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【特別企画】ゲーミングキーボード「G810」のミニマルっぷりを総チェックする!
PCゲーマーは一体どれを買えばいいの!? StanSmith氏にオススメポイントを聞いた
(2016/2/26 00:00)
ロジクールは、2月26日より、ロジクールGシリーズゲーミングキーボードの最新モデル「G810 RGB メカニカル ゲーミング キーボード」を発売した。この「G810」は昨年リリースしたハイエンドモデル「G910」から各種機能をそぎ落とした“ミニマルデザイン”を最大の特徴としており、ゲーマー向け機能をどっさり載せることを得意としてきたロジクールらしからぬシンプルなデザインが話題を集めている。今回は「G810」はいったい誰にお勧めできるゲーミングキーボードなのか、いち早く「G810」に触れていたロジクールGアンバサダーのStanSmith氏の意見も交えながら、レビューをお届けしたい。
この「G810」、手に取ってみて最初に驚くのはそのシンプルさだ。左上にロジクール「G」シリーズのマークがなければ、まるで黒いオフィス用キーボードのように見える。ゴテゴテの象徴であるパームレストもないし、Gキーもなく、ARXコントロール用のスマホ用スロットも無くなっている。
ロジクールのキーボードといえば、スロープのように手前に緩やかに伸びるパームレストが特徴だったが、それが無くなって、手前は極端な断崖絶壁になっている。また、Gキーが無くなった分だけ、上部左右もそれぞれコンパクトになり、感覚的にはテンキーレスの「G310」よりコンパクトに感じられるほどだ。
しかし、そもそもプロゲーマーの意見を集めて、「G910」や「G310」がデザインされたのに、なぜ自己否定するような新モデルを出すのだろうか? その理由は、「G810」もまたプロゲーマーの意見を取り入れた結果だという。
「G810」が目指したのは、“普段使いも視野に入れた、できるだけシンプルなフルサイズのゲーミングキーボード”ということで、カテゴリとしては今後も併売される「G910」や「G310」と同じ、ロジクール独自の「ROMER-G」メカニカルスイッチを採用したハイエンドシリーズの1モデルとなる。
実際に触ってみると、そのミニマルデザインは徹底していることがわかる。たとえば、キー。「ROMER-G」メカニカルスイッチを採用してはいるものの、キートップは「G910」や「G310」で採用されていた左右が盛り上がってるファセットキーキャップは非採用となっており、キートップの質感もざらつきのあるマット仕上げから、より抵抗の少ない滑らかなマット仕上げに変わっている。
「G910」や「G310」で採用されたこのファセットキーキャップは、キーの位置によって微妙にデザインが異なり、ホームポジションから常に最適な角度、均等な力でキーを押せる設計になっている。このキーボード全体で10本の指が包み込まれるような感覚は、これまでのキーボードにはなかったものであり、ハイエンドゲーミングキーボードならではのラグジュアリーな味わいがあった。
その一方で、StanSmith氏が実践するStanSmith持ちのように、PCゲーマーによってはキーボードを正面以外の角度、位置に置いて使うこともあり、この場合、ファセットキーキャップはいきなり無力となるばかりか、むしろ邪魔な存在になってしまう。こうした“変態的”な打ち方をするゲーマーからの要望も踏まえ、シンプルなキーキャップによる「ROMER-G」メカニカルスイッチを出すべきでは無いかという気運が社内で高まり、最終的に商品化へ到ったということだ。
キートップが変わったことで、打ち心地も若干変化している。といってもやかましさではシリーズ随一である“CHERRY茶軸”を使った「G710」ほど違うわけでは無く、わずかな違いに留まるが、「G910」や「G310」のファセットキーキャップ独自のカシャカシャ感と比較すると、若干静音化した印象がある。実は「G910」と「G310」でも若干打鍵感が異なるため、打鍵感にこだわるという人は販売店舗で直接触れてみるといいだろう。
打鍵感についてStanSmith氏は、「『同じROMER-Gキーなのに、違うぞ?』というのがファーストインプレッションですね。キーキャップが変わって良い意味で各キーの存在感が薄くなっていて、打鍵音も静か。味付けについては好みがわかれるところですが、しっとり感は『G910』が上で、軽さは『G810』が上回る感じですね」と回答してくれた。
StanSmith氏は、ロジクールGアンバサダーとして、すべてのキーボードをプロトタイプから試し、その良さを知り尽くしている。「G810」の登場により、ロジクールのROMER-Gキー搭載ハイエンドゲーミングキーボードは、「G910」、「G810」、「G310」の3モデル(海外では「G310」をRGBカラーに対応させた「G410」が存在する)となるが、それぞれどういった層にオススメだろうか?
「まず、『G910』はハイエンドということで全部入りです。ゲーミングはもちろん、普段使いもできます。とにかくたくさんの機能が詰め込まれたハイエンドモデルが欲しいという方、それからカスタマイズ可能なGキーをフルに活かせるのはやはりMMORPGなので、MMORPGをよくプレイするという人にお勧めです」
「『G310』はテンキーレスということで、日本を含むアジアのPCゲーマーに特に人気のモデルです。ゲームをする上でテンキーは必須ではないので、プロゲーマーの間でもこちらを選ぶという方も増えています。適したジャンルはFPSからMOBA、RPG、アクションまで何でもありですよね。ただ、自重が軽くて動きやすいので、キーボードに力を掛けるという方は注意です」
「そして今回発売された『G810』は、シンプルでクセが無くこれまでゲームをあまりやらなかったという方でも使いやすいので、現在、買ったPCに付いていたキーボードを使っていて、そろそろ買い換えたいというゲームユーザーにお勧めです。『G910』と比較するとGキーがなくなっているんですが、ファンクションキーをGキー代わりに使うこともできますので、MMORPGでも活用できると思います」
その上で、StanSmith氏はどれが1番お気に入りか尋ねたところ、「やっぱり『G810』ですね」と即答してくれた。それは最新だからというわけではなく、StanSmith氏自身、プロゲーマーとしてシンプルなキーボードを求めてきたからだという。その意味では、StanSmith氏にとって「G810」はまさにドストライクの製品で、追加機能として付いているメディアボタンがなければより良かったというミニマリストの一面を覗かせてくれた。
お気に入りの使い方は、マウスとヘッドセットでカラーを同期させて使うこと。カラー設定は定番のRGBイルミネーションではなく、ピンク一色ということで、電源を入れたときにギアがピンクカラーで統一され、戦闘モードに入れるという。
「G810」に対して、プロゲーマーとしての要望としては、ケーブルを着脱可能にすること、そしてそろそろ無線接続モデルが欲しいとのこと。ただ、ロジクールによれば、マウスの無線化の要望と比較すると、キーボードの無線化の要望はそれほど多くないため、キーボードの無線化の計画は今のところないという。
もうひとつ気になるのは「G810」のテンキーレス版が出るのかどうかという点だ。「G910」のリリース後、特にアジアからの要望に応えてテンキーレスモデル「G310」が発売された。この点についてもロジクールに確認を取ったところ、新しい金型まで起こして「G310」の製作したものの、売れ行きは期待値を下回ってしまったため、今のところ「G810」のテンキーレス版の予定はないという。
最後に改めてStanSmith氏に、良いキーボードの選び方を尋ねた。
「キーボードは、とにかく入力のしやすさが大事です。単純な押しやすさだけでなく、押した後の反応、連打しやすさ、端で押しても軸がぶれないこと、長時間使っても疲れないことなどが様々な指標がありますが、ロジクールのROMER-Gキーは、それらの点に優れたキーになっています。あとは実際に触ってみて確かめて見ることも大事です。現在、秋葉原のソフマップに加えて、池袋のビックカメラにもリアルショップ『ロジクールGアリーナ』を展開していますので、ぜひ手にとって自分に合うか確かめて見て下さい」
「G810」は、ハイエンドの「G910」(22,870円、税別)に続いて、2万円の大台を突破したキーボード(20,750円、税別)となる。価格的にはキーボード界の大御所であるREALFORCE(東プレ)と肩を並べる設定となる。ゲーミングデバイスとしては年単位で長く使うものだけに、自分だけの1台をじっくり選びたいところだ。