PS3ゲームレビュー

ヒロインのハートをつかんで盛り上がれ!
人気RPGシリーズの最新作がPS3に登場

「アルトネリコ3 世界終焉の引鉄は少女の詩が弾く」



 1月28日に、株式会社バンダイナムコゲームスから、プレイステーション 3用ムスメ調合RPG「アルトネリコ3 世界終焉の引鉄は少女の詩が弾く」(以下、本作)が発売された。本作は「アルトネリコ」シリーズの最新作で、プラットフォームをPS3に変更しての登場。レーヴァテイルや詩魔法などのシリーズ独特のシステムや世界観を継承しながらも、3Dグラフィックスやアクション性の高い戦闘など、PS3となったことでさまざまな要素がパワーアップした内容となっている。

 今回のレビューでは、独特な世界観やストーリーはもちろん、状況に合わせてリアルタイムにBGMが変更されるゲームシステムなど、本作が持つ魅力について1つずつ紹介していこう。


■ 1人の少年が2人の少女と出会うところから
  展開していくストーリー

左から主人公のアオトとヒロインとなるレーヴァテイルのサキ、フィンネル。この3人を中心にストーリーは展開していく

 蒼谷の郷でとび職をしていた主人公のアオトは、ひょんなことから、クラスタニア軍に追われているレーヴァテイルの少女、サキを助ける。記憶を失ったサキを故郷に連れていくため、同じ郷の仲間のタツミや、もう1人のレーヴァテイルの少女フィンネル、医師の光五条とともに、クラスタニア軍からの追撃を避けながらの旅が始まる。クラスタニアに対抗する大牙やアルキアといった勢力の人たちと、時には味方・時には敵になりながら、アオトたち一行の旅は続いていく……。

 このようなプロローグから、本作のストーリーは動き始め、サキがクラスタニア軍に狙われる理由や、もう1人のヒロインであるフィンネルが旅に同行する目的などは、ストーリーを進めていくにつれて明らかになっていく。メインの登場人物である5人はもちろん、このほかに登場する大牙やアルキアのサブキャラクターたちにいたるまで、それぞれが秘密や目的を持っており、それらが複雑に絡み合う重厚なストーリーを楽しめる。

 最初はわけもわからずサキを守っての逃避行が進んでいくものの、彼らとの出会いと別れを経る中で、アオトたち一行の成長と心境の変化も興味深く描かれている。ネタバレになってしまうので詳しくは書けないが、アオトや星に住む人たちを苦しめまいと、自らが犠牲をなることを厭わないヒロインに対して、何とかそれ以外の解決策を見出していこうとする、アオトの姿勢を応援したくなるように感じられた。


ゲームを始めると、いきなりクラスタニア軍との戦闘が始まるが、簡単なチュートリアルが用意されている。チュートリアルはこの後も新要素が登場するたびに表示されるため、説明書を読まずにプレイしても問題はないオープニングムービーよりの1シーン。ストーリーの重要なシーンでは3Dグラフィックスのムービーが挿入される演出を用意。すんなりと世界観を知ることができるようになっている2D絵によるイベントシーン。通常のイベントシーンは3Dグラフィックスが主だが、コミカルなシーンでは2Dを前面に押し出すなど、場面に合わせた表現方法を採用している



■ リアルタイムアクションで行われる戦闘では
  ヒロインを活かすことが勝利のカギ

フィールドマップは3D表示され、失敗しても問題ないもののジャンプなどの操作が要求されることも。画面右下にあるエンカウントバーは敵との遭遇確率をあらわしており、バーがなくなると、敵とまったく遭遇しなくなるため、探索に専念できるようになる
バトル中の画面。画面左上には仲間達のHPや、ステータス強化・パラメーター異常などの情報が表示。画面右下にあるのはヒロインの心の状態を表すドキドキハートと充填率。ドキドキハートの左にあるハーモグラフィは、ヒロインの詩魔法の充填率の増加量に関係しており、戦況に合わせて変化しながら左から右へと移動し続ける

 ゲームは、フィールドやダンジョンを戦闘しながら探索していくパートと、街などで、装備を整えたりヒロインとの絆を深めて信頼度を高めていく2つのパートに大きくわけられる。ここからは、この2つのパートについて詳しく説明していこう。

 まずはRPGの基本といえる探索パート。探索パートでは3Dで表示されるマップの中を移動していくことになる。高低差の概念はあるものの、カメラはほぼ固定となっており、必要な場面で自動で変わるので、カメラに関してプレーヤーは操作する必要がないようになっている。

 フィールドマップを移動していると、ランダムで敵と遭遇してのバトルが開始される。バトルは3Dフィールド上でのリアルタイムアクションとなっており、多少のアクション性が求められるようになっている。ただし、バトル中の操作は、アナログレバーでの移動と、□ボタンでの攻撃が主になっており、移動も攻撃もしないと自動的にガードが行われるため、アクションゲームが苦手な人でも操作に迷うようなことはないはずだ。

 プレーヤーが操作できるのは、前衛となる3人の中の1人。残りの2人は自動的に動くので、範囲攻撃を同時に受けることがないように、位置取りだけ気をつけておけば基本的に問題はない。難しい操作をすることなくパーティでバトルしている感覚を感じることができるシステムといえる。

 バトルで勝つためのカギとなるのは、隊列の中に1人だけ入れられるレーヴァテイルのヒロインを活かすこと。ヒロインは、敵を直接攻撃したりはできないものの、一定時間ごとに味方のHPを回復できるほか、前衛となる味方のキャラクターをパワーアップさせたり、詩魔法を使用して大きなダメージを与えることが可能だ。ただし、ヒロインは自分の身を守ることができない上に、ヒロインの周りに発生しているヒロインフィールド内に敵が侵入すると、何の行動も取れなくなってしまう。ヒロインフィールド内に敵を進入させないような位置取りを心がけ、もし入られてしまったら×ボタンで発動できるブローを使って、すぐにヒロインを助けてあげよう。


ヒロインの周りにある、ヒロインフィールド内に敵が侵入すると大ピンチ。HPが自動で回復しなくなるほか、詩魔法を発動することもできなくなってしまう。そんなときには×ボタンを押してブローを出そう。ブローをすることで、ヒロインフィールド内の敵を簡単に追い出すことが可能だ。ただし、画面左上にあるBLOWアイコンのゲージが貯まるまでは再度ブローすることはできないので注意

ヒロインフィールド内に敵がいない状態で○ボタンを押すと、発動位置や範囲を設定してヒロインが持つ詩魔法を発動させられる。詩魔法を使うとしばらくの間は使えなくなるため、タイミングを見計らって使用したい

■ 戦闘上手は脱がせ上手!?
  ヒロインをドキドキさせて必殺技を叩き込め!

戦闘の結果画面。画面右下に表示されるランク評価が高ければ高いほど、貴重な素材アイテムをゲットしやすくなっている

 ヒロインの能力を最大限に発揮させるためには、ヒロインをドキドキさせて装備をパージ(脱衣)させることで大気中のエネルギーを吸収し、詩魔法の充填率を上げる必要がある。その際に重要となるのが、画面右下にあるハーモグラフィ。ハーモグラフィは戦闘中の音楽に合わせて、常に右から左へ進んでおり、ハーモグラフィに赤いバーが表示されているときにタイミングよく攻撃を入力すると、BeatUpと表示され、ヒロインをドキドキさせてパージ可能状態にすることができる。このように戦闘システムに音楽ゲームのような要素が入っていることも、本作の特徴だ。

 ヒロインをパージさせると、必殺技である詩魔法の威力があがるほか、3段階パージさせることで前衛3人が超必殺技を使えるようになったり、4回パージすることで敵全体に大ダメージを与える、フリップスフィアと呼ばれる詩魔法を発動することも可能となる。バトルを効率よく進めるためには、ヒロインをドキドキさせて、どんどんパージさせていくことが大事なわけだ。

 敵を全滅させると、経験値やお金、後述するダイブで使用するダイブポイント(以下、DP)を獲得できる。また、バトルの内容によて評価され、ランク分けされるようになっており、評価が高いほど、入手しづらいアイテムを入手しやすいようになっている。ランクを上げるには、最大ダメージや最大ヒット数、戦闘時間が関係するため、やはりヒロインを早めにパージさせて一気に勝負を決めたいところだ。


ハーモグラフィーのバーが赤い瞬間に攻撃を入力すれば、ヒロインをドキドキさせることができる。単純に□ボタンを連打するよりも、タイミングを見計らって攻撃して攻撃したほうが、効率的にダメージを与えられる。ドキドキハートの上にPurge Readyと表示されれば準備完了だL1,L2,R1,R2のボタンがそれぞれ炎、氷、風、雷の属性に対応しており、どれかのボタンを押しながらコントローラーを振ってヒロインをパージさせると、通常攻撃に対応する属性を付与するとともに、その属性に対する耐性を得ることができる


【パージムービー】
パージを行なうと時折、魔法少女ものアニメの変身シーンのようにヒロインの服が消えてなくなる、ちょっぴりムフフなムービーを見ることができる。ムービーを見たくない人や、家族の視線が気になる人は、オプションメニューでパージムービーを非表示にすることも可能だ


【超必殺技】
ヒロインを3段階パージさせると、3人の前衛は超必殺技を使用できるようになる。単体の敵にしか効果がなく、充填率を30000%使用するものの、それに見合ったダメージを敵に与えることができる。また、パージしたままの状態で戦闘を継続できる点も見逃せない


【フリップスフィア】
ヒロインを4回パージさせると、最大の必殺技であるフリップスフィアが発生。敵全体に大ダメージを与えることが可能だ。フリップスフィアのムービーが流れている間に、ハーモグラフィ上のバーがある位置で○ボタンを押すことで威力を上げられるので、よく練習しておきたい



■ イメージ調合でアイテムや必殺技を作成し
  仲間たちをパワーアップさせよう

 街にはヒロインとの絆を深めたり、仲間を強化できるさまざまな施設が用意されている。ここからは、これらの施設でできることについて紹介していこう。

 街に戻ったら、バトルで入手したアイテムやお金を利用して、パーティの仲間を強化することが可能だ。単純にお店で売っている武器や防具を購入するのはもちろん、アイテムを組み合わせてイメージ調合することで、お店では売っていない武器やアイテムや、バトル時に前衛キャラが使用できる必殺技を作り出すこともできる。

 イメージ調合を行なう場所は、宿屋などのセーブポイント。ヒロインのDPがあるときに素材が揃っているレシピを選べば、イメージ調合を行なえる。レシピは、フィールドマップを移動中に多数落ちている宝箱から入手できるので、仲間を強化するためにも、フィールドマップを隅々まで探索して、宝箱に入っているレシピを見逃さないようにしたいところだ。

 ちなみにイメージ調合中には、キャラクター同士のかけ合いトークを見ることができる。かけ合いトークはイメージ調合するアイテムや必殺技ごとに用意されており、新たなレシピを見つけた際の楽しみの1つとなっている。スキップすることもできるが、こちらもなかなか面白いセリフが用意されているので、できればゆっくりと見てもらいたい。


ある程度ストーリーが進行すると、宿屋やセーブポイントでイメージ調合できるようになる。イメージ調合後には、ほかのキャラクターが別の名前をつけようと提案してくるので、名前をどちらにするか好きなほうを選択して決めよう

アイテムや武器だけでなく、前衛キャラクターの必殺技もイメージ調合で作成可能だ。作成した必殺技は、バトル中に方向キーの上下左右+□ボタンで、HPを消費しながら発動できる


■ トークマターを集めれば
  ヒロインと宿会話して絆をより深められる

画面中央で赤く光っているのが、ヒロインと会話する際のネタとなるトークマター。トークマターはこのように落ちていることもあれば、自動的に入手できるものもある

 ダンジョンや街を移動していると、赤く光るトークマターと呼ばれるものが落ちていることがある。トークマターはヒロインとの会話のネタになるもので、トークマターを取ると、宿屋やセーブポイントで休む際にヒロインとの会話してより親密な関係になることができる。会話を重ねてヒロインとの絆を深めることで、後述する、ダイブ屋でさらに高いレベルにダイブできるようになったり、ヒロインにレベルの高いヒューマをプログラムできるといったメリットがあるので、セーブする前にはなるべく休むを選んでヒロインとの会話を行なっておこう。

 なお、トークマターにはフィールドに落ちているもののほかにも、ストーリー進行上のイベントで自動的に得られたり、戦闘で特定の条件を満たしたりイメージ調合をすることで、自動的に得られるトークマターもある。そのためフィールドの隅々まで探さなくてもストーリーの進行上の問題はほとんどない。


【トークマター】
マターを入手している状態で、宿屋やセーブポイントで休むとヒロインとの会話イベントが発生。ヒロインとの絆を深めることができる。トークマターは数多く用意されており、ヒロインと会話したトークマターはマター表に記録されるので、やりこみ派の人はすべてを埋めることに挑戦してみよう

【パーティーマター】
トークマターとは別に、パーティ内で会話が行われるパーティマターもある。パーティーマターはヒロインとの絆には関係ないものの、パーティメンバー同士のちょっとしたかけ合いを楽しむことができる


■ ヒロインの精神世界を旅できるダイブ屋
  心の問題を解決してヒロインとの信頼度を高めよう

ダイブしたヒロインの精神世界は、ヒロインの精神を反映したものになっており、例えばサキの場合はこのようにメルヘンチックな背景のコスモスフィアとなる

 街にあるダイブ屋では、ヒロインの精神世界であるコスモスフィアを旅することができる。コスモスフィアは、ヒロインの精神を深く反映したものとなっており、コスモスフィアの中を冒険して、ヒロインの心の問題を解決すると、よりヒロインと親密な関係になることが可能だ。このようにダイブを繰り返して親密な関係になると、バトル中にヒロインが複数回パージできるようになったりするメリットがあり、戦闘をより有利に進められるようになる。

 コスモスフィア内を冒険するにはDPが必要となっている。コスモスフィア内のイベントを進める度にDPを消費していき、DPが途中で足りなくなると、それ以上進めることができなくなってしまうので、DPを十分に貯めてからダイブしたい。コスモスフィア内のイベントにもよるが、大体ダイブするレベル×1500程度のDPを貯めておくと安心だ。

 また、コスモスフィアのイベントをこなすことで、ヒロインのさまざま想いが具現化した妖精であるヒューマを手にいれることができる。ヒューマは後述する詩調合でパージする属性にセットすることで、パーティの仲間を強化する従属効果をパージした際に発生する。防御力アップや攻撃力アップ、回復量アップなど、ヒューマは強化する能力がそれぞれ違うため、強敵に出会ったときは、敵の能力に合わせてヒューマをカスタマイズして再挑戦するといい。


コスモスフィアのストーリーが進む★マークがある場所に入るには、多額のDPが必要となり、ここの入るとイベントが発生してストーリーが進行していくイベントの進行中には選択肢が表示されたりDPが必要となる場合がある間違った選択をしたりDPが足りなくなると、問答無用でダイブ終了となってしまうので気をつけよう見事にヒロインの心の悩みを解決すると、ヒロインが多段階パージしてくれるようになり、戦闘をより有利に進められるようになる

ストーリーが進行していく中で、さまざまなヒューマたちが登場して取得可能だ。ヒロインのコスモスフィアのより深い部分にダイブすることで、より多くの強力なヒューマを取得できる

コスモスフィアの中には、ヒロイン自身のほかにも、さまざまな人格のキャラクターたちが住み着いている。ダイブを進めて、ヒロインと彼女たちを融合させると、彼女たちをバトルに呼び出すことも可能となる


■ アクティブ楽曲生成システムによってBGMが変化
  バトルは聴覚の面からも盛り上がっていく

宿屋で行なえる詩調合では、パージした際の属性にヒューマをプログラムしてセットすることができる。ヒューマはそれぞれに固有の楽器やパートを持っており、バトル中のBGMに追加される形でバトルを盛り上げてくれる。

 本作のもう1つの大きな特徴といえるのが、アクティブ楽曲生成システムとよばれるBGM作成システム。これは、戦闘中のBGMがゲーム中のパラメータによってさまざまに変化するもので、ヒロインのドキドキハートはもちろん、前衛の誰かが瀕死になったり、パージをすることで、リアルタイムにBGMが変化するものだ。実際にプレイしてみると、基本となるリズムは変わらないものの、4小節ごとにテンポの増減や転調が行われるほか、ヒロインがパージすることで新たなパートが追加されるといった変化が起こるようになっている。そのバリエーションは多岐に渡り「バトル中、まったく同じBGMを聞くことがないのでは?」と思えるほど。これにより、毎回新鮮な気持ちで戦闘を楽しむことができるほか、パージを繰り返すことで次第にパートが追加されていくので、BGMの面からもバトルがクライマックスに向かっていることをプレーヤーが実感できるわけだ。

 また、パージした際に追加されるパートの音楽は、ヒューマの種類によっても変化するようになっている。プレーヤーは好きな楽器や曲調のヒューマを組み合わせることにによって、楽曲の新たな一面を作り出せるわけだ。ヒューマにどのようなパートがセットできるかは、宿屋でヒロインにプログラムする詩調合で確認できるので、従属効果だけに注目するのではなく、自分好みのBGMにするためのヒューマを組み合わせる考えてみるのも面白い。

 ゲームの内容によってBGMに変化が起こるものは、これまでにもあったものの、これほどダイナミックに途切れることなくBGMが変化する上に、しかもユーザーが自由にカスタマイズできるものは、他にないのではないだろうか。個人的には、ゲームにおける、新たなサウンドの演出方法の1つとなることを期待したい内容だ。


バトルの最初、ハーモグラフィに表示されるのは小さなバーばかり。しかし、パージを繰り返したりドキドキハートが大きくなっていくに従って、バーが振り切れるほどの大きさへと変化していき、それに合わせてBGMもリアルタイムに盛り上がっていく仕組みになっている


■ 独特な世界観とゲームシステムに加え
  やりこみ要素もたっぷりと用意

 このように本作では、ヒロインをはじめとするレーヴァテイルがつむぎだすヒュムノスなどの世界観を、バトル中のハーモグラフィにも取り入れることで、今までのゲームにはない音楽との一体感のある戦闘が楽しむことが可能だ。また、ストーリー的にも、ヒロインたちを守ることから始まり、次第に星を救うために行動するようになっていく中で、大牙やアルキア、クラスタニアといったそれぞれの組織のキャラクターたちとのからみが興味深かった。彼らは、組織への忠誠と疑念の狭間で揺れる苦悩や葛藤が描かれており、その結果として組織の目的から外れないように妥協できる部分でアオト一行に協力するようになる。現実世界でもそうだが、立場や環境によって意見の対立はあるし、人は簡単には変われないもの。それぞれの主義や主張を大事にして、ストーリーの都合で簡単に主義を曲げないように、キャラクターを現実的に描いているあたりが、個人的に気に入っている。

 筆者は35時間ほどで2人のヒロインのうち、フィンネルのノーマルエンドを迎えたが、クリアデータを読み込むことで、ストーリー的に重要な場面から2周目を始められるようになっている点は好印象。マルチエンディングのゲームで、別のエンディングを見る際に、ストーリーを最初から始めるのは大変なだけに、嬉しい要素といえるだろう。また、トークマターやレシピなど、クリアしても埋まっていない項目が多数ある上、トロフィーも多数用意されているなどやりこみ要素も十分。ゲームをやりこむことが好きな人には嬉しいタイトルといえるだろう。

 反面、残念な部分もいくつかある。もっとも気になったのが、ダンジョンで迷いやすいこと。ほぼ一本道で迷うことがないゲーム前半は問題ないものの、後半には広く複雑なマップが用意されており、似たような背景が多い上、目印になるようなものが設置されていることも少ないため、自分が今どこにいるかがわからず、迷ってしまうことが多かった。今いる場所が通ったことがある場所かどうかわかるように、ダンジョン内でのエリアごとの細かい表示や、オートマッピングなどの仕組みがほしかったというのが正直な感想だ。

 また、街の武器屋で武器・防具を買う際に、ステータスのが上昇するか下降するかが見えなかったりするなど、細かいところでユーザーフレンドリーでない部分が散見されるのも残念だ。個人的には、アイテムショップで素材を購入する際に、逆引き的にどのレシピの材料なのかを表示して、そのアイテムがイメージ調合可能になるかどうかも表示してほしかった。

 独特な世界観やアクティブ楽曲生成システムなど、他のゲームにはない光る部分があるだけに、基本的な部分で細かなケチがついてしまうのは実にもったいない。次回作があるのであれば、こういった点が修正されることを期待したい。


(C)GUST CO.,LTD. 2010 (C)2010 NBGI

(2010年2月25日)

[Reported by 菅原哲二 ]