音ゲーとしても本格派で歯ごたえあり!
- ジャンル:
- 新作アニメ付き・アイマスリズムゲーム
- 発売元:
- 開発元:
- プラットフォーム:
- PSP
- 価格:
- 5,980円
※ダウンロード版:PS Vita互換対応- 発売日:
- 2012年10月25日
- プレイ人数:
- 1人
- レーティング:
- CERO:B (12才以上対象)
「アイドルマスター」の“ゲーム・アニメ・楽曲・キャラクターの魅力”を、リズムゲームをメインに隅々まで味わえる新作がこの「アイドルマスター シャイニーフェスタ」(以下、「シャイニーフェスタ」)。アイドルや収録曲が異なる3パッケージが発売されている。
本作だけに収録されている約23分の新作アニメでたっぷりとキャラクターの魅力を味わえるほか、リズムゲームではアイマス楽曲の魅力を、これまでの「アイマス」シリーズにはなかった全員で歌うシーン、バンドスタイルでの演奏、アニメシーンとゲームの融合、さらにオリジナルな映像と共に楽しめる。
映像と音楽を中心に、新しい魅力も楽しめる本作をレビューしていこう。
■ 新作アニメから始まり、“アイマスの1番美味しいところ”を多彩に味わえるリズムゲーム
新作アニメは約23分とアニメ1話分をフルに収録! パッケージごとに異なる話が楽しめる |
南国リゾートで開催される音楽祭に参加することになった765プロ。3パッケージそれぞれに収録されている3つのユニットに分かれ、音楽祭を盛り上げていくのが本作の大きな目標だ。
まず、見どころはやはり、各パッケージにそれぞれ収録されている約23分(1話分)の新作アニメだろう。2011年に放送されたTVアニメ「アイドルマスター」と同じく、監督:錦織敦史氏、A-1 Pictures制作による、この「シャイニーフェスタ」だけで楽しめるストーリーだ。
このアニメの見せ方が結構大胆な作りで驚かされる。ゲーム開始直後にまずこのアニメがフル(約23分)に再生される。その流れだけ聞くと賛否両論あるかもしれないが、このアニメ内で展開される物語は「シャイニーフェスタ」がどういったものなのかをわかりやすく教えてくれるものと言えるし、特にアニメで展開された「アイマス」の魅力をダイレクトに伝えてくる。
物語もそれぞれにテーマがあるしっかりとしたもので、クオリティもまさに放送されたアニメ作品にひけを取らない充実ぶり。プレイ前の最初に見せるというインパクト込みで、上手い見せ方と感じた。もちろんアニメはゲーム内からいつでも再生可能だ。
それぞれ1話分というボリュームで、その中でテーマがあり、葛藤ありの凝った展開を見せる。それを最初にガツンと見せてくるという手法にも驚かされる |
ステージでリズムゲームを楽しみ、映像コンテンツや楽曲を楽しみ、そして「STAR OF FESTA」に挑んでいくというのがプレイの流れ |
音楽祭でのアイドルの姿とその魅力をアニメで堪能した後は、いよいよプロデューサーことプレーヤーの出番。リズムゲームのプレイでアイマス楽曲の魅力を、ひいては音楽を楽しんでいく。音楽を楽しむお祭りという舞台とテーマを、ゲームプレイで曲を楽しむリズムゲームという形でマッチングさせている。
本作でのメインと言えるゲームモードは2つ。ひとつは収録楽曲のリズムゲームを自由にプレイできる「STAGE」。もうひとつはライバルのアイドルも登場するなかで音楽祭の頂点を目指す「STAR OF FESTA」。最初は「STAGE」からプレイすることになる。
「シャイニーフェスタ」ではパッケージごとに担当アイドルと、収録されている楽曲が異なる。
高槻やよい 水瀬伊織 我那覇 響 双海亜美/真美 | 天海春香 如月千早 三浦あずさ 秋月律子 | 星井美希 菊地 真 萩原雪歩 四条貴音 |
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ラインに乗って左右から流れてくるアイコンを、中央にあるターゲットの位置で押していくというリズムゲームだ |
難易度は4段階あり、1番低難易度な「DEBUT」なら楽々。だが、「REGULAR」以上は結構な歯ごたえがある |
リズムゲームは、ミュージッククリップがバックに流れるなか、流れてくるアイコンをタイミングよく押してハイスコアを狙っていくという、いわゆる“リズムアクション”のスタイル。
特徴として、アイコンがラインに沿って“左右からターゲットに向かって流れてくる”ので、そのアイコンが“ターゲットと重なった時にボタンを押す”というものになっている。左右のアイコンはそれぞれ、左から流れてくる左アイコンは「方向キー・Lボタン」、右からの右アイコンは「○/△/□/×・Rボタン」で叩ける。使うボタンはどれでも良く、要は2種類のみ。両手でリズムを叩いていくシンプルな作りだ。
アイコンの種類、操作のパターンもシンプルで、普通の丸アイコンは左右それぞれにタイミングよく押す。アイコンに棒がついているものは、その棒の長さの分だけ長押し。緑色のアイコンは左右同時押し。この3種類だ。
アイコンの置き方の傾向としては、基本的には曲のボーカルのリズムになっているものが多く、これも親しみやすい。だが曲によっては曲のリズム(拍)を刻むもの、さらに裏拍(拍の合間)を叩くものもあって、バリエーションもしっかりと用意されている。
このように操作は簡単で取っつきやすいが、本作の音ゲーとしての難易度は結構歯ごたえがあると感じる。難易度選択は「DEBUT」、「REGULAR」、「PRO」、「MASTER」の4段階あり、「DEBUT」はラインの形状が横線のみでアイコンも少なめ。映像を楽しみながらでも余裕なぐらいの難易度だ。
だが、「REGULAR」以上になると、ラインが曲線のものであったりジグザグしていたりと、凝ったものになるし、アイコンの量もグッと増していく。特に“左は長押ししつつ右でリズムを刻む”というような合わせ技もふんだんに出てくるので、歯ごたえ満点。「MASTER」ともなると初見ではお手上げぐらいの譜面もあり、同じ難易度でも曲によってガラリと傾向が変わってくるところもあるので、やりごたえ充分。また、さらなるやり込みとしてアイコンが流れてくるスピードの変化や、ミラーモードもある。
ボタン入力は左右の2種類だけとシンプルだが、左右のアイコン単体だけでなく、同時押し、長押しもあって、時にはそれが組み合わさってくることも |
片手で長押ししつつ、もう一方でリズムを刻むという譜面は難関だ |
プレイして手触り的に感じたところとしては、ターゲットにドンピシャで重なった時よりも、“気持ち早め”ぐらいがパーフェクト判定になっているかな、というところがあった。ラインやターゲットの位置設定からの“ちょい速め反応のほうが遊びやすいのでは?”という配慮かもしれない。これはまあ、本作のクセのようなものというか特性で、曲のリズムとアイコンのリズムそのものはしっかりと合っているので、慣れればスムーズに楽しめるだろう。
難しさの鬼門になるのはやはり“長押しが絡んだ時”だと思うのだが、長押し自体は“押し始めの判定”は通常アイコンと同じように判定されるが、“長押し終了の判定”は、アイコンの最後あたりまで押し続けていれば良い。
プレイの気持ちよさは見事なもので、例えば如月千早の「約束」なら、伸びやかなボーカルがポイントになるが、それを長押しで再現している。声量のある伸びとリンクした長押し操作をきっちりと決められ、パーフェクト判定を取った時は非常に気持ちいい。同時に、「約束」という楽曲の魅力と、如月千早のボーカルの魅力もがっつりと伝わってきた。
またリズムを刻む面でも、左右のアイコンを素早く交互に押したり、アイコンが半分重なっているような2連・3連などもあって、うまくプレイできると、曲にノっているときはとても気持ちがいい。アイマス楽曲の多彩さもあり、いろんな音楽ジャンルのリズムや良さが体感できるところも嬉しい。
左右の入力を交互に刻んだりと、リズミカルな入力での気持ちよさも味わえる |
シャイニングバーストで映像がチェンジ!! どの楽曲にもノーマルとスペシャルの2種類の映像がある |
リズムゲーム中に流れる「映像」も、もちろん本作の見所。1曲に対して映像は2種類が収録されており、ライン上の「シューティングスター(★アイコン)」を叩くと、映像が瞬時に切り替わる「シャイニングバースト」というギミックがある。
例えば、前半のミュージッククリップはアニメ「アイドルマスター」からの名場面集的なものだが、シューティングスターを叩くとゲーム「アイドルマスター」のステージシーンへと切り替わる。この切り替わりは瞬時に行なわれるので、テンポを崩すような事もない。
映像の魅力で言えば、アニメ・ゲームからの映像もさることながら、これまでになかった13人全員で歌っているステージ映像あり、歌のテーマに合わせたオリジナルなドラマ風あり、メンバーが楽器を持ってのバンドスタイルありと、「アイマス」の魅力をさらに印象付ける仕掛けの1 つになっている。
リズムゲームをプレイしながらだと背後の映像全体をじっくり見ているヒマがなかなかないわけだが、「THEATER」でなら映像と楽曲をゆったりと楽しめる。シャイニングバースト後のミュージッククリップはゲームプレイ中だと“☆(キラメキ)メーターを溜めてバーストをしてから”になるので、1度にすべて見られないが、このTHEATERでは条件を満たせば頭からすべて見られる。さらに歌詞も表示されるので、楽曲と映像をより楽しめるものになっている。
コンボを繋いで☆メーターが貯まり、シューティングスターが流れてきたらシャイニングバーストのチャンス! チェンジは、衣装が替わったり、アニメ映像からゲーム映像へと変わるなど、組み合わせは曲それぞれ | |
上の2枚はどちらも真の「自転車」プレイ中の映像。アニメ「アイマス」の魅力も、ゲーム「アイマス」の魅力もどちらも楽しめる |
1日3曲を歌い人気投票を獲得して、全5日で目標達成を目指していく「STAR OF FESTA」 |
プレイを重ねてアイドルランクが高まると挑めるようになる「STAR OF FESTA」。こちらは1回(ゲーム内の1日)あたり3曲を歌って人気投票(pt(ポイント))を獲得し、5日間を終えるまでに目標以上の投票獲得を目指していくというモードだ。
こちらにはアニメとはまた別にストーリーも用意されており、さらにライバルとの対戦もある。3曲目を歌う時、同じ時間に別のステージでライバルが歌うというもので、どんなライバルが現われるかはプレイごとに変わってくる。
出現するライバルは、担当していない765プロのアイドル、876プロのアイドル、961プロの男性ユニット「ジュピター」、さらにモバイルで展開されている「アイドルマスター シンデレラガールズ」のアイドルたちと、まさにシリーズのアイドルが総登場!! スコア勝負に勝利すると、ライバルがこちらを認めて「名刺」がもらえる。この名刺を集めるというコレクション要素も楽しめるというわけだ。
「STAR OF FESTA」での勝敗をわけるカギは、「思い出ブースト」。思い出ブーストを使うとシャイニングバースト後にアイコンがハートマークに変化。それを叩けば一気に人気投票ポイントが入るという仕組みだ。思い出は「STAGE」で曲をプレイしたり、「CONTEST」でアニメや「THEATER」のミュージックリップを見ることで溜まっていく。それを溜めて、「STAR OF FESTA」に挑んでハイスコアを出していくというのがプレイの流れだ。
1日の最後である3曲目には、ライバルのステージと競う場面も! 勝利すればライバルキャラの名刺がもらえる。思い出バーストをフルに使っていこう |
プレイを重ねてアイドルランクが高まり、さらに「マニー」というゲーム内のお金も得ていくと、ショップでカスタマイズ要素を購入できる。思い出ブーストをよりたくさん溜められるようになるお守りをはじめ、ターゲット判定が大きくなったりする補助要素の消費アイテム、さらにはライン・アイコン・ターゲットのデザインや、ハンドクラップの音(アイコンを叩いた時の音)を変化させるカスタマイズもある。中には「太鼓の達人」風のデザインや音などもあり、それらはアイドルランクが高まると開放されていく。
ステージをプレイし、映像や楽曲を楽しみ、思い出が貯まったら「STAR OF FESTA」で放出し、そうしてアイドルランクやマニーを稼いで、ショップの要素を開放。それを加えてさらに高難易度のものを楽しんでいくという、プレイが循環していくような作りになっている。ちなみにマニーやショップで購入した要素は3パッケージ共通のデータとなっているので、3本まとめて楽しむ人へもしっかり配慮されている。
アイドルランクが上がると、ショップのラインナップが開放されていく。マニーで購入してプレイ画面のデザインや音もカスタマイズしていける |
■ 「アイマス」シリーズの“1番いいところ”をギュッと詰め込み、それを手軽にリズムゲームで楽しめるタイトル
アニメの魅力、ゲームの魅力、そして楽曲の魅力を、これまでできなかったシーンも交えて楽しめるようになっている本作。音ゲーとしても歯ごたえがあり、そこからアイマスに触れていける良さがある |
リズムゲームでの楽曲の魅力を中心に、「アイマス」シリーズの“1番いいところ”をギュッと詰め込んでいる本作。ゲームの魅力もアニメの魅力もどれも抑えてあるので、ファン必見なのはもちろん、比較的最近から「アイマス」ファンになったという人も、さらに視野を広げていくきっかけとしてもオススメできる。
ここまで本作のオススメポイントをご紹介してきたが、本作はあくまでゲームプレイのバリエーションとしてはリズムゲームのみのものなので、特にオススメできる層はやはり音ゲー好き・音楽好き・アイマス好きの方をターゲットにしているといえる。プレイのボリュームとしては、もうひとつ何かプレイの手触りが異なって気分を変えられるようなモードが欲しかったかな、と思うところはある。
リズムゲームとしてのやりごたえや高難易度の歯ごたえはかなり本格派で、侮れないものがある。音ゲーの気持ちよさをしっかりと味わえるものがあって、そこにアイマス楽曲そのものの魅力、キャラクターや映像の魅力も融合していて、それらがガチッと好みにハマる人には無敵な良さ。
収録されている曲の配分も悔しいぐらいに見事で、筆者のツボから言うと、「いっぱいいっぱい」、「神SUMMER!!」、「私はアイドル」あたりは何はともあれプレイしたいので「ハニーサウンド」になるが、「七彩ボタン」も外せないし、真好きなら「自転車」も必見・必プレイ。最初はどれか1本から入って、「アイマス」シリーズの魅力を掴んだら、他2本に手を伸ばしていくというのもいいだろう。今後への期待としては、やはり収録されていない曲の追加にも期待していきたいところ(個人的には「恋するミカタ」をなんとかお願いしたい)。
音楽祭をテーマに、特に楽曲にフォーカスしてリズムゲームに仕上げ、映像の魅力も加えている。「アイマス」というタイトルのパワーを手軽に楽しめるタイトルだ。
(C)NBGI/PROJECT iM@S
(2012年 10月 30日)