから手に入れられるアバターと交換するためのコインというイメージだ。
ゲームの操作は、矢印キーの左右でキャラクターを移動させ、「Space」キーでジャンプ。日本語入力がオンになっている場合は「↑」キーがジャンプになる。ステージのデザインは、どの種類の足場が何段目にあるかという部分は決まっているが、基本的にサイズと横軸の位置はランダムなので、毎回登り方が変わる。
操作は単純だが、このゲームは見た目よりもずっと難易度が高い、ということを最初に言っておこう。最初に遊べるもっとも基本的な塔ですら、100階に到達するには練習が必要だ。初めて遊んだ時には、次々と落下していく緊張感に耐えられず、焦りから落下することが多かった。
何しろ、操作するキャラクターはただボタンを押しただけではたいしてジャンプしてくれない。ちまちまとジャンプしていると、だんだんと早くなっていく足場の落下速度に追いつかれてしまい、乗った瞬間にはすでに足場が崩れ始めているというインディ・ジョーンズ状態になる。
少しでも早く上に登ることで、足場の落下時間を遅らせれば多少のミスをカバーする余裕も出てくる。そのために必要なのが大ジャンプのテクニックだ。本作は左右のどちらかにキャラクターを動かすと距離に応じて加速がつく。加速のつき方で、ジャンプをした時の飛距離が変わる。また加速をつけて壁に向かってジャンプすると、壁に跳ね返って高く飛ぶ事ができる。
最大加速でジャンプすれば、5~6段を一気に飛び越える。さらに大ジャンプを連続で出せばコンボが成立する。コンボを連続で決めると右側のバーに蓄積されていき、得点ボーナスが入る。
塔によっては大ジャンプなしでは1段も上がれないものもある。ジャンプのテクニックは、必ず習得しなければならない必須アクションだ。足場は油でも塗ってあるかと思うくらいつるつるとよく滑り、急停止しづらいので加速をつけようとして小さめの足場から転落するのは、非常にありふれた光景だ。
しかし、そんな難易度だからこそ、上手く操作できるようになってくると「フフフン、俺もなかなかできる奴になってきたな」と悦に入ることができる。「スーパーマリオ」と同じで、操作すること自体が楽しくなってくる。
塔の屋上を目指して登っていくゲームだが、実際にはフロアが自動で生成され続けるので屋上という明確なクリアはない。達成感がなくて物足りなさを感じなくもないが、自分の限界まで頑張りたいという人にとってはチャレンジングな要素になるだろう。
現在のところ筆者の最高記録は1番簡単な塔で180階だ。しかし油断は禁物で、慣れてきたなと思って侮ると6階くらいで失敗することもある。公式ホームページのFAQによれば1,000階までたどり着いた人もいるとかいないとか。
塔は正式サービスでは6つになる予定だが、現在は以下の5つが実装されている。ギミックはもちろん、背景や音楽だけでなくコンボを決めた時のエフェクトがジャングルなら木の葉だが、宇宙なら星と細かい演出にも差があって、目や耳を楽しませてくれる。
・クラシックタワー
最初から遊べる最もベーシックな塔。足場の間隔が狭く配置もなだらかなので、真上にジャンプするだけで登れる初心者向けの塔。慣れるまではあまり無理をせずに、とんとんとんとリズムよくジャンプして登っていく方が記録を伸ばしやすかった。
最初は30段程度しか登れないが、練習していくうちに最低100段と記録が伸びていく |
・ジャングルタワー
足場の間隔が広く、登るにはテクニックが必要。壁にトランポリンがついていたり、左右に動く足場があったりと、トリッキーで難易度の高い塔。特に動く足場はジャンプした瞬間動き出して、明後日の方向にいってしまったりと、落下の原因になりやすい。
ワニの形の足場は、左右に動いてプレーヤーを幻惑する。足場の間隔も広いため、大ジャンプを駆使しなければならない |
・ディスコタワー
自動的にキャラクターがジャンプしている。ノリのいい音楽ときらびやかな雰囲気が、「サタデーナイトフィーバー」のようなディスコを思わせる。キャラクターがジャンプしているので、コンボを決めやすい。ぴょんぴょん飛びっぱなしなので、操作にクセがあるが、足場の間隔も狭く、初心者でも比較的登りやすい。
最も派手なステージ。1960年代風のディスコサウンドに合わせて登っていこう |
・スペースタワー
宇宙空間なので、地上よりも重力が弱く大ジャンプを出しやすい。しかしそのぶん足場の間隔は広く、大ジャンプなしでは登っていけないところも多数。乗ると上に向かって移動する足場があるので、墜落してしまっても上手く使えば復活できる。
スタート地点からいきなり足場が見えない。他のステージに比べてジャンプの飛距離が大きいので、爽快感を感じるステージだ |
・ウェスタンタワー
宇宙空間なので、地上よりも重力が弱く大ジャンプを出しやすい。しかしそのぶん足場の間隔は広く、大ジャンプなしでは登っていけないところも多数。乗ると上に向かって移動する足場があるので、墜落してしまっても上手く使えば復活できる。
ジャングルタワーと並ぶ、難易度の高いステージ。乗ると即座に壊れる足場があり、失敗が許されない過酷なステージだ |
■ ライバルは常にそこに。時間を選ばない非同期対戦システムが楽しい!
本作には対戦モードもある。本作の「時間差対戦機能」はマイミクと非同期で対戦プレイができるシステムだ。まずは自分が対戦したいマイミクと、ステージを選択する。この時使うステージには自分がアンロックした塔なら、例えマイミクがアンロックしていないものでも使うことができる。両方を選ぶと対戦用の演出が始まり、録画モードで1人プレイを記録する。この記録をマイミクに送信すると、マイミクはその記録と対戦し、結果が再び送り返されてくる。
結果が戻ってくると、トップ画面で知らせてくれるので、後は2つの記録をリプレイしてどちらが勝ったのかを確認する。初回の対戦は筆者の負けだった。対戦相手への挑戦にはmixiのメッセージ機能を使うので、コメントを添えることもできる。お互いにやり取りをしながらいろいろなステージを遊んでみるのもいいだろう。
相手の時間を拘束せず、好きな時間にいつでも対人戦が行えるのはソーシャルゲームの大きな利点だ。積極的に勝負を挑むのは気が引けるという場合は1人プレイでも近いことができる。画面左側の塔にはマイミクのランキングと最高記録が常に表示されていて、プレイ中にマイミクの記録を超えると「○○さんさよなら」とゲーム画面にメッセージが出て、マイミクのプロフィール写真が下に消えていく。この記録をめぐっての戦いも対戦プレイ的な楽しみ方と言えるだろう。
最初に対戦するマイミクと、ステージを選ぶ | 1人プレイの結果が相手に送信される | 相手から戻ってきた結果をリプレイすると、2人対戦を見ることができる |
別々のプレイが合わさって、その場で対戦しているかのように見える | リプレイは、右下のアイコンで操作することも可能 | 今回は筆者の負け。この後、再び対戦を申し込む |
■ 意外と豊富なキャラクターカスタマイズ要素
キャラクターのカスタマイズは、メニューの「クローゼット」からいつでも可能だ。肌の色と性別は無料。顔の造形、ヒゲな口紅など顔の装飾、帽子、上半身の衣装、下半身の衣装、靴は基本的なもの以外はコインでの購入になる。バリエーションはかなり豊富で、塔をイメージした宇宙服やウェスタンスーツなどもある。
「トロフィールーム」には、一定の条件をクリアした時にもらえるトロフィーが飾ってある。例えばタワーで250段まで到達するともらえる「タワークライマー」や、30回以上のコンボを決める「コンボキング」など1人で遊ぶ時の目標となる数値が並んでいる。
コインを稼ぐ手段がゲーム内では毎日のログインボーナスしかないのが少々残念だが、最初の塔を極めるだけでもかなり遊びごたえはある。やりこんで、カンどころを覚えていくうちにじわじわとクセになるこのゲーム、まずは無料で手に汗握る緊張感を味わってみてはどうだろうか。
性別で変わるのは体型だけで、男でも口紅の顔にしたり、ナース服を着ることもできる |
Published by POLYGON MAGIC, INC.
(2011年 7月 1日)