3月12日に任天堂株式会社より発売された、「立体ピクロス」。従来の「ピクロス」は平面だが、「立体ピクロス」というタイトル通り、奥行きの要素が追加された3Dの「ピクロス」だ。
従来の「ピクロス」では縦・横の2方向からなる平面に配置された数字をヒントに隠された絵を見つけ出していたが、本作では奥行きが追加され、数字をヒントにブロックを壊して隠れたカタチを見つけ出すパズルになっている。
■ 奥行きの要素が追加された3Dの「ピクロス」
基本的なルールは従来の「ピクロス」と変わらないものの、平面ではなく立体のパズルなので、パズルを回転させながら解いていく。外から見ることのできないブロックの中は、表示したくない平面をスライサーと呼ばれる機能で一時的に消して見ることができる。
「ピクロス」経験者であっても慣れるまでスムーズに進まないかもしれない。しかし、立体とはいえ、連続した平面である。1平面ごとに落ち着いて考えれば解くことができるだろう。
用意されたモードは大きく分けて「パズル」、「ギャラリー」、「エディット広場」の3つ。
本作のメインモードとなる「パズル」では、実際にプレイしながら「立体ピクロス」のルールやパズルの解き方が学べる入門コース、難易度別にパズルが楽しめる初級~上級コース、条件を設定してランダムにパズルを出題してくれるランダムコースで構成されている。
「ギャラリー」ではパズルで完成させたカタチを鑑賞できる。カタチはテーマごとにジオラマに展示される。ジオラマに全てのカタチが揃うとジオラマが完成となる。全てのパズルを解いて、全ジオラマを完成させることを目標にプレイするのもいいだろう。
「エディット広場」ではオリジナルのパズルを作ったり、ニンテンドーWi-Fiコネクションを使ってダウンロードしたパズルが遊べる。
問題数は350問以上とボリュームがあり、ニンテンドーWi-Fiコネクションで新たなパズルがダウンロードできるので長く遊べるタイトルといえる。
今度の「ピクロス」は3Dだ | ブロックを壊してカタチを見つけ出す |
■ シンプルながらも奥の深い「立体ピクロス」の解き方
パズルはブロックに書いてある数字をヒントにしながら、「いらないブロックを壊す」、「残すブロックをマークする」、「スライサーを使う(奥や横のブロックを一時的に隠して見たいブロックだけを見られるようにする)」、この3つを駆使して解いていく。基本的な解き方は従来の「ピクロス」と変わらないが、頭を多少柔軟にする必要があるだろう。
ブロックを壊さねば隠されたカタチは出てこない。ブロックを壊すには、十字ボタン上orXボタンを押しながら、壊したいブロックをタッチする。タッチし続けることで同じ列にあるブロックを連続して破壊することも可能。タッチし続けている間に、タッチしているポイントが他の列に移動してしまったとしても、タッチが離れていなければ、他の列を壊してしまわないので安心だ。必要なブロックを壊さないように注意しながらブロックを壊していこう。
ブロックを壊してカタチを見つけ出す。ブロックを壊していくのが気持ちいい | タッチし続けることで連続してブロックを壊すことが可能。まとめて壊すときに便利だ |
ブロックをマークするには、十字ボタン右orYボタンを押しながら、マークしたいブロックをタッチする。残すブロックが特定できたら、忘れないようにマークしよう。マークを解除したければ、同じ操作をしてやればいい。マークされたブロックは壊せなくなるので、誤って必要なブロックを壊さなくてすむ。
残すブロックが特定できたら忘れずにマークだ。残すブロックをマークしていくと、パズルを解くヒントになるだろう |
スライサーは赤と青の2種類があり、それぞれのスライサーを前後や左右にスライドさせれば、ブロックを隠したり、再表示させたりできる。
大きなパズルは、そのままだと内側にあるブロックの破壊やマークができない。そんな時、スライサーが役に立つ |
これら3つの機能だけでパズルは解ける。ここからはパズルを解くヒントになるヒント数字について説明したい。
ヒント数字には「普通数字」、「丸数字」、「四角数字」の3種類があり、これらを理解しておかなければパズルを解くことはできない。これらの数字は隠れているブロックの数を示していて、ヒント数字の種類によって隠れ方が異なる。
普通数字は、ただ数字が書いてあるだけのヒント数字。連続したブロックが隠れていることを示す。
丸数字は、○の中に数字が書いてあるヒント数字。残すブロックがブロック1個以上の間を空けて2カ所隠れていることを示す。
四角数字は、□の中に数字が書いてあるヒント数字。残すブロックがブロック1個以上の間を空けて3カ所以上隠れていることを示す。
連続したブロックが隠れている普通数字。基本のヒント数字で、最も多く登場する | 2カ所に分かれてブロックが隠れている丸数字。どのように分かれているか考える必要がある | 3カ所以上に分かれてブロックが隠れている四角数字。3カ所ではなく、3カ所以上なのがポイント |
覚えなければならない操作とルールはこれだけだ。だが、「立体ピクロス」は簡単そうに見えて奥が深い。これらのルールをよく考えていくと、パズルを解くのに有用なテクニックが見えてくる。そのいくつかを紹介したい。
・普通数字のテクニック
普通数字が列の半数より多ければ、1ブロック以上が特定できる。また、残す列の端が特定できれば、そこから数字の分だけが残すブロックと特定できる。
5ブロックの列で普通数字4なら、AかBのどちらかであることがわかる | つまり、AとBで共通のブロックは残すブロックだと特定できる |
・丸数字のテクニック
丸数字が2なら、2つの1ブロックが、1ブロック以上離れて隠れていることがわかる。つまり、特定できたブロックの両隣は破壊してOKなのだ。また、普通数字と同様に共通のブロックを考えて、残すブロックを特定することが重要だ。
丸数字が2、列が3ブロックなら答えが確定する。このようなテクニックの積み重ねがパズルを解くのに役立ってくれる | ブロックの隙間があっても、丸数字が2、列が3ブロックであれば答えが確定する |
・四角数字のテクニック
四角数字が3なら、3つの1ブロックが、1ブロック以上離れて隠れていることがわかる。丸数字2と同様に、特定できたブロックの両隣は破壊していい。こちらも共通のブロックを考えて、残すブロックを特定することが重要になる。
四角数字が3で、列が5ブロックなら、これ以外の情報がなくとも答えが確定する |
このようなテクニックを覚えていくと、パズルを解くのに役立つだけでなく、クリアスピードが上がる。意識せずとも多くのパズルを解いていけば自然に身に付いていくだろう。
■ 難易度別にパズルが収録されているメインモード「パズル」
先ほど紹介したように「パズル」は、プレイしながら「立体ピクロス」のルールやパズルの解き方が学べる「入門コース」、難易度別にパズルが用意された「初級コース」、「中級コース」、「上級コース」、条件を指定してランダムにパズルを遊ぶ「ランダムコース」で構成されている。まずは入門コースから始めるのがいいだろう。
「初級コース」、「中級コース」、「上級コース」はレベル1~10+特殊なチャレンジで構成されている。また、各レベルは8問+金と銀のパズルの計10問で、金と銀を除く8問をクリアすれば、次のレベルが遊べる仕組みだ。
特殊なチャレンジには、一切のミスが許されない「ノーミスチャレンジ」、制限時間内のクリアが必須の「タイムチャレンジ」、いくつかのパズルを組み合わせて大きなカタチが出来上がる「ビッグチャレンジ」などがある。
難易度別に分かれていて遊びやすい。コースをクリアすると、次のコースが遊べるようになる | 難易度が上がるとブロックの数が増えるだけでなく、簡単なヒントが少なくなる | ビッグチャレンジでは複数のパズルを解き、部品となるカタチを完成させていく |
誤ったブロックを壊すとミスとなり、規定回数(初期値では5回)ミスするとゲームオーバーになる。ただし、ミスしたブロック=残すブロックとわかるので、どうしてもパズルが解けない場合には、ミスを覚悟でブロックを壊してみると、パズルを解く重要な手がかりになることもある。しかし、あくまで最終的な手段であることを忘れてはいけない。ヒント数字の意味を見逃さずに理解できれば、ミスすることなくパズルは解けるようになっているのだ。また、各パズルにはミスが許される上限数に加え、制限時間が設定されている。制限時間になってしまうとタイムアップになってしまう。
パズルをクリアすると、条件に応じた数のスターがもらえる。
・「ナイスクリアー」……スター1個
ミスが1以上あり、タイマーが緑を越えてからクリア
・「ノーミス!」……スター2個
ミスがなく、タイマーが緑を越えてからクリア
・「グッドタイム」……スター2個
ミスが1以上あり、タイマーが緑の間にクリア
・「パーフェクト!!」……スター3個
ノーミスかつグッドタイム
スターを規定数集めることで金と銀のおまけパズルが遊べるようになる。
全てのパズルを「パーフェクト!!」にしたいのならともかく、おまけパズルさえ遊べればOKなら、全てのパズルで「パーフェクト!!」を取らなくてもいい。苦手なパズルがあれば、じっくり時間をかけて「ノーミス!」を狙うか、多少のミスは気にせずスピーディーに「グッドタイム」を狙うのもOKなのだ。特に「グッドタイム」は最大4つまでのミスが許されるので狙いやすい。
規定回数(初期値では5回)ミスするとゲームオーバーとなってしまう。しっかりヒント数字を見てミスしないようにしよう | ミスだけでなく制限時間も意識しなければならない。ミスしないように慎重にプレイして制限時間をオーバーしてしまっては元も子もない | スターを3個もらえるので、なるべく取っておきたいパーフェクト。だが、条件を満たすのは簡単ではない |
ランダムコースでは設定した条件に合ったパズルがランダムで出題される。設定できる条件は、コース(入門~上級)・ミス(1~5)・タイム(とても短い/短い/普通)の3項目。
■ オリジナルパズル作成や新たなパズルをダウンロードできるエディット広場
エディット広場では、オリジナルのパズルを作成したり、ワイヤレス通信でパズルを交換したり、ニンテンドーWi-Fiコネクションを使ってパズルのダウンロードなどができる。
「エディット」でのパズル作成が侮れない。ブロックをつなげてカタチを作れば、自動的にパズルになるようにブロックが加えられ、ヒント数字が振られる。自分で作成しているので、どのようなカタチかわかっていても自作パズルは結構楽しめる。ワイヤレス通信でパズルを交換できる友人がいれば、より楽しめるだろう。
人によりエディット方法は様々だろうが、筆者の場合、大きなブロックの塊を作り、彫刻のようにいらないブロックを削っていく方法がエディットしやすいと感じた | 作ったカタチから、自動でパズルを作成してくれる |
「ワイヤレス通信」ではパズルの送受信だけでなく、「立体ピクロス」のお試し版を他のDSに配信することが可能。知人や友人に「立体ピクロス」をオススメしたい時に利用しよう。
「Wi-Fi通信」では、ニンテンドーWi-Fiコネクションを利用して、配信パックという追加配信のパズルをダウンロードできる。配信パックは5問程度が収録され、毎週木曜に配信される。本作には350問以上収録されている上に、毎週新作パズルが遊べるという嬉しいサービスだ。また、定期的にコンテストが開催されており、「春」、「昆虫や植物」といったテーマに沿ったパズルを作成して応募できる。優秀作品に選ばれたパズルは配信される。
毎週木曜に配信される配信パック。ダウンロードしたパズルはエディット広場で遊べる | 定期的にコンテストが開催される。テーマに応じたパズルを作って応募しよう | 配信されたパズルにはブロック数が多く、やりがいのあるものが多い |
※本記事の情報は2009年6月時点のものです。
■ 最後に
筆者は「ピクロス」シリーズをプレイしてきたが、なかなか立体の「ピクロス」に慣れることができず苦戦した。だが、コツを掴んでからはサクサクと進めることができ、パズルを解いていくことが楽しくなって、時間を忘れてプレイしてしまった。
タッチペンの操作が必須なことや、中級コース以降のブロック数が多いパズルでは1ブロックの表示面積が小さいことから、移動中、立ちながらのプレイは多少難しいと感じた。1ブロックの表示面積については、DSというハードの問題でもあるので解決は難しいだろうが、続編が出るのであれば、ズームなど、1ブロックの表示面積が増やせる機能に期待したい。
収録数350問以上に加え、新規パズルが追加配信される本作。3,800円という価格ながら、内容・ボリューム共に満足。買って損のない優秀なタイトルだ。筆者の中級コースのクリア時間は10時間前後。ボリュームの参考になればと思う。「ピクロス」が好きな方や短い時間で遊べるパズルをご希望の方にオススメだ。
(C)2009 HAL Laboratory, Inc. / Nintendo
http://www.nintendo.co.jp/
□ハル研究所のホームページ
http://www.hallab.co.jp/
□ 「立体ピクロス」のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/ds/c6pj/index.html
(2009年 6月 5日)