PS3 / Xbox 360ゲームファーストインプレッション

忌わしき過去と重なる、猟奇殺人事件の真相を追え!
「レッドシーズプロファイル」



 プレーヤーはFBI特別捜査官のフランシス・ヨーク・モーガンとなり、アメリカ北部の田舎町グリーンベイルで発生した猟奇殺人事件の真相究明を目指す。証拠を捜して捜査を行なうアドベンチャー、ホラータッチで描かれる“常世”でシャドウと戦うアクション、広大な町を奔走するドライブなど、さまざまなジャンルが融合した作品に仕上がっている。



■ オープンワールドで繰り広げられるミステリー

 本作の舞台となるのは、カナダとの国境ほど近くにあるアメリカの田舎町グリーンベイル。この町で起きた殺人事件を捜査するためにやって来た主人公・ヨークの視点を通じて、プレーヤーはグリーンベイルに隠された驚愕の事実に肉迫していくことになる。ここではまず、本作のストーリーと主要登場人物を紹介していこう。

【スクリーンショット】
プロローグでは、主人公のヨークが赤い森にある謎の空間で双子の子供と出会う。不思議なこの部屋から脱出すると、ヨークはグリーンベイルにクルマを走らせていたことに気付く。そのとき、車道に飛び出すレインコートの影を発見。ヨークは急ハンドルを切ってクルマは横転。辛くも脱出すると、そこは現実とはどこか異なっていた


【ストーリー】

 200X年7月、アメリカ北部の美しい自然に囲まれた田舎町・グリーンベイルで猟奇的な事件が発生。町外れの森でミス・グリーンベイルに輝いたアンナ・グレアムの無残な死体が発見された。

 突然の惨劇に驚きを隠せない住人たちの中のひとりは、「雨の殺人鬼」伝説の名を思わず口にする。それはこの町に封印された“黒い過去”。50年前に発生した、少女だけを狙った連続殺人事件のことだった。犯人は真っ赤なレインコートを被って雨の夜にだけ現われ、伐採用の斧で少女たちを惨殺する……既に迷宮入りとなったその事件に、今回の犯行の手口は酷似していたのだ。

 数日後、グリーンベイル保安官事務所に見慣れないひとりの男性が到着する。事件解決のためにこの地を訪れたFBI特別捜査官、フランシス・ヨーク・モーガンその人であった。

【主要登場人物】
フランシス・ヨーク・モーガン(33)
タバコと珈琲をこよなく愛するFBI特別捜査官の主人公。気分と表情の変化が激しく、近寄りがたい雰囲気。「ザック」という別人格を宿し、彼と会話しながら捜査を進めていく
エミリー・ワイアット(26)
グリーンベイルの保安官補。芯が強く聡明な女性で、ジョージとともにヨークに協力して事件の真相を追う。捜査が進展するととともに、ヨークに徐々に惹かれていく
ジョージ・ウッドマン(42)
グリーンベイルの保安官。腕っ節の強い自信家で、病気の母親と暮らしている。ヨークの捜査を見て自分なりにプロファイリングをしてみるが、的外れなことが多い



 本作の大きな特徴のひとつが、8km四方にも及ぶグリーンベイルをまるまる再現したフィールドの広大さだ。プレーヤーは車で町の各所を移動して捜査を進めることになるが、フィールドには時間や天候の概念があり、刻一刻と風景が変化していくこともポイント。また、シナリオに関係のあるなしに関わらず、グリーンベイルにはさまざまなスポットが用意されている。シナリオを進めるだけでなく、こうしたスポットに立ち寄って「サブミッション」と呼ばれるクエストに挑戦したり、釣りやダーツなどのミニゲームも楽しめる。



■ ふたつのパートで猟奇殺人事件の深淵に迫る

 本編のゲームプレイは、事件を読み解くプロファイリングを交えながら、主にドラマパートとバトルパートのふたつで進行する。基本的にはドラマパートが主体となるが、時折挟まれるバトルパートはマップが複雑で、敵が出現するためドラマパートよりもプレイ時間はかなり長め。それぞれのパートと、プロファイリングについての詳細は後述する。

 本作では、プレーヤーの行動にいろいろと細かなリソースがついて回ることも特徴。例えばドラマパートでどこかに向かう際には時間制限があり、移動に使う車にはガソリンの残量と耐久度がある。また、主人公のヨークにはライフゲージ(生命力)とパルスゲージ(心拍数)というふたつのゲージがあるほか、空腹と眠気のパラメータが存在。適度に食事を取り、睡眠を取らないと思うように行動できなくなってしまう。バトルパートにおいては、一部を除く銃器の弾薬の残量、殴打武器の耐久度(一定回数の使用で壊れる)にも気を配らなくてはならない。

 これだけを聞くと、第一印象として「面倒くさそう」と感じてしまうかもしれないが、ゲームに慣れれば各パラメータの管理はさほど困難ではないことがわかってくる。そのため、あまり神経質に考える必要はない。自由に行動できる時間は少なからずあるので、そのときに必要に応じて補充しながら進めていけばいい。1度クリア済みのチャプターであれば、好きな場所を選択してプレイできるので、お金や弾薬、食料が足りないときは活用しよう。

武器やキーアイテム、ライフ回復アイテムを初め、強心剤に食料、眠気覚ましなどアイテム類は実に豊富。取得したアイテムは、倉庫の役割を果たすツールボックスに送ることもできる
アイテムが落ちている場所や調べられる場所、シナリオの進行に関わる重要な場所には光が発生している。一目でわかるので、アイテムの見落としや謎解きで詰まる可能性は低い施設内にある電話を調べると、通話料を支払ってセーブできる。また、特定の場所では自動的にセーブされるが、オートセーブ機能は設定でオフにすることが可能




■ ドラマパート――目的地へ向かい、情報を集めよう

 ドラマパートでは、クルマに乗って目的地に向かうことが最初の目的となる場合が多い。クルマを運転中には目的地の方向と距離が視覚的にわかるようになっており、道に迷う心配は少ない。ただし、フィールドが非常に広大なため、道を1本間違うと大きなタイムロスが生じる可能性がある。運転時に限らず行動中はいつでもSELECT / BACKボタンで全体マップを開けるので、画面左下のミニマップと全体マップを参照しながら、手早く目的地に向かおう。目的地に到着後は聞き込みをしたり、その場所を調査したりしながら、エミリーとジョージといっしょに捜査を進めていく。

町は非常に広く、クルマを使わないと移動もままならない。運転中はクラクションやワイパーを操作したり、ウインカーやヘッドライトを点灯させたりと芸の細かい行動が可能全体マップを開くと、目的地や話しかけられる人物、サイドミッションの発生場所、電話のある場所などがアイコンで表示される。こまめに開いて確認しながら進めるといい




■ バトルパート――シャドウを退け、常世から脱出せよ

 バトルパートでは、「シャドウ(影)」なる異形との戦いがメインになる。グリーンベイルでは午前0時になると、「常世」と呼ばれる幻想空間が出現。ヨークがいる場所は、赤いツタに浸食された魔界のような場所に変貌。常世にはヨーク以外の人間は基本的に登場せず、シャドウが蔓延する異世界と化してしまう。なお、時間帯に関係なく常世となっている場所もある。

夜が深まってくると、今いる場所が常世になるのは近い。常世の一面を覆うツタのようなものは、タイトルにある“赤い種”を連想させる



 敵となるシャドウは人の怨念が乗り移った死体のことで、ヨークを見つけると呪詛を吐きながらにじり寄ってくる。眼球のない顔と、ブリッジのような姿勢でノロノロ向かって来るビジュアルはかなりのインパクトがある。

 また、シャドウは緩慢ながらアルゴリズムにも一癖あり、ヘッドショットを防ぐために頭部をガードしたり、小刻みに移動して銃撃を回避しながら接近してくることがある。物語が進むと、銃火器を使用するシャドウも登場してプレーヤーを苦しめる。

 シャドウに攻撃を受けたときのダメージも高く、細い通路で強引に横を走って抜けようとすると引っかかりやすく、大ダメージを受けてしまうことが何度かあった。初期装備のピストルは無制限に撃てるので、距離を取って丁寧に倒していきながら進むようにしたい。

 ちなみに、ヨークには息を止めて歩くアクションもあり、この動作中はシャドウがこちらを知覚できずに襲ってこない。ただし、息を止めている間の移動速度は極めて遅く、パルスゲージがみるみる減少していく。パルスゲージが0になると息が切れて、ゆっくり歩くことしかできなくなるため多用は禁物。息を止めるアクションは、シャドウに至近距離まで接近されたときの緊急回避手段として使っていくといい。

シャドウは動きが遅いが耐久力は高い。近寄られたらいったん離れて間合いを取るのが安全。なお、シャドウに捕まると体内に侵入されそうになるが、アナログレバーで振りほどける
シャドウは保安官事務所なら保安官、病院なら看護師というふうに、常世化した場所に元いた者の姿で現われる。息を止めるアクションはしゃがんで移動するためヨークの歩みは遅い



 また、常世では冒頭の事故の原因となったレインコートの人物ともたびたび遭遇。このときは通常の戦いにはならず、素早いボタンの入力やアナログレバーを振る動作が求められる。特にボタンは受付時間が短く、初見では失敗の可能性が高い。ある程度はパターンが決まっているので、覚えて対処していこう。

この町で起きた50年前の事件の犯人を思わせる、斧を持ったレインコートの男。常世に出没してはヨークに殺意を向ける。画面に表示されたボタンやアナログレバーの入力に失敗すると、即座にゲームオーバーとなってしまう




■ キーフラグを集めてプロファイルを完成させよう

 プロファイルとは、ヨークが犯行を分析する推理のことで、成功すると新たな事実が判明して捜査が大きく進展する。ドラマパート、バトルパートという区別とは異なり、そのどちらであっても特定の場面で発生する。画面左下にカギのアイコンが表示されるのがプロファイル開始の合図で、最初にノイズによって隠された映像がヨークの脳裏で再生される。

 プロファイルを完成させるには、「キーフラグ」なるアイテムを規定数集めることが必要になる。キーフラグを取得するとノイズの部分が少しずつ鮮明な映像になり、すべて集めると真相が判明して新事実が浮上する仕組みになっている。

 キーフラグは証拠品や遺留品が中心となるが、何かを調べて状況を確認したり、何かを目撃するなどの情報として手に入ることもある。キーフラグはスナップのような形で保存され、過去に獲得したものはいつでも確認が可能だ。

キーフラグの入手状況はさまざまで、イベントを見るだけで手に入ることもある。何かを調べることで取得できる場所には、赤い光が立ち上っている。さっそく近づいて調べよう
キーフラグをひとつ入手するたびにプロファイルを行なえるが、すべて揃えるまではノイズの部分が残る。このノイズが完全に取り払われたとき、事件に関係する事実が判明する


 本作はアクションアドベンチャーであるだけでなく、ホラー、サスペンス、ドライブ、箱庭アクションなど多岐に渡るゲームジャンルの特性を併せ持ち、トレーディングカード収集やサブミッション、釣り、ダーツなどのやり込み要素やミニゲームも充実している。ただ、ボリュームを優先しすぎたきらいがあり、それぞれのクオリティとアドベンチャー部分への没入感が若干薄れてしまった印象は受けたが、広大なオープンワールドでさまざまなゲーム体験を楽しめる意欲作となっている。新たな謎が提示される中で事件の真相に接近していくシナリオは興味深く、つねに先が気になる展開となっている。ミステリーに興味のある人は、「赤い種」に隠された真相を追ってみてはいかがだろうか。

(C)2010 Marvelous Entertainment Inc.

(2010年3月11日)

[Reported by 氏家雅紀(トリスター)]