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★ PS3/Xbox 360/PCゲームレビュー★
最前線の極限環境が、再び
「BF」の遺伝子を受け継ぐFPS
「メダル オブ オナー ウォーファイター」
ジャンル:
FPS
発売元:
エレクトロニック・アーツ
開発元:
Danger Close
プラットフォーム:
PS3 / Xbox 360 / Windows PC
価格:
7,665円 (PS3 / Xbox 360)
6,800円 (Windows PC)
発売日:
11月15日
プレイ人数:
1〜20人
レーティング:
CERO D(17才以上対象)
Amazonで購入

最前線で活躍するエリート兵士の活躍を描くシリーズ最新作

 ソロプレイ志向ミリタリーFPSのトップランナーとして、2000年代初頭を駆け抜けた「メダル オブ オナー(MoH)」シリーズ。それが今世代ゲーム機の時代になるとActivisionの「Call of Duty」シリーズと人気を二分し、やがては追いぬかれ、後塵を拝するようになって何年も経つ。

 ゲームのトップブランドを自認するElectronic Artsは、その状況を変えたかったに違いない。「Battlefield」シリーズの開発スタジオであるDICEのノウハウを「MoH」に注ぎ込み、再びトップランナーに押し上げるべくシリーズを再生した。それが2010年に発売された、副題無しの「メダル オブ オナー」だった。

 こうして生まれ変わった「MoH」シリーズはゲームエンジンに「Battlefield」シリーズ由来のFrostbiteを採用し(今作ではFrostbite 2)、映像・音響においてライバルにひけをとらない品質を確保した。舞台設定においては軍事的なリアリズムにこだわっている。前作に引き続き今作も、中東を中心に活躍する第一線のエリート兵士から情報提供を受け、現実のエピソードを元に細部を作りこんだようだ。

 それはともかくとして、プレーヤーとしては本作がゲーム作品として面白いかどうか、購入してプレイするに値するタイトルであるかが重要だ。その点を判断していただくため、本作に搭載されているシングルプレイ、マルチプレイ両面のレビューをお届けしたい。



■ リアル系とスポーツ系のはざまで、打撃感にこだわり

全編に渡ってチームと連携しながら行動する
照準を覗きこみ、しっかり狙って当てることが基本

 本作は現代戦をテーマとするFPSだ。6〜8時間でひととおりクリアできるシングルプレイキャンペーンと、全てのアンロック要素を手に入れるためには100時間以上のプレイが必要になりそうなボリュームたっぷりのマルチプレイモードを搭載している。

 その両方で基本となる本作の操作感は、ややリアル感を意識しつつも、スポーツ的な軽快さを重視するバランスになっている。

 まずプレーヤーの移動速度は、ミリタリーFPSの基準から言うとやや速めで、移動にストレスを感じることはない。そのかわり、移動中に腰だめでライフル銃を撃っても、目の前の敵にほとんど当たらないほど弾着がバラけるようになっている。ターゲットに対し有効な射撃を加えるためには、いったん止まって照準を覗きこむ操作が必須だ。

 このバランシングのため、本作では次のようなプレイスタイルが基本となってくる。素早く移動して、止まり、狙って、射撃。走り回りながらでもフルオートの弾がほぼ命中するような距離は超接近戦だ。そのような距離では一撃で確実に敵を仕留められる白兵攻撃が有効である。このあたりはリアル系FPSの雰囲気を持つといっていいだろう。

 とはいえ、走り回りながら腰だめで撃ちまくりつつ敵を倒すのが好きなプレーヤーを完全に除外しているかというと、そうでもない。プレーヤーキャラクターはサブウェポンとしてショットガンを所持しており、こちらは照準操作を挟まなくても、画面中央に敵を捉えればだいたい命中する上、至近距離なら一撃必殺の威力だ。また、一部のサブマシンガン系のメイン武器は腰だめでもよく当たる。

 その中でこだわりを感じるのが、着弾時のインパクトだ。弾がターゲットに命中するとある程度距離が離れていても「ボスッ、ボスッ」と重いサウンドエフェクトが発生し、血しぶきの映像効果がやや大げさに現われる。このおかげで本作の射撃に強い打撃感が生まれており、プレイ感覚を引き締まったものにしてくれている。

 その上で、移動速度に加えて武器の切り替えやしゃがみ、伏せといった姿勢の移行もクイックなので、近年のリアル系FPSでよくやり玉に挙げられる“モッサリ感”はかなり避けられているように思える。その意味では、スポーツ系FPSとしてのテイストも感じられるバランスだ。Electronic Artsお得意のユーザーリサーチや、同じエンジンを使用している「BF3」へのフィードバックを踏まえた調整なのかもしれない。


現実に即した多彩な武器が登場。多彩な射撃感覚を楽しめる

至近距離でも腰だめでは意外と命中しづらい。しっかりと狙いをつけて確実に命中させることが重要だ


■ 最新ゲームエンジンの能力を最大限に生かしたシングルプレイ

Frostbite 2エンジンを生かした派手な爆発の演出も数多い
薄暮の戦闘では敵のフラッシュライトが目眩ましになり、やっかいだ
ヘリの機上から敵基地を襲撃。スケール感たっぷりの戦場描写が光る
一般車がごった返す町中でカーチェイス。本格レースゲーム並の迫力

 それなりのボリュームで構成されるシングルプレイキャンペーンは、規定のシナリオに沿って連続的なミッションをプレイしていくというオーソドックスなものだ。プレーヤーの腕前にもよるが、それなりに攻略を意識しなければクリアできない場面もあり、標準的なクリアタイムは6〜8時間といったところ。

 本作のシングルプレイキャンペーンでは、米軍のエリート兵士、コードネーム“プリーチャー”の直面した困難を描く。厳しい任務を終え、いったんは家庭に戻ったプリーチャー。家族とともに平穏な生活を送ろうとしたのもつかの間、米本土でのテロ事件に巻き込まれてしまう。日常に忍び寄る、戦場の非日常。彼が選択したのは、再び戦場に立ち、極限環境の中で、平和な日常を守ることだった。

 各ミッションは時系列が前後しつつ進行していくため、シナリオの読み解きはかなり難解だ。何のために戦っているのかがなんとなくわかるようになるのはゲーム終盤あたりとなるので、本作ではどちらかというと、序盤ではシナリオはあまり気にせず、各ミッションで与えられる戦場のシチュエーションに集中するほうが純粋に楽しめる印象だ。

 その点、各ミッションの作りはバリエーション豊かだ。オーソドックスな銃撃戦に始まり、潜入ミッション、他の部隊との共同作戦、狙撃作戦、危険地帯からの脱出、空中からの襲撃などなど、手を変え品を変え、プレーヤーを楽しませてくれる。

 特に感心したのは、ヘリコプターを使った襲撃作戦や、パキスタンのカラチ、UAEのアブダビを舞台に展開するカーチェイスのスケール感だ。巨大な戦場を表現するために開発されたFrostbite 2エンジンの面目躍如といったところで、地平線のかなたまで広がる、複雑な構造を持つ戦場が精緻に描かれ、独特のワクワク感も醸しだしてくれる。

 特にカーチェイスのシーンは一見の価値ありだ。その舞台となる都市環境は緻密に表現され、何キロも続く道々には無数の一般車両も走っている。アブダビで夕焼けに染まる摩天楼を見上げながらのドライビングは、FPSにしておくには惜しいほどの完成度だ。私はこういう「Need for Speed」をやりたいんだ!と言いたくなるほどである。そう言えば、最近の「Need for Speed」シリーズは本作と同じFrostbite 2エンジンを採用している……。

 本作において惜しむらくは、このような“FPS的でない”ミニゲーム部分では抜きん出た演出、贅沢な映像、体験したことのないエキサイティングなゲーム性が用意されていることに対し、FPSとしてメインとなる部分はあくまで“普通”であることだ。

 遠隔操作ボットを使った作戦や、レーザーターゲット指示器を使っての支援攻撃要請などといった多少の珍味は用意されおり、敵キャラクターのAIがそれなりに賢く、機敏に動いてプレーヤーをうまく悩ませてくれるのは良い点だ。しかし、ゲーム全編を通して、ライバルタイトルを圧倒するほどの何かが隠されているわけではない。あくまで極小の幅を持った1本道に沿って進む、プレーヤーが“やらされる”タイプのゲームだ。

 このあたりは、万人が安心してプレイできるタイトルとして既存路線を大きく踏み外すことはできない、という事情にもよるだろう。王道ゆえの退屈さ、というわけだ。近年はFPSのスタイルを踏襲しつつ遊びの幅をぐぐっと広げている作品が多いだけに、本作の手堅い作りは新作としてのインパクトに欠けることも事実である。

カーチェイスのシーンは本当にデキがいい。アブダビの街は一見の価値あり!

遠隔操作ボットを使った作戦、チームでタイミングを合わせた共同狙撃、各種の破壊工作など、現代戦で行われる様々なシチュエーションや環境が本作で体験できる、贅沢なつくりだ


■ マルチプレイはハイテンポ。アンロック2大要素でやり込みを

手狭なマップが多く非常にハイテンポに戦いが進行する
「セクター制圧」。旗を巡って激しい応酬が繰り広げられる
ファイアチームの相棒が生きていれば、その場から復活できる

 オンライン派が気になる本作のマルチプレイモードは、同時最大20人までのゲームセッションをサポート。近年の水準では比較的小規模なスケール感だが、戦闘のホットスポットが狭い地域に集中するよう工夫された各種のゲームモードのおかげで、ハイテンポな戦いがメインとなるのが特徴だ。

 ゲームルールはオーソドックスな「チームデスマッチ」、複数の陣地を取り合う「セクター制圧」、ひとつの拠点を攻防する「危険地帯」、リスポーン無しのCTF「ホームラン」、攻守に分かれて拠点を巡る「コンバットミッション」が用意されている。

 中でもよくプレイされているのは「セクター制圧」。「Battle Field」シリーズにおけるコンクエストルールに準じた内容で、本作のマップもこのモードを前提とした作りになっているようだ。

 他のモードも含めて、本作のマルチプレイでは「ファイアチーム」と呼ばれる、2人1組の作戦単位でゲームが進行していく。各陣営10人づつ参加のゲームなら、5つのファイアチームだ。プレーヤーはファイアチームの相棒と体力回復・弾薬補給をすることができ、死亡時には相棒の位置からの復活もできる。

 したがって、「セクター制圧」のようなルールでは、最前線でファイアチームの片割れだけでも生き残り、踏みとどまって相棒の復活ポイントとなることが重要だ。これができていれば、復活後即座に戦闘に参加することができ、個人成績とチーム勝率に良い影響が得られるというわけだ。マップが手狭であることも相まって、本作のマルチプレイは非常にハイテンポで息つく暇もない。

 プレーヤークラスの選択もゲーム性に変化を与える。「アサルター」、「スナイパー」、「デモリション」、「ヘビーガンナー」、「ポイントマン」、「特殊部隊」の6種類ある各クラスは、それぞれ移動速度や使用武器に違いがあり、異なるスタイルの戦い方を可能にする。

 各クラスで使用できる武器の種類はアンロック制になっており、特定のクラスを何ラウンドもプレイしてポイントを加算することで次第に新たな武器がアンロックされていく仕組みだ。アンロックの順番は決まっており、特に使いたい武器が終盤のアンロック項目になっていると大変だ。全武器のアンロックを完了するためには、100時間以上のプレイが必要になりそう。

 これに加えて短期のアンロック要素となっているのが、各クラスの「サポートアクション」だ。ラウンド内でポイントを蓄えることによってレベル1〜4の特殊アクションが使用可能になるもので、煙幕を張ったり、迫撃砲などによる支援攻撃を呼び出したり、はたまたヘリを呼び出して臨時のスポーンポイントにしたりと様々なアクションが用意されている。メインウェポンの火力だけでなく、サポートアクションによる追加の火力を上手く使うことが勝利のカギだ。

 というわけで本作のマルチプレイは前作に引き続く「MoH」シリーズらしい独自性を打ち出しつつ、やりこみ要素も用意され、テンポよく遊べる内容に仕上がっている。基本の操作感がそれなりに快適で遊びやすく、撃ち合いの駆け引きもバリエーションがあって攻略のしがいがある。筆者もついつい数時間連続でプレイしてしまったが、その先は「特定のクラスを極める」、「目当ての武器をアンロックする」といった長期目標を持つことで、長くプレイできそうだ。


現時点で用意されているマップは全8種類。いずれもシングルプレイキャンペーンでの特徴的な地形をもとに、20人規模の対戦に合わせてデザインされたマップだ。小路など狭い場所が多く接近戦になりやすい


■ もうひとつの王道ミリタリーFPSとして一定の存在感

 現時点では、FPSファンの多くはシリーズの継続性も踏まえて「Call of Duty: Black Ops 2」に注目を注いでいることだろう。それはそれで、間違いのない選択だと思う。その一方で「MoH」シリーズは本作でさらに完成度を上げ、王道ミリタリーFPSとしての基礎体力を整えつつある。

 特に注目すべきはFrostbite 2による表現力だろう。よりスケールの大きい戦場風景、腹に響くような迫力ある音響といった点で、本作には独自の見所を作り出している。そこに魅力を感じられるなら、敢えて本作を手に取り、「CoD」と遊び比べてみるのもいい。手堅く作りこまれた内容は、第一線のFPSとして充分に楽しめるものであるとわかるはずだ。

 とはいえ、特にオンラインを中心に楽しむコア層にとっては、周囲の皆がプレイしているかどうか、友人と経験を共有できるかどうかがゲームを選ぶ重要なポイントになってくる。その点で言うと本作は、2010年に発売されたシリーズ再生版「MoH」からの短い継続性しか持っておらず、「Modern Warfare」時代からの蓄積がある「CoD」シリーズに迫るためにはもうひと押し欲しいところではある。

 その意味で、本作のPC版が「Battlefield 3」と同じWeb上のコミュニティプラットフォーム「Battlelog」に対応したことに注目したい。現時点で「BF3」のプレーヤーが本作をプレイする動機づけになるかはわからないが、長い目で見るなら、「Battlelog」で育ちつつあるコミュニティ基盤が将来の「MoH」シリーズをさらに盛り上げる起爆剤になり得るかもしれない。

 それがあるとすれば将来、現世代のゲーム機が役割を終えてプラットフォームの壁が霧消する頃になるだろうが……。さて、時代の変化に鋭いゲーマーの皆さんは、今のうちに「Battlelog」のコミュニティに参加してみてはいかがだろうか?


【スクリーンショット】

Amazonで購入

(2012年 11月 22日)

[Reported by 佐藤カフジ]