DSゲームファーストインプレッション

全職業一新!
正統進化を遂げた3DダンジョンRPG

「世界樹の迷宮III 星海の来訪者」

  • ジャンル:3DダンジョンRPG
  • 発売元:株式会社アトラス
  • 価格:6,279円
  • プラットフォーム:ニンテンドーDS
  • 発売日:4月1日
  • プレイ人数:1人(ワイヤレス通信プレイ時最大5人)
  • CEROレーティング:A(全年齢対象)


新たに「海」の要素が追加された「世界樹の迷宮III 世界樹の迷宮III 星海の来訪者」。ダンジョンを探索し、マッピングしよう

 3月5日、東京都新宿区にある株式会社アトラスにてニンテンドーDS「世界樹の迷宮III 星海の来訪者」プレス向け体験会が実施された。

 本体験会は2時間のプレイ制限があり、本作で搭載された新要素全てをプレイすることはできなかったものの、多くの新要素を体験することができた。じっくりプレイした結果ではないもののインプレッションとして紹介していきたい。

 なお、今回の体験会でプレイしたのは開発用のROMであり、製品ROMではないため、製品とは一部異なる可能性があること、スキルリストや各種数値情報を紹介できないことをご了承いただきたい。



■ 一新された10種類の職業

 ゲームを始め、プロローグを一通り見終えると、ギルド名や所属冒険者を登録をすることになる。

 IからIIでは新職業が3つ追加されたが、IIからIIIでは全職業が一新されており、これまでのシリーズで登場した職業は存在しない。全て新職業だ。

 キャラクターの外見については、男女各2タイプ、2カラーバリエーションの計8タイプから選択することになる。

 以下が冒険開始時に選択できる職業10種だ。

職業
名称適正位置タイプ
プリンセス(プリンス)中衛支援特化型
ウォリアー前衛攻撃特化型
ファランクス中衛防御特化型
パイレーツ前衛特殊追撃型
シノビ中衛特殊攻撃型
モンク中衛回復特化型
ゾディアック後衛属性攻撃型
ビーストキング後衛特殊召喚型
バリスタ後衛攻撃特化型
ファーマー後衛探索特化型

 本作は最大5人パーティであり、FRONTとBACKそれぞれ3枠の計6枠に5人を配置する。上記の表を見ていただければわかる通り、適正位置が前衛となっている職業はウォリアーとパイレーツしかないが、中衛はFRONT、BACKどちらに配置していい。FRONT、BACKどちらでも活躍できる職業という捉え方が正しいだろう。

 筆者が最初に組んだのは、ウォリアー・パイレーツ・シノビ・ゾディアック・ファーマー。壁役と回復役無しのパーティーだ。この構成、かつ初期装備でどの程度まで進めるかを試してみた。樹海1Fに入って、数回戦闘をこなした段階でパーティーは半壊してしまった。初期状態では回復アイテムを持っていないこともあるので当然といえば当然だが、このプレイで本シリーズらしい難易度で、歯ごたえのあるものになっていることが確認できた。

 次に回復役のモンクを入れ、装備を整えてプレイ。TP回復のために何度か街に戻ることはあったが、スムーズに進めることができた。やはり回復役の存在は大きい。さらに、プリンセス(プリンス)を入れることで、より安定感、持久力がアップした。

 昨今のゲームのような親切丁寧なチュートリアルはないため、それぞれの職業をよく理解してパーティーを組むことをオススメしたい。

 ここからは各職業について簡単に紹介していきたい。


 ・ プリンセス(プリンス)

 中衛、支援特化型のプリンセス(プリンス)は、公式開発者ブログでも語られているように少し特殊な回復効果を持つ職業。ロイヤルベール(ターン終了時、自分のHPがMAXの場合味方全員のHPを回復)、王者の凱歌(自分が生存状態で戦闘勝利時味方全員のHPを回復)、キングスマーチ(ダンジョンを歩くたび、HPが回復)など、戦闘中よりも戦闘終了後などに効果を発揮するスキルを多く持っている。持久力が要求される冒険においてとても心強い存在だ。


 ・ ウォリアー

 前衛、攻撃特化型のウォリアーは剣や鎚を得意武器とし、常在戦場(物理攻撃力を上昇させる)などのスキルを持つ。FRONTに配置するアタッカーキャラクターとして使いやすい。防御力もなかなかのもので、パーティーに入れておきたい職業の1つだ。


 ・ ファランクス

 中衛、防御特化型のファランクスは、盾や槍を得意とし、圧倒的な防御力を持つ。ディバインガード(そのターン中、味方1人が受けるダメージを全て肩代わりする)などの防御系スキルを豊富に持っているため、パーティーの壁役として活躍してくれる。


 ・ パイレーツ

 前衛、特殊追撃型のパイレーツは、突剣や銃を得意とする職業。前衛ながらウォリアーと比べると防御力が低く、クセのある印象。トリックスター(戦闘中に攻撃スキルを使うとTPが回復する)、チェイスセーバー(武器を構えて待機し、味方の斬攻撃にあわせて突攻撃で追撃)など、直接的な攻撃方法を得意とするウォリアーとは異なるタイプのスキルで戦う。


 ・ シノビ

 中衛、特殊攻撃型のシノビは、素早い攻撃と状態異常系の攻撃を得意とする。FRONTに置くには少しばかり防御面で不安を感じる場面もあったが、煙りの末(スキル使用時のTP消費量を抑えつつ、後列からでも攻撃力が低下しなくなる)などのスキルを持っているためBACKに配置しても活躍できる。


 ・ モンク

 中衛、回復特化型のモンクは、パーティーに入れおくことをオススメしたい重要な職業。モンクという名称から攻撃特化な職業と思ってはいけない。ヒーリング(味方1人のHP回復パーティー)などの回復スキルを持ちつつも拳による攻撃を得意とする万能職だ。


 ・ ゾディアック

 後衛、属性攻撃型のゾディアックは、炎・氷・雷などの属性攻撃を得意とする魔法使い的な位置づけの職業。相手の弱点属性をついてスキルを使用すれば大ダメージが与えられる。HPや防御力が低めに設定されているため、BACKに置いて活躍させたい。


 ・ ビーストキング

 後衛、特殊召喚型のビーストキングは、動物を召喚して戦闘に参加させる特殊職。少しプレイしただけではどれほどのスペックを持っているのか計り知れなかったが、使いこなすことで多くの場面に対応できそうだ。


 ・ バリスタ

 後衛、攻撃特化型のバリスタは、弩を得意とし、BACKに配置することで活躍するアタッカー。全体攻撃や属性攻撃に加え、ジャイアントキル(HPが大幅に高い相手への攻撃力が上昇)といった特殊なスキルも習得できる。


 ・ ファーマー

 後衛、探索特化型のファーマーは、大自然の恵み(自分が生存状態で戦闘を終了すると、全員の取得経験値が上昇)、二毛作(伐採、採掘、採取の実行回数を回復)といった、探索の補助となるスキルを有する。戦闘での直接的なダメージは期待できない。アイテム集めやレベル上げには大活躍してくれるが、強敵と戦う上では足手まといになってしまうだろう。


 上記はあくまで少し触っただけの印象であり、本格的にプレイしてみたら、また違った印象を受けるかもしれない。発売が待ち遠しいところだ。

 あらゆる場面に対応できる安定したパーティーを狙うのであれば、ファランクス・ウォリアー・モンク・プリンセス(プリンス)・ゾディアックの構成をオススメしたい。本作ではパーティーの構成により難易度が大きく変化する。慎重に選択しよう。

 職業選択の際、2枠の空白があった。何らかの条件で新職業が追加されるのだろうか。どんな職業が追加されるか続報に期待してほしい。

 残念ながら、新要素のサブクラス(特定条件で開放され、本来の職業以外に別の職業をもう1つ習得できる)については、今回体験できなかった。


スキルや特性など、バランスを考えてパーティーを編成したい。特に回復役のモンクは重要。必ずパーティーに入れておきたい職業ともいえるだろう新要素サブクラスは本来の職業以外に別の職業をもう1つ習得できるため、戦略の幅が広がる。今回体験できなかったことが惜しまれる



■ 攻撃、防御、回復と様々な効果を発揮するリミットスキル

 本作ではスキルは、冒険の基本となる能力を持つコモンスキル、職業固有のメインスキル、特殊能力を持つリミットスキルの3タイプに分類される。

 リミットスキルは装備キャラクターのリミットゲージがMAXになることで発動可能となり、ここ一番で活躍してくれる特殊なスキル。スキル内容が記された書を入手することで習得できる。ギルド作成時にもらえる十字斬の口伝書、覚悟の勧め、戦術書・攻之巻がこれに該当する。

 今回体験できたのは下記の3つだ。

リミットスキル
名称人数タイプ説明
クロススラッシュ2人技斬攻撃スキルターン開始時に敵1体に強力な斬撃を放つ
決死の覚悟1人技防御補助スキルターン開始時にその戦闘中HPが一度0になっても1残る効果を自分に付与
突撃陣形2人技攻撃補助スキルターン開始時に5ターンの間味方全体の攻撃力が上昇する強化を付与

 上記の通り、リミットスキルには人数設定があり、スキルによって必要な人数が異なる。例えば、突撃陣形なら2人で装備しなければならないし、決死の覚悟であれば1人で装備できる。

 これらリミットスキルは、それぞれのキャラクターの行動とは別に発動できる。例えば、前衛2人でクロススラッシュを使用し、2人がAttackを選択すれば、クロススラッシュ+2人分の攻撃が出せるわけだ。

リミットゲージをためなければ発動できないものの、強力な効果を発揮するリミットスキル。強敵との対戦では事前にリミットゲージをMAXにしておきたい



■ 主人公達の拠点となる海都アーモロード

樹海、航海共に、この海都アーモロードから出発する

 主人公達の拠点となる海都アーモロードには、冒険の役に立つ施設が多く存在する。簡単にそれら施設についてまとめたので紹介したい。

 ・ アーマンの宿

 回復、蘇生と冒険に欠かすことのできない施設。アイテムの預かり所としても機能する。セーブは初回10秒程度かかったが、2回目以降は5秒程度で済んだ。

 ・ ネイピア商会

 武具の売買、鍛冶が行なえる。冒険に出かける際には装備の強化を怠らないようにしておきたい。赤い小鱗、しなる枝といったアイテムを売ることで取り扱う商品が増えていく。Yボタンでのアイテムまとめ売りも健在だ。

 ハンマーを入手すれば、武具を強化することが可能。ハンマーには、攻撃のハンマー、守りのハンマー、盲目のハンマーなどがあり、これらハンマーに付与された効果を武具に付けられる。効果の付与はスロットを持つ武器にしか行なえない。

 ・ 羽ばたく蝶亭

 クエストの受注、報告のために立ち寄る施設。重要な情報が得られることも。ゲーム開始時にはクエストを受けることができなかったが、ゲームを少し進めることで受注できるようになった。複数同時にクエストを受けることも可能だ。クエストによっては、報酬として強力なアイテムが入手できることも。

 

 ・ 冒険者ギルド

 冒険者の登録、抹消、メンバー入れ替えなどパーティーの管理が行なえる。

 

 ・ インバーの港

 航海(後述)に出る場合に立ち寄る。冒険開始時には利用できず、元老院の許可、つまり最初のミッションクリアによって出港可能になる。

 ・ ロード元老院

 物語の進行に関わる元老院からのミッション受注、報告が行なえる。

 ・ 樹海入り口

 樹海を探索する際はここから進む。

海都アーモロードにある施設は重要なものばかり。それぞれの施設で何ができるのかを把握しておきたい。冒険で手にいれたアイテムはネイピア商会に売ってお金にし、品揃えを増やそう



■ 新たな機能も追加されたマッピングを駆使し、樹海を探索しよう

本作でも強敵F.O.Eは健在。時には戦闘を回避することも重要になる

 基本的にはこれまでのシリーズと変わっていないため、シリーズをプレイしたことのある人なら、スムーズに進められるだろう。

 本シリーズを特徴づけるマッピング。タッチペンを使って線を引いたり、アイコンを配置してマッピングしていく。アイコンは前作より3つ減り、18種になっている。基本的に自分が歩いた道はオートマッピングされるが、オプションでオートマッピングをOFFにすることも可能だ。

 新機能として搭載されたのがオートパイロット。マップに進行方向を示すアイコンを設置し、再生ボタンをタッチすることでアイコンの配置された場所を自動で歩いてくれる。レベル上げなどに活用できる。

 シリーズでお馴染みの強敵F.O.Eは樹海の2Fから登場する。ファーマーなどが習得できるスキルを使えば、F.O.E位置を事前に把握することができる。


世界樹の迷宮といえば、マッピング。見やすいマップを作り、冒険を有利に進めよう。本作からはオートパイロット機能も搭載された
樹海には様々なモンスターが登場する。時にはかわいらしい見た目のモンスターも登場するが、侮ってはいけない。弱点や特性を把握して戦闘を進めたい


■ 航海

本作から追加された航海。樹海同様にマッピングが可能だが、食料によるターン制限があるのが特徴

 本作からの新要素である航海。船で海を進み、海図を完成させていく。航海中は漁をすることも可能だ。

 航海は海都アーモロードにあるインバーの港から出港することになる。インバーの港では、航海に出る、大航海クエスト、交易、交易図鑑に登録などが可能。

 航海に出るには食料とお金が必要。また、船は装備により、様々な効果を発揮する。今回プレイした例では下記のようなものであった。


航海の一例
項目名称効果費用
食料ビスケット6turn10
船装備魚型の小さな旗魚出現率↑0
出港

10

 食料に設定されたturnは航海で進むことのできる数を示している。船を前進させることでturnを消費する。遠くまで航海するには、多くのturn進めるような食料を用意しなければならないというわけだ。なお、旋回や漁ではturnを消費しない。

 turn限界まで進むとインバーの港に戻ることになるが、港に帰る選択肢を選ぶだけでよいため、帰りの分のturnは気にしなくていい。公開中に得た魚などのアイテムは港に戻ると自動的に買い取ってもらえる。

 残念ながら、ワイヤレス通信により最大5人でのプレイが可能な大航海クエストやすれ違い通信による交易は体験することができなかった。こちらも続報に期待してほしい。

すれ違い通信を使った交易によるアイテム交換やワイヤレス通信での大航海クエストも搭載。樹海とは一味違った冒険が楽しめそうだ

(C)ATLUS CO.,LTD. 2007,2009

(2010年3月12日)

[Reported by 木原卓 ]