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3DSソフト「KORG DSN-12」と「プチコン3号」がサウンドで対決
4台の3DSをBASICプログラムで同期、2つのソフトを連携させてVJを披露
(2015/8/29 18:48)
「CEDEC 2015」最終日の8月28日、DETUNEの「KORG DSN-12」とスマイルブームの「プチコン3号」という2つのニンテンドー3DSソフトを使ったセッション「DETUNE VS SMILEBOOM サウンド対決2」が開催された。
この講演には、DETUNE代表取締役社長の佐野信義氏と、「KORG DSN-12」を開発したプロキオン・スタジオのプログラマー鈴木秀典氏、スマイルブーム代表取締役社長の小林貴樹氏と、同社のシニアプログラマー藍圭介氏が登壇。それぞれのソフトにおけるサウンド機能を紹介しつつ、VJ風のデモを行なうというセッションになった。
シンセサイザー vs. 音にこだわったBASIC
「KORG DSN-12」は、ニンテンドーDSで発売されてヒットした「KORG DS-10」の流れを組むシンセサイザーソフト。3DSでの開発について鈴木氏は、「昔は携帯ゲーム機でシンセサイザーを作るのは難しかったが、今は事実上何でもできる」と性能の高さを強調。佐野氏は「世界初の3D表示オシロスコープが最大のウリだったが、そう思っていたのは世界で私だけだったかもしれない」と語って笑いを取っていた。
ちなみに「DSN-12」は「DS-10」ほど売れなかったものの、半額セールを行なったところ驚くほど売れたのだそう。「『DS-10』の当時はスマホがあまり普及していなかったので、携帯機でシンセは新鮮だった。今後は斜め上のことをやりたい」と佐野氏は語っていた。
「プチコン3号」は、ニンテンドーDS向けに開発されたBASICプログラムソフト「プチコン」の最新版。インタープリタではなくコンパイルしていて動作が早いことや、関数定義できることなど、従来のBASICから大幅に進化したものになっている。
音関係にもこだわっており、音楽はMMLで記述が可能。8つのMMLを同時に再生させ、16和音を作ることも可能だ。またBEEP命令で134種の効果音を再生でき、周波数指定して音程も変えられる。他にもサンプリング機能、風呂場・洞窟・宇宙のリバーブ機能、TALK命令による音声合成、GM音源の再生、プログラムによるユーザー波形の指定と、驚くほど多機能になっている。
同期機能がない2つのソフトをBASICでむりやり同期
続いて、藍氏が「DSN-12」と「プチコン3号」を使い、4台の3DSを使ってVJ風のデモを行なった。藍氏は以前から趣味で楽器系のプログラムを作成していたが、「プチコン」の存在を知って昨年スマイルブームに入社。その経験と技術を活かし、「プチコン3号」上で動作するFMシンセサイザーとリズムマシンをBASICでプログラムした。
VJデモのためには「DSN-12」と「プチコン3号」のサウンドを同期演奏させる必要があるが、どちらにも同期進行コントロール機能は現状ない。そこで藍氏はプログラム的にサウンドを同期させる仕組みを作った。
「DSN-12」はサウンドをステレオで出せるので、片方の音を通常の音楽再生に、もう一方を同期のために使用する。「プチコン3号」はマイク入力をサンプリングできるので、「DSN-12」から出力される同期用の音声を波形処理し、特定の周波数の音を信号とみなしてやることで同期を取れないかと考えた。これで1台の「DSN-12」のサウンドを複数の「プチコン3号」に同期することが可能になる。
具体的にはラの音を使い、高いラ(880Hz)、普通のラ(440Hz)、低いラ(220Hz)を信号とみなした。これを見た佐野氏は「『DSN-12』は音声信号を出すだけだから、対決は『プチコン3号』の圧勝に決まっているし、ラが出せればいいなら『DSN-12』である必要すらない!」と絶叫。それに対して藍氏が「『プチコン3号』が『DSN-12』のプラグインになったと考えてください」とたしなめる場面も。
実際にデモが始まると、「DSN-12」のサウンドに合わせて、3台の「プチコン3号」がそれぞれFMサウンド、ビジュアルエフェクト、テキストの役割でシンクロしながら動作した。「プチコン3号」で音声を送受信するために、オーディオインターフェイス「iRig2」を3つ使用(3DSでの動作は保証外)するなど機材の準備は大変だが、4台の3DSがしっかりリンクして動く様子は興味深いものだった。
最後に「プチコン3号」の今後の展開について、「現在は32bitなので64bitも。これからも拡張していくので、新たに組み込まれるものもあるはず」と小林氏が語った。