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「パックマン」の岩谷徹氏が新ゲーム表現形態「ゲーミング・スーツ」を提案

全身にLEDパネルを装着! “三位一体”型ゲーム体験の萌芽を発表

8月26日~28日 開催

場所:パシフィコ横浜

東京工芸大学教授の岩谷徹氏
こちらが「ゲーミング・スーツ」。簡素な「パックマン」がデモとして披露された
デバイスとしての三位一体がポイント。アート方面、リハビリへの応用も可能性がある

 「パックマン」の生みの親として知られ、東京工芸大学教授の岩谷徹氏による講演が、CEDEC 2015にて開催された。講演内容は岩谷氏が提案する新しいゲーム表現形態である、全身ディスプレイ「ゲーミング・スーツ」について。

 「ゲーミング・スーツ」は、LEDディスプレイが敷き詰められたパネルを胴体、両腕、両足に装着し、Kinectを利用して体の動きでパネルに表示される映像を制御するというもの。

 会場では「パックマン」を落とし込んだデモゲームが披露されており、このデモゲームではLED部分が「パックマン」のステージとなり、その上をパックマンやゴーストが移動する。プレーヤーはパックマンを直接操作することはできないが、両手、両足、そして手と足を近づけることで通路が繋がり、パックマンを上手く誘導していくことが可能だった。

 この発想は、特に家庭用ゲーム機が「プレーヤー」、「入力デバイス」、「出力デバイス」の関係性がバラバラで、TVモニターやスマートフォンのディスプレイの画面の中で遊びが完結してしまう状況に疑問を感じたことが元になっている。より発展性のある遊びの提供はできないかを考えた結果、「プレーヤー」、「入力デバイス」、「出力デバイス」を“三位一体”にする装置として「ゲーミング・スーツ」が生み出された。

 岩谷氏は「ゲーミング・スーツ」について、新しいゲーム表現だけでなく、体全体を動かすことによる「演舞」のような立ち振る舞いを活かしたアート的な表現、リハビリテーションへの応用なども考えているとした。

 デモとして披露されている「パックマン」は1人用のゲームだが、今後は2人分の「ゲーミング・スーツ」を用意し、お互いが近づくことでスーツのパネルが干渉しあうような遊びを表現できれば、とした。

 ただし、講演後スタッフに話を聞いたところによると現状は未だ研究途中で、完成形は見えていない段階だという。パネル部分をさらに広げる、Kinectに縛られないような構造にする、さらに細かいLEDにする、誰でも手軽に装着できるようにする、搭載するコンテンツを魅力的なものにするなど、考えられる改良、改善を実施していくのが当面の課題だそうだ。まだまだ発展途上ではあるが、今までに見たことのない体験になるような可能性も感じさせる。「ゲーミング・スーツ」が今後どのように変化していくのか、チェックしておくのも面白いかもしれない。

現在は2号機。1号機はLED1つ1つを線で繋いでいたため、重い、断線するなど問題が多かったという。2号機は16×16のLEDシートが14枚使用されている
次の段階として、2人での遊びが志向されている

(安田俊亮)