PS4/PS3/Xbox 360/PCゲームレビュー「ウォッチドッグス」

ウォッチドッグス

全ての情報は俺のもの。現代の魔術師“ハッカー”
SFマインド溢れる、サイバーパンクオープンワールド

ジャンル:
オープンワールド
発売元:
ユービーアイソフト
開発元:
Ubisoft Montreal
プラットフォーム:
PS4 / PS3 / Xbox 360 / Windows PC
価格:
9,072円 (PS4)
8,100円 (PS3 / Xbox 360)
7,400円 (Windows PC)
発売日:
6月26日
プレイ人数:
1人(マルチプレイ PS4:1〜8人、PS3/Xbox 360:1〜4人)
レーティング:
CERO:Z(18歳以上のみ対象)

 ユービーアイソフトの「ウォッチドッグス」がついに発売となった。本作の主人公エイデンはスマートフォン1つで監視カメラに潜入し建物の奥に隠された重要データを盗み、街ゆく人々の個人情報を覗き、乗り物や信号機を自由に操る、まさに“現代の魔法使い”と呼べるキャラクターだ。

 ウイリアム・ギブスンの小説「ニューロマンサー」や、士郎正宗のコミック「攻殻機動隊」のようなサイバーパンクのエッセンスを、現在のネット世界の雰囲気を盛り込んだ本作の世界は、「私達の世界の未来はどうなっていくんだろう」という、優れたSF作品に触れた後の感覚を思い出させてくれる。今目の前に見えている世界が全く別な“何か”に変わるという体験をぜひ楽しんで欲しい。

【ウォッチドッグス ストーリートレーラー】

情報を武器に、復讐に燃える1人の“ハッカー”。はたして事件の真相は?

姪を殺されたエイデンは、復讐鬼となって事件の真相を追う
個人情報からチャットの内容まで、全てを傍受できる
カメラからカメラに移り、建物の奥深くに潜入することもできる
スキルツリー。多彩な能力を身につけていく

 「ウォッチドッグス」はオープンワールドタイプのゲームだ。プレーヤーは主人公エイデンとなり、美しい3Dグラフィックスで再現されたシカゴの街で、ある事件の真相を追い求めていく。

 エイデンは“ハッカー”である。彼の前には全ての情報が筒抜けだ。エイデンはスマートフォンを使って様々なことができる。エイデンがスマートフォンを人に向けると道行く全ての人の個人情報が入ってくる。「最近手術を受けた」、「犯罪歴がある」、「よく検索する単語は『戦争』」、「海外旅行をした」などなど、個人情報がわかるだけでなく、通話情報や、チャット内容まで傍受できる。

 性癖やストーカーなどの情報もわかるため、犯罪に介入する自警団行為もできるし、配電盤をショートさせ爆発させたり、ネット口座からお金を盗むことも可能。本作の凄さはNPCそれぞれに個人情報が与えられているところにある。襲ってくる敵NPCにすら情報が付与されていて、感情移入させられる。これらの情報が、他のオープンワールドゲーム以上に世界が“生きている”と感じさせてくれる。

 サイバーパンクものは、電脳空間に意識ごと“ダイブ”できるところに独特の雰囲気があるが、本作ではそういった電脳世界の描写はない。しかし監視カメラをハッキングすると視界が監視カメラの映像に変わり、カメラの中に入り込んだような感覚を味わえる。監視カメラから次の監視カメラへと移っていくのは、電脳世界の住人になったかのような感じだ。次々と監視カメラに乗り移り、体は建物の外にいたまま、建物の奥深くの重要機密を盗み出すことも可能だ。

 さらに、目標の近くにカメラがない場合でも、警備員が持っているカメラに潜入し、アラームを誤作動を起こして警備員を目標に近付かせるといった“からめ手”を使う場合もある。監視カメラを通じて配電盤をショートさせたり、警備員が持つ手榴弾に干渉し爆発させるなど、手を触れずに敵を排除することもできる。監視カメラの視界の中で、目に見えぬ襲撃者に怯え、右往左往する敵を見るのは楽しい。また、コンピューターへのハッキングは古典的な“水道管ゲーム風”の回路を接続するミニゲームになっているところも面白い。

 カーチェイスも本作ならではの要素が盛り込まれている。信号を遠隔操作することで追跡車に他の車を突っ込ませたり、車止めの装置を作動させたり、建物のシャッターを開けて緊急の避難先にしたりできる。追われている時などは「ここに車止めがあったな」、「この道は信号が多そうだ」など考えていけば有利に戦える。街の構造を知り、街を味方に付けて“罠にはめる感じ”が楽しい。

 こういったハッキング能力は経験値を溜めていくことで得られる「スキルポイント」を消費して強化していける。グレネードや警察のサーチを無効化する「ジャミング」を作れるようになったり、電車の発車や停車を制御したり、ヘリの機能を数秒間停止することすら可能だ。どのスキルを取得していくかはプレーヤーが選べるので、戦い方も異なってくるだろう。

 「ウォッチドッグス」はこれだけの能力を持つ主人公がいながら、舞台となるシカゴは現代そのままともいえる設定なのがいい。この世界の多くの人は、自分の情報がのぞき込まれているのを知りもしないし、誰も手を触れていない機械がいきなり動くことに驚く。監視カメラから誰かが覗いているなんて想像もしない。現実の私達と同じ価値観で生きている。ゲームの中でハッキングを仕掛けて“のぞき見”ができるのは、歩きながらスマホをいじっている人だ。見渡せば現実にそういう人はそこら中にいる。「もしかして、現代にはもうこんなハッカーがいるのかも……」と思わせるのが本作の面白さだ。

 しかし、これだけの能力を持つエイデンにすらわからないことがある。エイデンは1年前、あるハッキングの仕事で失敗し、身元を知られ、妹の子供、6歳の姪を殺されてしまったのだ。復讐の鬼となったエイデンは怪しげな協力者を雇い、必死に自分を狙った刺客を追う。彼の優れたハッキング能力はこの復讐を成し遂げるために得たものだったのである。

 ゲームは、事件から11カ月経った時点から始まる。エイデンが自分を襲った実行犯の1人を捕まえるシーンから始まるのだが、彼に命じた物が誰なのか、そこから先に進めないまま様々な事件が起こり、エイデンはそれらの事件に対応していく中で徐々に真相へ迫っていく。しかしその行動は、再び妹と甥を危険な目に遭わせてしまうのだ。たとえ復讐を遂げても失われた姪の命は帰ってこない。エイデンはそれを認めつつも、危険な探求をやめようとはしない。エイデンの復讐はどんな結末を見せるのか? 黒幕は誰なのだろうか?

【スクリーンショット】
ある事件をきっかけに命を狙われ、一緒にいた姪を殺されてしまったエイデン。彼は黒幕を捜し求める。しかしそれは再び妹と甥を危険な目に遭わせることに繋がりかねない
クララとジョルディ。怪しげなところのある2人だが、エイデンの仲間といえる人物
「ウォッチドッグス」は街の人の情報を見て、ハッキングしているだけでも楽しい。潜在的な犯罪を見つけることや、人のお宝をかすめ取ることも
犯罪を探知。犯人を捕まえる自警団活動で、エイデンの名声は上がる
信号や配電盤を誤作動させて、敵を倒せる
建物の配線をたどってスイッチを見つける
ハッキングは回路を回転させ繋いでいくパズルになっている
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(勝田哲也)