2017年10月11日 12:00
ユービーアイソフトの「スナイパー ゴーストウォリアー3」はシリーズ3作目となるミリタリーシューターだ。FPS視点のミリタリーシューターは数あるが、本作の特徴の1つがスナイパーに特化した作りになっている点だ。通常のライフルやピストルなども用意されているし、近接戦闘も行なえるが、本作のスナイパーライフルでのアクションは、射角など狙撃のために調整できる部分が多く、ディティールが非常に細かい。
更にFPSによるオープンワールドというのも特徴の1つで、ミッションを受ける時以外は街中を自由にドライブしたり、街中に点在するサブミッションをプレイできるなど、自由度が非常に高く遊びやすい作りになっている。
筆者はオープンワールドが大好物だ。今作は、「FPSでのオープンワールド」という点に非常に興味を持った。また、他のゲームで遊ぶ時もスナイパーライフルを愛用することが多い、今回はそういった筆者の好みも活かして、本作のプレイ感を語ってみようと思う。
自由度最大限のオープンワールド!
「スナイパーゴーストウォリアー3」のストーリーは2年前にロシア・ウクライナ国境での隠密作戦に兄弟2人で参加した際に、行方不明になった弟ロバートの消息を探す兄、ジョナサンの物語となる。この2年前の作戦はチュートリアルも兼ねたプロローグとして実際にプレーヤーが体験できるので、ロバートが行方不明になった経緯も確認できる。
さらにゲーム開始直後のカットシーンはジョナサンが軍隊に入ったばかりでロバートがまだ子供の頃のエピソードが展開するが、シーンの最後にはメインストーリーとの繋がりを感じられる粋な演出が含まれており、今後のストーリー展開にも期待が持てる。
本作はオープンワールドによるFPSシューターで、フィールド内を自由に探索できる。ミッションを受けた場合も、基本的にはフィールド内に目的地が設定され、そこに向かうナビゲーションは示されるが、目的地周辺のミッション開始エリアに侵入するまでミッションは進行しない。
そのため、移動中に寄り道して別のサブミッションを行なえるほか、エリア外からミッションのエリアを調査する事も可能だ。ミッションエリアに侵入すると、ミッションの具体的な目的が提示されるので、それを達成することでミッションクリアとなる。
本作でスムーズにミッションをクリアするのに欠かせない作業が下調べだ。目標エリア及びその周辺の地形や、エリア内に配備された敵兵の数と位置、動きなどを事前に調査することで成功率はグンと上がる。
こうした調査には、ある程度敵地に潜入してスナイパーライフルのスコープを使う方法のほか、エリア外からドローンを飛ばしてドローンのカメラで調査することもできる。ドローンは手動で操作するが、あまり敵に近づきすぎると敵に見つかり、警戒されてしまうので、ズームカメラを使ってちょっと離れた場所から敵の位置を確認する。ドローンはバッテリーで動作するため、あまり長くは飛ばすことはできないが、1度の補給で最大5回まで飛行させることができる。
これらの方法で敵を発見すると、その敵にマーキングがされる。ここでマーキングした敵は、その後もずっとフィールド上のどこにいるかが表示されるようになるため、調査の段階でなるべくすべての敵をマーキングしておきたいところだ。
調査が終わればあとは目標を達成するだけだ。ミッションによって目的は異なり、特定のターゲットを倒せば完了するミッションもあれば、とらわれた捕虜を救出するようなミッションもある。救出ミッションの場合は、そこを守っている敵を全滅させないと救出できない。
目標達成のための手段が色々用意されているのも面白いところだ。例えば筆者はスナイプ好きなので、今回のプレイでもなるべくスナイパーライフルをメインで使うようにしてきた。他にも、こっそり敵の背後から忍び寄り気づかれないように敵を仕留めていくステルスプレイでミッションを進める事も可能だったり、各人の好みの戦術でミッションが攻略できる。
このようにオープンワールドを採用した事で多種多様な遊び方ができるFPSシューターとして「スナイパーゴーストウォリアー3」は異彩を放っているといえる。
ミッション以外にも楽しむ要素が盛りだくさんのフィールド
チュートリアルを終えてメインストーリーが開始すると、いきなり主人公は車に乗っているところからスタートする。FPS視点で車で走っているシーンのまま開始したのには正直驚かされた。画面左下には地図上にナビゲーションのラインが表示されており、指示通り移動するとジョナサンの拠点となる「隠れ家」に到着する。
隠れ家で行なえる事は、ミッションを受けたり、「ベッド」を使って休息を取って体力を回復したり、時間を経過させること、銃弾の補充やミッションを進めることでアンロックされた新たな武器を購入することなど。そのほかに「作業台」を使って特殊な銃弾や、手榴弾などの生成も行なえる。なお作業台で使用する素材についてはミッション中に敵地で回収できるほか、フィールド上で拾える事もある。
ミッションについては、隠れ家に設置されているキーボードだけが置かれたドッキングステーションに、所有するタブレット端末を装着してタブレットを起動することで、ミッションの内容を確認したり、ミッションを受けることができる。
ミッションを受けずに街中の色んな場所を車でドライブすることもできる。車内にはラジオも備えており、音楽をかけながら気軽にドライブを楽しめる。車の操縦は全体的に道があまり舗装されておらず、デコボコしているところも多いので、アクセル全開での思い切ったスピードは出しにくい。日本人には馴染みの薄い左ハンドルということもあり、道端の岩にタイヤを取られたり、かなりドタバタした走りになるが、FPS視点で車を運転するという操作が非常に新鮮だったので、臨場感があってかなり楽しめた。
このようなドライブのついでに個人的におススメなのはフィールド内に表示されている「重要地点」を先に巡っておくスタイルだ。マップを開くと、マップ内には重要地点として「?」マークが多く点在している。この重要地点は実際に現地に行ってみないと何が置かれているかわからない。時には素材が置かれているだけの場所もあるし、時には「高速移動」のポイントだったりもする。
高速移動はマップを開いて高速移動のポイントを選択するだけでその場所に移動できるファストトラベルだ。利用するためには事前にその場所に実際に赴き、高速移動ポイントをアンロックしておく必要がある。そのため、このポイントを多く知っておくほど、ミッション開始時に目的地までドライブすることなく、いきなりジャンプできて、ゲームの展開がスムーズになるので事前にすべてのポイントを抑えておきたい。
ちなみに隠れ家は最初から高速移動が利用できるため、ミッション完了後などはこれを使うことでスムーズにミッションを進められる。また、車が水没したり、岩の間に挟まるなど、操縦不可の状態になった場合や、どこに置いたか忘れてしまったといった場合でも、高速移動を行なうことで元に戻る。
街中に散らばるサブミッションをコツコツとクリアしていくなどの楽しみ方もできる。サブミッションは特定のNPCが登場して、そこから受ける物もあれば、街中に点在する小屋に捕らえられた人たちを救出する物もある。特にNPCからの依頼によるサブミッションでは、大量の燃料を積んだトラックを敵地から盗み出して届けるなど、「Grand Theft Auto」シリーズなどのクライムアクションのようなミッションもあって多岐に渡っているのが面白い。
スナイプ稼業はヒットアンドアウェイ? 自分だけの戦略を構築する楽しみ
では、実際にスナイプ中心の筆者のプレイはどんな感じかプレイの流れを紹介してみよう。ミッションを受けたあとはナビゲーション通りに途中まで車で向かい、マップを確認しながらミッションのエリアに入る手前で車を降りる。そして通常のルートと異なる道から目的地周辺を捜索し、なるべく多くのターゲットが狙えるような高台を探す。
このような高台を探す時には、FPSなのに崖などが登れるというユニークな機能「エクストリーム・ナビゲーション」が役に立つ。エクストリーム・ナビゲーションが使える場所かどうかの判別には、「偵察モード」が有効だ。これを使うことで登れる崖の淵が白色に光るので、あとはその崖を登っていくだけだ。操作も非常にシンプルで、FPS視点で崖を登るというアクションが面白い。なお、「偵察モード」では他にもフィールド上に残る敵の足跡や地雷の有無を検出したり分析する機能もある。
敵を狙うのに最適な位置がわかってきたらそこにスタンバイし、敵の動きをスコープでチェックする。ただ全員が表に出てるような状況ならこれで十分だが、中には肝心のターゲットが建物内に潜んでいることも多い。このような場合は、ドローンを使って周辺を探り、敵の数と位置を正確に把握するようにする。
敵のマーキングが一通り終わったところで、いよいよスナイプ開始だ。スナイプのポイントは射角と風速だ。射角についてはターゲットの距離をチェックして素早く近似値に合わせれば問題ないが、弾の動きは風の影響を結構受けやすい。
スコープで覗いていると射角メーターの中央に赤色で表示されているのがそれだが、その補正を入れないと狙撃に失敗することが多い点には注意が必要だ。なお、ノーマルモードで息を止めると、これら補正をしたターゲットポイントが画面上に丸いポインターで表示されるので、これを合わせれば間違いなく仕留められる。
スナイプではなるべく他の敵に気が付かれないように1人ずつ仕留めていくのが理想だ。ところが敵は銃声を聞いたり、こちらの狙撃が外れたり、味方がやられたのを確認すると警戒態勢となり、マーカーの色が黄色に変わる。また、敵がこちらの姿に気が付き始めると画面上に白色の検知バーが表示されるが、これもそのままにしておくとどんどん色が変わっていく。
そして敵が完全にこちらの位置を把握できると戦闘態勢に入り、赤色へと変化してしまう。こうなると敵はこちらを追跡してくるようになるのでミッションどころではなくなってしまう。エリアによっては迫撃砲を撃たれるようになってしまうのでこうなると避けようもなくあっさり火だるまだ。
ただ、スナイプだけだと限界はあり、例えば複数の敵が固まっているような場合、バレずに全ての敵を仕留める事は困難だし、どうしても警戒態勢には入られてしまう。こんな時に有効な手段はただ1つ、戦線離脱だ。幸いなことに本作はフィールドを自由に移動できるため、1人倒して1度敵の目の届かない場所まで離脱し、警戒が薄れた頃に再び現われて別の敵を狙うヒットアンドアウェイ戦法が通用するのだ。
そこで筆者は少々時間がかかったが、敵を仕留めては少し下がり、敵の警戒態勢が薄れた頃に再び現れて別の敵を仕留めるというヒットアンドアウェイ作戦でミッションをクリアしていくことができた。
他にも狙うターゲットがハッキリしており、ロックオンできる状態であれば、最小限のターゲットのみを狙撃して、その場から早々に立ち去るという戦略もアリだ。その場合、ターゲットを倒したら敵の警戒エリア内から脱出することでサクッとクリアできる。ただ、この戦略だと倒した敵から物資や金などを略奪できないのが悩ましいところ。本作ではスナイプで倒した場合でも、死亡マークが地図上に残っているので、後から素材などの略奪がやりやすい。
本作では銃弾などは購入するか生成することができるが、購入する場合にはそのための資金が必要だし、生成するには素材が必要になる。そのため、それらが入手できるチャンスとして基本的にはどのミッションもなるべく全ての敵を殺し、全て回収するプレイを心掛けている。
以上、「スナイパーゴーストウォリアー3」について一通り紹介してみた。目的さえ達成できれば手段は問われないため、スムーズに作戦が進行できる戦略を考えるのが面白い。また腕に自信がある人ならスナイプせずに堂々と乗り込んでアサルトライフルなどで殲滅させる、といった本来のFPSシューターみたいな遊び方もできるなど、オープンワールドを採用したことで幅広い遊び方が可能になっている。
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