スパイクは5月13日、Xbox 360版サバイバルアクションシューター「メトロ2033」を発売する。本作はロシアの作家ドミトリー・グルホフスキー氏の小説「メトロ2033」を原作とする作品で、開発はウクライナのデベロッパー4A Games。プレーヤーは青年アルチョムとなって核戦争後の2033年のモスクワを探索する。
核戦争後、生き残った4万人ほどのモスクワ市民は、地下鉄(METRO)に逃げ込み、新たな生活圏を築いた。20年たった今も地上は有毒なガスに覆われ、ミュータント達が闊歩し、地下の人々を脅かしている。暗く、滅びの予感のする未来で、人々はどう生きていくのか。独得の重さ、暗さ、リアルさの中に幻想性を持つ、北米のゲームとはひと味違う、東欧の雰囲気と価値観を感じられる作品である。
■ 核戦争後20年、地下鉄を生活圏に、ミュータントに脅かされながら人類は生き延びていた
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| 軍標を渡すハンター。彼の言葉がアルチョムを外の世界へ導く |
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| アルチョムの生まれた駅。閉鎖空間での生活が垣間見える |
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| 手押し式のレールカーで駅を離れる。外への旅が始まるのだ |
「メトロ2033」では人々はかつての地下鉄の駅に住み、小規模なコミュニティーで暮らしている。少ない物質をやりくりし、多くの人は「空」を知らない。通貨の代わりとなるのは戦前に作られた、質の良い軍用弾だ。狭いスペースに多くの人がひしめき、明かりは頼りないランプだけ。そういう世界に、主人公アルチョムは生を受ける。
外の世界は人間にとって死の世界だ。地上は放射能を帯びた空気が蔓延しており、ガスマスク無しには外に出られない。さらに地上にはミュータントが闊歩している。ミュータントは様々な種類がいる。犬と猿を掛け合わせたような「ラーカー」、巨大な口を持った化け物「ノサリス」、コウモリの羽根を持つ悪魔そのままのような「デーモン」……そして明確に姿は現わさないが、「ダークワン」と呼ばれる存在が人類の生活を脅かしている。彼らは新しい地球の覇者なのだろうか、我々人類は滅ぶだけの種なのだろうか。
人類はこのような世界でも争うのをやめない。帝国主義の勢力が戦争を挑んできており、共産主義勢力と戦争を繰り広げている。暗闇には野盗が潜んでいる場合もある。そんな危険な地下世界を少人数で動き、各コミュニティーを繋ぐ「レンジャー」と呼ばれる人達や、冒険商人もわずかながら存在している。
アルチョムのいる駅「エキジビジョン」はダークワンの連続的な襲撃にさらされ、危険な状態にある。ある日、アルチョムの義父の友人ハンターがエキジビジョンを訪れる。ハンターは各駅を周り、情報交換をしている人物だったが、「俺が帰ってこなかったら、これをポリス駅のミラーという人物に届けてくれ」とアルチョムに軍票を預け、消息を絶ってしまう。アルチョムはハンターの遺言を叶えるため、初めて駅から出る決心をする。ポリス駅は地下道の遙か先にある。アルチョムの冒険が始まるのだ。
「メトロ2033」はジャンル的にはFPSにあたる。ゲームとしての進行ルートはほぼ固定で、チェックポイントに向けて進むいわゆる“一本道”のゲームである。クリアは10時間ほどと、昨今のFPSと変わらないボリュームである。FPSとして見ると本作はバリバリ撃つというシチュエーションは少ない。敵が強く数で勝る場合も多く、弾薬も貴重なため、隠れて進んだり、敵から逃げながら進む。サバイバルアクションシューターの名の通り、「生き抜くために戦う」という状況がほとんどである。
本作の最大の魅力はこの過酷な世界の描写にある。じわじわと生活圏を削られていく人類の絶望感と、それでもたくましく生きている人々の活気。地下生活の密度と貧しさだけでなく、それでも持つことができる明るさも描写されている。この明るさがロシア的で面白い。祝い酒はウォッカだし、気持ちが沈みそうになるときには歌を歌う。もちろん歌はロシア語だ。駅に住む人々から感じられるロシア風の生活臭も楽しい。絶望的な世界でも、人はちゃんと生きている。ゲームを進めていくことでその人達の生活を守らなくてはならないと実感できる作品だ。
ちなみに核戦争後の生き残った世界を冒険するというシチュエーションは「Fallout3」との関係はどうしても意識してしまうが、「Fallout3」が世界を自由に移動できる100時間以上もプレイできるRPGに対し、本作は10時間程度でクリアできるFPSである。また200年間隔絶された世界から飛び出した「Fallout3」に比べ、「メトロ2033」の主人公は核戦争から連続する“現在”を生きる人間として描かれており、オーバーテクノロジーもほとんど無く、ストーリー的にも全く違う作品だと感じた。
■ 危険に満ちた地下道の旅。ゲーム的な駆け引きよりも、雰囲気、状況重視のバランス
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| ミュータントは人間よりもはるかに耐久力が高い。弾数は限られており、苦しい戦いが続く |
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| ガスマスクをかぶっているときダメージを受けると、視界がどんどん悪くなる |
「メトロ2033」ではプレーヤーは様々な戦いの状況に立たされる。時にはミュータント達の群れを撃退しなくてはならなかったり、彼らがうようよいる地上を抜けなくてはならない。それだけでなく、野盗達のアジトを突破する状況や帝国主義者と共産主義者の兵士が激突する地下道を通るという人間相手の戦場もある。本作の敵はミュータントだけではない。極限状態でも人間は人間同士の戦いをやめないのだ。
本作で使用できる武器はナイフ、拳銃、ショットガン、アサルトライフルの他、ダイナマイトやスローイングナイフなども用意されている。これらの武器全てを持ち歩き、方向ボタンで切り替えて使う。ゲームが進むとより高性能な武器をたどり着いた駅で買うことも可能だ。敵や死体から奪えるアイテムは貴重な弾を増やしてくれるチャンス。後ろから追い立てられるような状況も多いが、探索はこまめにしていきたい。
本作で面白いのは、ガスマスクの描写だ。地上やガス発生地点ではマスクをかぶらなくてはならないが、マスクをかぶってダメージを受けるとガラス部分に傷が付き、視界がドンドン奪われていくのだ。敵兵や死体が持っているマスクやフィルターを見つけ交換していくのだが、撃ち倒した死体などは既にマスクが傷ついてしまっている場合もある。
ゲームの基本的な感触は、FPSに慣れたプレーヤーならばすんなりとプレイできるものだが、「Call of Duty:Modern Warfare 2」などの充実したシングルプレイ/マルチプレイモードを搭載したFPSに比べると、いくつかの不満点もある。例えば近年のFPSで銃器を持った状態から銃のツカ等を使って近接攻撃が繰り出せる事が多いが、「メトロ2033」ではショットガン以外その機能がないため、距離によっていちいち武器を切り替える必要があり、これがややバトルを煩雑なものにしている。
また、ミュータントは基本的に接近して攻撃してくるのだが、近付いた敵は死角になってしまうことが多く、照準を合わせにくく、特に防衛戦など複数に囲まれる状況ではダメージの受け方が理不尽だとも感じた。暗闇を進むステルス要素、不安定な足場を進むアクション要素もFPSの「自分の姿が描画されない」という部分で不自然になってしまっている。敵の向きが確認できない状態で物陰を進まなくてはならなかったり、足場がわかりにくいなど、要求されるシチュエーションに対してゲームシステムでの不備を感じた。敵のリアクションや足場の判定、レベルデザインなどももう少し練り込んで欲しかった。
「メトロ2033」は銃撃戦をたっぷりと楽しむFPSというよりも、生き抜くこと、先に進むことを重視したゲームバランスだと感じた。ゲーム内では日記のコンパスで行く先を確認できる。物陰に隠れたりダッシュで距離を取り、敵をかいくぐって進むのは強い緊張感がある。敵が多くいる状況を隠れてやり過ごす、強力な敵相手に少ない弾丸で立ち向かうなど、ゲーム的駆け引きの楽しさよりもシチュエーションを楽しむゲームだろう。
■ ミュータント、幽霊、そして人類。アルチョムの前に展開していくリアリティのある地下世界
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| 怪しげだが、タフな冒険商人ブルボン。アルチョムは彼から地下道を進むコツを学ぶ |
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| 何の原因か、アルチョムの意識が遠のく瞬間展開する幻想。このシルエットがダークワンなのだろうか |
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| ライトと影しか見えない幽霊電車。線路にいると命を奪われてしまう |
ストーリーをもう少し詳しく紹介したい。アルチョムはリガという隣駅まで行くキャラバンの護衛任務を引き受ける。本来アルチョムはこの任務が終わればエキジビジョンに戻らなくてはならないが、ハンターの遺言をかなえるため故郷には戻らず、さらに遠くへ旅していくこととなる。
リガへは手押し式のレールカーで進む。途中大きな口を持つミュータント、ノサリスが襲いかかってくる。駅は地下鉄の路線で繋がっているが、ミュータントが闊歩しているため、移動には護衛が必須だ。アルチョムは目指すボリス駅までどう移動していけばいいのか、その大変な道のりを隣駅への移動で既に痛感させられるのだ。
リガからは「ブルボン」という怪しげな冒険商人と共に地下道を進むことになる。またさらに先では「カーン」というレンジャーが道を指し示してくれる。ブルボンは各駅から詐欺師呼ばわりされながら、口と実力でこの世界を旅して生きている。彼からアルチョムはタフな冒険商人の生き方を学ぶ。
カーンは戦いだけでなく、超常現象の経験も積んでいる。目には見えないが、光を当てると現れる幽霊の影。この影に触われただけで人間は命を吸い取られてしまう。また、ヘッドランプと音だけの幽霊列車も目にする。これらの幽霊は核戦争があってから地下道に棲んでいるとカーンは言う。ミュータントとは違うこちらが撃つこともできない恐ろしい幽霊の世界をアルチョムは垣間見る。
ブルボンやカーンとの旅の中で、アルチョムは野盗の存在や、他の駅、そしてミュータントに襲われ続け、全滅寸前の駅など様々なものを見て、世界を知っていく。特にミュータントに滅ぼされそうになる駅はアルチョムの故郷への思いを刺激する。ここではカーンが駅をすくうため活躍し、アルチョムもまた協力する。襲いかかってくるミュータントの進入路を塞ぐため決死の作戦を実行するが、それはその場しのぎにしか過ぎない。「人類は滅ぼされる存在なのか」。その問いはアルチョムだけでなく、プレーヤーの心すら暗くする説得力がある。
ゲームではこれらの状況だけでなく、「心」の描写も行なわれる。突然目の前が真っ白になり、周囲の人々の意識が失われ、アルチョムもまた幻覚に囚われる。そこでは明らかに人間と違うシルエットを持つ生き物が話しかけてくる。彼らがダークワンなのだろうか、アルチョムの前に次々と展開していくリアリティのある地下世界と共に、精神世界の謎にも引き込まれていく。リアルと幻想が交差し、作品世界にぐいぐいと飲み込まれていく感覚は是非体験して欲しい。
ローカライズの部分にも触れておきたい。本作は日本語吹き替えだけでなく、英語音声、さらにロシア語音声まで収録している。ゲームの進行に必要なメッセージは字幕で表示することもできるため、こだわりのプレーヤーは英語やロシア語音声でのプレイも可能だ。とはいえ、筆者は個人的にはやはり吹き替え音声が好きだ。アルチョムはゲーム内ではほとんど喋らないのだが、ステージ間のインターミッションではアルチョムの独白により次の場面が語られる。アルチョムの声は静かで落ち着いており、この地下道を進む暗い作風にうまくマッチしている。
他にも、野盗達の会話や、共産主義者達とファシストの戦場で漏れ聞こえる会話など、細かい部分の音声にも開発者のこだわりが活かされていて、本作ではそれらもきちんと吹き替えられているのがうれしい。演出の細かい部分を感じるために、日本語吹き替えはオススメである。
「メトロ2033」は爽快感とたっぷり戦いを楽しむFPSというよりも、物語の展開、世界観の描写、生き抜くためのサバイバル感を体験するゲームだ。ゲームとしては荒削りな部分もあるが、それを補ってあまりある魅力がある。アメリカンヒーローが超人的な活躍をする米国産FPSとはひと味違う、重厚で幻想的な世界観を楽しんで欲しい。また本作の原作となったドミトリー・グルホフスキー氏の小説「メトロ2033」も小学館から刊行予定とのことで、こちらもチェックしておきたい。
(C) 2010 THQ Inc. Developed by 4A Games. 4A Games Limited and their respective logo are trademarks of 4A Games Limited. Metro 2033 is based on a book by Dmitry Glukhovskiy. THQ and the THQ logo are trademarks and/or registered trademarks of THQ Inc. All Rights Reserved. All other trademarks, logos and copyrights are property of their respective owners. Marketed and distributed in Japan by Spike.
(2010年 5月 11日)























































































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