★PS3/Xbox 360ゲームレビュー★

“恐怖を2人で楽しむ”
基本は正当進化、協力プレイは大胆進化

「バイオハザード5」

  • ジャンル:サバイバルホラー
  • 発売元:株式会社カプコン
  • 価格:8,800円
  • プレイ人数:1~2人(オンライン協力プレイ:1~2人)
  • CEROレーティング:D(17歳以上対象)



 恐怖の原点は恐怖の頂点へ。世界的にも評価の高いサバイバルホラーシリーズ「バイオハザード」の最新作「バイオハザード5(以下、バイオ5)」が、プレイステーション 3/Xbox 360用タイトルとして発売された。

 PS3/Xbox 360という最新世代のプラットフォームのタイトルとして、「光と闇のコントラスト」に焦点を当てたリアルなグラフィックスやハリウッド共同制作によるイベントシーンを実現。また、オフライン、オンラインともにCo-op(協力)プレイが可能になっているのもポイントだ。このレビューではそうした「バイオ5」の魅力をたっぷりとお伝えしていこう。

 なお、基本的な要素については既「バイオハザード5」プレス向け体験会で、コンセプトや本作のテーマといった部分は「バイオハザード5」プレス向けラウンドテーブルでプロデューサーの竹内潤氏にインタビューした記事が掲載されている。そのため、このレビューでは実際にプレイをひととおり楽しんだ感想をメインにしていこう。



■ 舞台はアフリカ。起承転結の「転」を迎える「バイオハザード」の物語

「バイオハザード5 プロローグ -2009 アフリカ-」

 アフリカの大地に伸びる道を行く1台の車。やがて車はキジュジュ自治区内の近くに停車し、1人の男が降り立った。 クリス・レッドフィールドである。クリスが辺りを見回していると、女性が近づいてきた。

 「ようこそアフリカへ、シェバ・アローマよ」差し出された手を握り返し、クリスは今回の作戦でも相棒がいることを知る。

 多くの任務をこなす中、失った仲間も少なくない。この世界は命をかけてまで守る価値があるのだろうか? その自問に、今はまだ答えはない。だが、クリスにはこれだけはわかっていた。

 俺にはやらなければならないことがある。



 「バイオハザード5」の世界は、シリーズ作品の時系列において最も新しい2009年の物語となっている。有機生命体兵器(B.O.W.)を開発し、数々の事件を引き起こしてきたアンブレラは2003年に崩壊したが、アンブレラの崩壊によってB.O.W.が世界中の闇市場へと流通し始めてしまう。それらは一部の国家、ゲリラ、テロリストの手へと渡り、人々の脅威となった。

生物兵器犯罪に長年立ち向かい、現在はBSAAのエージェントとして活躍する主人公「クリス・レッドフィールド」。失った仲間への思い、答えの出ない自問を心に抱えている
アフリカのキジュジュ自治区。この町の住民は狂気に満ち溢れてい

 対抗措置として設立された対バイオテロ部隊「BSAA(Bioterrorism Security Assessment Alliance)」には、「クリス・レッドフィールド」の姿があった。「バイオ5」の主人公「クリス・レッドフィールド」は初代「バイオハザード」から登場してきたシリーズの中心的人物の1人。洋館事件を生き延び、その後も数々の生物兵器犯罪に立ち向かってきた彼が「BSAA」に参加するのは自然な成り行きだった。

 初代「バイオハザード」の物語「洋館事件」から10年後の2009年。クリス・レッドフィールドはアフリカに降り立っていた。彼は、大規模なB.O.W.の取引が行なわれるという情報を元に作戦に志願していた。ある思いを秘めて。この作戦のパートナー、シェバ・アローマと合流した彼は、灼熱の大地で新たな恐怖に遭遇することになる。

 今作の物語の舞台となるのはアフリカ。冒頭のチャプターはアフリカのキジュジュ自治区から始まっていく。日本にはない強い日差し、灼熱の大地がグラフィックスにもよく現われている。強い光は色濃い影を落とし、日陰の場所は明るい場所から見るとひどく暗く写る。

 乾いた空気と砂埃が包む、決して裕福とは言えない街並み。一見穏やかに人々が行き来しているが、ふと目をやればなにか袋に閉じこめたものを蹴り、手に持った木の棒で叩いている集団が見える。街の人がクリスとシェバを見る目には、敵意のような警戒の色が伺える。

 装備を整え、作戦を開始したクリスとシェバは奇妙な光景を目にする。建物から響く悲鳴。中へと踏み込むと、押さえつけられた男が口から何か生き物を飲まされていた。男の様子は一変、眼から血を流し、突如クリスたちに襲い掛かってくる。その場をなんとか切り抜けた2人を待っていたのは、集団で襲い掛かってくる狂気にかられたかのような群衆だった……。



合流した仲間から話された「ウロボロス計画」という謎の言葉。作戦を開始したクリスとシェバは、異常な雰囲気に包まれた街で、町中の人から襲われる
チャプターの舞台となるエリアには、冒頭の検問所のほか、サバンナ、湿地帯、遺跡、施設内など様々だ。イベントシーン等では、画面に表示されるボタンを押して危機を回避するアクションも健在だ
いたるところに様々なマジニやクリーチャー、巨大なB.O.W.までもが待ち受ける事件を、クリスとシェバは2人で追いかけることになる。



■ クリスとシェバの2人で恐怖に挑む! いつでもオフライン、オンラインのCo-op(協力)プレイが可

 

常に一緒に戦うパートナー「シェバ・アローマ」。今作では互いのピンチを助け合い、協力して先へと進んでいく

 「バイオ5」最大の特徴はなんといってもこの“クリスとシェバの2人で行動する”というところにある。これはイベントやボス戦といった一時的なシーンだけの話ではなく、あらゆるシーンで常に2名で活動していく。2人で戦う、協力する、連携する。今回の最大の進化だ。

 乗り物に乗って移動する場面では、片方が移動操作、片方が攻撃というように役割分担する。機銃などの設置されている兵器を使う場合や、レバーやハンドルなどのギミック操作は、自分が動かすかパートナーに使わせるかを指示することもできる。片方が強力な機銃でサポートしてくれている間に、先へと進んで隠れている敵を排除するような連携も楽しめる。

 「バイオハザード」シリーズ特有の謎解きや仕掛けの操作も健在で、ここもパートナーと協力するシーンが多い。ギミックを操作したり、閉ざされている扉を操作するために、2人が別々のルートを進む場面もあって、パートナーの進む道を遠距離からライフルで援護するなど、協力することが重要だ



道を塞ぐ扉を開けるため隣の建物へシェバを飛び移らせる。体の軽いシェバならではの芸当だ。こうした場面ではクリスは遠くからシェバをサポートすることになる
1人がレバーを操作して扉を開けている間にもう1人が先へ進んだり、2人同時に離れた場所のレバーを操作したり。謎解きやギミックを操作するシーンは健在で、プレーヤーキャラクターが2人いるからこその仕掛けも多い


あらゆるシーンでオフライン、オンラインの協力プレイが可能だ。2人同時プレイでは画面分割にな

 さらに「バイオ5」では、ストーリーを進めるゲーム本編でも2人同時プレイまたはオンラインCo-op(協力)プレイが可能になっている。プレーヤーがそれぞれクリスかシェバを操作して進んでいく。同時プレイの場合は分割画面プレイで、オンラインCo-op(協力)プレイでは遠く離れたプレーヤーとボイスチャットを使ってプレイできる。

 1人プレイの時は、1人をプレーヤーが、もう1人はCPUが操作する方式になる。クリスとシェバでシステム面に差があるわけではなく、どちらも同じようにそれぞれがアイテムを所持し、装備し、弾薬を消費する。落ちているアイテムを拾うときも、自分で拾うかパートナーに持たせるかを選べるし、互いのアイテムを交換することもできる。あくまで同等の条件を持ったプレーヤーキャラをCPUが操作しているという形になっている。

 2人同時プレイまたはオンラインCo-op(協力)プレイはいつでも開始できる。1人でプレイを開始したゲームでも、もうひとつのコントローラーのスタートボタンを押せばいつでも途中参加して2人プレイを始められるし、参加要請を入れてきたオンラインからのプレーヤーを承認すれば、オンラインCo-op(協力)プレイに移行する。このシームレスな作りがとても独特で、まるでオンライン対応の格闘ゲームのような作りだ。



オンラインCo-op(協力)プレイでは、クイックマッチで手早く協力プレイを開始するか、カスタムマッチで条件を絞ってゲームの検索ができる。1人プレイ開始時にはオンライン接続を受け付けるかどうかを設定可能で、参加希望を承認すればそこからオンラインCo-op(協力)プレイが始まる


CPUが操作するパートナーはなかなか優秀。ライフが減少すれば自発的に回復アイテムを使用してくれる
所持している銃にあわせて、こちらが必要な弾を渡してくれたりもする

 CPUが操作しているときのパートナーの動きは、なかなかよくできていて面白い。所持している武器で迫ってくるクリーチャーに積極的に攻撃してくれるし、どちらかの体力が減ってきたら駆け寄ってきて回復アイテムのハーブを使ってくれたりもする。落ちているアイテムも自発的に拾うし、こちらが必要な弾を渡してくれたりもする。こうした動きは「よくできているなぁ」と感心させられるほどだ。

 ただ、少し動きにクセもあって、そのクセを理解するまではちょっと扱いづらいなと感じたところもある。まず、敵にどんどん発砲して頻繁に弾切れになってしまうところ。状況によるところもあるが、所持している武器を次々と切り替えて弾薬を使ってしまうため、ライフルなどの特殊な状況で使いたい武器は自分で持って置いたほうがいいかもしれない(ただし、CPU操作のキャラクターはとても狙いが正確なので、威力のある武器を持たせるのはいい手だ)。

 パートナーへの指示はカバーとアサルトの2種類があって、このタイプを使い分けるのも大事だ。カバー時には自分の後をついて守備的に行動するが、アサルトの場合だと率先して前に出てガンガンと攻撃する。弾薬が少ないときにアサルト指示をするとがんがん消費されてしまうということになる。状況に合わせて指示を変えるようにしよう。

 このクセを理解するといろんな遊び方ができるようになってくる。例えば、アサルト指示にしておいて先行したパートナーに敵が群がっているところに、後ろから敵の部位を狙い撃つようなフォローをすれば、ひるんだ敵にパートナーが次々と体術を決めてくれる。アイテムもどんどん先行して回収してくれるので楽だったりもする。CPUキャラの動きのクセは、慣れるまでは悪さを感じるが、慣れてくれば逆に面白さがあるという感じだ。後ろにただ付いてくるだけの無難な動きをされるよりも面白さがあってよかったのではないかと思う。



パートナーの動きはアサルトとカバーの指示で大きく変わる。指示は2人プレイ時には簡単なコミュニケーション用のボタンになる

 指示の操作は、2人プレイやオンラインCo-op(協力)プレイだとコミュニケーションに使う。方向キーと指示ボタンの組み合わせで、「SEND OUT」、「COVER」、「STOP」、「THANK」といった声を出す。オンライン参加したときに互いに「THANK」を言い合ったりと、ボイスチャットなしでもある程度の意志疎通が行なえる。

 また、指示のボタンは、パートナーがうまいヘッドショットを決めた直後に押すだけで、「ナイス!」というような適切な言葉を喋ってくれる。CPUのキャラクターも自分がヘッドショットを決めたときにナイスショットと言ってくれたりして、ちょっと面白い。

 常に2人で行動するという点はプレイ中の印象にも大きく影響している。危険が待ち受けている領域を1人で探索していくというのは心細いものだが、「バイオ5」では常に頼もしいパートナーがいる。ボタンを押して「カモン!」と呼べば、「オッケー!」と返事をして駆け寄ってくれる。危険な雰囲気の場所でも心細さを感じない

 ここは少し考えどころなところもあって、例えば私は「バイオハザード4」をプレイしていたときはビクビクと恐る恐る進んだものだが、今回の「バイオ5」ではずんずんと勢いよく進むことができた。この差は雰囲気もあると思うが、1番は心細さの違いだろう。頼もしいパートナーがいるおかげで、正直なところあまり怖くない。だが、適度な緊張感は常にあるという感じだ。




■ “ジリジリと近寄られる恐怖”を生む伝統の操作。パートナーとの助け合いがポイント

 

狂気を感じさせる集団にジリジリと近寄られる、撃っている間は移動できない。この近づかれる恐怖は「バイオ」シリーズ独特のもの

 全編に渡って描かれているのは敵に迫られる恐怖だ。「マジニ」という感染者が集団で襲い掛かってくる。ジリジリと確実に距離を詰めてくる、追い込まれる、囲まれる。心霊的な恐怖とは対照的な、物理的なバイオレンスの恐怖だ。怖い存在に近寄られる、殺されてしまうというのは、最も基本的な恐怖と言っていい。

 この“ジリジリと距離を詰められる”という感覚はバイオシリーズ初期からある独特の魅力のひとつだ。これは操作方法からくるもので、「バイオ5」では4つのタイプから操作法が選べるが、移動しながら銃を撃つことはできない。本作はTPSジャンルのゲームにかなり近い画面構成をしているが、操作系統はバイオシリーズ伝統のものだ。

 旋回して向きを変えている間も撃てないし、クイックターンで真後ろに素早く向きを変えて攻撃するにしても、銃の構えを解き、ターンして、銃を構え、撃つ、というように数テンポかかる。向きを変えている間にも、マジニやクリーチャーは距離を詰め、あらゆる方向から襲い掛かってくる。

 前方ばかり意識して射撃していると、横や後ろから近づかれてしまい不意に襲われてしまう。そのため、戦いながらも常に周囲に対して緊張を強いられる。もどかしさが恐怖を煽るというところだ。周囲の敵の位置を意識しながら、どの方向の敵から倒していくか、戦いやすい場所へどう移動していくか、思考しながらアクション操作をするようなプレイになる。このあたりはバイオシリーズ特有の面白さだろう。

 また、今作では頼れるパートナーと常に2人で戦えるので、このもどかしさの中に“助け合う”という要素が加わっている。味方の背中に迫っている敵を倒す、死角になっている方向をカバーしあう。そうした連携がうまく取れるかどうかで、「バイオ5」のおもしろさは大きく変わってくる。そうしたところからも、2人同時プレイやオンラインCo-op(協力)プレイが非常に魅力的なゲームだと感じた。

体の部位を撃って立ち止まった敵にはキックやパンチの体術を決められる。パートナーとの連携も可能だ
アイテム欄は9マスに。上下左右のスロットは方向キーに対応していて、素早く切り替えられる

 マジニに対しては頭を撃つ、いわゆるヘッドショットが1番大きなダメージを与えられるのだが、腕や足などの部位を撃ってからの体術も有効だ。撃たれて腕を押さえている敵に近づいてボタンを押すと、クリスならパンチ、シェバならキックの格闘攻撃を繰り出す。足を撃ってうずくまった敵にはアッパーやサマーソルトキックが炸裂する。体術の種類はかなり豊富で、角度や向きでも変化する。弾薬が少ないときの節約としても非常に有効なので積極的に活用したい。

 さらに、体術をうまくパートナーと交互に決めるとフィニッシュブローという特殊な攻撃を繰り出せる。自動で動き回るCPUとのフィニッシュブロー連携はちょっと難しいが、2人プレイ時にはぜひとも狙いたい技だ。うまく決まれば楽しさが倍増する。

 敵に捕まってライフが一定量より減ってしまうと「DYING」という瀕死の状態になる。画面が赤くなり、ライフゲージがドクンドクンと脈打つように点滅する。その間ゆっくりと移動することしかできず、少しずつライフゲージは減っていき最後には死亡してしまう。「DYING」のときにはパートナーがそばにいって手当しなければならない(回復アイテムが無くても最低限の手当はできる)。自分が「DYING」になったときにはCPUのパートナーが駆け寄ってきて回復してくれる。

 なお、所持品の欄は9マスになった。武器の大きさなどは関係なくて1マスに1個を持てる。また、9マスのうち上下左右は方向キーに対応していて、アイテム画面を開かずとも方向キーで装備を切り替えられる。2人プレイもあることからアイテム画面を開いても時間は止まらなくなっているので、余裕のあるときに上下左右の欄をセッティングしておこう(1人プレイ時はスタートボタンのメニューを出せば一時停止する)。



体術は弾薬の節約になるほか、周囲の敵を巻き込む効果もある。パートナーと交互に体術を決めることで、フィニッシュブローという強力な格闘攻撃にもなる。2人プレイ時に積極的に狙いたい技だ
敵に捕まえられた仲間を助ける。すぐに助けられるよう常にパートナーと離れすぎないように戦うのが重要だ。もちろん自分が捕まえられた時にはパートナーが助けてくれる
強烈な攻撃を喰らったりしてライフゲージが一定量以下になると「DYING」状態になる。「DYING」になったときはゆっくりと移動するしかできず、パートナーに手当してもらわないと死んでしまう



■ 凝った恐怖の演出。イベントシーンはハリウッド共同制作で映画制作の手順から作成

 

恐怖の演出も細かに、それでいてストレートではないが凝った見せ方がされている。画面はマジニに囲まれて死んでしまった場合の終わりかた

 恐怖の演出が直接的にグロさを見せるのではなく、工夫されているところがポイントだ。例えば群衆に襲われてゲームオーバーになったときは、クリスが倒れたあと上空を見ている1人称視点の画面が現われる。そこにマジニたちが見下ろすように群がり、武器を振り下ろす。血しぶきが上がり、画面が暗転していく。

 これも充分にグロいのだが、直接的に死体を見せるような手法ではない。「こういう視界で見えるんだ……」と自分の視界に置き換えてしまうような嫌な想像もさせる。ある意味、直接グロを見せられるより嫌かもしれない。

 ハリウッドのスタジオと共同制作されたイベントシーンも圧巻だ。キャラクターの表情や細かな仕草が非常にリアルだ。単に作り込みが豊かというレベルではなく、表情なら顔の細部まで全体が動き、ポーズや仕草でも全身が同時に動いている。人間の動きそのものというレベルだ。

 特典のメイキング映像を見てみたところ、リアルタイムモーションキャプチャーという3Dキャラクターが俳優の動きに合わせてリアルタイムに動く技術で動きをつけているそうだ。表情に関しても、俳優の顔に多数のセンサーをつけて表情のデータを取り込むフェイスキャプチャーで表情をそのままに取り込み、リップシンク(唇の動きと声をシンクロさせること)も行なっている。実際に映画を撮影する手順を取って、そこからデータを取って反映していったというわけだ。



チェーンソーを持ったマジニにシェバがやられてしまった。直接は見えないが、体がガクガクと震え、チェーンソーの音と悲鳴が響く。崩れ落ちたシェバの体は血まみれだ



■ クリア後のお楽しみ「THE MERCENARIES」も協力プレイ可能 PS3版では「PS Home」との連携も

 

 「バイオ5」はクリア後のお楽しみや隠し要素もたくさんある。また、シリーズの背景や世界観を理解するためのテキストも非常に充実しているので、バイオシリーズを本作から理解していくのもいいと思う。そこから過去のシリーズ作品に手を伸ばしていくのもありだろう。

クリア後のお楽しみ「THE MERCENARIES」(ザ・マーセナリーズ)モード。高ランクを獲得すればステージや使用可能キャラクターが増える

 本編クリア後のお楽しみが「THE MERCENARIES」(ザ・マーセナリーズ)モードだ。前作「バイオハザード4」にもあったモードで、さまざまなキャラクターを操作して、群がるマジニなどの敵を倒して得点を競うスコアアタック形式のゲームになっている。1人プレイだけでなく、画面分割の2人同時プレイやオンラインCo-op(協力)プレイも可能になっている。

 「ザ・マーセナリーズ」では、各所に置かれているタイムボーナスで残り時間を延長しつつ、連続して敵を倒してコンボを繋げていくのが高得点への基本アプローチになる。どう動いていくか、どの武器をメインに使うか、どのタイミングでタイムボーナスやコンボボーナス(一定時間コンボの得点が多くなる)を取るか。スコアを突き詰めていく遊びが楽しめる。時間終了まで生存し、クリア後の評価が高ければ追加のステージや隠しキャラクターが開放される。

 これが2人プレイになるとさらに戦略性や連携プレイの面白さが加わってくる。互いをカバーしあい、コンボが途切れないようにリズムを取りながら敵を倒していく。タイムボーナスを獲得するタイミングやどちらが取りに行くかの意思疎通など、協力することが大事だ。



ザ・マーセナリーズモードでもオフライン、オンラインの2人協力プレイが可能だ。タイムボーナスで残り時間を延長し、コンボを途切れさせないようにして敵を倒し続ける


PS3のコミュニティサービス「PlayStation Home」では、「バイオ5」専用ラウンジが設置されている。PS Home内で「バイオ5」について話し合い、そのままオンラインモードを遊び始めるという光景がたくさん見られた

 プレイステーション 3版では、コミュニティサービス「PlayStation Home」にも対応している。PS Home内からゲームセッションを作成してオンラインモードを開始できるほか、「バイオ5」冒頭チャプターのキジュジュ自治区を、「バイオ5」の撮影現場として再現した専用ラウンジも用意されている。

 「バイオ5」のラウンジは建物内などがゲーム同様に細かに再現されていて、各所には今後オープン予定のコーナーも設置されている。オープン予定のコーナーには、ゲームをプレイしている人だけが入場できる資料室、お宝を探すミニゲームアトラクション、PlayStation Store経由でバイオ5グッズを購入できるショップなどがあるようだ。

 実際に様子を見に行ってみたところ、多くのユーザーが街中を行き来していて、チャットでゲーム本編のヒントや隠し要素などを話し合い、そのままセッションを作成して実際にゲームで遊んで楽しんでいる姿が見られた。コミュニケーションスペースからゲームについて語り合い、シームレスにそのまま一緒にプレイするという最新世代のゲーム機ならではな光景が実現していた。

 また、ゲームの進行度合いによってPS Homeにログインしたときに専用アイテム「ホームリワード」がもらえる。筆者が試したときに実際にもらえたのは、自分の部屋に飾れる「クリス・レッドフィールド」と「シェバ・アローマ」のフィギュアだ。「アルバート・ウェスカー」のフィギュアももらえるようなので、ぜひとも獲得したいところだ。



冒頭チャプターのキジュジュ自治区を再現した専用ラウンジでは、今後にコンテンツがオープンする。ゲームの進行度合いによってPS HOMEにログインしたときに専用アイテム「ホームリワード」ももらえた



■ 順当パワーアップの正当進化タイトルと見せかけて、協力プレイは強烈進化!!

 

トロフィー/実績にももちろん対応。協力プレイで高難易度に挑みつつ、隠し要素の開放やトロフィー/実績の獲得を目指すのも面白

 ゲーム本編の面白さはさすがの一言で、世界的に評価の高いシリーズ最新作だと感じさせる。ストーリー内容はバイオシリーズの物語にひとつの区切りを迎えるものとしてまとまりがよく、1チャプターあたりのボリュームもほどよい。テンポの良さと遊びやすさが魅力に感じた。特にプレイのテンポに関してはオートセーブに対応したことで、とてもスムーズになった。

 1人プレイで難易度ノーマルあたりを一通りクリアまでプレイすると、「バイオハザード4」から順当に進化したゲームだと感じる。グラフィックス、サウンド諸々のパワーアップは言うに及ばず、武器の豊富さやパートナーとの連携など、いろいろと遊び方を変えて楽しむこともできる。ただ、常にパートナーと一緒に戦えるという魅力はあるものの、まったく新しい要素がもっと欲しかったと感じる人もいるかもしれない。テンポがよくまとまりもいいだけに、そう感じてしまうところがあるだろう。

 だが、2人同時プレイやオンラインCo-op(協力)プレイを中心にしてより高い難易度に挑んでみると、ガラッと印象が変わってくる。互いの死角をカバーしあい、「DYING」になったときは必死に助け合う。パートナーが敵の部位を撃ってひるませたのを察して、その敵に素早く近づき体術を決める。それに反応したパートナーがさらに追い打ちの体術を決めてフィニッシュブローへと繋げていく。うまくいったときには協力プレイのおもしろさが存分に実感できる。難しいことを狙わずとも、ワイワイと撃ちまくってクリーチャーを倒しているだけでももちろん面白い。

 ベテラン以上の難易度(ノーマルのひとつ上)からは敵の量や強さが格段に上がるので、協力プレイでワイワイと焦りを感じながら、歯ごたえのあるゲームを楽しむのがオススメだ。ゲーム本編の全チャプターを2人同時プレイやオンラインCo-opでプレイ可能なうえに、さらに「THE MERCENARIES」も2人で遊べる。遊びこむにつれて「バイオ5」は、友人と一緒に遊んだりオンラインで他のプレーヤーと遊ぶと楽しいと思うようになっていった。

 これまでのバイオシリーズにはなかった“2人で協力する”という新しい魅力の存在は非常に大きい。従来シリーズとはまったく違う楽しさで、とても面白い。順当に正当進化したタイトルでもありながら、協力プレイという面では大胆な進化を遂げている。この進化はとてつもない変化だ。これまでのシリーズ作品とまったく違うゲームになったと言っても言い過ぎじゃないと思う。1人プレイも協力プレイも充実した、オススメのゲームだ。




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(2009年 3月 24日)

[Reported by 山村智美 ]