Xbox 360ゲームレビュー

正義の味方「エージェント」が所狭しと大暴れ!
超人的能力のスーパーヒーローが再び見参!

「ライオットアクト2」

  • ジャンル:アクション
  • 発売元:Ruffian Games
  • 開発元:マイクロソフト
  • 価格:7,140円
  • プラットフォーム:Xbox 360
  • 発売日:7月8日発売
  • プレイ人数:協力プレイ 1~4人 / 対戦プレイ 2~20人
  • CEROレーティング:Z(18歳以上対象)


高所より睥睨するパシフィック・シティ。広大な都市環境がプレーヤーの活躍の場だ

 マイクロソフトが7月8日に発売する「ライオットアクト2」は、良質なアクションゲームを求めるXbox 360ユーザーの皆さんに良い選択肢となりそうな1本だ。本作は2008年に発売された「ライオットアクト」の続編で、超人的な能力を持つスーパーヒーローとなって戦うフリーローミングスタイルの3Dアクションゲーム。広大な都市空間を舞台に、自由度の高いアクションと、手応えのある様々なチャレンジが用意された作品だ。

 本作の舞台は架空の都市「パシフィック・シティ」。犯罪組織との戦いをテーマとした「ライオットアクト」に続いて、本作では「エージェント」と呼ばれるヒーローが主人公となって活躍する。

 前作から劇中で10年が経過したのが「2」の舞台となる。都市内には謎のウィルスによりゾンビ「フリーク」と化した市民が徘徊し、さらには「セル」と呼ばれるテロリスト集団が街の治安をおびやかしている。プレーヤーは正義の味方としてテロリストを鎮圧しつつ、「フリーク」を浄化する一大作戦を成功に導かねばならない。

 ひとっ飛びで10メートルを超えるジャンプ力、自動車も持ち上げてブン投げてしまえる怪力。「エージェント」として身につけた超人的なパワーを駆使して戦う本作のアクションは、多くのゲームファンに新鮮な遊びを提供してくれるはずだ。



■ 「エージェント」の能力を駆使せよ! 上達ぶりが目に見えて現われるゲーム性

夜になれば大量のゾンビが現われ、休む間もない
テロリスト集団「セル」との戦い。彼らの基地を叩くことが仕事のひとつとなる
ジャンプ力を活かして高所に登れば有利に戦闘を展開できる

 本作のゲームモードは、ストーリーに沿ってプレイする「メインゲーム」と、「エージェント」同士で対戦するマルチプレイモード「アリーナ」の2種類。メインゲームでは4人までの協力プレイもサポートしているため、純粋なシングルプレイモードは存在しないという格好だが、もちろんひとりでじっくりプレイすることも可能だ。

 協力プレイでは、ダイレクトにフレンドを誘ってプレイする以外にも、「誰でも参加可能」、「フレンドが参加可能」といった形で、途中参加可能な状態にしてプレイできる。青、赤、黄、緑のエージェントが飛び交うさまはまさに戦隊モノの雰囲気で楽しく、味方の火力が増えるぶん、強い敵にも効率よく立ち向かえるようになる。複数人で触れてのみ獲得できる「オンライン・オーブ」といったコレクタブル要素もあるので、ソロプレイで遊ぶ際もオープンにしておいて、誰かが参加してきたら一緒にプレイしてみてもらいたい。

 さて、メインゲームでプレーヤーに与えられる任務は明確だ。それは、ゾンビ化した市民「フリーク」とテロリスト集団「セル」によって乱れた都市を救うこと。そのためプレーヤーの主な作戦は次の2つになる。ひとつは、都市中に散在する「セル」の基地を叩き、エージェントの基地を増やしていくこと。もうひとつは、日光に弱い「フリーク」を一掃するために作られた装置「サンバーストシステム」を稼働させることだ。

 「GTA」ライクなフリーローミング形式のゲームでは、ストーリー上の展開に沿って様々な形質のミッションが与えられることが多いが、本作の場合、こなすべきミッションは上記の2つだけ。極めてシンプルで明瞭だ。そのぶん、本作のゲーム性の主眼はプレーヤーのアクションそのものに向けられている。

 プレーヤーが操る「エージェント」は一種の改造人間で、常人を遥かに上回るスピードと力を備えている。10メートルを超えるジャンプ力、車も投げてしまう怪力、ありとあらゆる武器を扱える技術。その能力は「移動」、「射撃」、「格闘」、「爆破」、「運転」という5種のスキルに分類されており、それぞれの能力を使うたびに対応するスキルが向上していく仕組みだ。

 特に重要なものとなってくるのが「移動」のスキル。このスキルはプレーヤーの移動速度とジャンプ力に影響を及ぼし、プレイ開始時は5メートルほどだったジャンプ力が、レベルアップを遂げることで最大で10メートルほどにまで伸びていく。これによってプレーヤーの行動範囲が、立体的な形で大幅に広がっていくわけだ。

 「格闘」のスキルは敵を近接攻撃で倒すことで向上していくスキルで、これが向上することによって周囲の車や街頭などを掴んで振り回すといったいかにもスーパーヒーロー的な戦い方が可能になる。さらにレベルを上げていくと空中から強烈なパンチを地面に繰り出す範囲攻撃を習得できる。より高くジャンプすれば威力も高まるため「移動」スキルの鍛錬も重要になるというわけだ。

 このほか、「射撃」、「爆破」、「運転」の各スキルは、それぞれ銃、グレネード、車両といった各種兵器のアンロックにつながる要素となっている。これらのスキルをどう使い、どう成長させていくかはプレーヤー次第。大きく成長したエージェントはまさに超人的なパワーで、大量の敵をいとも簡単に一掃できるほどのプレイが可能になってくる。本作のプレイが本当に面白くなるのはまさにそこからだ。


各スキルレベルを上げることでプレーヤーの行動範囲が広がり、使用できる武器や車両の種類も増えていく。成長するたびに戦い方に一工夫を加えつつゲームを進めよう



■ メインミッションの傍らに用意された各種のチャレンジ。むしろこちらがメイン?!

高所に配置された無数の「アジリティ・オーブ」。収集することで移動スキルが向上する
「高速ドライブ・オーブ」は素早く逃げまわるためやっかい。ドライビングテクニックを磨いて挑戦しよう
「ルーフトップレース」はチェックポイント方式のタイムアタック。成功すれば移動スキルポイントが手に入る

 メインゲームモードで特筆すべき点は、各種のコレクタブル要素が大量に用意されており、遊びのバリエーションに繋がっていることだ。

 コレクタブルの代表的な例は、移動スキルを向上させるための「アジリティ・オーブ」。ビルの屋上など高所に配置されていることの多いアイテムで、収集するたびに移動スキルが少しづつ向上していく。これがなんと都市のいたるところに総計500個もあり、夢中になって集めているうちに、気がつけばメインミッションそっちのけになっているという始末だ。

 さらにやっかいなコレクタブル要素となっているのが「高速アジリティ・オーブ」や「高速ドライブ・オーブ」といった自走するオーブ類。プレーヤーが近づくと逃げ出すので、スピードを活かして追いつく、あるいは先回りするといった方法で獲得する必要がある。ビルの屋上など「足を踏み外したら最初からやり直し」的な場所に配置されているオーブも多いのだが、あきらめてたまるかとついつい意固地になってチャレンジしてしまう。オーブの逃げっぷりが追いつけそうでなかなか追いつけない、絶妙のバランスを保っているだからだろう。

 またこの他にも、物陰や壊れたビルの室内などわかりにくい場所に配置されている「シークレット・オーブ」、複数のプレーヤーでないと獲得できない「オンライン・オーブ」といったものもあり、オーブ類だけで総計1,000個に届きそうな勢いだ。あまり気にせずにメインゲームをプレイすると、その半分も集めぬうちにクリアしてしまうほどの数。圧倒的なボリュームのやり込み要素となっている。

 このほかにも、車両で大ジャンプをして通過することで運転スキルポイントを獲得できる「ビークルスタントリング」や、移動スキル最大時に獲得できる「ウィングスーツ」を駆使してクリアできる「ウィングスーツスタントリング」といったスタント系チャレンジも数十個用意されている。さらに「ロードレース」、「ルーフトップレース」といったレース系チャレンジもあって、むしろ気をとられずにメインミッションを進めるほうが難しいという格好だ。

 メインミッションを進めるためには、都市の各地に配置された「吸収ユニット」を起動して、3つの「吸収ユニット」がそろったら対応する「サンバーストシステム」を起動するというシンプルな流れに沿えばいい。片手間でメインミッションをこなしつつ、むしろ主題はコレクタブル集めというスタイルが、本作を楽しむいちばんの方法かもしれない。

 メインミッションでは節目ごとにカットシーンも入り、大規模な戦闘も用意されている。ただ、それはあくまで各地の「サンバーストシステム」を起動させるという規定の流れに沿ったものでしかないため、ストーリー上の盛り上がりや演出上のインパクトはそんなに強いものではない。一方、テロリスト集団「セル」の基地を叩くというもうひとつのメインミッションも、「応援を呼んで周囲のセル勢力を全て倒す」という1方法のみが攻略法であり、数十カ所で同じことを繰り返すものとなっている。

 本作は結果としてゲーム上の限りない自由度に対し、メリハリのあるシナリオを提示していないため、どうしてもコレクタブル集めという本来ならば余技の部分が印象のほとんどを占めるようになってしまっている。せっかく超人的なアクションと遊びがいのある広大な都市環境があるのだから、プレイ内容を彩る各ミッションにももうひとひねり欲しかったところだ。今後、DLC等でこのあたりが拡充されればゲームとしての完成度は一段と高まりそうだ。


空中のチェックポイントを通過する「スタントリング」系のチャレンジはとてもやりごたえがある。地形をよく見て攻略の糸口を見つけよう

「吸収ユニット」を起動して、「フリーク」の巣に「サンバーストシステム」を設置する。これがゲームの進行を司るメインミッションだ

ゲームも後半になると非常に強力な「フリーク」が登場し始める。コレクタブルを収集して各種スキルレベルを上げてから臨みたい



■ 対戦モードの華は「ロケットタグ」! いちどはプレイしたい壮絶鬼ごっこ

「デスマッチ」モード。照準はロックオンで自動追従するため、良い武器で戦うことが非常に重要だ
「ロケットタグ」は変形鬼ごっこルール。鬼に向かって大量のロケット弾が飛んでいく
「ロケットタグ」を入手すればあとは逃げるだけ。しかしいつまで持つかは立ち回りと運次第

 最大20人の同時プレイが可能な対戦モード「アリーナ」では3種のゲームタイプがサポートされている。「デスマッチ」、「チームデスマッチ」、そして特殊ルールの「ロケットタグ」だ。

 いずれのゲームモードでも、プレーヤーは最大レベルまで育ったエージェントとなって対戦に参加することになる。移動スキルも最大なので、空中を滑空する「ウィングスーツ」を使ったアクションも可能。メインモードでひととおりプレイして、特殊なテクニックを身につけておくと良いだろう。

 一般的に、対戦モードでは専用のマップを用いることが多いが、本作ではメインモードの広大な都市環境の1区域を区切って、それを対戦用のマップとしている。そのため地上から地下まで多種多様な地形が利用できるものの、メインゲームをしっかりプレイしておけばマップの構造で迷うことはないという作りだ。

 「デスマッチ」、「チームデスマッチ」の各対戦モードでは、いかに強力な武器を手に入れるかが何よりも重要となっている。初期武器はあまりにも攻撃力が低いわりに、ロケットランチャー系の武器を持てば一撃で相手を倒せるというゲームバランスのためだ。このため敵と戦うよりも、壁をよじのぼったり高所から飛び降りて武器を探すというシーンが多くなりがち。これはマップが対戦のためには広く、複雑すぎるところからくる副作用でもある。

 一方、広く複雑なマップが多くなることで俄然面白くなっているのが本作独自のルール「ロケットタグ」だ。このモードではマップ中に1つだけ配置された「ロケットタグ」と呼ばれるオーブをめぐり、その保持時間の累計を競う。オーブを獲得したプレーヤーはその瞬間から追われる立場となり、倒されればオーブを落とし、それを拾った別のプレーヤーが次の標的となるのだ。

 オーブをいかに長く確保するかがスコアにつながるゲームモードというだけあって、追う側には全員強力なロケットランチャーが付与されている。しかも弾数は無限。当然、オーブを所持したプレーヤーに攻撃が集中し、周囲は一面爆発の嵐だ。所持者が倒れて落としたオーブの周囲は常に爆風が吹き荒れて、タイミングよく突入しなければ巻き添えを食ってやられてしまう。オーブを獲得できるかはほとんど運次第だが、一端確保できたら脱兎の如く逃げ出し、ビルなどの巨大な構造物を活かして目をくらまし、長時間生き延びてハイスコアを獲得しよう。ハラハラドキドキの連続に、楽しい時間を過ごせること請け合いだ。

 本作の対戦モードはこの「ロケットタグ」が1番おもしろく、代表的なマルチプレイモードである「デスマッチ」と「チームデスマッチ」は本作においてはおまけといった印象。後者の2モードで気になったのはゲームバランスの問題だ。銃に比べて爆発物の威力が高く、爆風に巻き込まれただけで確実に一撃で倒されるというバランスのため、グレネードを投げまくり、ロケットランチャーを見つけるために駆け巡るという展開になりがちな大味さが目に付く。

 本作のアクションに惚れ込むことができたなら、腕試しのためにプレイする価値はあるだろう。一方の「ロケットタグ」はその大味さをうまく面白さに転化しているもので、是非皆さんに一度試して欲しいと思える体験だった。


「ロケットタグ」は本作のテイストをよく活かしており面白い。いちどはプレイしてみてほしいゲームモードだ



■ DLC等の拡張でさらなる発展を望みたいタイトル

 本作は「ライオットアクト」の続編として、さらに広大になった都市環境、自由度を増したアクションと確実なパワーアップを果たしている。筆者も再び大いに楽しむことができたし、シリーズのファンなら是非プレイして欲しいと思える内容だった。

 一通りプレイしてみて、ゲームデザインとしては昨年6月に欧米で発売されたRadical Entertainmentによるアクションゲーム「PROTOTYPE」に近いと感じた。「GTA」ライクなフリーローミングスタイル、天を衝く摩天楼が立ち並ぶ都市環境、都市にはびこるゾンビ、残酷表現、超人的なアクション、多数のコレクタブルといった点で、「PROTOTYPE」と本作は非常に良く似ている。本作での「アジリティ・オーブ」の収集や、「ルーフトップレース」といったチャレンジの類も完全に被っており、プレイしていると明確なデジャヴすら覚えるほどだ。

 その「PROTOTYPE」と比較するとシナリオの内容、キャラクターの能力、各種コレクタブルやチャレンジの有り様において、「ライオットアクト2」は少々保守的かもしれない。明確なアドバンテージとしては最大4人による協力モードが搭載されているため、ぜひ仲間と一緒に楽しみたいところだ。

 1プレーヤーとしての今後の期待は、DLC等を通じてよりスケールの大きいゲームに成長して欲しいということ。このため本作には積極的なDLC展開を期待したい。広大な都市環境という「遊び場」は良質なものが準備されているのだから、そのポテンシャルは計り知れないほどあるはずである。



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(2010年7月8日)

[Reported by 佐藤カフジ ]