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PS4「バットマン:アーカム・ナイト」開発者インタビュー
移動、戦闘、探索……自由度が大きく広がり「究極のバットマンシミュレーター」に
(2015/3/11 00:00)
「ワーナーゲーム 2015 ラインナップ発表会」ではこのイベントのために日本を訪れた、ロックスタディスタジオでマーケティングマネージャーを務めるガイ・パーキンス氏にインタビューを行なった。
今作の新要素、初登場のヴィラン、新しいガジェットや、バットマンの新しい能力、そしてバットモービルはどんなものだろう? そしてどんな新しいゲーム体験が待っているのだろうか?
バットモービルで走り、敵を奇襲する、“やれること”が大きく増加
パーキンス氏は、「バットマン:アーカム・ナイト」に関しマーケティングマネージャーとして、トレーラームービーの作成や、スクリーンショットの提供など、メディア向け対応も行なっている。開発チームと密接に連携をとって作業を進めているという。
「バットマン:アーカム・ナイト」はこれまでのタイトルよりムービーによる素材の提供が積極的だ。パーキンス氏は「今回の作品は特にストーリー重視であり、エモーショナルな部分が大きい。『バットマン:アーカム・ナイト』ではバットマンは彼の強さにおいてピークを迎えている。しかしそれは“失うものも多い”ということを意味している。こういったバットマンの状況の中、プレーヤーは何を感じるか、今作はかなりダークな部分もある。『バットマン:アーカム・ナイト』はハロウィンの夜の物語で、かなり濃いストーリーを楽しめると思う」と語った。
PS4版での提供となった「バットマン:アーカム・ナイト」だが、PS4だからこそ提供できるゲームプレイの1つが「バットモービル」だとパーキンス氏は指摘する。車で移動することでゴッサムシティの描写はこれまで以上に広大に、「バットマン:アーカムシティ」の5倍もの広さを獲得した。
都市全体の描写も向上し、車の移動できる道路の整備など、より精密な表現がなされている。街全体の印象もより強烈なイメージをもたらすものとなっている。従来の作品でもし車で移動できるならば限られた部分を行ったり来たりができる程度だったが、今作では様々な場所を走ることができる。
また、“高さ”の描写も魅力であるという。これまでのアーカムシティよりずっと高い建物が存在している。ロープ付きフックを打ち出し高速移動する「グラップルガン」も連続で使用できビルとビルの間をジグザグに移動することでこれまで以上に素早く高い場所に移動できる。また、走っているバットモービルから脱出することでバットモービルの慣性を活かして速い速度で上昇することも可能だ。ゴッサムシティはプログラムの自動生成ではなく、細部までこだわった街になっている。
グライドも操作性が上がり、行動の自由度は上がっている。例えばA地点からB地点に動くとき、プレーヤーはグライドで飛び回るのも、歩き回るのも、車に乗るのも可能だ。パーキンス氏自身はこの様々なことができる“自然さ”が最も気に入っているという。本作のディレクターはゲームの様々な要素を「バットマンだったらどうするか」と非常に細かい部分まで考えて制作しているという。
「プレーヤーがやりたくないと思うことを強いてやらせないようにする」ということを開発チームは常に考えている。戦闘でも強行突破からステルス、奇襲まで自由だ。これまでの作品に比べ、すべての面でパワーアップを果たしており、「バットマンシミュレーター」としても大きく向上しているとパーキンス氏は語った。
ストーリーは徐々に展開していくという。オープンワールドに存在している人々、ヴィラン(悪役)などの描写は細かくなり、暴動などが起きる場合もある。ギャングの暗躍なども描かれている。ストーリーは「バットマン:アーカムアサイラム」、「バットマン:アーカムシティ」からの続編で、アーカムシティでの物語から12カ月後のハロウィンの夜となる。アーカムシティのラストでは宿敵のジョーカーが死に、街は平和になると思えたが、最悪のジョーカーがいなくなったことで街は一層混沌となってしまった。
街から離れていたスケアクロウが帰還し、さらに「アーカム・ナイト」という新しいヴィランも登場した。ハロウィンの夜、スケアクロウは有毒物質のタンクを設置し、街にばらまくように脅しをかける。警察は街の住人を避難させるが、バットマンはこの窮地に対処するため単身で行動を開始する。今作ではゴードン警部と定期的に連絡を取り、状況に対して情報交換をすることで情報はアップグレードされていく。
ヴィランとしてはペンギン、リドラー、トゥーフェイス、ポイズンアイビー、ファイアフライなど様々な敵が登場する。彼らは力押しだけではなく策略でもバットマンを苦しめる。その中でもアーカム・ナイトは原作コミックには登場しない新キャラクターとなる。彼は独自の軍隊を持ち、スーツなどの装備の科学力もバットマンに匹敵している。彼は強力な敵としてバットマンの前に立ちはだかる。他にも様々なヴィランが登場するという。
ちなみに初回特典であるDLC「ハーレクィン パック」は、本編とは独立したサイドクエストであり、プレーヤーはハーレクィンとしてコンテンツをプレイできる。限定された地域ではあるが歩き回り、ストーリーを進めることができるという。
ゲームシステム寄りの話としては、バットモービルのカスタマイズ要素も明らかになった。「バットマン:アーカム」シリーズではバットマンのスーツの性能をアップグレードできたが、今作では同じようにバットモービルもアップグレードできる。
戦闘システムも様々なアップグレードが行なわれている。新たな動き、新たなアニメーションで、敵の武器を奪って使ったり、新しいカウンター攻撃、敵の体を他の敵に投げつけるといった技も登場する。壁を蹴って宙返りする「ウォールフリップ」という技もある。「フィアーテイクダウン」という技は、奇襲して一気に3人までの敵を気絶させることが可能だ。これらは格闘要素に特化したゲームモード「プレデタールーム」でもたっぷり楽しむことができるという。
戦うための状況作りも今作では多彩だ。空中でグライドしながらバットラングを投げることが可能となり、敵をひるませてから戦いに挑めるようになった。正面から戦いを挑むのではなく、窓から侵入するなどの戦略もとれる。移動やコンバットなど様々な要素で「自由度」を大きく広げているのが「バットマン:アーカム・ナイト」の特徴だという。
新しいガジェット(秘密道具)も登場するという。詳細はまだ話せないが、ツールとツールを組み合わせたり、戦闘に使うツールもある。従来のツールに機能を追加させたものもある。そして究極のツールが、バットモービルだ。これらのツールでバットマンの能力は大きく拡張されている。また今作でも探偵要素、探索要素にも力が込められているとのことだ。パズル的な遊びや、ストーリーで探偵気分を満喫できるという。
「オープンワールドゲームは何でもできる、というところが逆に困難を生みます。何でもできるとつまらなくなりやすい。しかし一方で、『制約』ばかりだとやはり面白くない。私たちのチャレンジはできるだけプレーヤーがやりたいと思うことができるように選択肢を多くしたのです。これまでの作品以上にやれることが多くなっています」とパーキンス氏は語った。
最後にパーキンス氏は日本のユーザーに向け、「日本のゲーマーに『バットマン:アーカム・ナイト』をお届けできるのは本当にうれしいです。特に今作はシリーズで初めてのフルローカライズです。皆さんにとってもうれしい要素だと思っています。今の段階では言えないこともいっぱいあり心苦しいですが、ぜひ楽しんでください」と、メッセージを送った。