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「三國志」発売30周年を記念するコンサートを開催

一青窈さん、向谷実さんがゲストで登場

当日はシブサワ・コウ氏のほか、ゲストとして向谷実さん、一青窈さんが登場した(撮影/大山雅夫)
4月16日 発売予定

会場:ミューザ川崎シンフォニーホール

 1985年12月に最初の「三國志」が発売されてから30年――。これを記念したコンサートが2016年4月16日に神奈川・川崎にあるミューザ川崎シンフォニーホールで開催された。

 当日は「三國志13」の購入者など、抽選で選ばれた1,000名以上を招待。コンサートでは「三國志」から本年1月に発売された「三國志13」までのタイトルの中から厳選されたBGMが、神奈川フィルハーモニー管弦楽団によって演奏された。内容は休憩をはさんだ2部構成となっており、途中にゼネラルプロデューサーであるシブサワ・コウ氏やゲストによるトークショーをはさむ形で行なわれた。

 曲目は以下の通りだ。

【第1部】
「三國志」桃園の誓い
「三國志」黄河~揚子江
「三國志」干戈の交わり
「三國志」季節が変わる頃
「三國志II」オープニング~黎明~/呉のテーマ/「三國志III」星辰
「三國志V」光芒の竜
「三國志VII」戦略・春宵

【第2部】
「三國志VIII」オープニングテーマ
「三國志VIII」中原の戦闘
「三國志IX」春・小勢力
「三國志12」雄飛
「三國志12」蜀のテーマ
「三國志12」呉越の戦い
「真・三國無双」DYNASTY WARRIORS
「真・三國無双2」生路~CIRCUIT~
「三國志13」燦爛たる時代
「三國志13」宿命を告げる鐘
「三國志13」波濤天剋~幕開け~

第1部は1番最初の「三國志」から「三國志VII」までの楽曲を演奏

 演奏に先だって挨拶をしたシブサワ氏はまず、2日前から起きている熊本地震の被災者に哀悼の意を表しながら、「『三國志』が1985年12月10日に発売されてから30年。ここまでこれたのはファンのおかげ」であると語り、来場しているファンに感謝を表した。

 舞台ではオーケストラの演奏をバックに、当時のタイトルのプレイ画面やプロモーションムービーが流された。「三國志」時代の懐かしい、ドット絵で作られた武将や、最近のタイトルのCGムービーなどが、曲調に合わせる形でエフェクトが入るなどして展開していく。

挨拶をするシブサワ・コウ氏(撮影/大山雅夫)
バックのスクリーンには、演奏されたタイトルに登場するキャラクターなどが映し出された(撮影/大山雅夫)

 一通り「三國志」の曲が演奏されたあと、向谷実さんが登場。向谷さんは「三國志II」や三國志III」の作曲者としてタイトルに携わった。参加した経緯については「当時はヤマハのDX7などを中心に、デジタルシンセサイザーが出てきた時代。ゲームに使われているFM音源でも4声+リズムが出せたので、ちょっとゲームでも作ってみようと思った。加えてアルバムも出せるというので」という理由だそうだ。

 アルバムを作る際には、中国っぽい音を作るために、バンコクのスタジオでタイの民族バンドを使ったとのこと。「『三國志II』の曲をきっちりと中国テイストでレコーディングできた」(向谷さん)。そして「『三國志II』オープニング~黎明~/呉のテーマ/『三國志III』星辰」の演奏へ。ピアノを担当したのは向谷さんだ。

向谷さんのピアノ演奏による「『三國志II』オープニング~黎明~/呉のテーマ/『三國志III』星辰」(撮影/大山雅夫)

 演奏が終わると再びシブサワ氏が登場。この30年を振り返ってどうだったかという質問に対して、「さまざまなアイディアとお客さんの要望をミックスする形で、時代時代に合ったマシンに合わせて発表してきた」と語るシブサワ氏。最新作の「三國志13」についてもAIやCGを強化させるだけでなく「人間ドラマを描きたかった」(シブサワ氏)。

 なお、現在リリースされている「三国志ツクール」についても言及。「『三國志』ファンやゲーム実況をする人に受けるのでは」という所から作成されたそうだが、動画も120個以上アップされているなど盛況だとか。「『三国志ツクール』の『自作ゲームフェス2016』で選ばれた2つのタイトルは本当に優秀で楽しめた」(シブサワ氏)。

 またレベルファイブとのコラボで作られた「妖怪三国志」についても言及。「日野さんから出てくれと言われた」のだそうだが、中ボスに「大魔王シブ」として登場。シブサワ氏似のキャラクターは、回りにファミコンカセットをぐるぐると回して攻撃するというもの。「是非プレイしてほしい」とシブサワ氏は語った。

第2部には一青窈さんが登場

ホール2階には『の原画を展示

 休憩をはさんだ第2部では、今回の指揮と編曲を担当した山下康介さんのトークから始まった。山下さんは2014年の3月に行なわれた「『信長の野望』30周年記念コンサート」でも指揮と編曲を担当したのだが、『三國志』については英傑たちの個性的魅力とスケールの大きさを頭に置きながら編曲したとのこと。「最近のゲームではオーケストラそのままの曲を使うタイトルもあるが、昔のゲームは電子音。シンセサイザーでリズムが足されているが、そのトラックを打楽器で置き換えるなど工夫をした」(山下さん)。また中国の楽器である「二胡」を取り入れることで中国色を出したそうだ。

 その二胡の演奏を担当したのは五月さん。オーケストラと競演する際のポイントについて聞かれて五月さんは「二胡はインパクトの強い楽器で、少しでも入ると中国色が強くなる。邪魔にならないように注意した」という。

 そして「三國志」のBGM演奏に続いて、「真・三國無双」のBGMに。「真・三國無双2」のエンディングテーマである「生路~CIRCUIT~」を歌ってくれたのは一青窈さんだ。実はこの曲、一青さんのデビュー前に録音された曲。当時中国語で歌える人を探していたときに、慶応大学の学生だった一青さんを紹介され、その歌声に聞き惚れたシブサワ氏が是非にともとなって採用されたという。「今回も公私ともにお忙しい一青窈さんだったが、30周年のコンサートなので是非にでもとお願いして来てもらった」(シブサワ氏)。

 一青さんは今回のコンサートに出られることについて「まずは旦那が喜んだ(笑)」のだとか。ご主人が「真・三國無双」のファンで、10回以上もエンディングを見ているタイトルだと話す。そのエンディングテーマを歌っているとは知らなかったそうだが、曲を聴いたら「これ知ってる」と話したのだそうだ。

 エンディングテーマを歌うことになったのは、当時のコーエーに友人が勤めていたことからの縁だったそうで、「デビュー前の私を採用するなんて太っ腹だと思いましたね。当時は学生だったが、何とか音楽で仕事をしたいと思っていたので、形になるのがうれしかった。ゲームのキャラクターを作るところまで見せてもらったのもいい思い出」(一青さん)。

 そしてステージを縦横無尽に歩きながら「生路~CIRCUIT~」を歌う一青窈さんの声に聞き惚れた瞬間だった。

 こうして行なわれてきたコンサートもいよいよラストに。最後にシブサワ氏は「30周年を迎えられたことに本当に感謝したい。また客席もいっぱいでうれしい。少しでも長生きをして次は40周年のコンサートをここで開催できればうれしい」と語った。

 このあとアンコールとして、一青窈さんの「ハナミズキ」、五月さんの二胡を交えて「三國志13」より「猛き荒波の如く」「桃園の誓い」が演奏された。

 午後7時から午後9時過ぎまでという長時間なコンサートであったが、とても濃密であっという間の2時間という感じだった。シブサワ氏の言うとおり、是非今度は40周年の記念コンサートを開いてほしいと思う。

横浜市交通局とのコラボポスターも展示されていた
ずらっと並んだ歴代タイトルのポスター
NHKの人形劇「三国志」で人形制作を担当した川本喜八郎氏によるオリジナル諸葛亮人形
物販コーナーは大盛況だった

(岩泉茂)