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PS3/Xbox 360/PCゲームレビュー

熱風吹きすさぶアフガニスタンの現代戦!
2つのゲームエンジンを搭載したミリタリーFPS

「Medal of Honor」

  • ジャンル:FPS
  • 発売元:エレクトロニック・アーツ
  • 開発元:Electronic Arts
  • プラットフォーム:プレイステーション 3 / Xbox 360 / PC(Windows XP/Vista/7)
  • 価格:7,665円(PS3/Xbox 360版) / 6,980円(PC版)
  • 発売日:10月21日
  • CEROレーティング:D(17歳以上対象)
  • プレイ人数:1〜24人


 中東の情勢はひとつの節目を迎え、新たな段階に向かおうとしている。とはいえ、歴史のヒトコマにになったと言うには記憶に新しすぎる戦争。いまだ生傷も癒えぬほど最近の話題である、米軍によるアフガニスタンでの戦い。その風景を早くもゲームのテーマとして取り上げた本作「Medal of Honor」は、政治的・倫理的な批判を含め、発売前から何かと話題に上ってきた作品だ。

 プレイステーション 3/Xbox 360/PC向けに発売される本作は、中東における米兵の活躍を描くFPS。ゲームシステムとしては、シングルプレイモードとマルチプレイモードで異なるエンジンを搭載し、それぞれを異なるスタジオが製作担当するといったこれまでにない試みが行なわれている作品でもある。Electronic Artsによる往年のFPSシリーズの名称を復活させ、現代戦をテーマにどのようなゲームとなったのか、本稿でお伝えしよう。



■ 2つのスタジオが合作した新生「Medal of Honor」。銃撃だけにとどまらない現代の地上戦を描く

熱風吹きすさぶアフガニスタン。エリート部隊の戦いを描く
シングルプレイでは前線の小部隊の一員となり、常にチーム行動で目的を果たすことになる
ゲームの各所で近接支援攻撃をフィーチャー。現代戦の戦術的な展開が表現されている
もちろんFPSらしく、トリガーハッピー気味に敵をなぎ倒すのも面白さのひとつ

 本作のタイトル「Medal of Honor」は、1999年に第1作目が発売されたElectoronic Artsの看板FPSシリーズだ。このシリーズは伝統的に第2次世界大戦の欧州戦線・太平洋戦線のエピソードをテーマにしてきており、映画的な演出をふんだんに取り入れたミリタリーFPSとして、マルチプレイが中心の「BattleField」シリーズとは対極的な存在だった。日本軍の登場するシリーズ作も多く、いずれかをプレイしたことのある方も多いのではないだろうか。

 さて、このシリーズは一時期、後発の「Call of Duty」シリーズと人気を二分したこともあったが、現代戦がテーマの作品が主流になるにつれて影の薄い存在になってきていたのも事実。それで本作ではサブタイトルが省かれ、現代戦をテーマとする作品として事実上シリーズの仕切りなおしとなった格好だ。

 「Medal of Honor」シリーズの再生を掲げた本作では、ストーリー重視のシングルプレイキャンペーンと、対戦志向のマルチプレイモードの2系統のモードが搭載されている。そこで興味深いことは、シングルプレイモードは「Unreal Engine 3」、マルチプレイモードは「Frostbite」と、異なるエンジンを使用しているところだ。開発を担当したスタジオも異なり、シングルプレイ部分はEAロサンゼルスが、マルチプレイ部分はEA DICEが担当している。

 EAロサンゼルスは「Medal of Honor」の旧シリーズを製作してきたスタジオで、EA DICEはご存知「BattleField」シリーズで名を挙げたスタジオだ。2つのエンジン、2つのスタジオがひとつのゲームを仕上げたとなれば、やはりそれぞれにテイストの異なるゲーム性がひとつのゲームで味わえるということでもある。その点は確かに強く感じられるデキになっているので、ゲームファンの皆さんにはそのあたりにも注目して本作を楽しんでみて欲しい。

 その中で本作に共通するFPSとしてのテーマがあるとすれば、それは現代戦における「近接支援」の表現に力を入れていることだ。現代の戦場では兵士の銃撃だけで戦闘が繰り広げられることはまずありえず、地上、空中からの砲爆撃のような火力支援があってはじめて、トータルな戦力となる。本作の主人公であるアメリカ軍はそれが特に顕著で、旧時代的な陸・海・空軍といった区分けで別個に作戦行動を取るのではなく、各地域を担当する「統合軍」が各兵種を有機的に連動する仕組みになっている。それにより生まれる、強力な砲爆撃の近接支援を受けたエリート舞台の戦い。これを真っ向から描くのが本作「Medal of Honor」の基本路線なのだ。

 というわけで本作では、シングルプレイキャンペーンでもマルチプレイでも、ルールこそ異なるが、野砲や航空機による近接火力支援がゲーム的にとても重要なファクターだ。シングルプレイでは、眼前の強固な陣地に無数の中東兵が展開する中、味方はたったの数名というような絶望的な状況を打開し、マルチプレイでは相手チームの連携ポイントをタイミングよく無力化するといった形で、現代戦の戦術的なテイストをゲーム的に楽しめるようになっている。

 続いて、シングルプレイ、マルチプレイの見所をそれぞれご紹介していこう。


アフガニスタンの戦闘をテーマに、様々な形の作戦を体験。特に力が入れられているのが戦術面の表現で、現代戦ならではのダイナミックな作戦展開が表現されているのが特徴だ



■ 4つのエリート部隊が交錯する戦場。それぞれの視点で「英雄」の物語が進行するキャンペーンモード

夜間の隠密作戦。敵に見つからぬよう、チームメイトと息を合わせて行動
野戦部隊の一員として敵主力とのの衝突を体験
攻撃ヘリのガンナーとしての作戦もフィーチャー
各種の光学兵装の視覚効果。本作で非常に力が入れられているポイントだ

 シングルプレイキャンペーンは、中東で展開する本格的な武力衝突の「前哨戦」を描くストーリーをなぞって進んでいく形式だ。クリアまでのプレイボリュームとしては4、5時間程度で、映画的な演出をふんだんに盛り込んだハリウッドスタイルのゲームプレイが展開していく。

 基本操作は一般的なFPS系ゲームのものに準じているが、伏せ、匍匐、左右のリーン操作(上体を傾けて遮蔽物の脇から銃口を覗かせる動き)が組み込まれており、激しい弾幕の中で被弾を避けつつ戦うという雰囲気が強い作風だ。登場兵器は米軍・中東兵の様々な銃器がフィーチャーされており、敵方の武器も奪って使えるほか、1,000メートル超級の遠距離狙撃用ライフルなど、特定のシーンでのみ使うようなFPSでは珍しい兵器も登場する。

 ゲームの舞台はアフガニスタン某所。まさに、つい最近まで「熱い戦争」が続いていた混乱の中心地だ。この中でプレーヤーには複数の視点が与えられる。最初のミッションでは現地有力者に接触するために潜入した「AFOネプチューン」部隊として夜戦を戦い、続いて敵前哨基地への破壊工作を受け持つ「AFOウルフパック」として隠密作戦を行なう。やがては「第1大隊第75レンジャー連隊」の一員として正面戦闘を経験し、果ては「第1大隊第2航空連隊」の攻撃ヘリのガンナーとして空からの作戦を経験する。

 このように複数の視点でストーリーが展開していくゲームは、ライバルタイトルである「Call of Duty」シリーズを挙げるまでもなく近年では珍しくないものだが、本作ではその範囲が隠密部隊から野戦軍、航空兵まで幅広く、ミッション毎に全く異なる展開やプレイが提供される点が面白いところだ。各ミッションでは沢山の敵兵と交戦することになるのだが、その内容に変化があるおかげで、撃ち疲れを起こさずに一気に最後までプレイできてしまうような勢いがある。

 各ミッションに登場する「近接支援」のギミックも秀逸だ。歩兵として戦うシーンでは、敵軍の大規模な戦力を前にして目標指示器を使い、支援攻撃機A-10の30mm機関砲、ロケット砲、精密誘導爆弾などを使い分けながら大軍を撃破したり、C-130ハーキュリーズの支援を受けて空中からの「砲撃」で敵陣地を粉砕したりと、現代戦の統合作戦的なテイストを存分に味わうことができる。攻撃ヘリの超望遠赤外線ガンカメラを使って、数キロ先から30mm機関砲で敵集団を粉砕するというシーンも、どこかで見た実写のガンカメラ映像そのままの雰囲気だ。

 こうしたゲームプレイ要素は秀逸といったところだが、弱点もある。それは「開発者がプレーヤーにやらせたいことがハッキリしすぎている」というべきもので、プレーヤーは部隊の仲間がゲーム中に演ずる寸劇に付き合わないとゲームが先に進まないし、特定のオブジェクトは決まった方法でしか達成できない。ひとりでズンズン進撃したり、状況を見て創意工夫をしようとしても文字通りの「見えない透明の壁」にぶち当たったりして、一本道のプレイを強制されている感じがして、プレイ中のストレスになってしまう。

 もうひとつ指摘しておきたいのは、ストーリー面の問題。本作はアフガニスタンでの戦争をテーマにしているために各界から政治的・倫理的な批判に晒された経緯があるが、そのためか、作中では「敵が何者なのか」という情報が非常にぼやけたままになっている。したがってゲーム進行中に現われるのは、とにかく中東っぽい格好をした「敵」というだけであり、ストーリーを味わう上で大事な「プレーヤーが何を相手に、何のために戦っているのか」という動機の部分もぼやけてしまっている。このためプレイ中常にモヤモヤ感があり、いちどゲームをクリアしてからでないと、本作のストーリーが伝えようとしている主題が見えてこない。

 というわけで、選んだテーマゆえに少々弱点を抱えることにもなってしまった本作のシングルプレイモード。そこは繰り返しプレイできるような要素があれば問題ないということで、本作には「TIER1」モードと呼ばれるやり込みシステムが実装されている。このモードではキャンペーンでクリアしたステージを単独でプレイするのだが、そのクリアタイムやヘッドショット数、近接攻撃で倒した数などがスコアとして記録される。優秀なスコアを記録すれば各種の「メダル」が取得できるほか、オンラインランキングも用意されている。シングルプレイモードの腕自慢にピッタリだ。


シングルプレイモードの基本はチームで動くこと。各種の戦場を2〜4人で戦うことになる

レーザー照準指示で航空支援を呼び出し、敵の陣地を一網打尽に!

各種兵器使用時の「見え方」にもこだわりがある。遠距離から一方的に攻撃するというのは、一種独特の不気味なムードがある。これが現代戦……



■ マルチプレイモードは「BattleField」のDICEらしい仕上がり。こちらも「近接支援」の活用がカギ

マルチプレイモードでは随時4つのクラスを選択できる(画面はβテスト時のもの)
ルール的に接近戦が頻発し、テンポよくアクションを楽しめるバランスになっている
物陰から近接支援砲撃を呼び出し、キルスコアをゲット!
クラスレベルを挙げることで新たなアイテムをアンロック。武器カスタムの幅が広がる

 EA DICEが開発を担当したマルチプレイ部分は、シングルプレイモードとはずいぶんと違ったテイストに仕上がっている。操作感覚も異なり、銃器の挙動や狙いをつける動作の感じはEA DICEの人気シリーズ「BattleField」に近い印象だ。シングルプレイモードに比べてずっと弾が正確に飛び、しっかりとした打撃感もあるため、ややスポーツ系FPSの軽妙さというのも兼ね備えるゲーム性となっている。

 本作のマルチプレイモードは最大24人対戦をサポートしており、3つの目標地点を奪い合う「SECTOR CONTOROL」、米軍が5つの目標確保を目指す「COMBAT MISSION」、武装勢力が制限時間内の目標破壊を目指す「OBJECTIVE RAID」、チームデスマッチ形式の「TEAM ASSAULT」という、4種類のルールを搭載している。

 発売前ということもあって全てのゲームルールはまだプレイできていないことをお断りしなければならないが、このうち筆者が体験した「COMBAT MISSION」は非常に完成度の高い対戦ルールだ。攻撃側(米軍)、防衛側(武装勢力)にわかれての非対称ルールで、攻撃側チームは地形に沿って1つづつの目標地点を確保しなければならない。俄然、攻撃と防衛の戦力が集中するポイントというものが生まれ、常に激しい戦いが展開する。

 ゲーム的には遠距離狙撃でもわりと簡単に敵を倒せるバランスになっているため、基本的に有利なのは防衛側。それを打ち崩すために有効な手段となるのが各種の「近接支援」だ。プレーヤーは敵を倒す、味方をサポートするなどの行動でスコアを獲得し、これが一定に達するとサポートアクションを発動することができる。サポートアクションには攻撃系のものと防御系の2系統にいくつか種類があり、攻撃のアクションでは迫撃砲による範囲攻撃、航空支援による一撃必殺の爆撃といった強力な近接支援攻撃を呼び出すことが可能。チーム全員で戦いの流れを読みつつ、戦術的にサポートアクションを有効活用することで一気に打開することができるというわけだ。こういったカタルシスが、プレイそのものの強力な原動力になる。

 また、本作のマルチプレイモードには「BattleField」シリーズに似たキャリアシステムがあり、ゲームを重ねてスコア=経験値を得て行くことによってプレーヤーのレベルが上がり、新しい武器がアンロックされるといった要素もある。アンロックアイテムにはスコープやランチャーなど、メインウェポンに装着するギミックもあり、自分好みの武器セットアップを追求することも可能だ。プレイの結果がこのような形で「蓄積」されるというのは、継続的なプレイを促してくれるという点でとても重要だ。

 というわけで本作のマルチプレイは非常に手堅く、完成度の高い作りになっており、ひとたびプレイを始めればついつい「もう1ラウンドだけ!」と長い時間楽しんでしまうような魅力がある。このようなマルチプレイモードを搭載したことで本作の価値は非常に高まっているように思う。シングルプレイキャンペーンのデキは賛否両論ありそうだが、シングル・マルチのトータルで見るなら、本作は多くのゲーマーにとって要チェックのタイトルだ。


【スクリーンショット】

(c) 2010 Electronic Arts Inc. EA, the EA logo and Medal of Honor are trademarks of Electronic Arts Inc. All other trademarks are the property of their respective owners.

(2010年10月13日)

[Reported by 佐藤カフジ ]