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【特別企画】気鋭の“MMOゾンビゲー”「H1Z1」はなぜこれほど注目されるのか?

これがとことん面白い! 特殊ルールの「Battle Royale」

これがとことん面白い! 特殊ルールの「Battle Royale」

「Battle Royale」サーバーのロビー。開始を待つ参加者が早くも殴りあっている
パラシュート降下で生存競争がはじまる
銃・弾薬は取り放題。当然他のプレーヤーも完全武装だ
ほんの小さな油断が命取り。それまでの苦労がパーとなる
夜の訪れとともに世界を覆い始める毒ガス。これに追われてプレーヤーは最終的に1箇所に集まる

 以上は一般的なPvPサーバーでの体験を軸にした印象だが、本作にはもうひとつの遊び方が用意されている。特別なサーバーでプレイする「Battle Royale」モードだ。

 このモードは1ラウンドおよそ1時間の生き残り合戦。ゲームスタートと同時に100~200人の参加プレーヤーがマップ中の各地にパラシュート降下し、遭遇と戦闘を繰り返しながら最後の1人になるまで戦う、というものだ。これがやたらに面白い。

 このモードでは通常とは違ったアイテムの配置になっていて、各地のキャンプサイトや民家、都市の建物などあらゆる場所で新品の銃や大量の弾薬が見つかる。したがって、1発の弾丸も貴重な通常モードとは違って、ショットガンからアサルトライフルまで銃は撃ち放題。動かせる車もそこかしこに配置されているので、あらかじめどこにあるかわかっていれば開幕から車も乗り放題。いきおい、8×8kmという広大なフィールドを使った「Battlefield」(ただし動くものは全員敵)のような様相となる。

 銃の撃ち合いとなればたいていは数秒で決着がついてしまうので、とにかく先に発見するが勝ちだ。状況に自信がなければ見つかりにくい場所にじっと隠れ、キョロキョロしながら安全を確認することになる。民家を物色中に車のエンジン音やプレーヤーの足音が近づいてくると、一気に空気が凍りつく。アイテムが潤沢な人気スポットでは開幕から大量のプレーヤーが殺到し、ひとしきり銃声が鳴り響いいたあと、プレーヤーの半数は死亡する。死んだあとの再出現は無し、そのままリタイアである。

 ひとり、またひとりとプレーヤーが減っていく中、およそ30分が経過するとマップ端から毒ガス地帯が発生、次第にフィールドが狭まっていく。毒ガスに追いつかれるとほどなく死んでしまうので、残ったプレーヤーは毒ガスの前進に合わせてだんだんとマップ中央部へ集まるという仕組みだ。

 開幕からの激戦をくぐりぬいて必死に集めた銃、弾薬、包帯やメディキットなどの回復アイテム。あるいは運良く手に入れた車。そういったものを持って、皆が最後の安全地帯へ集まり、いやおうなく他のプレーヤーと遭遇する。勝負は銃弾1発で決まる。終盤まで粘っても、そこで死ねば無慈悲に退場。やがて毒ガスが完全に世界を覆い尽くすとき、まだ生きている最後の1人が勝者となるのだ。

 たっぷり1時間をかけてのデスマッチという感じだが、苦労が多いだけにスリルも満点だ。開幕時の降下地点の選択から、人口密度が高い序盤をどう生き残るか、終盤のために必要なアイテムをどう集めるか……様々な選択の積み重ねが、最終的に他のプレーヤーとの遭遇戦に集約する。“せっかく生き延びたのに、こんなところで死んでたまるか!”。

 勝っても負けても、小一時間の充実した体験が楽しめることは間違いなし。ヒリヒリするような緊張感がクセになるうえ、比較的手軽に始められて、終わってみればあとくされもない。ゾンビアポカリプス・サバイバルゲームのごくごく基本的なエッセンスだけを集約したかようなゲームモードなのである。このモードだけは、ゲームの規模的にいまの状態が1番面白いバランスかもしれない。

 意外なところで何度も遊べる要素もある「H1Z1」。将来的にどのように完成していくのかはまだ全然見えてこないし、バグ潰しにつきあいたくない普通のゲーマーにはまだお薦めできないものの、ゲームとしての基本的な筋は良いと思える。また、本作の権利込みで開発元を投資会社が買った以上、プロジェクトの中断はありえず、きっちり正式サービス(基本プレイ無料を予定)で収益を上げるまで開発を続けていくはずだ。まずは2月15日に発表される予定の、今後3カ月の開発ロードマップに注目したい。

(佐藤カフジ)