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「FFXIV」、「パッチ3.3 最期の咆哮」は6月7日実装
吉田氏の許可が出れば胸がキュンキュンするラブストーリーも
(2016/5/23 13:00)
個人的にはエスティニアンには救われてほしい
後半のゲストとして登場したのは、シナリオライターの石川夏子氏。「2.0」クルザス中央高地編のメインシナリオや、「3.2」のメインシナリオ、「大迷宮バハムート」や「クリスタルタワー」シリーズ、「双剣士」のクラスクエストや「暗黒騎士」のジョブクエスト、「錬金術師」のクラスクエスト、マトーヤの洞窟で受けられるサブクエストなどを担当している。
「3.3」のクエストは、世界設定担当の織田万里氏らのチームが担当しているため、石川氏が直接手掛けているわけではないが、石川氏もプロット段階から打ち合わせなどには参加して共同で作業を進めている。「3.3」の見どころについては、竜詩戦争が結末を迎える中、エスティニアンの命運。そして質問としても来ていた、アイメリクが活躍するかについては「すごいので、パッチの日をお待ちください」と答えていた。
吉田氏からエスティニアンが救われてほしいか、華々しく散って欲しいかと尋ねられ石川氏は「個人的にはエスティニアンには救われて欲しいし、あのままニーズヘッグにやられて欲しくない」と語っていた。
三闘神クエストは、今回討滅戦という形では戦闘はないが、帝国の将軍が絡んできてなにがしかの戦闘もあるらしい。「お話がぐっと進むので、そこが好きな人は1人の時にゆっくり楽しんでください」と吉田氏も語っていた。
蛮族クエストについては、今回はクラフターを50から60にあげるためのクエストになっている。モーグリ族がフレースヴェルグとの契約で白亜の宮殿を直すことになっているが、その前段階として手前にある場所を直していく。モーグリの生態の一端を知ることができる蛮族デイリーになっている
吉田氏の許可が出れば胸がキュンキュンするラブストーリーも
スペシャルトークの後半には、プレーヤーから寄せられた質問に石川氏が回答した。吉田氏からの一番の無茶ぶりはこのPLLに出てくれと言われたこと、と語るシャイな石川氏だが、ストーリーやキャラクターへの思い入れを熱く語った。
「FFXIV」のシナリオはどれくらい自由に書けるのかという質問に対しては、レターモーグリクエストのように、他のストーリーに影響を及ぼさないものは比較的自由に作れるが、メインクエストのようなコンテンツが絡んでくる部分については、「好きなことを書くというよりは、プレイした全体の経験として面白いものが一番だと吉田さんともよく話をしていて、そこに気を付けています。ですから制約というよりも、いろいろな条件があるという感じです」と回答。吉田氏も小説なら好きな話だけを書けばいいが、ゲームなので体験とストーリーが一緒になっていなければ、単にボタンを押しているだけのなってしまうと、ゲームシナリオの難しさを語った。
例えば、石川氏が担当した暗黒騎士のジョブクエに関しては、まだ話が決まっていない段階で、バトル担当から「暗黒騎士なので最後の戦いは自分と戦いたい」というリクエストがあり、そのアイデアに対して石川氏のチームがストーリーを載せるという形で作られている。
吉田氏からのリクエストは多いのかという室内氏の質問には、シナリオがかなり完成した「え、今?」というタイミングで来ると石川氏が告白。吉田氏は苦笑しつつ、ボイスが入っている部分を先に作っているので、その間を埋めるシナリオが全部できたときに通しでチェックすると、どうしても足りない部分が出てくると説明した。石川氏が「セリフ単位ならいいですが、シーンごととか」と突っ込むと、吉田氏は「だって足りないんだもの」と頭を抱えた。
「せっかくシナリオ班やクエスト班が頑張って作ってくれたものが、あとワンシーンあるだけで全然見え方が違ってくるのに、というところではプロデューサー兼ディレクター権限を発揮しています」と吉田氏。「3.3」のシナリオも、PLLの一昨日深夜にチェックが終わったばかりで、今もまだ開発が続いているそうだ。
暗黒騎士のジョブクエストは、世界中のリージョンから評判がよく、そこに込めた思いを聞かれて、「自分が書いたシナリオに込めた思いを説明するのは恥ずかしい」と言いつつも、石川氏は、暗黒騎士のことを「歴代のFFの暗黒騎士をみて、 何かを削って力を得るジョブだなと思っていた」とその印象を語った。暗黒騎士は、大切な人を守るために自分が苦しんでも暗黒の力を発動して力を得て戦う。しかし守れる相手も、暗黒騎士のことを大切に思っていたなら、そんな戦い方はして欲しくないと思うはず。お互いに、苦しんでいる部分がある、そういう「不器用に見えてしまう愛情を描ければいいな」という思いが暗黒騎士ジョブクエに込められている。あのシナリオの続編を望む声もあるが、あのシナリオに込めた思いを説明することで、他のシナリオでもそれを感じてもらえるシーンがあるので「心にフレイを連れて旅していただければと思います」とカッコよく絞めた後、「これ以上は勘弁してください」と照れてしまった。
「ネロさんが大好きです」、「アリゼーに会いたいです」、「ユウギリに会いたいです」というNPCへのラブコールについては、詳細は語られなかったが、吉田氏が「もう割と暴れるのが決まっている人たちです」と含みのある回答をしていた。
担当したシナリオの中で思い入れのあるものや、苦労したものについて尋ねられると、どのシナリオも全力疾走で作っているので、思い入れはそれぞれにあるとし、苦労したシナリオは「大迷宮バハムート」だと回答した。
石川氏は「新生FFXIV」からの参加なので、「旧FFXIV」を締めくくる話を自分が書いてもいいのかという葛藤があったり、コンテンツ内で語らなければならない設定があまりにも多く、複雑なのに、それを「新生FFXIV」から始めた人にもわかってもらわなければならないなど、頭を悩ませることが多かったようだ。さらに、アリゼーの冒険者に対するデレに関する前廣チェックが大変厳しく、なかなかデレさせてもらえなかったことも告白した。「真成3層のムービーのあたりで、やっとOKが出たので、その後は好きに書かせてもらいました」ということで、それ以降のシナリオから解き放たれた思いを感じてほしいとのことだ。吉田氏も、あの時が一番セリフの修正が多かったと、当時の苦労を思い起こしていた。
暗黒騎士のジョブクエと同様に世界中で人気のある「双剣士」のクラスクエストについては、「私も双剣士の彼らとはまた仕事をしたいと思っています」と回答。仕込んではいるが、まだ語られていないエピソードもあるそうだ。例えば双剣士のギルドマスター、ジャックはクラマーな年上のお姉さんが好きなのですが、彼の周りには絶対そういう女性が集まらないというジンクスがあり、それを語るたびにひと悶着起きるという設定があるそうだ。
双剣士以外のクラスでもギルドマスターを再登場させて欲しいという声が多く、石川氏は「今すぐどうこうはできませんか、再登場の機会をこれから考えていきます」と答えていた。また、個人的に書きたいストーリーについては、マトーヤの洞窟のような日常的なストーリー。そして、「2.X」シリーズ終盤から、バスカロンブラザーズのバスカロンが、ずっとクリスタルブレイブに入ったローレンティスのことをずっと心配しているので、いつか無事にローレンティスを返してあげたいなという気持ちがあるそうだ。「親父がせっかくローレンティスのために用意した酒を、墓に備えるような展開にはさせたくないなと思っています」と早口に熱弁していた。
胸がキュンキュンするようなラブストーリーが読みたいという要望もあった。その例に上がっていた「リウィアとガイウスの出会い」がキュンキュンするかについて議論になりつつも、石川氏は「恋愛も書きたいあまり、エイプリルフールに頑張ってみた」と、エイプリルフールネタとして登場した「好感度システム」の話をしつつも、「FFXIVは恋愛を描けるタイミングが少ないので書きたいです」と石川氏からも吉田氏に要望していた。吉田氏は、メインに出てくる人たちは重い運命を背負っているので、恋人同士になると後が大変なので、やるならサイドストーリーがいいのでは、と注文を付けていた。
メインストーリーに登場するアイメリクと副官のルキアについても、ルキアは少なくともアイメリクに対して特別な思いを持っているが、アイメリクは気づいていないかもしれなく、「意外とどうにもならなさそうかも」と語っていた。だが「3.3」のメインストーリーでは、とあるシーンで「キュンキュンに近いところがある気がする」と吉田氏。ルキアとリウィアの姉妹については、現在作成中の世界設定についての単行本で補完されるそうだ。単行本は、北米ファンフェスに合わせて10月に出版される予定だ。
また、最近石川氏は、「3.3」用に作ったがゲームに実装されなかった戦闘曲が「とても燃え上がる曲で、心を燃やすのにお世話になりました」というほどお気に入りで、缶コーヒー1本と引き換えに祖堅氏から入手したそうだ。その曲は用途さえあれば実装してもらえることになっており、今は石川氏が用途を考えているところだそうだ。
「真成4層」のカットシーンが好きだというプレーヤーからの、シナリオ班がカットシーンの演出を考えることはあるのかという質問に対しては、基本的には演出を付けるカット班というチームがあると回答。しかし、シナリオ班からこうして欲しいとリクエストを出すこともあるし、カット班のほうからこういうシナリオにして欲しいと逆に提案されることもあるそうだ。「クリスタルタワー」のクエストでは「悠久の風」がかかるラストシーンなどは、石川氏にとってもサプライズだった。「3.0」の開発で忙しい時期、あのシーンのためだけに曲の発注は難しいだろうとあきらめていたのだが、いつの間にか曲が入って演出がついていて、カットシーンを見たときに言葉もないほど驚いたのだそうだ。
吉田氏によれば、「FFXIV」の開発では、ここはこうせねば、という思いでそれぞれの部署が誰にも言わずにそこにサービスで要素を盛り込んでくることがある連携が不思議とあるらしい。
パッチ「3.2」では、オルシュファンを思い起こさせるような印象的なエピソードが登場する。そういったシナリオについて、石川氏は「あのイシュガルドの冒険を経験した冒険者が、オルシュファンのことを思うだろうなと思ったシーンに選択肢を入れたということはあります」と言いつつ、それとは別に「2.55」の物語の最後に冒険者たちを受け入れるオルシュファンは、石川氏が書いた最後のシーンで、前廣氏に無理を言ってオルシュファンのセリフを追加した。「3.2」でそこに戻ってきて、「やっとここへ戻ってきたな」という気持ちがあったのだそうだ。
MMORPGのシナリオは、ゲームを早く進めたいとプレーヤーが思ったときに邪魔にならないよう、簡潔に描くところは簡潔にしつつ、ストーリーが薄くならないように語るべき部分はしっかりと語らなければならないという難しさがある。
さらにスタンドアロンのゲームとは違って、自分の周りには同じ物語を体験しているたくさんのプレーヤーがいる。その中でどうやって1人1人のプレーヤーが自分の物語に集中できるようにするかという独特なテクニックも必要になる。石川氏は、「私も楽しく遊んでいるので、皆さんと楽しく遊べるように頑張っていきたい」と締めくくった。
オリジナルシーズナルイベント「ゴールドソーサー・フェスティバル」開催
「FFXIV」では世界各国のお祭りをエオルゼア風にした各種のシーズナルイベントを開催しているが、5月末から6月頭にかけては、これといったお祭りがないため、初のオリジナルシーズナルイベントを開催する。「ゴールドソーサー・フェスティバル」は、ゴールドソーサーで獲得できるMGPが1.5倍になるというお祭りで、イベント専用のクエストやエモートなどの報酬も用意される。開催は5月27日からの予定。
また、無料で「FFXIV」を体験できるフリートライアルで遊べる範囲が、レベル35まで拡張される。これによって無料の間にジョブや蛮神戦も体験できるようになる。
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