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【特別企画】「ぶっちゃけドローンって何なの?」第2回
法律で規制はあるのか? メーカーの取り組みや“業務用”の動きは?
(2015/6/12 13:14)
話題を集め、利用者が増えている「ドローン」。現在は“規制”や“禁止”、“事故の可能性”など刺激的な文言が常につきまとっている。6月2日に産経新聞など各メディアから「政府が無人機の規制案を検討している」といった報道があったが、文言通り“検討”段階で、法整備に必要な準備を進めているところだ。
現在の報道の中で、そもそも、一部の愉快犯の使用から、ドローンを使った新しい輸送システム、盗撮の可能性などから軍事目的まで、議論されるレイヤーも定義もあやふやなまま、「ドローンが何ができるか、そもそもドローンはどんなマシンなのか」という部分が多くの人に見えないまま、「ドローン」という言葉だけが1人歩きし、メディアが不安をあおるような状況になっている。
弊誌ではまず、“ホビー”という視点から「ドローン」に対して見ていきたい。第1回目は新製品のホビー向けドローンを取り上げたが今回は、規制を発表した東京都や、メーカー、量販店が実際のユーザーに対して、どのような働きかけを行なっているかを取り上げたい。また、業務用としてアプローチしているという情報も紹介しよう。なお、次回は実際にドローンを触ってみた感触をレポートする。
法律でドローンは飛ばせなくなってしまうのか? 飛ばしたらどうなる?
ドローンに関して、いち早く動いたのが東京都だ。4月22日に首相官邸にドローンが墜落していたことが明らかになったが、東京都は都立公園と都立庭園計81園でドローンの持ち込みや操縦を禁止したことがマスコミによって報道された。
東京都の公式ページから「ドローン」という単語を検索すると、首相官邸でのドローン発見から定例議会などでドローンという単語が取り上げられ、調布飛行場や八丈島空港などの都営空港ではドローンの使用を禁止する文言が書き加えられているのが確認できる。
今回、東京都の公園管理者にドローンの規制に関して質問してみた。各公園に通知を行なったのは“公益財団法人東京都公園協会”で、ここに指導をしたのが“東京都建設局公園緑地部”。今回は公園緑地部に問い合わせてみた。担当者によると、ドローンに関しての実際の対応はドローンがニュースに取り上げられた状況を受け、「都立公園条例」が定める、“公園利用者に危険が及ぶ行為”にドローンの使用を当てはめたという。
「墜落や衝突などでドローンが人に当たったら危ない」という判断のもと、公園利用者に危険が及ぶ行為にドローンを加えたとのことだ。これに違反をした者を公園管理者が発見した場合、公園管理者は公園条例を説明し、使用をやめるように言い、使用者に理解を求める。あくまで注意であり、罰則などは規定されていない。他にも公園利用者に危険が及ぶ行為としては、ローラースケートやスケートボードの使用、ラジコンの使用なども含まれる。現在ある条例の対象範囲を拡大し対応したというところだ。
一方、自民党は首相官邸への侵入事件から、「ドローン」の規制に関して5月中旬に国の重要施設の敷地上空を飛行禁止とし、違反者に罰則を科す議員立法の法案を了承し、国会の提出を目指している。違反者には、1年以下の懲役か、50万円以下の罰金を科すという案が盛り込まれている。
政府はこの自民党案を受け、ドローンに関する運航ルールの骨子をまとめた。飛行禁止空域を設定したり、操縦者の技量を確認する検定制度なども検討しているという。この案が国会でどのように審議され、成立するかは注目していきたいところだ。
ユーザー向けの取り組みもこれから。一方、業務用は空撮業者や保険制度も
法規制などまさに現在議論が重ねられているドローンだが、メーカーや、実際にユーザーに販売を行なっている“売り場”の対応はどうだろうか。トイラジコンに関しては、「人の近くで飛ばさないように」などの注意事項が書かれたパンフレットが製品のマニュアルと一緒に入れられている。
京商は2014年の12月には日本ラジコン模型工業会の「【重要なお知らせ】マルチコプター(ドローン)を安全に楽しむために」というリンクをトップページに掲載している。また、ハイテックマルチプレックスジャパンではユーザー向けのドローンの体験会を開催し、ドローンの楽しさや注意点をアナウンスしている。
トイラジコンを中心に販売している量販店では様々なドローンを販売している。今回はビックカメラでトイラジコンの購入を相談してみた。ビックカメラではドローンはカメラの1つのコーナーでまとめて展示しており、様々なメーカーのドローンの機能を紹介していてわかりやすかった。しかし、ドローン専門のスタッフがいる店舗は用意していないとのことだ。また、飛行の注意点や勉強会などの情報もアナウンスしていないという。
ドローンに関してはユーザー向けだけではなく、業務用の動きも活発だ。業界団体としては、無人航空機システムの民生分野での活用を推進する“一般社団法人 日本UAS産業振興協議会”といった団体も生まれている。また、4月の時点で「東京海上日動火災保険が、産業用ドローン向け保険を7月に開始する」という発表がyahooニュースなどに掲載された。
業務用に関しては、現在すでに様々な調査や、テレビでの番組で撮影機能を持ったドローンは活躍している。また、農薬散布などにも業務用ドローンは活躍している。“空撮・ラジコンヘリ専門会社”というものもすでに多くある。規制が議論されているが、ホビー用途以外でも、ドローンは我々の身近な存在となっているのである。ドローンという新しい技術がどのように普及していくのか、今後も見守っていきたい。
街中や人のいるところでラジコンを飛ばすのは危ない。特に空を飛ぶものは墜落で速度が増すし、人の近くに飛ばしたら不快に思う人も多いだろう。「ユーザーが操縦する空飛ぶ機械」という視点から見れば、ラジコンもドローンも同じものだ。ラジコンと同じような規制を受けるという流れは納得できるところがある。現在ラジコンに関しては明確な飛行のガイドラインは設定されていないところがある。ドローンの議論によって、規制だけでなく、安全に飛ばせるガイドラインができるのならば、むしろ歓迎できることだろう。
一方、業務用の広がりという点も見逃せない。新しい撮影技術、新しい流通など、ドローンが注目を受けるようになって、改めて現在新しいビジネスが生まれてくる“雰囲気”も感じ取ることができた。規制や法整備は決してネガティブなだけではなく、きちんと決められることで、よりドローンが身近に、そして積極的に使われる未来がくるかもしれない。