オンラインゲームファーストインプレッション

カジュアルだけど意外と奥深い
多彩な成長要素にハマりまくり!

「DIVINA」



 株式会社ガマニアデジタルエンターテインメントは、8月18日から24日の日程で新作MMORPG「DIVINA」のクローズドβテストを実施した。

 「DIVINA」は「ルーセントハート」を開発した台湾のPlayCooが手掛けた2作目のオンラインゲーム。可愛いキャラクターやファンタジックな世界観に加え、「ソウルメイト」というペットのようなパートナーの育成、2つのクラスを1つのキャラクターで育てる「ダブルキャスト」など、深みのある独自のシステムを備えている。

 今回は、「ソウルメイト」育成や、敵モンスターに変身する「モンスターキャスト」など序盤から楽しめるコンテンツや、壮大な序盤のストーリーを中心に紹介しよう。

【スクリーンショット】
最終日に行われた、ボス召喚イベントには大勢のテスターが集まって盛り上がった




■ 崩壊した世界から始まる重厚なストーリー

終わりゆく世界が舞台となっている

 「DIVINA」はかわいらしい世界観とは裏腹に、かなりしっかりした重いストーリーがある。物語がスタートした時、プレーヤーは崩壊した世界で、記憶を失った状態で目を覚ます。世界は薄暗く陰鬱で、城の周辺には立ち枯れた木々が並ぶ。プレーヤーを育ててくれたというカエルの姿をした神族のオーウェルは、世界を守れなかったという絶望に打ちひしがれている。

 プレーヤーはそんな終わりゆく世界で、不思議な少女クラリスと出会う。そして2人はクラリスの力によって、世界が崩壊する50年前に飛ばされる。50年前の世界は、不吉な予兆はあるものの依然として平和で、植物も依然青々とした葉を茂らせている。

 そんな崩壊前の世界を冒険しながら、プレーヤーは時間を飛び越えた理由や、世界崩壊の原因、クラリスの正体などを探していくことになる。クエストを進めていくと、敵か味方かわからない神出鬼没の謎のキャラクターも出て、最初は見えなかった陰謀が次第に姿を現わしてくる。オフラインのRPGのように、ストーリークエストを追いかけていくだけでも楽しめる。

 フィールドはおとぎ話の世界のような雰囲気で、街にある建物についた大きな魚の顔が目をパチパチさせていたり、とよく見ると色々なところが動いている。空には時折飛行船が飛んでいるが、街の端には発着場らしく場所もあったので将来的にはプレーヤーが利用できるようになるのかもしれない。

 キャラクターやNPCの声は有名な声優陣があてており、フルボイスではないものの、キャラクターの個性を際立たせるセリフを喋ってくれる。また、敵のモンスターや、パートナーNPCの「ソウルメイト」は吹き出しで色々なことを言うので、それを見るのも楽しい。

【スクリーンショット】
カエルの姿をした「システィア」の守護者「オーウェル」はプレーヤーキャラクターの育ての親でもあるプレーヤーは崩壊した世界で、記憶を失った少女「クラリス」を見つける
クラリスの力によって、2人は50年前の世界に飛ばされる陰気だった崩壊後の世界と違い、50年前の世界は平和で美しい
世界には「魚人」という魚の姿をした種族と人間が共存している。そのせいか、街の建物には魚をモチーフにした装飾を施したものが多い
「システィア」の上空を移動していく河豚型飛行船。街の端には、飛行船乗り場らしき場所もある



■ 成長すると使えるヤツに大変身する、便利なソウルメイト

最初のソウルメイトは過去に戻るクエストの中で報酬として手に入れることができる。しかし、なんとなく唐突な気もするが……
レベルが上がってくると、戦闘には欠かせないパートナーに成長していく

 「ソウルメイト」はプレーヤーを助けてくれるパートナーNPCだ。最初の1匹目は、レベル10で受諾可能なクエストで無料で手に入る。その時選べるのは「不幸ウサギ」か「お洒落ネズミ」。不幸ウサギはその名の通りネガティブな性格で、プレーヤーとの友好度が低いうちは召喚しても文句ばかり言っている。だがその愚痴が意外に笑えるためか、お洒落ネズミよりも不幸ウサギを連れているプレーヤーが多かった。

 ソウルメイトとの友好度は「会話」というコマンドから、トピックを選ぶことで上昇していく。選ぶトピックによっては興味を示さないこともある。「オカルト」、「読書」、「映画」といろいろ試してみたが、筆者のソウルメイトが一番好反応を示したのは「恋愛」話だった。多感な年頃なのだろうか?

 ソウルメイトは、レベルが低いうちはただ隣で殴ってくれるだけだが、「教育」というコマンドでステータスを上げていくと、一定のレベルで系統が分岐して、系統に応じたスキルを覚えることができるようになる。「教育」は1回に必要な時間がレベルアップと共に伸びていく。CBTでも後半は常に次の教育ができる時間を待っているような状態だった。

 最初の分岐では物理タイプと術タイプに分かれ、物理なら大剣、魔法ならワンドを持つようになる。筆者のソウルメイトは「STR」や「VIT」ばかり教育していたため、物理タイプに育った。物理タイプのソウルメイトはアタックスキルと敵を挑発するスキルを覚える。

 最初は体力が少なく、あまり役に立たない感じのソウルメイトだったが、育てていくうちに攻撃力、防御力ともになかなか侮れない数値になっていった。さらにスキルを覚えてからは、強力な長髪技能で敵の攻撃を引きつけたり、吹っ飛ばし効果のあるアタック技能で敵を吹っ飛ばしたりと、かなり頼れる存在になった。最初は敵に絡まれると、助けてやらなければ倒されていたが、いつの間にか敵を倒して更にプレーヤーを援護してくれるまでに成長した。

 筆者がパーティーを組んだウィザードさんは、危なくなるとソウルメイトに全てを任せて離脱する、という方法で強い敵もソロで倒すことができたと語っていた。ソウルメイトには災難な話だが、HPが0になっても引っ込むだけで、召喚すればまたいつでも呼び出すことができるので、ピンチの時には大いに役立ってもらおう。

【スクリーンショット】
「不幸ウサギ」のネガティブ発言集。かつてここまで嫌そうにしていたペットキャラクターが存在していただろうか?
話題を選んで「会話」を行なうことで、ソウルメイトの「好感度」を上げていく。だが、なかなかお気に召す話題がないようだ
物理タイプのソウルメイトが覚える挑発は、瞬時に敵のターゲットを取る便利なスキル。ソウルメイトを前衛として送り込み、自分は背後から攻撃すればノーダメージで敵を倒せる



■ ソウルメイトの立ち回りで、戦術が多彩に変化する

大砲を使って攻撃するレンジャー。長いレンジと「罠」を使ったトリッキーな攻撃を楽しめる

 以前の運営スタッフへのインタビューで「戦闘関連のシステムに力を入れたゲーム」と聞いていたが、実際にプレイしてみると確かに奥の深い戦略性に驚いた。「DIVINA」には「ファイター」、「クレリック」、「ウィザード」、「レンジャー」、「忍者」の5クラスがあり、それぞれ違った戦術を楽しめる。今回は罠を仕掛けたりといったトリッキーな攻撃が特徴の「レンジャー」での戦闘を紹介したい。

 「レンジャー」は、大砲を持った遠距離型のアタッカー。攻撃には弾丸が必要なので、武器商人から買って少し多めにストックしておいたほうがいい。ちなみに1マスで999個ストックできる。大砲を使った砲撃はかなりレンジが広く、相当遠い場所からでも攻撃を仕掛けることができる。

 この砲撃と罠を組み合わせることで、トリッキーで強力な攻撃が可能になる。罠には地雷や毒、火炎などいくつかの種類があり、ものによって設置できる数が決まっている。例えば地雷は最大3個まで同時に設置することができる。敵がこれらの罠に近づくと、自動的に発動してダメージを与える。

 複数の敵が同時に出現するパーティー推奨のクエストでも、罠を貼りめぐらせておけば1人でクリアすることができるのだ。相手の動線を考えつつ罠を仕掛けて、それが上手く発動した時の爽快感はなかなかのものだ。

 ここにソウルメイトが加わることで、戦闘はさらに多彩になる。レンジャーならば、ソウルメイトに敵を挑発させて盾を任せ、自分は遠くから砲撃してもいいし、罠で誘い出した所にソウルメイトと一緒に大技を当てるといったこともできる。ソウルメイトは複数所有することができるので、パーティー戦など、その場の状況に応じて召喚すればさらに多彩な戦術を楽しめる。

 レベル30を越えると、パーティー単位で入るインスタンスダンジョンも出てくるので、今後はパーティー内での立ち回りも考える必要が出てくる。そうなるとソウルメイトの動きもパーティー内で相談して決めたりと、さらに戦略性が増していきそうだ。

【スクリーンショット】
レンジャーの攻撃はレンジの広さが特徴。スクリーンショットからも、かなりの遠距離から攻撃していることがわかるだろうか?
沢山の敵が同時に出てきそうなクエストでは、あらかじめたっぷりの罠をセットしてから敵を呼び出すと、一網打尽にできる
クエストの中には時々、複数のパーティーを組んでいる敵を倒すという、難易度の高いものがある。そんなときにも罠の出番だ



■ コレクション、ビンゴ、変身と楽しみ方の多い「モンスターキャスト」

「モンスター図鑑」は50年前の世界に移動した後、クラリスからクエストを受けると使えるようになる

 序盤に出てくるモンスターは、どれも愛嬌がある可愛い姿をしている。ストーリーを進めていくと、フィールドにいるたいていのモンスターと1度は戦うことになる。その戦闘をさらに意味のあるものにしてくれるのが「モンスターキャスト」だ。

 50年前の過去に移動した後、クラリスからクエストを受けることで「モンスター図鑑」が使えるようになる。モンスター図鑑はいくつかのページに分かれていて、最初は9枚のパネル全てが「?」マークになっている。フィールドにいる特定のモンスターを倒していると「?」になっているパネルがモンスターのイラストに変わる。どのモンスターが対象なのかは、イラストが出るまでわからない。

 開けば終わりではなく、その後パネルの下にあるゲージが100%になるまでそのモンスターを倒しつづけなくてはならない。クエストをこなしているうちに100%になるモンスターもいれば、このために狙って倒さなくてはならないモンスターもいる。100%になると、そのモンスターの設定イラストを大画面で見ることができるようになり、さらにそのモンスターに変身できるようになる。変身時間は1回30分。

 雑魚モンスターなら比較的短時間で変身できるようになるが、やはり目標はレアモンスターだ。ほかのプレーヤーが、見たこともないような珍しいモンスターに変身しているのを見つけて「なんだあれは!」と驚くとともにそれを手に入れることが目標にもなる。変身できるということは、そのモンスターを倒したということなので、珍しいモンスターに変身できるのはキャラクターにとって栄誉になるだろう。

 モンスター図鑑には「1ラインビンゴ」、「2ラインビンゴ」、「コンプリート」の3つでそれぞれ報酬のアイテムがもらえる。アイテムは便利グッズだったり、装備だったりといいものが多いので、集める意味は大きい。もちろんコレクター魂を満たすためだけに集めるのも楽しい。

【スクリーンショット】
クエストで雑魚モンスターを倒していれば、自然にいくつかのパネルが変化するので、あとは目標のモンスターを倒しまくってゲージを100%にするだけだ
ゲージが満タンになったパネルは拡大すると、モンスターの設定イラストを見ることができるようになる
パネル内にある変身用のアイコンをクリックすると、30分間そのモンスターに変身することができる。特殊なスキルを持っているモンスターなら、そのスキルを使えるようになる



■ 最終日には巨大ボスが大量に出現するGMイベントも

アイテムモール説明会。課金アイテムの導入で、アバターの見た目がぐっと賑やかになった

 CBT期間中にはGMが主催するゲーム内イベントがいくつか行なわれた。その中で筆者は、アイテムモールの説明会と、最終日に行なわれた負荷テストに参加することができた。

 アイテムモールの説明会では、事前のメンテナンスで全員に課金アイテムを購入するための「マイレージ」が配布された。メンテナンス明けには、GMが表れてアイテムモールの使い方を説明して、プレーヤーからの質問に答えていた。

 今回実装された課金アイテムの中でも、特に人気があったのは「羽」だろう。背中につけるアバターで、クリティカルアップやクリティカル抵抗アップのステータスが付いていたこともあり、メンテ直後から多くのプレーヤーが羽付きになっていた。天使風の白い羽と、悪魔風の黒いコウモリ羽の2種類があり性能は同じだが、見まわした感じでは天使風の羽をつけている人が多かった。

 課金のソウルメイトは、犬と猫の2種類。犬のソウルメイト「忠犬」は、時代劇風のしゃべりをするシブい男。通常のソウルメイトよりも物理防御が成長しやすく、成長すれば頼りになる盾として活躍してくれる。猫のソウルメイト「姫ネコ」は可愛いお姉さんタイプ。通常のソウルメイトより攻撃力が成長しやすいアタッカータイプだ。また、ソウルメイト用の頭と胴のアバターも販売していた。

【スクリーンショット】
クリティカル率と、抗クリティカル率が上がる課金アイテムの羽をつけたキャラクター。見た感じでは天使の羽のほうが人気のようだ
アイテムモールにはアバター以外にも、倉庫拡張やデスペナ軽減など様々な便利アイテムがある。課金専用のソウルメイトや、ソウルメイトの装備も

 CBT最終日の終了間際に行なわれた負荷テストでは、GMの合図とともに首都の街に次々と巨大なボスが出現した。「ファフナー」というドラゴンとケンタウルスを合わせたような巨大ボスが2匹暴れまくりだすと、さすがに重すぎたのかクライアントが何度も落ちてしまった。

 高レベルのボスモンスターだったので、最初は攻撃が当たらなかったが、能力の振り直しで「DEX」に全振りすると当たるという報告がチャットで流れるなど、短い時間にも攻略法が編み出されていく様子がみられた。最後は全員で記念撮影をしてCBTを終えた。

【スクリーンショット】
最終日に行われたボス出現イベント。「ファフナ-」、「ミニピエール」、「フェンリル」など巨大なボスが次々に街中に現われた



■ コミュニケーション要素は「テリトリーシステム」に期待

クラリスに異変が起こり、突然現れたもう1人の女神「クラリア」。彼女の正体は一体?

 今回のCBTで、唯一問題になったのはPKだろう。本作はレベル30以上の特定のマップでPvPが可能になる。そこでのPKを嫌がる人が多くいた。OBTではPvPサーバーとnonPvPサーバーに分かれるということなので、CBTのように嫌なひとが巻き込まれるといった事態はなくなるが、2つのサーバーの人口比がどうなるかは気になるところだ。

 もう1つ筆者が気になったのは、コミュニケーション要素の弱さだろうか? レンジャーの戦闘でも紹介したように、パーティー推奨のクエストでも工夫次第でソロプレイができてしまうので、レベル30程度までは人と協力しなければならないという要素が少ない。今後クラン単位で遊ぶ「テリトリーシステム」が実装されるとまた違ってくるかもしれないが、現状では前作「ルーセントハート」に比べるとコミュニケーション要素が弱いように思えた。

 とはいえゲーム自体には特に大きなトラブルもなく、順調なCBTだったこともあり早いオープンβ開始を望む声が多かった。プレイしてみるまでは、見た目のかわいらしさから子供向けのゲームかと思ったが、遊んでみると印象は一変した。

 成長要素はかなり深い。ソウルメイトの育成とキャラクターの強化だけでもやるべきことがたくさんある。自分のスキル強化だけでなく、レベル20から覚えられるようになる「アビリティ」では特定の攻撃の基本性能を強化できるようになる。またレベル24からの「シックスセンス」は、レベルアップ時のステータス振り分けとは別に、自分のステータスを強化することができる要素だ。また、生産によってステータスを強化する装備である「魔方陣」の「コア」や、武器を作ることもできる。

 今回紹介したのは、まだ冒険のほんの序盤に過ぎない。レベル30から使用できる「ダブルキャスト」や、30から侵入できるようになるインスタンスダンジョンでのパーティープレイ、キャラクターの強化に欠かせない生産など「DIVINA」にはまだまだ沢山の楽しみがある。クエストで語られる深みのあるストーリーも、CBTで読み飛ばしてしまったという人はぜひOBTではじっくりと読んで見て欲しい。この世界をさらに楽しめるようになること請け合いだ。

【スクリーンショット】
レベル20からの更なる成長要素「アビリティ」生産材料のカードを採取する場所はいつも賑わっていた
ストーリーを進めて行くと、何度か会うことになるいわくありげな神族「テルメス」CBTではマウントはクエストでもらえる1種類だけだったが、今後は種類が増えるだろうか?

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(2010年9月1日)

[Reported by 石井聡 ]