PCゲームレビュー

A列車で行こう9 Version3.0 プレミアム

新車両やパンタグラフなど“鉄”の心に響く改良が満載!
さらに「4K」にも対応しパワーアップした、シリーズ最強の「A列車」

ジャンル:
都市開発鉄道シミュレーション
発売元:
アートディンク
開発元:
アートディンク
プラットフォーム:
Windows PC
価格:
5,800円(税別)
発売日:
6月27日

  満を持して登場した「A列車で行こう9 Version3.0 プレミアム」は以前にも増してパワーアップ。4Kにも対応した本作は、どのような進化を遂げているのだろうか。

シリーズ最強の最新作登場!

 2010年の2月に「A列車で行こう9」が発売されてから4年とちょっと。2012年12月に「A列車で行こう9 Version2.0 プロフェッショナル」(以下、Version2.0 プロフェッショナル)より1年半の時を経て「A列車で行こうシリーズ」の最新作、「A列車で行こう9 Version3.0 プレミアム」(以下、「Version3.0 プレミアム」)が登場した。

 「Version3.0 プレミアム」では以下の機能が追加されている。

・列車カスタム機能の実装
・新規車両の追加
・プロジェクト「鉄道博物館II」の追加
・新しい駅の追加
・分岐パーツの追加
・特殊な橋梁の追加
・リアルな街並みを再現する建物群
・ワイプ表示機能を搭載
・1:1モードの新規マップが充実
・4K対応

などとなっている。

 中でも鉄道ファンにとってうれしいのは、列車カスタム機能かもしれない。ひとつの編成に違う列車を入れることができるので、たとえば103系のカナリアイエローにオレンジを加えてみたり(子供の頃かつて実際にこの編成での運用を見たことがある)、私鉄列車の編成をEF81に引っ張らせて甲種輸送の雰囲気を楽しんでみるなど、遊び方がグッと広がるのだ。

 また列車カスタム機能ではもう1つ。「パンタグラフの実装」がある。このアクセントがあるとないとではずいぶんと印象が違うものだ。加えられたパンタグラフは、菱形、下枠交差、アームなど全11種類。それぞれに付け加えて実車っぽくしてみせることができる。なお、カスタム化した車両はデータとして本体のデータとは別に保存されているので、どのマップでも使うことができる。

メニューの「Custom」で左にメニューを開いたら、「新規作成」−「旅客列車編成」を選べばカスタム車両が登録できる。極端な例だと、E5系と103系の混成……なんてこともできる
EF81にパンタグラフを付けてみた。それだけだが外見がグッと変わった気がする
EF81を先頭にして“さよなら201系”の雰囲気を作ってみた
実際に走らせるためには、「Train」のメニューを選んだあと、「Rolling Stock」の左上にある「カスタム」を選べばよい。すると先ほど登録した車両がリストアップされているので、選んで購入する
実際に走らせてみると、これがまた! 103系は先頭を「クモハ」にしてみたのだがわかるだろうか? 201系はさよならバージョンもどき。EF64がなかったのでEF81で代行してみた

 また、町並みの表現がよりリアルに近づいているのも特徴。大都会に行くとコンビニやガソリンスタンドなど、看板の作り込みが半端ではない。

 もう1つうれしいのは、橋の種類が増えたことが挙げられる。「レインボーブリッジ」のような「鉄道道路併用橋」、「勝鬨橋」のような「可動橋」、「東京ゲートブリッジ」のような「トラスボックス橋」を作ることができる。川や海といった場所でなくても、陸地に作ることも可能だ。

マップ「おどる広告都市」は、デジタルサイネージが街のいたる所に配置されている都市だ。時間が変わると表示も変化する
マップ「文明開化の薫る街」では、あの駅に似た建物も登場する。レンガ造りの建物はVersion3.0 プレミアムで初登場となる
可動橋やトラスボックス橋は、オープニングデモでも登場するが、可動橋は「夕染めの水都」、鉄道道路併用橋は「宵明けの大都」で登場する

「A列車」は3度愛でるのだ!

 では実際にゲームを進めていくことにしよう。「Version3.0 プレミアム」では新たに「宵明けの大都」や「夕染めの水都」を含め、「1:1マップ」が10個追加されている。「宵明けの大都」はほとんど発展しきっている街並みにおいて、地下交通網の整備と都市機能の郊外移転を図るというもの。「夕染めの水都」では、自然との共生をテーマにして開発されてきた都市において、景観を守りながら都市計画を進めるというマップだ。

 ちなみに難度はAからEまであり、Eに向かって徐々に難しくなっていく。まず初めということもあって、色々と試しながらプレイしてみたい。ここでは、地下鉄を引いて町を発展させる「宵明けの大都」でもいいのだが、空きスペースが多く、開発する余地がありそうな「夕染めの水都」にチャレンジしてみることにした。

「宵明けの大都」マップ。大きなビルがたくさん並んでいる
「夕染めの水都」。まず目を引くのはネオタワー。これを中心に町並みが構成されている。でも業平橋より発展していると思うぞ

潮力発電所の赤字は何だッ! 自然を大切にしようとすると、それなりのコストがかかるってことだろうか?

 ところでこれは私がいつも試している方法なのだが、「A列車」は3度愛でるものだと思っている。まずマップを開いたら、そのまま何もせず時間を早送りし、経営情報を見て、どこがウィークポイントなのかを考えてみるのだ。そしてその次には、実際に建設に取りかかってみる。2期〜3期くらいの決算を終えてもまだ赤字続きの場合は、どこで間違っていたのかを反省し、もう1度トライしてみる。そうすると何とか形になってくるものだ。

 実際に「夕染めの水都」のマップで、何もせず早送りしてみた。項目を上から見ていくと、どうやら鉄道はこのままいじらなくてもよさそう。問題はバスの利益。少しずつ赤字額が増えている。路線やバスのタイプを考えてみる必要がありそうだ。

 次にトラックの利益が上がっていないのは、調べてみるとトラックを走らせず、配送所が稼働している状態なので赤字になっている模様。資源については、このマップでは港にある集積所と、海岸を南に行ったところにある工場に貯まるばかりで出荷できていないからだろう。

 くせ者が電力会社利益。利用料が増えないため赤字続きだ。このマップでは風圧発電ユニットが8基、潮力発電所が1基ある模様。ユニットをクリックして調べてみると、潮力発電所の赤字がむごい……。これはひと思いに潰してしまった方がいいのかもしれない。

 これらのポイントを踏まえて行なったのは、バス路線の改変とトラックの配置、それに伴う道路工事だ。A列車なのに、最初に鉄道を引かず、道路から取りかかることになるとは。

 で、何もしない状態を踏まえて道路を引き、バス路線を整備し、トラックを走らせてみたのだが、トラックは確かに黒字転換した。資材工場の赤字も減っているようだ。しかしバスの赤字がより大きくなってしまった。資源関係もボロボロ。ええいこうなったら、もう1度作り直してやる!

何もせず早送りで飛ばしてみた状態。資源は工場周りで開発があったりしたためか、一瞬赤字が少なくなったりしている
最初の状況を踏まえて作ってみたのだが、結果は……

3度目のチャレンジに突入

 そして第3回目である。まずはゲームの時間を止めることにする。そこから開発開始だ。

 最初に潮力発電所を撤去した。そしてコンテナ港に資材置場(大)を配置。この時に緑の枠線が表示されるが、これはどの範囲まで効果があるかという意味だ。この緑の範囲内であれば資源を供給できる。全体を見渡して設置したい場合は、マウスのホイールを利用する。手前に回せばズームアウト、前に回せばズームインとなる。

 次は資源を引き取るための配送所の配置だ。ここではコンテナ港から対岸の都市へ、そして工場に隣接する配送センターから鉄道の終端駅のある都市へ資源を供給することにした。ちなみに資材置場は、上の建物に影響がでないよう地下に作るのが鉄則だ。地下に設置したい場合は、Ctrlキーを押しながらマウスのホイールを動かすと、高さが調節できる。このテクニックは高架線や橋げたのある道路を引くときなどに使えるので覚えておこう。

資材置場や配送所を作るなど、コンテナ港周りを整備
終着駅近くの配送所にも、地下資源置き場を設置した

トラックを配置したところ。資材がないとスケルトンな感じ。なんか、かわいい

 あとはトラックである。コンテナ港から駅、工場から終着駅の2便が必要となる。コストも考えなければいけないが、ここは資源が2個積めて速度も速い「中長距離用トレーラー」を2台購入して配置した。

 あとは問題のバス路線である。1つは終着駅から海岸沿いの工場まで走っている中長距離用のハイデッカーバスと、その付近を回っているコミュニティバスだ。バス関係はしばらく様子を見ることにしよう。

 といった感じで一段落付いたところで鉄道側の設定。ひとまず黒字のようだし、新路線建設はもう少し待った方がよいだろう。そこで走っている列車を変えることに。用意されている車両は豊富だが、中でも個人的に思い入れのある201系に入れ替えてプレイすることにした。

AR3よ申し訳ない。売却決定である
201系よ、久方ぶりじゃのお。関東ではもう走ってないからね

ひと通り敷設したのでゲームを再開

 では3ラウンド目を開始するとしよう。開始するに当たって大事なのは、それぞれの路線を決めることだ。列車ならば線路の上を走って行くだけなので放って置いてもいいのだが、トラックなど道路を走る場合は違う。パターンが多いのでしっかりと路線を設定しておきたい。

 この時に活用したいのが「ダイヤウィザード」だ。実際に走る電車やバス、トラックの動きに合わせて、どの方向に行かせたいのか設定できる。交差点ごとに進行方向を決めたり、停留所や配送所ごとに設定することもできるが、1つ1つのクルマごとに設定した方が、遠回りに見えて手っ取り早い。列車の場合も同じで、複雑なダイヤを組みたいときには意外と便利だ。

ダイヤウィザードで設定中。しかしこのトラックも、けん引車の動きがきわめてリアルだ。交差点を曲がるときなどに注目してほしい
荷物を運ぶトラック。とりあえずは順調である

駅をクリックするとメニューが表示される。左の▼はクリックすると展開できるので、「動作モード」を開いてみよう

 さて、ここまでやってみたはいいものの、決算情報はどんな感じなのだろうか? 見てみると、施設を建設したために費用がかかっているようだが、おおむね黒字の模様。しばらくは様子を見ることとしよう。

 さてここからひとつ、鉄道らしいことも。ダイヤだが、先ほどのダイヤウィザードでも設定はできるが、何時から何時まで運行するかという設定は、駅ごとに行なう必要がある。「A列車」で夜以降の世界は現実世界と同じなので、夜に列車が運行していても人は乗らない。そこで駅ごとに、夜は停車しているように設定したい。

動作モードを開いた状態。「発車時間」をクリックすると、時間が設定できる
表示される△をドラッグすると運行時間を設定できる。設定が済んだら右上の×をクリックしてウィンドウを閉じる
このとき気をつけたいのは、運行時間と発車間隔の▽がダブっていること。青に塗りつぶすバーに変化してしまうと、前の列車からどのタイミングで発車するかという間隔が設定されてしまい、ちゃんと運行できなくなる。マウスのホイールで微調整できるので、ピッタリと合わせておこう
なおこの設定はホームごとに行なえるのだが、「全ホームに適用」を選ぶと、その駅の全ホームに同じ設定をコピーできる

ネオタワー横のスペースに駅を建設。道路側に駅舎が来るようにする

 さて、落ち着いてきたのでここで新路線敷設を発動させることにする。今回から加わった列車はいろいろあるのだが、やはりここはJR九州のイベント列車「A列車で行こう」を走らせてみることにする。ネオタワーの前にある土地が空いているので、そこから下の駅までの路線を敷設してみよう。これだと何となく、東武亀戸線っぽいけれども。

 まずは駅を配置。イベント列車は2両編成だから、ローカル線っぽくホームは片面1番線で。線路はその先の駅につなげることとする。まずはネオタワー側の線路を引いて、川を渡していく。その次に終着となるホームは2番線までしかないので、ホームを増設する。増設は「Station」メニューから同じタイプの駅を選び、番線数を調節して上乗せすると拡張(または縮小)できる。

 ここで問題が! 上手いこと引いてきたと思っていたら、路線を高架で渡さないといけないのを忘れていた。まずは終着駅側から高架を渡す。この時Ctrlキーを押しながらマウスのホイールを回すことで高さの調整ができる。1段上の状態にして線路を引けば、勝手に高架線を作ってくれる。

「Train」メニューから新車両「A列車で行こう」を購入
ネオタワー側から線路を引く
ホームを増設
高架にしないと線路をつなげないのだった。「代々木駅」状態
ちょっと形が京成船橋状態だが、まあいいでしょう
「A列車で行こう」の車両を配置。何となくローカルっぽい

「Version3.0 プレミアム」は4K表示にも対応

今回お借りしたソニーさんの55型4Kブラビアこと「KD-55X9200B」。シーンセレクトでゲームを選択して表示
サードウェーブデジノスさんからお借りしたPC。CPUはCore i7 4770 3.40GHzで、ビデオカードはRadeon R9 290X

 さて、ざっと「Version3.0 プレミアム」についてはプレイしながらゲームの雰囲気をお伝えしてきたので、ここからは「Version3.0 プレミアム」のキモである「4K表示対応」について紹介していこう。

 4Kとは“K”が付いているように、通常では横方向に約4,000ドットの解像度をいう。PCだと3,840×2,160ドットという、16:9の表示を出せるマシンが4K対応モデルだ。もちろんビデオカードが対応しているからといって、全てのソフトがその解像度で表示できるわけではないのは3D対応と同じである。ソフト側のサポートも必要となる。

 「A列車で行こう」も「Version3.0 プレミアム」になって4Kに対応した。そこで編集部では、ソニーから55型ディスプレイ・4K対応ブラビアこと「KD-55X9200B」を、サードウェーブデジノスからは4K対応マシンを提供していただき、HDMI出力で接続してプレイしてみることにした。4K表示の際は、フレームレートが30フレーム/60フレームで表示が可能。「KD-55X9200B」は、3,840×2,160p 59.94/60Hz、3,840×2,160p 29.97/30Hz、3,840×2,160p 23.98/24Hz、4,096×2,160p 59.94/60Hz、4,096×2,160p 23.98/24Hzに対応しており、60フレームでの表示を実現できた。

 ちなみにマシンのスペックだが、CPUはインテルのCore i7 4770 3.40GHz、ビデオカードはXFXの「Radeon R9 290X」を搭載した「R9-290X-ED」、メモリは8GBで、OSはWindows 7 Home Premium 64ビットである。実は今後サードウェーブデジノスでは、ケースの外観とスペックは若干変わるが「GALLERIA XGR 290X」をメーカー検証後、4K表示も可能な「『A列車で行こう9 Version3.0プレミアム』推奨PC」として発売を検討しているという。

 55型というテレビサイズ(「KD-55X9200B」の表示領域は3,840×2,160ドットまで)もあるのだが、映像は無茶苦茶キレイ。ディスプレイの設定にはシーンセレクトという入力ソースに合わせた効果的な表示項目が用意されており、ここで「ゲーム」を選択するとコントラストが鮮やかに表示され、見えやすくなった。

 しかしさすが4Kである。それにしてもメニューがちっちぇー!! ディスプレイが55型と大型であることもあって、それこそ体を使って視線移動してプレイである。いやー、でかくてキレイだなほんとに!

見よこのマップの広さを。4Kはダテじゃない
今回使ったXFXのビデオカード

 実際に画質を比較して頂こう。左が1,920×1,024ドット表示、右が4,096×2,160ドット表示だ。実に圧倒的な描写力である。もし4K対応のマシンを持っているなら、是非とも試してもらいたい。ちなみにお借りしたマシン構成「Core i7 4770」+「Radeon R9 290X」は最強! 4K画像でもサクサクと動いてくれた。

こちらが1,920×1,024ドットの画像
こちらが4,096×2,160ドットの4K画像。水面に映るビルやマリンタワーの描写を見比べてほしい

【「A列車で行こう9 Version3.0 プレミアム」4Kスクリーンショット】
これらのスクリーンショットは、クリックしていただき、さらに画面上部にある「画像を拡大」をクリックいただくと4K解像度で表示される。その威力を楽しんでいただきたい。何度も言うようだが、ここまで揃えなければプレイできないわけではない。でも、ここまで揃えれば、こんなすごい映像でプレイできるんだということも憶えておいていただければと思う

新時代の夜明を見せた「Version3.0 プレミアム」

 ここまで紹介してきたとおり、これまでのA列車における最高バージョンであり、プレイしていても非常に満足感が高かった。このほかにも、線路分岐パーツが追加されておりこれまで以上に複雑な操車場を作ったり、追加車両として北陸新幹線のE7系や三陸鉄道など、新たに加わった車両も多数あるので是非試してみてほしい。

 なお本作だが、必ずしも4K対応のマシンがないと遊べないかというと、そんなことはない。環境設定で「低」のレベルでプレイしていても全く違和感はなかった。動作保証外のマシンでも動作する場合があるので、「A列車で行こう9」公式サイトで配布されているビュアーソフトを使って、どのくらいのフレームレートで動作するのか、事前に確かめてみてほしい。ちなみに、私のマシンは「VAIO F」という旧式デスクノートなのだが十分に遊べたことをここに記しておく。もしチェックしてみて十分に楽しめそうだったら、是非ともプレイして頂きたい。

「A列車で行こう9環境設定」。左がデフォルトの設定で、右が「簡易設定」で「低」を選んだ場合。ブルームがなかったり、影の品質が落とされていたりするが、あまり気にならないでプレイできた。鉄道ファン、シミュレーターファンなら是非ともそろえておきたい1つだ
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(作倉瑞歩)