ニュース

「MGSV: TPP」のもうひとつのオンライン「FOBミッション」

アップデートでの変化などを試してみた

発売中

8,400円(税別)

CEROレーティング:D(17歳以上対象)

プレイ人数:1人

 「METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN」では、10月6日よりオンラインマルチプレイ「METAL GEAR ONLINE」のサービスが開始されたが、それと同時に他のプレーヤーの前線基地へと潜入する「FOBミッション」にもアップデートが実施された。

 そこでアップデートでどこが変わったのかを確認しつつ、FOBミッションを簡単にだが紹介していこうと思う。奪い奪われの報復と聞き厳しい戦いを想像し敬遠している人も、アップデートでいろいろ変わっているので、この機会にぜひプレイしてみてもらいたい。

アップデートで変化した「FOBミッション」を考察

 FOBとは、「Forward Operating Base」の略で、前線基地という意味だ。本編の拠点であるマザーベースとは“別”に世界中の海洋上に基地を建造して、他の軍隊からマザーベースを守るという存在だ。

 ゲーム的にはそれがオンライン上に公開されていて、他のプレーヤーから潜入されるし、自分も他のプレーヤーのFOBへと潜入して、資源コンテナや兵士、防衛装備などをフルトン回収できるというものになっている。最深部までたどり着けば、ミッション中に奪ったものだけでなく報酬ももらえるというモードだ。

他プレーヤーが海洋上に建設したFOBへと潜入、または潜入してきた他プレーヤーを排除する「FOBミッション」。潜入するブロック(班)や、そのFOBがある海洋の場所によっても、多少施設の形が異なってくる

 さて、「MGSV: TPP」の発売からこれまでのアップデート以前のFOBミッションについて雑感を書くと、当初想定されていたであろう遊びよりも、だいぶ異なるものになったと思える。

 基本的にはFOBでは、潜入して相手の防衛プレーヤーが来てもそれに対抗しつつ、なんとか切り抜けて最深部を目指す、防衛プレーヤーが来てもちょっと厳しいぐらいのものになるかと思っていたのだが、実際は防衛プレーヤー、またはそのサポーターが防衛に来るとほぼ歯が立たなかった。

 理由はいくつかあるが、まず「潜入するとすぐさま相手プレーヤー、もしくはそのサポーターに通知が出ていた」こと。相手やサポーターがプレイ中であれば、防衛成功の報酬が美味しいこともあって、すぐさま防衛が来ていた。

 さらに「敵側の諜報班によって侵入者のおおまかな位置が表示されてしまう」ことも大きい。あっという間に位置が把握され、追い詰められてしまう。これさえ無ければ、エルードなどで隠れてやり過ごし、すり抜けて最深部へというのもできそうなのだが。

 というわけで、潜入側は「防衛プレーヤーが来る前に最速で駆け抜ける」というプレイが主になっていった。FOBを守る警備班を殺傷武器、特にアンチマテリアルライフルでがんがん排除するか、ルートを厳選して見つからないように駆け抜けるタイムアタックめいたアプローチ、はたまたスモークグレネードを投げ続けてその煙の中を突き進むというスタイルの人もいたようだ(警備班は困惑するばかりで煙の中の侵入者を発見できない)。

 そのあたりの「防衛プレーヤーが来たらひとたまりもないから、こういう潜入スタイルをせざるを得ない」状態に対して、10月6日のアップデートでは結構ダイレクトな、カウンターとなる変更がなされている。

これまではFOBミッションの開始と共に防衛者にも通知が出て、すぐに厳しい状態になっていた。だが、アップデートではこのあたりの仕様にも変更が加わっている

痕跡を残さない潜入が可能に

 痕跡を残さない潜入が可能になったことが非常に大きい変更点といえる。前述のようにアップデート前だと「FOBミッションが始まると同時に防衛者に通知が出ていた」のだが、それが「見つかったり、警備兵やコンテナなどを回収したりしなければ、潜入先のプレーヤーに通知されることなくFOBミッションを遂行できるようになります(公式説明より)」となった。

 この仕様変更のおかげで、FOBミッションでステルスプレイをがんばる理由が明確になった。最初から防衛者がいつやってくるかわからない状況ではなくなったので、ステルス重視にじっくり進む通知の出る行動をしてしまってからのスピード勝負にもなってくる。

 なお、通知されるタイミングについて詳細を伺ったところ、

・発見され、戦闘態勢になる。
・敵兵を殺害・回収する。
・コンテナを回収する。
・設置兵器を破壊・回収する。
・警備装置(UAV、監視カメラ、赤外線センサー、盗難警報機)を破壊する。

 となっているということだ。

自分のFOB、またはサポートしているプレーヤーのFOBに侵入者が現われると、即座に通知されていたのだが、アップデートによって「見つかったり、警備兵やコンテナなどを回収したり」するまでは通知がされなくなった

警備スタッフ用に暗視装置が開発可能に

 前述のように「スモークグレネードの煙の中を突き進む」というプレイをすると、警備兵が困惑している中を突っ切っていけてしまった。そこへの対抗策となるアップデートだ。

警備装置には「NVG」が追加され、警備班の兵士が夜間の侵入者やスモークグレネードに対処できるようになった

「イベントFOB」が登場

 FOBミッションのイベントの項目に、「Mosquitoの残影」という公式のFOBが登場している。10月20日まで開催されるもので、こちらは潜入しても防衛プレーヤーや報復の心配がない。こちらはどの班も2甲板ぐらいの規模で、警備装置もほとんどなく、かなり簡単にクリアできるものとなっている。資源コンテナや警備兵を奪いまくり、潜入成功の報酬にも結構ランクの高い兵士がもらえる。まだFOBミッションに手を付けていないという人も、まずはこれからチャレンジしてみるといいかもしれない。

10月20日まで開催されるイベントFOBとして「Mosquitoの残影」が登場。公式のFOBなので、防衛者が現われたり、報復されたりはしない。練習にうってつけのFOBだ

警備班の兵士の体力が増加

 高ランクの警備班兵士は体力がかなり増えたようだ。アップデート前ならアンチマテリアルライフ1発で警備兵は瀕死状態(もがき苦しみ、一定時間後に死亡する)になっていたのだが、アップデート後はバトルドレス装備の警備兵だと1発では瀕死にならない。アップデート前は確かに瀕死にさせまくって排除するのが簡単と言えば簡単だったので、バランス調整の一環というところだろう。

アンチマテリアルライフルなどの威力の高い装備なら、一撃で画像のような瀕死状態に追い込める。瀕死の兵士は司令部への連絡もできなくなるので都合がいいのだが、アップデートにより高ランクの装備が充実した兵士は一撃瀕死にはならなくなった

GMPや各資源の保有量がサーバー管理に対応して上限が大幅増

 GMPや資源の保有量がオンライン保存される分が加わって、上限がアップした。FOB2まで建設してある筆者の場合だと、GMPだとローカルで500万GMP、オンライン接続状態だと664万3260GMPが上限となっていた。上限において最大は、ローカル、オンラインそれぞれ500万(計1,000万)となるそうだ。

GMPや資源の最大保有量が増加した。増加した分はオンライン接続状態でのサーバーに管理される。画像の状態だと664万3260GMPが最大になったが、オフラインにすると元の500万の上限になる

マザーベースの自動スタッフ割当に「警備班優先」が追加

 マザーベーススタッフの班割り当ては手動で行なうとかなり大変なので、自動割り当てを使っている人が多いと思うのだが、FOBの兵士になる警備班は優先順位が低めになっていた。アップデートで「警備班優先」が追加されている。

スタッフの自動割り当てには「警備班優先」が追加されている

損害補償サービス開始

 他のプレーヤーにFOBの兵士や資源を奪われても、同等の兵士や資源が補償される「損害補償サービス」。しばらくプレイできない時などにどうしても被害に遭いたくないという人に向けたサービスだ。

 セキュリティセッティングの画面に加入の項目が追加されている。加入にはMBコインが必要だが、「3日間/初回無料」というお試しもある。

セキュリティセッティングの画面に、FOBミッションでの被害を補填してくれる「損害補償サービス」が加わった。初回無料もあるので、旅行に行くなどプレイできない日があるという人は試してみてはいかがだろうか

FOB拡張の時間短縮が可能

 FOBの甲板は侵入者を阻むためにもできるかぎり最大の4まで増やしたいところだが、拡張開始から完了までかなり時間がかかる。どうしても手早く完成させたい人はMBコインを支払って時間短縮するという選択も可能になった。

かなり時間のかかるプラットフォームの増設だが、MBコインで時間の短縮もできる

「FOBミッション」をやりこんだ先には、隠された何かが存在するのか?

 このようにアップデート以前のクリティカルな問題点がなくなり、かなり狭くなっていた潜入成功への道すじも広がっている。抜け道的になっていた戦法にも対抗策が用意されるなどバランスも調整された。気軽に挑めるイベントFOBも、今後は高難易度のものなどいろいろと開催してくれたら嬉しいところだ。

 だが、もっと根本的なところとして「FOBミッションをやりこむ理由」というものが不可欠だ。世界中には「FOBミッションをやりこむことで、その先に隠された何かがある」と噂されているが……。

軍拡、核抑止力、そしてその先にあるものは?きっと小島監督は何らかの仕掛けをしているはずだ。
 それを目指してやりこみ、いつか隠された何かへとたどり着くプレーヤーが現われることを祈るばかりだ。

Amazonで購入

(山村智美)