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現実世界にポケモンが現われる! スマホでポケモンを集める「Pokémon GO」!

ポケモンの存在を検知するガジェット「Pokémon GO Plus」も発売

2016年 配信予定

ポケモンの石原恒和代表取締役社長が直々に発表した
冒頭、先日去就した故 岩田聡氏への想いを示したスライドが映し出された
最後に表示されたプラットフォームとリリース時期。2016年が俄然楽しみになってきた

 ポケモンは都内で発表会を開催し、ポケットモンスターの新規事業に関する発表を行なった。発表会の生中継が実施されることが事前に流されていたことから、その発表内容に注目が集まっていたが、冒頭登壇した石原恒和代表取締役社長が公開したムービーには「Niantic」のロゴが映し出され、現実世界を舞台にした位置情報を使った世界規模のゲームが展開されることが明らかになった。

 そのタイトルは「Pokémon GO」。石原氏によれば2年に渡り企画が進行しているということで、2014年4月に行なわれたポケモンとGoogleによる共同企画「モバイル版 Googleマップ ポケモンチャレンジ」といった新たな試みが、今回のプロジェクトの布石となっていたことがわかる。

 「Pokémon GO」では位置情報を活用し、現実世界を舞台にポケモンを捕まえ、仲間と交換し、バトルを体験できるというARゲーム。プレーヤーは家を出て現実世界に飛び出しあちこちに潜むポケモンを発見し捕まえ、ゲームの世界だけで完結せず、リアルとバーチャルを行き来しながらゲームを楽しむことになる。プラットフォームはAndroidとiOSで、2016年のサービスを予定している。基本プレイは無料のアイテム課金制。

 石原氏は「あまり発表会などは行なわないが、このプロジェクトだけは直接しっかり伝えたかった」と切り出し、任天堂で代表取締役社長を務めていた故 岩田聡氏と共に企画を育てていたことを明かし、「ここで一緒に発表したいと考えていた。そういった想いもあって発表会を開催することにした」と語った。

 なぜ、Nianticと共同でプロジェクトを進めることになったのか? 石原氏がポケモンの次の構想を練っていた時、Niantic Labの位置情報を使ったゲーム「Ingress」を持ってきてくれた人がいたという。「Ingress」に衝撃を受け熱狂的にプレイする中で石原氏は、ポケモンと「Ingress」に共通する理念を感じたのだという。

 「ポケットモンスター」は、ゲームで集めたポケモンを現実の友人と交換したりバトルすることができる。舞台となる場所もカントー地方など現実世界に近いネーミングと地形で、現実を想像しやすいようになっており、ゲームの中にもうひとつの世界が構築されているイメージだ。また、システム的に「交換」や「バトル」といった要素で他者と繋がりを持てるようになっている。「Ingress」もシンプルなゲーム性ながら、1人でプレイするのではなく他のプレーヤーと競ったり協力して目標を達成する要素がある。ここに共通項を見いだし、石原氏は「Nianticとなら新しいポケモンを構築できる」と思ったという。

【「Pokémon GO」初公開映像】

 ここで呼び込まれたのが、NianticのCEOを務めるJohn Hanke氏。Hanke氏もまた「初めて会った時、同じ理念持っていると感じ、新しいポケモンを作るのに興奮を覚えた」という。「Pokémon GO」について「今、ポケモンと任天堂と一緒に長所を合体し、ポケモンの世界を現実世界に持ち出そうとしている」と表現。そして「ポケモンは現実世界を歩き回り、公園やショッピングセンター、歩道などで捕まえることができる。家族と一緒に新しい場所を発見するモチベーションにあふれ、もっともっと探検したくなる」とワクワクするゲームの未来を語った。

 「Pokémon GO」のゲームのデザインや音楽などで参加している、ポケモンの増田順一ディレクターは「ついに地球上にポケモンが登場します! 世界中のあらゆる場所にポケモンが住んでいます。それらのポケモンをモンスターボールで捕まえることができるようになります」と熱く語った。

 ゲームについては「シンプルながら深みのあるゲームで、年代を超えた多くの人が楽しめるゲームを作っています」と語り、「ポケモンがどんな場所に住み、どんな力を持っているのか、ポケモンの新しい可能性を引き出すべくNianticと全力で取り組んでいます」と開発が進行中であることを示唆した。さらには「次の『ポケットモンスター』の完全新作とどう関連させようかとも考えています」と、新作との連携があることも明かしている。

 ゲームの細かいシステムなどについてはまだ明かせないとした石原氏だが、幾つかのヒントは発表会にちりばめられている。ゲームの進行については、スマートフォンを持ち歩き、マップ上でポケモンを見つける。そしてポケモンを捕獲しようとする。捕まえることができるのか? 捕まえられないのか? といった駆け引きが発生する。

 屋外を舞台とすると言うことは、いろいろと想像が膨らんでくる。川や海の近くであればみずタイプのポケモンが見つかるのだろうか? 植物公園であればくさタイプのポケモンが……であればほのおタイプのポケモンはどこにいるのだろうか?

 また「Ingress」では有名なポイントがポータルとして登録されているが、子供も楽しめることができる「ポケモン」というコンテンツの場合、行きにくい場所により貴重なポケモンが潜んでいるというのは問題がないだろうか? こういった問題については慎重に議論がされているということで、石原氏は「『Ingress』の大量のデータをもらって、家族で遊べるという点を考慮してポータルを上手く利用していきたい」と答えている。

 バトルについては「『Ingress』ではポータルに攻撃を仕掛けていく。詳しくは言えないが『Pokémon GO』では秘密基地などがあるそこにアクセスしていくのかなどがヒントとなる」と答えている。公開されたプロモーショントレーラーでは、ニューヨークのタイムズスクエアでミュウツーとピカチュウをはじめとしたたくさんのポケモンが戦っている様子を多くの人たちが見守るシーンが描かれていたが、これがバトルの1つのヒントとなるのかもしれない。

 交換について石原氏は「1番大事な要素の1つ」と定義し、「サーバー経由してやりとりしているのでだいたい想像できると思う」としながらも、「現在検討している1番大切な部分」と明言は避けた。ただ、「地域はワールドワイド、対応言語は可能な限り複数の言語に対応させていきたい」と語り、運営地域が世界規模であるため、サーバーを使って同期を取りながら交換を行なっていくスタイルになることが予想される。

 そして課金について。これについても詳しい説明はなかったが、最も重要な要素として議論が繰り返されているという。DeNAと任天堂の共同記者会見の時に岩田氏は「狭く深くではなく、広く浅く」と課金のシステムについて述べていたが、石原氏も同様に「射幸心を煽るような課金とは真逆の方向で考えていきたい。薄く広い課金によってみんながフェアに遊べる課金方法を考えていきたい」としている。

位置情報を活用した新しい「ポケモン」。それは「Pokémon GO」だった
発表会で展示されていたスマートフォンに映し出されたゲーム画面。「育成はどのようになるのか?」など、まだまだシステムなど知りたい点は多い
公開されたムービーから。現実世界に現われたポケモンを探し、捕まえ、バトルする。ゲームが現実に溶け込む瞬間だ
ポケモンとNiantic、任天堂による共同プロジェクトとも言える「Pokémon GO」。発表会では4人がガッチリと握手を交わした
NianticのCEOを務めるJohn Hanke氏とポケモンの石原氏
John Hanke氏は「金門橋やエッフェル塔の麓にポケモンがいるところを想像してください」と夢があふれるプレゼンテーションを繰り広げた
増田氏は、ゲームデザインや音楽で参加。ちなみに発表会で増田氏はポケモンについて、「ペットより友人に近い生き物と考えています」とコメントしていた
ポケモンもついに20周年を迎える

任天堂がAndroid/iOS用のガジェット「Pokémon GO Plus」を発売!

「Pokémon GO Plus」を付けていた石原氏は袖をめくり装着しているところを発表した
任天堂からは宮本茂氏が登場

 発表の後半では、もう1社のパートナーである任天堂とも共同で様々な開発が行なわれていることが明かされた。石原氏は「スマートフォンをみて周りに気付かない人たちがいる。『Pokémon GO』は世代を超えて楽しんで欲しいので、画面を見続けなくても楽しめるようにするため、デバイスを考えた」と語り舞台前に進み出ると、腕時計のように装着したデバイス「Pokémon GO Plus」を公開した。

 「Pokémon GO Plus」は、Bluetooth Low Energyでスマートフォンと接続。まわりにポケモンがいると、光によるイルミネーションとバイブレーションでポケモンがそばにいることを伝えてくれるガジェット。見つけたポケモンは真ん中のボタンを押すことで捕まえることができる。できる限りシンプルな機能を目指して制作されており、音声も画像によるガイドもない。

 石原氏は「Pokémon GO Plus」の役割について「スマートフォンの画面だけでなく広い世界を見て欲しい。『Pokémon GO Plus』はそんなプレーヤーに、何かを知らせるためだけのガジェット」と説明。なくても遊べるが、「なりきりたい人には必携のガジェットになる」と語った。

 逆に「Pokémon GO Plus」を持っていなければゲームを楽しめないのだろうか? この問いに石原氏は「現時点ではそれほど差をもうけるつもりはありません。曖昧な表現ですが、持っている人がちょっと得をして、それを持っていない人から『あ、ずるい』と思われないような、その程度の面白さの差は出てくるよう考えている」と表現している。価格は未定ながら、「できるだけお求めやすい価格でお届けできるよう任天堂と協議している」と協議中だという。

 任天堂を代表して登壇したのは、宮本茂氏。まずはポケモンのこれまでの歴史について、「『赤』、『緑』から20年経ち、長いおつきあいになりました。ポケモンはマリオに比べルーキーと思っていたが、頼もしくなった」と振り返った。そして「Pokémon GO」については、「ポケモンスナップ」を思い出したと言い、「『ポケモンスナップ』は写真を撮るだけですが、今回は外に飛び出してポケモンと向き合うということで、『ポケモンスナップ』の遊びの感覚が蘇ってきた」と感想を述べた。これについては石原氏も「同じ空間でポケモンと向き合う感覚はよく似ている」と同意を示した。

 「Pokémon GO Plus」については、胸ポケットなどに挟んで使用する“クリップタイプ”と、腕時計のように装着する「ベルトタイプ」の2つのスタイルを示し、「どうやって遊ぶのかにこだわって作った」と生活スタイルに合わせて使い分けられるよう考えられているという。

 また遊び方として、お父さんのスマートフォンにペアリングした「Pokémon GO Plus」を子供が持ち、親子でポケモンを捕まえるといったシチュエーションも「理想的な遊び方」の1つのアイディアとして示した。

「Pokémon GO Plus」。Bluetoothでスマートフォンと接続。左がクリップタイプで、右がベルトタイプ
「Pokémon GO」と「Pokémon GO Plus」の関係を示したスライド
会場に展示されていた「Pokémon GO Plus」。ポケモンを発見するとピカピカと光り振動で知らせてくれる

 最後に石原氏は、「『Pokémon GO』は、位置情報を使った新しいプロジェクト。岩田さんと共に、スマートフォンデバイス上で『今までにない遊びを提供したい』という想いから築き上げてきた。『ポケモン』に位置情報を加えることで『ポケモン』を再定義して、新しい次元にゲームを導きたい」と語り、自分自身「早く遊びたい」と期待感を示し、「皆さんのスマホで遊べる日を楽しみにしてください」と発表会を終えた。

(船津稔)