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映画「ピクセル」公開記念。伝説のゲームクリエイター座談を開催!

「パックマン」、「スペースインベーダー」、「ギャラガ」の開発者が一堂に!

9月12日 公開

配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントは、映画「ピクセル」の9月12日公開を記念して、ゲーム中に登場するキャラクターの“生みの親”ことクリエイター3氏による座談会を開催した。座談会は司会者の元、映画の印象から撮影現場の裏話も含め多岐にわたっている。

 映画「ピクセル」は、「パックマン」、「ドンキーコング」、「ギャラガ」、「スペースインベーダー」などの“1980年代”を彩ったゲームキャラクターたちが地球侵略の尖兵として大暴れするハリウッド映画。1982年、NASAが宇宙に向けて人類と地球の文化を理解してもらうべく発信した映像……だが宇宙人は、その映像を“友好の証”ではなく“宣戦布告”と受け取り、地球侵略を開始。

 グアム空軍基地を襲う「ギャラガ」、インドのタージ・マハルを崩す「アルカノイド」、ロンドン上空を覆いつくす「センチピード」、ニューヨークの街を食べつくす「パックマン」、ワシントンDCの巨大母艦からは「スペースインベーダー」や「ドンキーコング」の姿が……。すべてをピクセル化し崩壊させる攻撃に、世界最強を誇る米軍すら抗う術を持たない。

 この緊急事態に、米国大統領ウィル・クーパー(ケヴィン・ジェームズ)は“秘策”を打ち出す。それは、1982年当時のゲームチャンピオンたちを集め、チーム「アーケーダーズ」を結成して侵略者たちを撃退すること。「パックマン」チャンピオンのサム・ブレナー(アダム・サンドラー)、「センチピード」最高記録保持者のラドロー・レイモンソフ(ジョシュ・ギャッド)、「ドンキーコング」王者のエディ・プラント(ピーター・ディンクレイシ)が集結する。

 30年の歳月は、当時「神童」、「天才」とうたわれた3人を、単なるオヤジ=元ゲームオタクに変えていた。そんな彼らが、ヴァン・パッテン中佐(ミシェル・モナハン)の指揮のもと、対ゲームキャラクター用に開発された兵器をたずさえ戦いに挑むのだが……といったストーリー。監督は「グーニーズ」、「グレムリン」、「ホーム・アローン」、「ハリー・ポッターと賢者の石」などで知られるクリス・コロンバス。国内では9月12日公開予定。

■ 西角友宏氏、岩谷徹氏、横山茂氏 ~伝説のクリエイター対談が実現~

西角友宏氏
岩谷徹氏
横山茂氏

――早速ですが、自己紹介をお願いします。

横山氏: バンダイナムコスタジオの横山と申します。1981年、当時のナムコで「ギャラガ」の開発に携わりました。現在はバンダイナムコスタジオで開発の指揮を執っています。

岩谷氏: 「パックマン」の生みの親ということで、今は東京工芸大学ゲーム学科で教員をしております、岩谷徹です。「パックマン」は1980年に世の中に出まして、今年で35周年を向かえ、非常に大きく育って映画にも登場することになりました。よろしくお願いします。

西角氏: 私は1970年代の開発が主だったんですけども、1978年に「スペースインベーダー」を開発いたしました。ですから(映画に出てくるタイトルで)1980年代1番最初の作品になると思います。今はタイトーのアドバイザーという形で、技術的な指導みたいなものをやっています。よろしくお願いします。

――お三方は、ご面識はおありなんですか?

西角氏: 私と岩谷さんは、もう30年来のお付き合いです。

――では早速おききしていきたいんですが、まずは率直に「ピクセル」をご覧になった感想は?

横山氏: 単純に面白いと思いました。ストレートに感情移入できる。我々は当時のゲームやバックグラウンドをよく知っていますし。恐らく、知らなくても単純に展開、お話、映像がわかる映画になっていると思いますし、日本やアメリカで色々な方に観ていただけるのではないかな、と思います。

岩谷氏: 最初に台詞が長いシーンが続くんですけど、これもなかなか味がある……映画のストーリーを盛り立てるところ。後半になるとゲームキャラクターたちが迫力あるシーンで登場してきて、起承転結のほかに映像としても本当に素晴らしい作品になっております。当時ゲームをしていた人たちだけでなく、今のファミリーでも楽しめる、そんな映画になっています。

西角氏: 私、この映画があるのを岩谷さんからききまして。岩谷さんが撮影に立ち会われたということで……でもストーリーは聞いていなかった。1980年代のゲームが映画になる、ということだけしか聞いていなくて。あえて聞かなかったんですけど。試写会を観させていただきまして……本当に良くできているなぁと。私が思っていたようなストーリーとは全然違うような。さすがだなぁ、と楽しく観させていただきました。

――自分が作ったキャラクターが映画のなかで大暴れすることについては、いかがですか?

西角氏: そうですねぇ……観たところ、わりと可愛くでてましたね(一同笑)。怖いというよりも、やっぱり自分で作ったからかもしれないけど、そんなに恐ろしいというわけではなく、可愛くできていましたね。

ドリフトを決めるパックマン。岩谷氏もびっくりだったようだ

――可愛いという意味では「パックマン」がニューヨークで大暴れしていましたが。

岩谷氏: 可愛いはずの「パックマン」が怖い役で出てくるんですけれども(笑)なかなか迫力がありまして。ニューヨーク市街の角を曲がるとき、ドリフトしていくところなどは「パックマン」も35年たって成長したなと思いますね(一同笑)。

――パックマンは普通プレーヤーが操作する正義側なんですけど、この映画では悪者になって登場しますよね。

岩谷氏: そうですね。宇宙人が勘違いして地球を攻めてくる。その宇宙人に操られているという、ちゃんとした設定になっていると思いますね。

――そして「ギャラガ」なんですが、グアムの基地を襲う。

横山氏: 「ギャラガ」の場合は、キャラというよりも単なる“蛾”なので(一同笑)キャラクターっていうほどのものじゃないんですけど。映像的にうまく作っていただいて、あのキャラクターがあんなふうに登場してくれるって、非常にうれしい。あと何といっても、最後に出てくるボス戦、あんなにデカいもんだって知りませんでしたし非常に立派な作りだし、最後凄い格好いい登場の仕方だったので、感謝感激しています。

――トラクタービームで主人公たちを吸うシーンがありましたが、ああやって自分が作ったキャラクターが大暴れするって嬉しいものですか?

横山氏: 嬉しいですね、はい。

――他の方の作品が3Dになっていることについては、どう思われますか? たとえば西角さんは「パックマン」があんなふうに暴れていることについては。

西角氏: いや、ちょっと想定外でしたね。聞いてなかったものですから(一同笑)。てっきり味方かなと思っていましたけど、敵に操られているというのは、想定外というか、ちょっとわからなかったですね。

――岩谷さんはどうですか?「ギャラガ」や「スペースインベーダー」については?

岩谷氏: そうですね。「ギャラガ」が本当に大きな姿で凛として空中に浮かんでいるシーンは、格好いいんですね。ビデオゲームのキャラクターがあれだけ格好よく映画のなかにドン! と出る。あのシーンに感動しました。

――どんな過程で映画に自分のキャラが出ることを知りましたか? 最初にこの話がきたとき、どのように感じられましたか?

横山氏: 私は会社の広報から「こんな話があるんだけど」ということと、1番最初のパイロットフィルムみたいなもので「パックマン」と「ギャラガ」の途中の映像を見せてもらったんです。そのとき「パックマン」は、まぁ“丸”なんですけど、「ギャラガ」のは「なんか、この飛びかたヘンじゃない?」みたいなのはあったんですけど、広報とも話をして「これは必ず、まだよくなる」と。先ほどもいったとおり、ただの“蛾”なんだよね(一同笑)。そんなにこだわりはないので、映画の話がどうなるか当時はよくわからなかったんですけど、なんとなく面白そうだなと思ったので賛成しました。

――飛び方がおかしいという話がありましたが、自分の作られたプログラムとは違うということでしょうか?

横山氏: 2Dの平面を立体に直すので、どういう飛び方が正解なのかわからない。難しいんですけども。あと、当然立体物になるので、蛾の動き方もね……当時ないものですから。飛行パターンとキャラの動きがあってないなって、初めはそういう印象を持ちましたが、ただ完成したのを見たら「さすがだな!」と思いました。

――踏み込んだ質問をしたいと思います。映画のなかで1982年当時「ギャラガ」にはバグがあったとのことですが、そこまで映画のなかでフィーチャーされていることについてはどう感じられましたか?

横山氏: 実は1982年の「ギャラガ」にバグがあったって、私ずーっと知らなかったんです(一同笑)。どのことを指してみなさんいっているのかな?ってよくわかってない状態。

――この映画ではじめて知ったというわけですか?

横山氏: いまだもってして、何がバグなのかよくわかってないんですよ(笑)。

――じゃぁ、よく調べたな! という感じでしょうか。岩谷さんはいかがですか?

岩谷氏: 去年の3~4月頃に「ゲームをテーマにした映画を作る。『パックマン』も登場する」ということでした。あらすじは聞いていたのですが、その前に「ピクセル」のキッカケとなった映像……パトリック・ジーンが作ったイメージ映像をYouTubeで見て「こういうゲームキャラクターの映像表現の仕方があるんだ」と知って、これを題材に映画を作るなら「かなり面白いものができるな」というふうに思いまして。「パックマン」が登場するなら大歓迎だな!と思いました。

様々なゲームのキャラクターが登場する

――「パックマン」にもつっこんだ質問をしたいと思います。映画のなかで「パックマン」の無敵時間をうまく使ってストーリーが進むシーンがありますが、ああいう展開については?

岩谷氏: ゲームの設定に忠実で、ありがたいなと思いました。いじけモンスターのときの表現が、もう少し……「パックマン」が「やっつけられるぞ!」というような表現になってくれるといいな、と思いました。

――その辺は次回作で。モンスターもちゃんと名前がついていたりするシーンがあり、原作をリスペクトしている感じがしました。西角さんにもおききしたいと思います。どのような経緯で知られましたか?

西角氏: 私が知ったのは今年になってからですね。さっきいいましたけど、岩谷さんが映画に立ち会われたとき、その後に一緒に食事をしましてね。そこで「『スペースインベーダー』も出るよ」という話をチラッときいたものですから。中身、ストーリーはきかなかったのですが「あぁ、出るんだな」という認識はしましたけど。正式には、今年になって広報から「出ますよ」という報告を受けました。

――「出ますよ」ときいたときはどのような印象でした?

西角氏: 最初にきいたのは岩谷さんですから、やっぱり「うれしいな」と思いましたよ。広報からきいたときは、もう知ってましたから、感動はないですけど(笑)。

――今回の映画では「パックマン」と戦う際、岩谷さん役のアクターさんが出演されているのですが、実は岩谷さんご本人も冒頭に出演されているんですって?

岩谷氏: 冒頭……目をつぶった瞬間にもう見えなくなっているくらいのところで、2秒ほど出ています。

――どのようなシーンで?

岩谷氏: ゲームセンターのなか、これからゲームの映画が始まるよ! ということを示すなかで、子供たちがゲームを探して(カメラが)パンしているところで、私がツナギのスーツを着て「パックマン」の筐体を修理しています。(ツナギに)ナムコというエムブレムをつけてくれとリクエストを出しました(笑)。

――現場でも凄くリスペクトされ、歓迎されたとききました。

岩谷氏: 身に余ることに、サインを求められたり、一緒に写真を取って欲しいとか。私自身、本当にうれしかったですね。

――その出演のためだけにアメリカにいかれたのですか?

岩谷氏: そうですね。それと撮影現場に滞在できるということで、私もゲーム学科で映像の勉強ということもありまして、素晴らしいですねぇ! あれだけ、5日間つきっきりでいると、色々なことが見えてきまして。監督は優しい感じなんですけど、実際の撮影になると非常に厳しい。ゲームセンターのなかで女の子が単に横切ってゲームを探すシーンがあるんですけど、そこでも小さな女の子の動きが悪いと「キミはもう帰っていいよ」というんです。「やる気がないんだろう!」そんな厳しさも見せていました。

――監督とかは「パックマン」を凄くやっているよ! という話はされましたか?

岩谷氏: そうですね。「パックマン」が好きということと、主演男優のアダム・サンドラーが「パックマン」の筐体を自宅に持っているということなので。素晴らしいですね。

――お2人は、次回作があったら出たいとか、そんな気持ちはありますか?

横山氏: 映画の雰囲気を壊しちゃうので(一同笑)。オファーがあったら考えさせていただきたいと思います。

西角氏: オファーがあったら出てみたいと思いますね。ハリウッドの映画ですからね! 通行人でもいいからって気はしますけど(笑)。

――ゲームのお話に移りたいと思います。ゲーム開発当時、なぜこのようなゲームを作られたのでしょう?

西角氏: それまでずっと私もテレビゲームを作っていたんですけど「スペースインベーダー」で私初めてマイクロコンピューターを使ったゲームを作ろうとしたんです。インスピレーションを受けたのは、その前にあった「ブロック崩し」。非常に好きでのめりこんだんですけど、あのゲームシステムを形あるもの、宇宙ものという具合にして出来上がったのが「スペースインベーダー」ですね。

――ちょっと調べてきたのですが、当時タイトーの営業からゲームシステムについて文句がついたと聞いたのですが?

西角氏: いや、それはちょっとなかったような? 当時はほとんど私ひとり、自分で考えて作っていたので、あまり周りの人から……最後のほうは色々意見はあったかもしれませんが、途中での意見はあまりなかったですね。クレームがきたというのは、キャラクターが……宇宙ものじゃなくて、はじめは戦車だとか色々やっていたんですよ。で、人間をターゲットにしたとき「人を撃っちゃいけないよ」というクレームは、ちょっときましたね。それのことかもしれないですね。

岩谷氏: 1980年に「パックマン」が出たんですけど、考えていたのは1978年末から1979年頃ですね。ファミリーコンピュータが1983年に出ていますから、ゲームをするためにはゲームセンターに行かなければならない時代。行ってみると、むさくるしい男が背中を丸めてやっている。いわゆる殺伐としたゲームが多かったので、とても女の子が入れる雰囲気ではなかった。「このままだと汚い、臭い、暗いのゲームセンターになってしまって未来がないな」と(笑)。女性、カップルが来てにぎやかにすると、明るくなってトイレもキレイになるだろう! と。そのためには女性でも遊べるゲームが必要だ! というので、女性やカップルが遊べることを頭に描いて“食べる”ということでゲームを考えました。

――ゲーム好きで語り草になっている話があるんですが「パックマン」の形って、ピザをひときれ取ったところからヒントを得たというのは本当なんでしょうか?

岩谷氏: 本当ですよ。昼時に「食べる、食べる、どうやって“食べる”というのをゲームにしようか」と考えていたとき、丸いピザの一片を取ったら、残りの形がちょうど今の「パックマン」の形になった。形から、もう食べるという“アイコン”ができたので、これで主人公はOK。あとは芋づる式にアイデアがどっと出てきて、ゴースト、迷路……という形ですね。

横山氏: うちの場合は、西角さんの作られた「スペースインベーダー」と、当時ナムコが作った「ギャラクシアン」このふたつで非常にゲームセンターや喫茶店にゲームが置かれるようになりました。岩谷さんが「パックマン」を出されて、お客さんが広がって、市場自体がもう拡大したあとですね。他社さんが「スペースインベーダー」や「ギャラクシアン」の後追いでスペースものをたくさん作っていたので、当時のナムコは「パックマン」、「ラリーX」、「QTQ」とか、スペースもの以外をわりと作っていたんですよ。しばらくスペースものを作っていなかったので、会社のほうから「スペースものを1本考えろ」というオーダーがあって、「ギャラクシアン」の後継みたいなものをちょっと考えよう、と作り始めたのが「ギャラガ」です。

当時の開発者にとっても現代に蘇ったキャラクターたちの描かれ方は好評なようだ

――「ギャラクシー」と「蛾」を足して「ギャラガ」とのことですが、なぜ“蛾”を思いつかれたんですか?

横山氏: ゲームの仕組みは私がほとんど考えたんですが……恐らく「ギャラガ」で初めて専門のデザイナーがキャラクターデザインを手伝ってくれて、描いてくれたのがあのキャラクターなんですよね。それまでは我々プランナーがドット絵も全部描いていた時代。(ここで)初めて、筐体やグラフィックスデザインをする人が描いた。まずデザインから決まったんですね。「ギャラガ」って名前をつけたのは私ではなくて、当時のたしかデザインの課長だったと思うんですけど「『ギャラクシアン』と『蛾』だから『ギャラガ』がいいんじゃないか?」ということで、こういう名前になったというふうにきいています。私の知らないところで決まったんです(笑)。

――現在まで30年以上愛され続けるみなさんのゲームですが、プレーヤーの方々に楽しんでいただく点で注意したところはありますか?

横山氏: 私の場合は、とにかくゲームバランス。新しい仕組みを結構ゲームのなかに入れたので、ゲームバランスのチューニングには物凄い時間をかけ、多くの社内のスタッフに手伝ってもらいました。これは苦労話になっちゃうんですけど、作っているときはあまり苦労はなかったのですが……実際に出荷をはじめたとき、ゲームプレイ時間が「ギャラガ」は長いので、1日のインカムはどうしても制限があるんですよね。インカムが非常に低かったので、営業からは結構文句を言われました。ただまぁ、出荷前にバランス調整を相当力を入れてやったので「そんなにインカムは急には落ちないだろう」と思ったら、私の想像以上にロングランで、ゲームセンターでみなさんに遊んでいただいた。結果としては、それが何十年かな? 支持されるようになった1番の要因かなと思っています。

岩谷氏: ゲームをプレイするお客様の心理状態を常に考えて、追いかけられてばかりだと嫌だろうな、ここでストレスが溜まるだろうな、たまには逆転する、あるいは敵の攻撃がゆるくなる、難しさの調整でストレスのたまらない設計を心がけました。ですから“至れり尽くせり”ですよね。そこがプレーヤーに長く愛される要因じゃないかな、と思います。

――「パックマン」は面が進んでいくと、だんだんスピードが上がっていくのが気持ちいいですね。

岩谷氏: で、時々下がるでしょ?

――そうです。あと何面かに挿入されるブレイクが見たくてずっとやっていた覚えがあります。

西角氏: 我々がやったのは1970年代の開発なので、その当時のビデオゲーム、シューティングゲームは、プレーヤーが一方的に撃つのがほとんどだったんですけど、「スペースインベーダー」はそれを相手からも……マイクロコンピューターを使っていましたから、相手からも撃ってくる対戦型にしました。シューティングではたぶん初めてだったんじゃないかな? と思うんですけど、それが逆にですね、初めは難しくて業者から非常に評判が悪かった。最初は「売れない」といわれていたんですけど、ロケーションに出したら……やっぱり若い人が新しいシステムに興味を持ってくれてヒットしたんだと思いますね。特に最初は本当に「売れない」といわれたゲームだったんです。

――でも凄く大ヒットして、国民的人気のため市場から100円玉がなくなるという……。

西角氏: 100円玉はいっぱい集まっていましたね。なくなったかどうかはちょっとわかりませんけど。

岩谷氏: 100円玉は筐体のなかに全部入ってたね(笑)。

――日本銀行は、その月だけ66億円分の100円玉を市場に出したという話もあります。

西角氏: 増産は事実みたいですけど、日本銀行としてはたぶん認めないと思います(笑)。

やはりパックマンの印象は映画でも強烈

――アメリカの映画ですが、日本産のゲームがアメリカで長く愛される理由についてどうお考えでしょうか?

西角氏: キャラクターだけじゃなく、その当時の日本のゲームは遊んで面白かったと思うんですよ。だからキャラクターも一緒に愛されるんじゃないかなと思って。キャラクターだけ取り出されるのではなく、やっぱりゲームも面白かったと私は思っていますね。

岩谷氏: 先ほどの“至れり尽くせり”は結局“おもてなし”精神なんですよね。プレーヤーのことを常に考えて物作りをするというのは、ゲームに限らず色々な日本の精神……細部に配慮されているということで、日本の長い文化がゲームの形になったのかなと思いますね。

横山氏: 日本の職人技というか。当時クリエイターというか我々は職人だったので、要は細かいところまでこだわりぬく職人の技みたいなのがね、たぶんゲームに反映されて……何度繰り返し遊んでも面白い。それが長くアメリカでも愛された理由じゃないかと思います。

――まだまだ話し足りないのですが、お時間がきてしまいました。最後に、この3つのキャラが戦ったら、どのキャラクターが1番強いでしょうか?

西角氏: 「ギャラガ」でしょう(一同笑)。「スペースインベーダー」はとろいですよ、動きが。

岩谷氏: そうですね、あのパワーには負ける(笑)。

横山氏: 私は「パックマン」だと思いますけどね、やっぱり(笑)。

西角氏: 戦っちゃダメです(笑)。

――わかりました、3人は戦わない、ということで(笑)。本日はありがとうございました。

(豊臣和孝)